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第一章 異世界旅行
第24話 蛇
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「リリスさん! 後ろ!」
「ありがとうシゲルさん!」
「シゲルおじちゃんも後ろ!」
「ありがとうございますエチルちゃん! ……」
ゴブリンの群れと衝突して完全に包囲されました。
隙をついて背後から攻撃しようとしてくる魔物達。鎧を着ているだけあってステータスの高い個体達だというの分かっていましたけど、なかなか戦いなれているゴブリン達です。
最初に戦ったゴブリンの群れのリーダーのような顔に傷ありのゴブリンばかり。歴戦の戦士といった風貌です。
完全に私がいちゃいけない戦場ですよ。
「人間ども。強いな」
包囲されて戦っているとゴブリン達が少し距離を置いてきました。
すると蛇の体のゴブリン? が出てきて舌をチロチロとさせて話しかけてくる。言葉を話す!?
「我が名は【蛇王ベノム】。ゴブリン王の父を持ち、ナーガの母を持つものだ」
「ベノム……。ナーガ?」
ベノムさんの自己紹介を聞いて首を傾げる。
魔物にも知性があるように感じていましたが、まさか話すことが出来るとは思いませんでした。
スキルの言語の習得もできませんでしたし、無理だと思っていました。話せるならば、戦闘は回避できると思うのですが。
「話せるのならよかった。私は人族の父と母を持つ人族のシゲルと申します。あなたの軍を引いていただけませんか? これ以上の殺生は」
「く……は~っはっはっはっは」
「なぜ笑うのです?」
戦いたくないと思い声をかける。ですが彼は大きな体を天へと伸ばして笑い飛ばす。
戦わないということはいいことではないというのでしょうか?
「俺達は人の悲鳴が好きなんだ。人を丸呑みした時の内臓が破裂する音が何とも言えない。くはは、お前たちはどんな声で鳴いてくれるかな~」
ベノムはそう言って私を品定めしてくる。
話してもわからない相手……、そんな人に会うのはこれで何度目でしょうか。
彼らはくしくも同じ瞳をしている。濁り切った瞳、まるで雲がかかったような瞳。いじめを好む人は本当に腹が立つ。
「懐かしい、こちらにもいるんですね。ふふ」
「あ? おかしくなっちまったか?」
両腕に矛を持つベノム。彼の瞳を見つめるとついつい日本の部長を思い出してしまいます。
『お前の失敗なのだからお前が謝るのが当たり前だろ』……部長の言葉は全て記憶してしまっている。恐怖に似た思いで。
それは『あなたのせいでしたよ』と言えればそれでおしまい。会社を辞めることになる未来が見えてしまい言えないでいました。
「もういい。美味そうなメスはもらっておいてやるよ」
「させるか!」
「だめ!」
ベノムが両手の矛を私に振り下ろそうとしてくる。
ゆっくりと振り下ろされる矛。リリスさんとエチルちゃんは迫りくるゴブリンを他所に私を庇おうとして来てくれる。
「私はもう! あなた達を肥えさせる”餌”ではない!」
私は声を荒らげて手に持つ槍をベノムに投げ入れる。首に刺さった槍を気にするベノムは矛を落とした。
ゆっくりと落ちてくる矛を拾い上げて横なぎにベノムを切り捨てる。
「な!? ゴフッ!? なんで俺の矛を持って!? レベル15の分際で……」
最初の攻撃で血がのどにあふれて血反吐を吐くベノム。
彼は完全に油断していたんですね。レベルが見える目を持っていたようです。私の武器もお手製だったから弱いと決めつけていたのでしょう。
「ギャ! ギャギャギャ!」
ベノムを仕留めると囲ってきていたゴブリン達が声を上げ始める。
私達は警戒して武器を構えますがいりませんでした。
彼らは王が倒されたことで混乱し、瓦解していきます。武器や盾を捨てて逃げていきます。それだけ混乱しているんですね。
「蛇王……。なんでそんなものが?」
リリスさんが疑問を呟く。王という名のつくものが前線に出てくる事態ですか……。あまり考えたくありませんね。
「シゲルおじちゃん凄い!」
心配しているリリスさんを他所にエチルちゃんが褒めてきて、キラキラした瞳で見つめてきます。思わず彼女の頭を撫でてしまいました。
「……とりあえず帰りましょう。皆さんも心配ですしね」
「はい「は~い」」
リリスさんの声に二人で答えて帰路に立つ。
ベノムの戦利品もしっかりともらいます。死骸もリリスさんがマジックバッグにしまってる。
『【蛇殺し】【王殺し】を習得しました』
当たり前のようにスキルを得ていく。こんなスキル簡単に得られるなんてやっぱりおかしいですよね。
「し、シゲルさん……。今夜空いていますか?」
「え? どうしたんですかリリスさん? 予定はないですが?」
「あ、あの。話したいことがあるので夜伺います」
「は、はい? ではお待ちしております?」
モジモジと話してくるリリスさんに答える。なぜか顔を赤くしています。戦闘で高揚してしまったのでしょうか?
そうじゃなかったら心配ですね。風邪とか体調を壊してしまったんじゃないでしょうか?
「大丈夫ですか? 顔が赤いですよ。熱は?」
「え!?」
思わず彼女のおでこに手を当てる。
びくっと怯える彼女の瞳を見るとうるんだ瞳が輝きます。目がかゆいんですね。すぐに目を瞑っています。
「熱はなさそうですね」
「え? あ、はい……」
なぜか残念そうにするリリスさん。熱があった方がいいんでしょうか?
