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第2章 王国と魔道
第91話 ギルドマスター
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「ムラタさん! 朝ですよ~。起きてください」
「ん、ん~」
「ふふ、お寝坊さんですね。朝食も用意できてますからね」
「……クリスさん。あ、そうか。疲れたからルルさんの宿屋で一泊したんだっけ」
オルクスに帰ってきて次の日。ルルさんの宿屋、【ハヤブサ】で朝を迎えた。
焼きたてのパンの匂いを香らせるクリスさんが僕を起こしてくれる。とてもいい匂いで食欲を誘う。
「お兄ちゃんおそ~い!」
「はは、ルナちゃんは早起きだね」
「うん! 早く起きた方がみんなと長い時間一緒にいられるから幸せだもん。お兄ちゃんとも一緒にいたいから早く起きてよ~」
「善処します。ってそんなに遅くないと思うけどな~」
食堂に入ると既に朝食をとっているルナちゃんが迎えてくれる。彼女の観点はとても幸せに満ち溢れてる。彼女の関わっているだけで頬が緩むな。
「はははムラタ。今日はいつもより遅かったみたいだな」
ルーザーさんも朝食をとっている。思ったよりも遅かったみたいだ。
「そうですか?」
「ああ、変な夢でも見たか?」
「え? ……ん~。言われてみたら。でも、思い出せないな~」
ルーザーさんの問いかけに思い返す。でも、答えは返ってこなかった。夢って起きたとたんに忘れることがある。何だったかな。あまりいい夢じゃなかったよな気がする。
「忘れたか。それはいいことかもしれないな。あの戦いの後だったから俺も変な夢を見た。お前がまた死ぬ夢だった。ジャンが消えてジャネット達も消えて……、また俺は一人にされた夢」
「ルーザーさん……」
彼は俯く。夢の内容を話して落胆してしまう。それほど昨日の出来事は恐ろしいことだったってことだ。魔法のある世界は、科学の発展した世界よりも凶悪になる。僕は楽観的に考えすぎていた。
「大丈夫だよルーザーおじちゃん! お兄ちゃんは死なないよ。私が守るもん!」
「だっ!? ははは、言われちまったな。ルナには負けないぞ! 俺が二人とも守ってやる!」
「きゃはは。ダメだよ~。ルーザーおじちゃんも私が守ってあげるんだから~」
「言ったなこのやろ~」
「きゃははは。くすぐっちゃだめ~」
ルナちゃんの守る宣言にルーザーさんが彼女を抱き上げて宣言をかぶせる。負けじと彼が更に言葉をかぶせると言い合いになってくすぐりあいを始める。
僕はそんな二人の幸せそうな様子に頬が緩む。
「あ~? ムラタも守られたばっかでいいのか? この!」
「わっ!? ちょっとルーザーさん! 脇はやめてください。弱いんですから」
「ん~、そうか~、弱いのか~。それなら強くしないとな~。ルナ! お前も手伝え、ムラタを訓練してやるんだ!」
「は~い!」
ルーザーさんとルナちゃんが黒い笑みを僕に向けてくる。二人は僕の脇をくすぐってくる。死ぬほど笑わされて涙と鼻水が凄いことになってしまった。
「はいはい! 食堂はちちくりあう場所じゃないよ! 朝食を食べちゃいな!」
「「「は~い」」」
「ふふ、いいな。家族みたいで……」
くすぐられて床に転がるとルルさんが声を上げて助けてくれる。してやったりとルーザーさんとルナちゃんが笑いながら席に着く。そんな様子をクリスさんが羨ましそうに呟く。
家族っか。守られてばかりじゃだめだよな。もっともっと魔法の勉強しないと。
それと今回ダメだったこと。武器の耐久という面だ。敵が強くなるとどうしてもボロボロになっちゃう。体が強くなっても普通の武器じゃ、壊れちゃう。ジャンのダガーは壊れなかったからよかった。彼の魔法が使えるようになったから丈夫になっているような気がする。
赤い夜の報酬で手に入れた鉄の剣も同じように強くなる可能性があるんだよな。剣を使うのはジャネットとジャンだ。十中八九、ジャネットに関係してる剣だよな。
「今日はどうする? 休みにするか?」
「あ! ルーザーさん! 忘れてるんですか? 今日、冒険者ギルドが建つんですよ。冒険者ギルド復活です」
「お? おお! そうか。そういえば、立て直してたんだよな。色々あって忘れてた」
ルーザーさんに予定を聞かれるとクリスさんが教えてくれる。ルーザーさんと一緒で僕も忘れてた。そうか、今日から復活か。
「ムラタさんには素材のことなどでお世話になったので、ギルドマスターからお話があると聞いています。報酬を楽しみにしていてください」
「はは、それはありがたいです」
クリスさんは嬉しそうに報告してくれる。ギルドマスターか、偉い人なのかな?
