赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)

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第二章 フェイク

第45話 ローズの決意

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「今回も遅れてしまった。本当にジーク殿達には申し訳ない……」

 ブランド様と共にジーニアスベルに帰ってきた。 みんなが席に座ると謝ってくれる。ドワーフ達は村の外で静かにしてくれてる。

「ジーク様。今回は本当に仕方なかったのです。フェイクに口止めをされていましたし」

 トルトさんが声をあげる。二人が急いで帰った時にフェイクに捕まったみたいなんだよな。それなら仕方ないか。

「全てフェイクのせいですから頭をあげてくださいブランド様」

「ジーク殿。すまない」

 頭垂れるブランド様に手を差し出すお父さん。僕も頷いていると頭を撫でてくれた。

「それにしてもフェイクはなにがしたいんだ?」

「……経験値がどうとか言っていましたが、それだけでは説明できないことも多いですからね」

 ブランド様とお父さんが疑問を口にする。
 僕も不思議に思ってた。フェイクが魔物を育て始めたのはトゥルースっていう人を失ったからだってリュウさんの話では言っていた。だけど、今のフェイクはグリードに執着しているように見えたから。

「あのグリードという鎧? あれに養分、経験値を与えていると思うのですが?」

「そうだよね兄さん。僕もそう思うよ。ヤゾの兄貴もあれに使われる予定だったのかも」

 シャルの言葉にソルも同意して声をあげる。

「ふふふ、フェイクの話はまだいいでしょう。それよりもドワーフとオークはどうするんだい?」

 みんなが悩んでいるとリュウさんが口を開いた。フェイクの言葉が気になるけれど、奴の言葉を聞いたのは僕だけ、みんな頷いて考えだす。

「我らオーク族はぜひジーニ様の従魔となりたいと思っております」

「ああ、我は負けた。負けたものが勝ったものに従うは、我らの理」

 ブーバ君に続いてジェネラルさんが声をあげる。二人以外のオークは外で待ってもらってる。流石に村のすぐ外とはいかないけどね。結界があるから。

「じゃあ名前を決めないといけませんね」

「いつまでもジェネラルでは個性がないからな」

 シャルとソルが話すとみんな考え込む。前回のブーバ君は僕が言葉を話せなかったなんて言う理由だったけど、実は魔物側が決めることが出来たらしい。リュウさんが知っていたんだけど、面白いから黙っていたとか、いたずら好きだな。

「私はジェーと名乗ろう。よろしいかジーニ様」

「アイ!」

 ジェーと名乗るジェネラルさんに手をあげて答えると光り輝く。収まるとジェーは僕を抱き上げてくれた。

「これから一族ともどもよろしく頼む」

「アイ!」

 これで平和的にオーク達を従魔に出来た。一人一人従魔にするにはもう少し強くならないといけないけど、近い将来出来るだろう。だって、僕はまだ0歳なんだから。

『称号を得ました』

 そうこうしていると僕にだけ声が聞こえてくる。さらなる称号か、ワクワクするな~。

【0歳児でオークジェネラルを狩る】効果 体力+200 筋力+100 生命力+100

 狩ったわけじゃないけど、従魔にしても同じみたいだ。でも、そうなるとヴァンパイアの双子をした時には称号がつかなかったな。僕が痛めつけたわけじゃないから討伐数にはいらなかったのかもしれないな。

