【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)

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第1章

第14話 四か月

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「ちょっとそこの使用人。待ちなさい」

 大きな扉の前でサラサラで長い金髪の少女が僕らを止めた。
 思わず僕は声をあげると彼女はニヘラと一瞬頬を緩めていた。流石僕のキュートフェイス、初対面でも効果抜群。

「こちらの方々は?」

「オクライナの代表の方々です。今から王様とお話をされる予定でございます姫様」

 少女に聞かれた執事さんが姫様というと僕らは驚いて少女を見やった。
 この子がウラス国の姫様か、かわいい子だな。

「オクライナの!? お父様には私から言っておきます。こちらへ」

「え?」

「バブ?」

 お姫様はそういって僕らを玉座の間とは別の部屋に案内した。執事さんはたじたじだよ。大丈夫かな?

 戸惑ったお父さんとお母さんは仕方なくついていく。ダークは無関心。
 まあ、僕らに選択の余地はないかな。

「こちらにお座りください」

「あ、はい」

 四人掛けのソファーが二つ、一つの机に向かいあうように置いてある。
 応接室っぽい作りの部屋でお姫様に促されて僕らは座った。

「姫様! お一人で会われるのはよくありません。すぐに私を呼んでください」

「クリス。大丈夫よ。この方々はとても心の穏やかな方々ばかりなのですから」

 遅れて現れたレイピアみたいな細剣を腰に差した女性が入ってきた。
 確かに部外者と一人であったら危ないよね。自分の立場を考えれば普通はしちゃいけないことだな。
 僕らの事をどこかで聞いているみたいだから許したみたいだけど、守る身としてはやめてほしいね。

「街の方からいろいろと話は聞いております。この度は私の愚父が申し訳ありません」

「いや!? ちょ!?」

 お姫様はソファーに座る前に僕らに深くお辞儀をして謝ってきた。
 僕らの事を穏やかなって言って来た時から思っていたけど、街では僕らの事がなかなかに有名になっているようだ。ヒュドラにあって無傷な一般人だから目立っていたのは確かだけどね。

 お父さんとお母さんは驚いてたじたじ。お姫様が一般人に謝るなんて普通は考えられないな。よく見るとクリスって言われた女性はお姫様の深いお辞儀を止めようとしている。
 貴族社会ではあまり庶民に謝るのはよくないはずだからな~。守っている人も大変だ。

「お父様にはしっかりと言い聞かせておきますわ。今後はすべて私が進めますので相談も私にしてください」

「は、はあ……」

 お姫様の圧にお父さんはたじたじ。出された握手に答えようとしたらクリスさんに手を払われてしまってる。
 クリスさんの殺気のこもる視線はとっても刺激的。
 
「クリス! すみません。教育がなっていなくて……」

「姫様! 庶民に首をたれてはいけません!」

「ならばその殺気をどうにかしなさい! これはあなたが私にさせているのですよ!」

「そ……申し訳ございません。すまなかった」

「あ、いえ、私たちは別に」

 お姫様とクリスさんが言い合いになってしまうとクリスさんが折れて交互に謝った。
 お母さんが応じるとクリスさんは僕を一目見てプイッと視線を外した。可愛いからもっと見てくれてもよござんすよ。

「それで本題ですが、建物を壊しに来た兵士がいたはずですが無事でしたか? 怪我は?」

「あっ、それは大丈夫です。ワイバーンで空の旅をしてもらっただけで」

「「ワ? ワイバーン?」」

 お父さんの答えに二人は疑問が頭をよぎった。静かになる応接室だったけど、すぐにお姫様が口を開く。

「ワイバーンとは空を飛ぶ?」

「はい」

「魔物が出たのですか?」

「いえ、僕らの農場で飼っているんです」

「飼っている? 確か、農場は昨日できたんですよね?」

「はい」

 お姫様は質問してくるんだけど、そのどれもが疑問を上書きするものばかり、それでも根気よく聞いてくれたお姫様に事の詳細を話すとなんとか納得してくれた。

「な、なるほど。魔物の農場を作ったんですね。牛や豚の魔物を育てて出荷する施設ですか。実に興味深いですね。ですが危険はないのですか?」

「魔物ですからね。暴れることもあるかもしれません。ですが」

 お姫様の疑問にお父さんはダークに視線を移して見せた。
 その合図でダークが口を開く。

「私は自分の影に使役した魔物を飼っているんです。それを見張りにして魔物を従わせています」
 
 ダークは自分の影から狼の魔物の顔だけを出させて撫でる。
 お姫様もクリスさんも唖然としているね。

「凄いですね。名のある冒険者の方でしょう。召喚ではなくて影に住まわせるなんて聞いたことがありませんもの……」

「危険だ……」

 お姫様は尊敬するようにダークを見つめてる。それを他所にクリスさんはあぶら汗をかいてダークに睨みを利かせた。
 暗殺とかにもうってつけの能力だもんな。警戒してそんはない。
 
「思ったよりも凄い方々なのですね……。私はランネローゼ。これからよろしくお願いしますね」

「バブ!」

「あら? ふふ、よろしくね坊や」

 改めて手を伸ばしてきたランネローゼさんに僕が手を握ると微笑んでくれた。流石のクリスさんも子供の手はひっぱたけないでしょう。

「プニプニで気持ちいい。今何歳なの?」

「えっと四か月くらいですかね」

「え!? 四か月? ……。ふふ、本当におかしな方々ね」

 僕の手をもみもみしながらランネローゼさんは年齢を聞いてきた。とても気持ちいいのかずっと離してくれません。美人さんにもみもみされるのは癖になりそうだ。
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