まあ、なにはともあれ無事に帰ることが出来ました。ベノムを倒したのにレベルが上がらなかったのは気になりますが、まあいいでしょう。
「ありがとうシゲルさん!」
「シゲルおじちゃんも後ろ!」
「ありがとうございますエチルちゃん! ……」
ゴブリンの群れと衝突して完全に包囲されました。
隙をついて背後から攻撃しようとしてくる魔物達。鎧を着ているだけあってステータスの高い個体達だというの分かっていましたけど、なかなか戦いなれているゴブリン達です。
最初に戦ったゴブリンの群れのリーダーのような顔に傷ありのゴブリンばかり。歴戦の戦士といった風貌です。
完全に私がいちゃいけない戦場ですよ。
「人間ども。強いな」
包囲されて戦っているとゴブリン達が少し距離を置いてきました。
すると蛇の体のゴブリン? が出てきて舌をチロチロとさせて話しかけてくる。言葉を話す!?
「我が名は【蛇王ベノム】。ゴブリン王の父を持ち、ナーガの母を持つものだ」
「ベノム……。ナーガ?」
ベノムさんの自己紹介を聞いて首を傾げる。
魔物にも知性があるように感じていましたが、まさか話すことが出来るとは思いませんでした。
スキルの言語の習得もできませんでしたし、無理だと思っていました。話せるならば、戦闘は回避できると思うのですが。
「話せるのならよかった。私は人族の父と母を持つ人族のシゲルと申します。あなたの軍を引いていただけませんか? これ以上の殺生は」
「く……は~っはっはっはっは」
「なぜ笑うのです?」
戦いたくないと思い声をかける。ですが彼は大きな体を天へと伸ばして笑い飛ばす。
戦わないということはいいことではないというのでしょうか?
「俺達は人の悲鳴が好きなんだ。人を丸呑みした時の内臓が破裂する音が何とも言えない。くはは、お前たちはどんな声で鳴いてくれるかな~」
ベノムはそう言って私を品定めしてくる。
話してもわからない相手……、そんな人に会うのはこれで何度目でしょうか。
彼らはくしくも同じ瞳をしている。濁り切った瞳、まるで雲がかかったような瞳。いじめを好む人は本当に腹が立つ。
「懐かしい、こちらにもいるんですね。ふふ」
「あ? おかしくなっちまったか?」
両腕に矛を持つベノム。彼の瞳を見つめるとついつい日本の部長を思い出してしまいます。
『お前の失敗なのだからお前が謝るのが当たり前だろ』……部長の言葉は全て記憶してしまっている。恐怖に似た思いで。
それは『あなたのせいでしたよ』と言えればそれでおしまい。会社を辞めることになる未来が見えてしまい言えないでいました。
「もういい。美味そうなメスはもらっておいてやるよ」
「させるか!」
「だめ!」
ベノムが両手の矛を私に振り下ろそうとしてくる。
ゆっくりと振り下ろされる矛。リリスさんとエチルちゃんは迫りくるゴブリンを他所に私を庇おうとして来てくれる。
「私はもう! あなた達を肥えさせる”餌”ではない!」
私は声を荒らげて手に持つ槍をベノムに投げ入れる。首に刺さった槍を気にするベノムは矛を落とした。
ゆっくりと落ちてくる矛を拾い上げて横なぎにベノムを切り捨てる。
「な!? ゴフッ!? なんで俺の矛を持って!? レベル15の分際で……」
最初の攻撃で血がのどにあふれて血反吐を吐くベノム。
彼は完全に油断していたんですね。レベルが見える目を持っていたようです。私の武器もお手製だったから弱いと決めつけていたのでしょう。
「ギャ! ギャギャギャ!」
ベノムを仕留めると囲ってきていたゴブリン達が声を上げ始める。
私達は警戒して武器を構えますがいりませんでした。
彼らは王が倒されたことで混乱し、瓦解していきます。武器や盾を捨てて逃げていきます。それだけ混乱しているんですね。
「蛇王……。なんでそんなものが?」
リリスさんが疑問を呟く。王という名のつくものが前線に出てくる事態ですか……。あまり考えたくありませんね。
「シゲルおじちゃん凄い!」
心配しているリリスさんを他所にエチルちゃんが褒めてきて、キラキラした瞳で見つめてきます。思わず彼女の頭を撫でてしまいました。
「……とりあえず帰りましょう。皆さんも心配ですしね」
「はい「は~い」」
リリスさんの声に二人で答えて帰路に立つ。
ベノムの戦利品もしっかりともらいます。死骸もリリスさんがマジックバッグにしまってる。
『【蛇殺し】【王殺し】を習得しました』
当たり前のようにスキルを得ていく。こんなスキル簡単に得られるなんてやっぱりおかしいですよね。
「し、シゲルさん……。今夜空いていますか?」
「え? どうしたんですかリリスさん? 予定はないですが?」
「あ、あの。話したいことがあるので夜伺います」
「は、はい? ではお待ちしております?」
モジモジと話してくるリリスさんに答える。なぜか顔を赤くしています。戦闘で高揚してしまったのでしょうか?
そうじゃなかったら心配ですね。風邪とか体調を壊してしまったんじゃないでしょうか?
「大丈夫ですか? 顔が赤いですよ。熱は?」
「え!?」
思わず彼女のおでこに手を当てる。
びくっと怯える彼女の瞳を見るとうるんだ瞳が輝きます。目がかゆいんですね。すぐに目を瞑っています。
「熱はなさそうですね」
「え? あ、はい……」
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