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第2章 天界と魔界
第25話 禁忌
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◇
「レッグス様ですね。こちらでございます」
観光を終えて、とうとうパーティーの日になった。僕らはお城に招き入れられ執事のお爺さんに案内される。場所は玉座の間の横の部屋みたいだ。扉が開け放たれていて玉座が奥に見える。
招待客もいるのにみせちゃっていいのかな。魔法のある世界だから暗殺だってあるだろうし。
それだけ自分たちが強いと誇示したいのかもしれないな。甲冑を着た兵士を玉座の間に立たせているし。
「まあ、綺麗。あれがオーランスの王、ネタフ様ね」
部屋に通されると吹き抜けの二階へと続く階段の踊り場に大きな絵が飾られている。絵のお爺さんは王冠をかぶってる。オーランスの王、ネタフ様の絵だとエミが声をあげてる。
「あれがエレービアの兵士夫妻か」
「なかなか精幹な青年じゃないか。エレービアにはもったいない」
パーティーに参加してる貴族の人達が僕らを褒めてくれる。気持ちのいい人たちだな。オーランスに来てからいい思いしかしてないな~。
「ははは、ようこそレッグス夫妻。楽しまれてますかな?」
パーティーを楽しんでいるとグラフさんが声をかけてくる。今日はフィールちゃんはいないみたいだな。
「はい。料理がとにかく美味しくて最高です」
「皆さんも歓迎してくれて、オーランスはとてもいいところなんですね」
レッグスもエミも興奮した様子で報告する。僕も同感、こんなにいい国はそうそうないんじゃないかな。
「それはよかった。少ししたら変わったイベントを用意してる。楽しみにしておいてくれ」
グラフさんはそう言って階段を上っていく。
上を見ると王冠をかぶったお爺さんが眉間に皺を寄せて立ってるのが見える。視線の先は僕らに向けられている。ネタフ様はあまり僕らの事をよく思ってないのかもな。
「招待に応じていただきありがとうございます」
パーティーを楽しんでいるとグラフさんが声をあげる。ネタフ様もパーティーに参加したんだけど、僕らには声をかけてこなかった。
やっぱり、僕らのことを嫌っているのかも。
「今回皆様を招待したのはレッグス夫妻を紹介するためです。彼はブラックゴーレムをも屠る力を持っている豪傑。大変すばらしい才能をお持ちだ」
グラフさんはそう言って拍手をする。部屋にいるみんなが拍手でレッグスを褒める。そんな状況、レッグスは恥ずかしそうに頭を掻く。
「あ、いや、ははは。困ったな~」
「とても照れ屋な方のようだ」
照れてるレッグスにグラフさんが肩に手を回す。まるで昔からの友達みたいだ。なんだか微笑ましい。
「皆さんに彼の強さを見せてあげたいですね……。どうですかレッグスさん。この間のようにみせていただけませんか?」
グラフさんの声にレッグスは一度僕を見つめてくる。僕は別にいいかと思って頷いて見せると彼はグラフさんに頷いて答えた。
「では私の従魔を用意いたしましょう。最高の従魔【天使】を」
『天使!?』
グラフさんの自信満々の声に会場にいたみんなが声をあげる。
やっぱり召喚の技術も上なんだな。天使が作られているなら悪魔ももしかしたら。
僕が帰れるのも近いかもしれないぞ。
「中庭に移動しましょう」
グラフさんはそう言って会場を後に、ネタフ様も含めてすべての人が中庭へと移動する。
「では皆様にはじめてお目にかける私の最高傑作【天使】。ご覧あれ」
グラフさんがそう言って魔石を見せる。そして、召喚魔法をしようすると黒い空間が現れる。
そして、当たり前のように仮面をかぶる白い天使が現れた。天使も黒い空間、じゃあ天界も地獄もないのかな。
