ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)

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第1章 成長

第39話 ダンジョン

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「わぁ~、すご~い。これがダンジョンの中」

 薬草と毒消し草の納品を済ませて宿屋に帰ってきた。再度薬草と毒消し草の依頼は受けておいてある。
 早速祠を宿屋の裏庭に出してダンジョンに入ってきた。ネーナちゃんが感嘆の声を上げてる。

「はぁ~、うちがダンジョンのある宿屋になっちゃうとはね~。驚きだよ。安全なんだよね?」

「まだ魔物はいないからね」

 ネネさんが驚きながらダンジョンを見回す。安全の確認に一緒に入ってくれた。これだけで10ポイントもらえるなら人と仲良くしたほうが得っぽいけどな~。

「えっと薬草30個と毒消し草30個を作る。一階層は畑になっちゃうな~」

「なっちゃう?」

「うん。鉱物を作れば洞窟になる。草を作ったら森や畑になるってわけ」

 なるほど、今のダンジョンは木でできた家の中のような内装になってる。これが畑に代わっていくってわけかな?

「じゃあ、魔物を作ったらどうなるんだ?」

「えっとね。水にかかわる魔物だと水辺になったりする。その魔物の属性に影響されるって感じかな~」

 ラッドの疑問に答えるイーター。その魔物の属性で大きく変わるんだな~。

「2階層になるにはあと20人くらいを入れないとダメだな~」

「じゃあ、二日くらいでいけるんだね」

 イーターが指を咥えて呟く。ダンジョンはレベルが上がるごとに階層が解放されるみたいだね。なんだか楽しい。

「はい、薬草と毒消し草ね」

 イーターはそう言って指さす。すると畑が現れて周りの風景も一変する。
 青い空、綺麗な草原。今にもウサギが飛び出してきそう。

「はぁ~、これは凄いね~」

 ネネさんは感嘆の声を上げてうっとりと地平線を見つめる。
 まるで北海道の景色。こんなところでピクニックをしたら最高だろうな~。

「ポイントはどのくらい使ったの?」

「えっと薬草は10個で1ポイント。毒消し草もおなじだから6ポイント使った。それとみんなに入ってもらって70ポイント入ってるから64ポイント残ってる」

 私、ラッド、レイブン、ネネさん、ネーナちゃん、ドンタ君、ドロップ君で入ってきてる。
 ユマ君と双子は仕事で町をまわってる。トトさんも仕事で屋台にいる。ユマ君達にも入ってもらえば40ポイント増える。
 やっぱり人と仲良くしたほうがレベルアップは早いと思うんだけどな~。

「……なんだか簡単にポイントが手に入る。前のダンジョンは大変だったのにな~」

 イーターの気づきの呟きに村を思い出す。村にやってくる人はダンジョン目的でやってきてた。
 私の両親もその目的でやってきて、私を生んで死んでいった。ダンジョンポイントになって死んでいったと思うと色々と感慨深い。イブリムおじさんの家で暮らしている間もダンジョン目的の人はいた。だけど、人口が増えていた感じはしなかったな~。
 たぶん、来てもダンジョンから帰ってくる人が少なくて減っていったんだろうな。100ポイントにしかならない死骸よりも、10ポイントで毎日入ってくれる人が多いほうがいいに決まってる。

「共存をした方が強くなれるんだよ……」

 私は少し憤りを声にしてイーターに伝える。早くイーターがそのことに気づいてくれていれば、彼女が両親に手心を加えてくれていれば。死ななくて済んだんだから。

「そうか~、毎日はいってくれればそれだけで強くなれたんだ~。気づかなかったな~」

 私の憤りに気づかないイーターは呆れる程簡単に強くなることに気が付く。思ってみれば彼女は両親の仇でもあるんだよね。

「マスター?」

 私の視線に気が付いたイーターが首を傾げる。私はこぶしを握って我慢をする。彼女は悪を知らなかっただけ、無知で赤ん坊のような知識しかなかっただけ。
 今から彼女に教えていけばいい。私が育てればいいんだ。

「何でもないよ。それよりも魔物を出すことはできる?」

「え? うん。できるよ。何を作る?」

 私は少し涙が出るのを抑えて答える。イーターの声に答えられないでいると、ラッドが『ん~』とうなり声をあげる。

「そうだな~。まずはゴブリンかな。試しってことで」

「りょうか~い。じゃあ出すよ~。戦闘しない人は離れてね~」

 ラッドの声に元気よく答えるイーター。少しすると草原にゴブリンが現れる。

「魔石もちゃんと落とすからお金にするといいよ~」

「了解」

 イーターがそういうとラッドが答えて大剣を構える。

「じゃあ、私達は帰るよ。あんまり危険なことはしないようにね」

「はい」

 ネネさん達がダンジョンを出ていく。入ってくるときと同じように祠に入れば外に出れる。便利な祠だな~。

「ゴブリンはもう簡単に倒せるな」

 ラッドはその一瞬でゴブリンを倒して見せる。3レベルになったから結構強くなってるのかも。

「ゴブリン程度で自慢げは恥ずかしい」

「な!? なんだよ! じゃあどのくらいの魔物を倒せば自慢できるんだ?」

「ん~、オークかな?」

「じゃあ、やってやろうじゃねえか! 次はオークだ!」

 レイブンの煽りにラッドが簡単にのってしまう。イーターにオークを作り出してもらうと苦戦してしまう。まだオークを一人で倒すのは難しいね。
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