「さて、オークはこれでいいとしてっだ。問題はドワーフだよな」

 お父さんがそういって窓の外を見つめる。ドワーフ達が恨めしそうに僕らを見つめているのが見える。

「王子を失ったドワーフ達が大人しく従うか」

「ありえないね。あいつらは傲慢だ。欲しいものは石でも欲する。鍛冶が好きって言うのもあるけどね」

 シャルとソルが首を横に振って話す。それを聞いたみんなが俯いてしまう。

「戦争か……」

「ジーク殿……。心配しないでほしい。今度こそ、あなた達には迷惑をかけない」

 お父さんが呟くと申し訳なさそうにブランド様が宣言してくれた。

「その時は私も行きます」

「ローズ、いやいい。お前はジーク殿の私兵となったのだ。ここを守るのがお前の務めだ」

「しかし!」

 ブランド様にローズさんが声をあげると言い合いになってしまう。行くダメだの言い合いが何度か続くとローズさんは外へと出ていってしまった。

「バブバブ」

「そうね。あのままにはしてられないわね」

 僕が声をあげるとお母さんが僕を抱き上げて彼女を追いかける。洞窟への道の方へ走っていくローズさん。流石に早い、見えなくなっちゃう。

「ハァハァ。ローズさんは流石ね。とっても早い」

「バブバブ」

「え? 私も十分早い? ふふ、そうかもね」

 僕の秘薬を毎日摂取してるみんな。もちろん、お母さんも飲んでるからステータスがあがってるんだよね。

「ブランド様はなぜ!」

 やっとローズさんに追いつくと洞窟の入口で叫ぶ彼女が見えた。息を切らせながらお母さんと共に近づくと僕らに気づいて涙を拭った。

「お恥ずかしいところを……」

「ふふ、いいのよ」

 お母さんが恥ずかしそうにするローズさんの涙を代わりに拭ってあげる。

「ブランド様は私の叔父みたいなものなんです」

「叔父?」

「はい」

 落ち着いたローズさんは丁度いい岩に座ってお母さんに話しだす。

「剣聖ゴードが私のお父様と言う話はしましたよね。お父様が死んだ後、私は親族をたらいまわしになったのです。それでブランド様は私を保護してくれて」

「え? お母様は?」

「お母様は私を産んですぐに……」

「そ、そうなのね」

 ローズさんは俯いていく。お母さんもかける言葉を無くしてるよ。

「バブバブ!」

「あっ、ふふ。ありがとうジーニ様」

 お母さんの膝上から声をあげると気づいてくれたローズさんが力なく微笑む。つらい過去を話すのはつらいよね。

「酷い扱いをされていたのですが、そんな時にブランド様に気づいてもらえて……。私はブランド様に恩を返さなくちゃいけない。そう思っていたんです」

 それであんなに言い合いになったのか。ドワーフの騒動のときは黙っていっちゃったからそれも気にかかってるのかな?

「ブランド様もローズさんが大事なのね」

「私がですか?」

「そうよ~。だって、この町にいたらあなたは大丈夫だもの」

 お母さんが微笑んで呟く。すると驚いた顔になるローズさん。僕もそう思うな。ここにいれば安全だよ。結界もあるし、僕らもいるしね。

「大事……」

「ふふ、ブランド様だけじゃないわよ。私もローズさんが大事。家族だもの」

「エリアス様……」

 呟くローズさんを抱きしめるお母さん。ポロポロと涙を流すローズさん。僕は思わず彼女の顔に手が伸びて涙を拭った。

「ジーニ様……ありがとうございます」

「アイ!」

「ローズさん。あなたが思うとおりに動けばいいと思うわ。それがブランド様を守るために命令に背くことになってもね」

 僕にお礼を言うローズさんに力強く声を伝えるお母さん。彼女は顔を覆って笑い出す。

「ふふふ、あはは」

「どうしたのローズさん?」

「あっ。すみません思わず面白くなってしまって……。うん。決めました」

 大きな声で笑うローズさん、お母さんが心配して声をかけると両脚を叩いて立ち上がる。

「私は家族を守ります。ブランド様の命令通りに」

「いいの?」

「はい! 大事な家族を今度こそ守りたいから……」

 ローズさんの顔は晴れやかで決意めいていた。お母さんの問いにも一片の曇りもない。なぜか僕は彼女から目が離せなくなっていた。なんてカッコいいんだろう。僕は彼女のような人になりたい、なぜかそう思った。
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