「戦え【フィエル】」
「はい……。マスター」
召喚された天使がグラフさんの声に答えてレッグスに手をかざす。僕は嫌な予感がしてエミの腕から飛び出す。
レッグスの前に飛び出てフィエルの腕を掴む。嫌な予感は当たっていた。
フィエルと言われた天使は一瞬にしてレッグスとの距離を縮めた。伸ばす手を僕が抑えなかったらどうなっていたか……。
宙で天使の腕を掴んで地面に落ちる。天使の身長は低い、どこかで見たことのある天使だけど……。
「離して……」
「バブ?」
天使が腕を掴む僕を嫌がって声をもらす。その声を僕は聞いたことがある。それにこの天使の髪や瞳、身長……もしかして。
「フィエル! 早く始末しないか!」
「な!? グラフさん何を!」
「はははは、余興はもう終わりだ。我がオーランスの最大の敵であるレッグス、お前を始末する」
さっきまでの笑顔はどこかへ行ってしまった。グラフさんはもう隠さずに本音を口にする。
「グラフ! 何もこのような場で」
「ははは、ネタフ様。そのような弱気ではいけませんよ。エレービアを我が物にするにはこのくらいの策を用いなければいけません」
「だ、だが……」
「……うるさいですね」
グラフさんとネタフが言い合いになった。グラフは王であるネタフを睨みつけてる。今にも天使をネタフにけしかけるくらいの睨みだ。
「わ、儂は王だぞ」
「はいはい」
ネタフの声にやれやれと言った様子で答えてる。完全に王を下に見てる。
あまりの態度に見ていた貴族達も唖然としてる。本来なら宮廷魔術師という立場でも罰は免れないと思うけどな。
「柔らかい……」
「バブ」
二人が言い合っている間もずっと手を離さずにいるとフィエルが呟く。その声を聞いて確信した。この子はフィールちゃんだ。
でも、彼女は魔石から出てきた、どうやって人を魔石に閉じ込めたんだ。やっぱりグラフはいろんなことを知ってる。ってそうじゃない! 親として絶対にやっちゃいけないことを奴はやった! 絶対に許せない!
「レッグス様ですね。こちらでございます」
観光を終えて、とうとうパーティーの日になった。僕らはお城に招き入れられ執事のお爺さんに案内される。場所は玉座の間の横の部屋みたいだ。扉が開け放たれていて玉座が奥に見える。
招待客もいるのにみせちゃっていいのかな。魔法のある世界だから暗殺だってあるだろうし。
それだけ自分たちが強いと誇示したいのかもしれないな。甲冑を着た兵士を玉座の間に立たせているし。
「まあ、綺麗。あれがオーランスの王、ネタフ様ね」
部屋に通されると吹き抜けの二階へと続く階段の踊り場に大きな絵が飾られている。絵のお爺さんは王冠をかぶってる。オーランスの王、ネタフ様の絵だとエミが声をあげてる。
「あれがエレービアの兵士夫妻か」
「なかなか精幹な青年じゃないか。エレービアにはもったいない」
パーティーに参加してる貴族の人達が僕らを褒めてくれる。気持ちのいい人たちだな。オーランスに来てからいい思いしかしてないな~。
「ははは、ようこそレッグス夫妻。楽しまれてますかな?」
パーティーを楽しんでいるとグラフさんが声をかけてくる。今日はフィールちゃんはいないみたいだな。
「はい。料理がとにかく美味しくて最高です」
「皆さんも歓迎してくれて、オーランスはとてもいいところなんですね」
レッグスもエミも興奮した様子で報告する。僕も同感、こんなにいい国はそうそうないんじゃないかな。
「それはよかった。少ししたら変わったイベントを用意してる。楽しみにしておいてくれ」
グラフさんはそう言って階段を上っていく。
上を見ると王冠をかぶったお爺さんが眉間に皺を寄せて立ってるのが見える。視線の先は僕らに向けられている。ネタフ様はあまり僕らの事をよく思ってないのかもな。
「招待に応じていただきありがとうございます」
