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第2章 天界と魔界
第57話 大天使
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『扉を開くことは禁忌とされている。一度だけならば許そう。次は人類の排除を意味する。禁忌を犯すな』
魔国サダラーンにやってきてサターンと共に天界への扉を開いた。フィールちゃんとプラナに握られた天使の羽根。前と同じような声が扉の隙間から聞こえてくる。まるで録音しておいた音声を流しているように思えてくる。
「禁忌なのは分かっている開けろ!」
サダラーンから一キロほど離れた荒野で扉を開いた。荒野にサターンの声が響く。彼の声が響いて少しすると扉が大きく開いていく。
『愚かな人類よ。罰を受けよ!』
「ダメ!」
扉から出て来た大きな天使。教会の使ってきたエンジェルドールとは全然違う。白い肌の巨人に羽が生えている姿。神話に出てくるような布を羽織っただけの姿で手をかざしてくる。
フィールちゃんが結界を張ってガードしてくれる。
「ん? ほ~、天使の血筋を受け継いでいるのか。しかし、魔物となってしまっているようだな。天使の血が薄くなっている」
「え!?」
エコーのかかっていた声が普通の声に戻る。天界からの影響がなくなったのかもしれないな。天使の声にフィールちゃんが首を傾げる。天使の血筋って言う事はグラフ? いや、フラムさんの事かな。ってことはエレービアの王族の血筋は天使の血筋ってことか。
「しかし残念だ。ここで命の落とすのだから」
天使はそう言ってフィールちゃんへと手を振り下ろす。奴の手は彼女の結界を何の抵抗もなく通り抜ける。僕は驚きながらも天使へ蹴りを当てる。天使は扉に打ち付けられて血を吐いた。
「私に血を吐かせるとは。人も成長しているようだな……。赤子!?」
血を手のひらで確認して驚愕する天使。僕を見つめて更に驚いてる。
「そうか、異世界転生者という事か」
『ラムゼエル。何をしているの? 早く済ませなさい』
天使が驚愕して僕へと声をあげていると扉から声が聞こえてくる。女性の声でとても優しそうな声だ。
「分かっている。お前はこちらに来るな!」
『……苦戦しているの?』
「苦戦などしていない。テセラエル、お前は来るな!」
天使は扉の声に対して声を荒らげる。テセラエルと言っている、それに気が付いたのは僕だけじゃない。みんなと顔を見合って頷く。
「テセラ!」
サターンはみんなの頷きで声を荒らげる。すると扉の中から女性の巨人が現れる。背中にはしっかりと羽が生えていて天使なのが分かる。
「テセラ……」
「サターン……」
サターンの声に天使は悲しそうな顔で見つめる。テセラさんってそんなに大きかったの?
「はは、大きくなったな」
「ふふ、あなたは小さくなっちゃった」
二人は懐かしそうに見つめ合って声を掛け合う。そんな平和な時間はすぐに終わる。
「来るなと言っただろテセラエル!」
「ぐあ!」
サターンを地面に押し付けるラムゼエル。サターンを簡単に押しつぶしていく。
「ラムゼエル。やめなさい」
「私に命令するなテセラエル!」
テセラエルの静止の声にラムゼエルが逆らう。サターンがどんどん地面に埋まっていく。それを許す四天王じゃない。グダスがラムゼエルに攻撃を加えるとメイデスさん、ゴルザ、ビーズが次々と攻撃していく。
「その赤子以外は弱いな」
グダスたちの攻撃をものともしないラムゼエル。僕はご指名通りに蹴りを当てる。やつは大きく吹き飛んで血反吐を吐く。
「恐ろしい赤子だ」
口に残った血を吐きながら僕を睨みつけてくるラムゼエル。僕はプラナとウルドに視線を向ける。二人は奴の前で仁王立ちして睨みつける。
「なんだこの者達は。天使もどきと悪魔もどきか?」
「「面白い冗談だ」」
「!?」
ラムゼエルの声にウルドとプラナが口角をあげて答える。その声と共に二人はラムゼエルの顎に拳をめり込ませる。殴られて回転するラムゼエル。地面と激突すると気を失う。プラナとウルドも天使より強いみたいだな。
「強い仲間が出来たのね。あの頃の私達とは違う……」
「ああ、味方にすると心強い」
テセラエルと親し気に話すサターン。嬉しそうにしていたテセラエルだったけど、少しすると悲しい表情になっていく。
「ごめんなさいサターン」
テセラエルは謝るとサターンを指さした。指から光が放たれてサターンの体を霧散させていく。
「あなたは死なないのは知ってる。あなたは優しいからこの人たちが死ぬところを見せたくない」
テセラエルはそう言って僕らを見据える。僕の強さを見ていてもそう言う事が言えるってことはそれなりに強いのかもな。ここからが本番だ。僕らは警戒して武器を構える。
「あなた達はなぜ天界への扉を開いたの? 警告したのに。なぜ?」
テセラエルはそう言って涙を流す。とても綺麗な涙が地面に落ちると花が咲く。荒野に次々と花が咲いていき。小さなお花畑が生まれる。
「サターンからあなた達にの話は聞きました。シュンさんと一緒です。僕も元の世界に帰りたい」
「そう……。あなたも異世界転生者なのね」
僕が理由を話すと彼女は悲しそうに僕を指さしてくる。サターンと同じように指から光を放ってくる。光の速度を躱せるわけもない。僕は額に痛みを感じた。
「凄いわね。あなたならピッタリかもしれないわ。シュンの体に」
テセラエルは痛みを感じただけの僕に驚く。そして、手を伸ばして捕まえようとしてくる。どうやら、僕の体をシュンさんの何かに使えるみたいだ。もしかして、生き返る為に転生をさせるつもりなのか? そんなことできるの?