「ギルドマスター。王都で防衛に協力していたんだったか?」
「そうです。エスメル様にも頼まれて直々に防衛の任についています」
ルーザーさんが首を傾げて聞くとクリスさんが答える。王都もまた、オルディナの被害にあってるんだよな。もしかするとオルクスよりも沢山の群れに襲われてるんじゃないだろうか。
「王都はそんなに被害がでかいのか?」
「いえ、魔物の群れはオルクスと比べるとないに等しいです。何があるかわからない。そのために配置されていたみたい。ですが、今回の冒険者ギルドが新しく建つという話を聞いて、帰ってきてくださる。ギルドマスターのジャック様は優しい方ですから」
ルーザーさんの心配にそうでもないと答えるクリスさん。ギルドマスターは【ジャック】っていうのか。クリスさんが優しいっていうならよっぽどだな。彼女もとても優しい人だから。
「ん、ん~」
「ふふ、お寝坊さんですね。朝食も用意できてますからね」
「……クリスさん。あ、そうか。疲れたからルルさんの宿屋で一泊したんだっけ」
オルクスに帰ってきて次の日。ルルさんの宿屋、【ハヤブサ】で朝を迎えた。
焼きたてのパンの匂いを香らせるクリスさんが僕を起こしてくれる。とてもいい匂いで食欲を誘う。
「お兄ちゃんおそ~い!」
「はは、ルナちゃんは早起きだね」
「うん! 早く起きた方がみんなと長い時間一緒にいられるから幸せだもん。お兄ちゃんとも一緒にいたいから早く起きてよ~」
「善処します。ってそんなに遅くないと思うけどな~」
食堂に入ると既に朝食をとっているルナちゃんが迎えてくれる。彼女の観点はとても幸せに満ち溢れてる。彼女の関わっているだけで頬が緩むな。
「はははムラタ。今日はいつもより遅かったみたいだな」
ルーザーさんも朝食をとっている。思ったよりも遅かったみたいだ。
「そうですか?」
「ああ、変な夢でも見たか?」
「え? ……ん~。言われてみたら。でも、思い出せないな~」
ルーザーさんの問いかけに思い返す。でも、答えは返ってこなかった。夢って起きたとたんに忘れることがある。何だったかな。あまりいい夢じゃなかったよな気がする。
「忘れたか。それはいいことかもしれないな。あの戦いの後だったから俺も変な夢を見た。お前がまた死ぬ夢だった。ジャンが消えてジャネット達も消えて……、また俺は一人にされた夢」
「ルーザーさん……」
彼は俯く。夢の内容を話して落胆してしまう。それほど昨日の出来事は恐ろしいことだったってことだ。魔法のある世界は、科学の発展した世界よりも凶悪になる。僕は楽観的に考えすぎていた。
「大丈夫だよルーザーおじちゃん! お兄ちゃんは死なないよ。私が守るもん!」
「だっ!? ははは、言われちまったな。ルナには負けないぞ! 俺が二人とも守ってやる!」
「きゃはは。ダメだよ~。ルーザーおじちゃんも私が守ってあげるんだから~」
「言ったなこのやろ~」
「きゃははは。くすぐっちゃだめ~」
ルナちゃんの守る宣言にルーザーさんが彼女を抱き上げて宣言をかぶせる。負けじと彼が更に言葉をかぶせると言い合いになってくすぐりあいを始める。
僕はそんな二人の幸せそうな様子に頬が緩む。
「あ~? ムラタも守られたばっかでいいのか? この!」
「わっ!? ちょっとルーザーさん! 脇はやめてください。弱いんですから」
「ん~、そうか~、弱いのか~。それなら強くしないとな~。ルナ! お前も手伝え、ムラタを訓練してやるんだ!」
「は~い!」
ルーザーさんとルナちゃんが黒い笑みを僕に向けてくる。二人は僕の脇をくすぐってくる。死ぬほど笑わされて涙と鼻水が凄いことになってしまった。
「はいはい! 食堂はちちくりあう場所じゃないよ! 朝食を食べちゃいな!」
「「「は~い」」」
「ふふ、いいな。家族みたいで……」
くすぐられて床に転がるとルルさんが声を上げて助けてくれる。してやったりとルーザーさんとルナちゃんが笑いながら席に着く。そんな様子をクリスさんが羨ましそうに呟く。
家族っか。守られてばかりじゃだめだよな。もっともっと魔法の勉強しないと。
それと今回ダメだったこと。武器の耐久という面だ。敵が強くなるとどうしてもボロボロになっちゃう。体が強くなっても普通の武器じゃ、壊れちゃう。ジャンのダガーは壊れなかったからよかった。彼の魔法が使えるようになったから丈夫になっているような気がする。
赤い夜の報酬で手に入れた鉄の剣も同じように強くなる可能性があるんだよな。剣を使うのはジャネットとジャンだ。十中八九、ジャネットに関係してる剣だよな。
「今日はどうする? 休みにするか?」
「あ! ルーザーさん! 忘れてるんですか? 今日、冒険者ギルドが建つんですよ。冒険者ギルド復活です」
「お? おお! そうか。そういえば、立て直してたんだよな。色々あって忘れてた」
ルーザーさんに予定を聞かれるとクリスさんが教えてくれる。ルーザーさんと一緒で僕も忘れてた。そうか、今日から復活か。
「ムラタさんには素材のことなどでお世話になったので、ギルドマスターからお話があると聞いています。報酬を楽しみにしていてください」
「はは、それはありがたいです」
クリスさんは嬉しそうに報告してくれる。ギルドマスターか、偉い人なのかな?
「ギルドマスター。王都で防衛に協力していたんだったか?」
「そうです。エスメル様にも頼まれて直々に防衛の任についています」
ルーザーさんが首を傾げて聞くとクリスさんが答える。王都もまた、オルディナの被害にあってるんだよな。もしかするとオルクスよりも沢山の群れに襲われてるんじゃないだろうか。
「王都はそんなに被害がでかいのか?」
「いえ、魔物の群れはオルクスと比べるとないに等しいです。何があるかわからない。そのために配置されていたみたい。ですが、今回の冒険者ギルドが新しく建つという話を聞いて、帰ってきてくださる。ギルドマスターのジャック様は優しい方ですから」
ルーザーさんの心配にそうでもないと答えるクリスさん。ギルドマスターは【ジャック】っていうのか。クリスさんが優しいっていうならよっぽどだな。彼女もとても優しい人だから。
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