パーティーを楽しんでいるとグラフさんが声をあげる。ネタフ様もパーティーに参加したんだけど、僕らには声をかけてこなかった。
やっぱり、僕らのことを嫌っているのかも。
「今回皆様を招待したのはレッグス夫妻を紹介するためです。彼はブラックゴーレムをも屠る力を持っている豪傑。大変すばらしい才能をお持ちだ」
グラフさんはそう言って拍手をする。部屋にいるみんなが拍手でレッグスを褒める。そんな状況、レッグスは恥ずかしそうに頭を掻く。
「あ、いや、ははは。困ったな~」
「とても照れ屋な方のようだ」
照れてるレッグスにグラフさんが肩に手を回す。まるで昔からの友達みたいだ。なんだか微笑ましい。
「皆さんに彼の強さを見せてあげたいですね……。どうですかレッグスさん。この間のようにみせていただけませんか?」
グラフさんの声にレッグスは一度僕を見つめてくる。僕は別にいいかと思って頷いて見せると彼はグラフさんに頷いて答えた。
「では私の従魔を用意いたしましょう。最高の従魔【天使】を」
『天使!?』
グラフさんの自信満々の声に会場にいたみんなが声をあげる。
やっぱり召喚の技術も上なんだな。天使が作られているなら悪魔ももしかしたら。
僕が帰れるのも近いかもしれないぞ。
「中庭に移動しましょう」
グラフさんはそう言って会場を後に、ネタフ様も含めてすべての人が中庭へと移動する。
「では皆様にはじめてお目にかける私の最高傑作【天使】。ご覧あれ」
グラフさんがそう言って魔石を見せる。そして、召喚魔法をしようすると黒い空間が現れる。
そして、当たり前のように仮面をかぶる白い天使が現れた。天使も黒い空間、じゃあ天界も地獄もないのかな。
「戦え【フィエル】」
「はい……。マスター」
召喚された天使がグラフさんの声に答えてレッグスに手をかざす。僕は嫌な予感がしてエミの腕から飛び出す。
レッグスの前に飛び出てフィエルの腕を掴む。嫌な予感は当たっていた。
フィエルと言われた天使は一瞬にしてレッグスとの距離を縮めた。伸ばす手を僕が抑えなかったらどうなっていたか……。
宙で天使の腕を掴んで地面に落ちる。天使の身長は低い、どこかで見たことのある天使だけど……。
「離して……」
「バブ?」
天使が腕を掴む僕を嫌がって声をもらす。その声を僕は聞いたことがある。それにこの天使の髪や瞳、身長……もしかして。
「フィエル! 早く始末しないか!」
「な!? グラフさん何を!」
「はははは、余興はもう終わりだ。我がオーランスの最大の敵であるレッグス、お前を始末する」
さっきまでの笑顔はどこかへ行ってしまった。グラフさんはもう隠さずに本音を口にする。
「グラフ! 何もこのような場で」
「ははは、ネタフ様。そのような弱気ではいけませんよ。エレービアを我が物にするにはこのくらいの策を用いなければいけません」
「だ、だが……」
「……うるさいですね」
グラフさんとネタフが言い合いになった。グラフは王であるネタフを睨みつけてる。今にも天使をネタフにけしかけるくらいの睨みだ。
「わ、儂は王だぞ」
「はいはい」
ネタフの声にやれやれと言った様子で答えてる。完全に王を下に見てる。
あまりの態度に見ていた貴族達も唖然としてる。本来なら宮廷魔術師という立場でも罰は免れないと思うけどな。
「柔らかい……」
「バブ」
二人が言い合っている間もずっと手を離さずにいるとフィエルが呟く。その声を聞いて確信した。この子はフィールちゃんだ。
でも、彼女は魔石から出てきた、どうやって人を魔石に閉じ込めたんだ。やっぱりグラフはいろんなことを知ってる。ってそうじゃない! 親として絶対にやっちゃいけないことを奴はやった! 絶対に許せない!
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