魔国サダラーンにやってきてサターンと共に天界への扉を開いた。フィールちゃんとプラナに握られた天使の羽根。前と同じような声が扉の隙間から聞こえてくる。まるで録音しておいた音声を流しているように思えてくる。
「禁忌なのは分かっている開けろ!」
サダラーンから一キロほど離れた荒野で扉を開いた。荒野にサターンの声が響く。彼の声が響いて少しすると扉が大きく開いていく。
『愚かな人類よ。罰を受けよ!』
「ダメ!」
扉から出て来た大きな天使。教会の使ってきたエンジェルドールとは全然違う。白い肌の巨人に羽が生えている姿。神話に出てくるような布を羽織っただけの姿で手をかざしてくる。
フィールちゃんが結界を張ってガードしてくれる。
「ん? ほ~、天使の血筋を受け継いでいるのか。しかし、魔物となってしまっているようだな。天使の血が薄くなっている」
「え!?」
エコーのかかっていた声が普通の声に戻る。天界からの影響がなくなったのかもしれないな。天使の声にフィールちゃんが首を傾げる。天使の血筋って言う事はグラフ? いや、フラムさんの事かな。ってことはエレービアの王族の血筋は天使の血筋ってことか。
「しかし残念だ。ここで命の落とすのだから」
天使はそう言ってフィールちゃんへと手を振り下ろす。奴の手は彼女の結界を何の抵抗もなく通り抜ける。僕は驚きながらも天使へ蹴りを当てる。天使は扉に打ち付けられて血を吐いた。
「私に血を吐かせるとは。人も成長しているようだな……。赤子!?」
血を手のひらで確認して驚愕する天使。僕を見つめて更に驚いてる。
「そうか、異世界転生者という事か」
『ラムゼエル。何をしているの? 早く済ませなさい』
天使が驚愕して僕へと声をあげていると扉から声が聞こえてくる。女性の声でとても優しそうな声だ。
「分かっている。お前はこちらに来るな!」
『……苦戦しているの?』
「苦戦などしていない。テセラエル、お前は来るな!」
天使は扉の声に対して声を荒らげる。テセラエルと言っている、それに気が付いたのは僕だけじゃない。みんなと顔を見合って頷く。
「テセラ!」
サターンはみんなの頷きで声を荒らげる。すると扉の中から女性の巨人が現れる。背中にはしっかりと羽が生えていて天使なのが分かる。
「テセラ……」
「サターン……」
サターンの声に天使は悲しそうな顔で見つめる。テセラさんってそんなに大きかったの?
「はは、大きくなったな」
「ふふ、あなたは小さくなっちゃった」
二人は懐かしそうに見つめ合って声を掛け合う。そんな平和な時間はすぐに終わる。
「来るなと言っただろテセラエル!」
「ぐあ!」
サターンを地面に押し付けるラムゼエル。サターンを簡単に押しつぶしていく。
「ラムゼエル。やめなさい」
「私に命令するなテセラエル!」
テセラエルの静止の声にラムゼエルが逆らう。サターンがどんどん地面に埋まっていく。それを許す四天王じゃない。グダスがラムゼエルに攻撃を加えるとメイデスさん、ゴルザ、ビーズが次々と攻撃していく。
「その赤子以外は弱いな」
グダスたちの攻撃をものともしないラムゼエル。僕はご指名通りに蹴りを当てる。やつは大きく吹き飛んで血反吐を吐く。
「恐ろしい赤子だ」
口に残った血を吐きながら僕を睨みつけてくるラムゼエル。僕はプラナとウルドに視線を向ける。二人は奴の前で仁王立ちして睨みつける。
「なんだこの者達は。天使もどきと悪魔もどきか?」
「「面白い冗談だ」」
「!?」
ラムゼエルの声にウルドとプラナが口角をあげて答える。その声と共に二人はラムゼエルの顎に拳をめり込ませる。殴られて回転するラムゼエル。地面と激突すると気を失う。プラナとウルドも天使より強いみたいだな。
「強い仲間が出来たのね。あの頃の私達とは違う……」
「ああ、味方にすると心強い」
テセラエルと親し気に話すサターン。嬉しそうにしていたテセラエルだったけど、少しすると悲しい表情になっていく。
「ごめんなさいサターン」
テセラエルは謝るとサターンを指さした。指から光が放たれてサターンの体を霧散させていく。
「あなたは死なないのは知ってる。あなたは優しいからこの人たちが死ぬところを見せたくない」
テセラエルはそう言って僕らを見据える。僕の強さを見ていてもそう言う事が言えるってことはそれなりに強いのかもな。ここからが本番だ。僕らは警戒して武器を構える。
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テセラエルはそう言って涙を流す。とても綺麗な涙が地面に落ちると花が咲く。荒野に次々と花が咲いていき。小さなお花畑が生まれる。
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僕が理由を話すと彼女は悲しそうに僕を指さしてくる。サターンと同じように指から光を放ってくる。光の速度を躱せるわけもない。僕は額に痛みを感じた。
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