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第2章 天界と魔界
第58話 お父さん
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「シュンの体になるんだから死んじゃだめよ」
テセラとの闘いを展開への扉の前で繰り広げる。彼女は僕をシュンっていう人の入れ物にしようとしているんだ。
そんなことさせるわけがない。ウルドとプラナと顔を見あって攻撃を交わしながら畳みかける。
「すごい。凄いわ! シュンがその体に入ればもっとすごいことになる。彼なら女神にも勝てるようになる。そうすればみんなをたすけられる」
妄信している人のように目がうつろになるテセラ。シュンさんの強さを信じているんだろうな。
でも、僕は体を譲る気はない。
女神、神と敵対しようとしてるのか。この人にとってそれがすべてなのか。みんなを助けることがすべて。
「テセラ! それならば我らに協力しろ! 女神を一緒に」
「ふふ、そんなことなら既にやっているわ。でも、無理よ。あなた達程度じゃ女神を倒せない。ほら、今にも魔石を降らせてくる」
サターンの声に呆れながら天を見つめる。いつの間にか黒い雲が現れていて虹色に輝いてる。少し見つめていると魔石が降ってくる。
魔石はランダムに降っているわけじゃないのか。
「女神は昔から気に食わない人の元に魔石を多く降らせる。光星教会が関わっていると疑われていたのはそういうことね。光星教会があがめているのは女神なのだから」
テセラはそういって微笑む。なるほどそういうことかと、納得していると魔石が赤く輝く。話を聞いている間に魔石を傷つけて不活性化していたんだけど、数が多く手追いつかなかった。
「お、おいおいおいおい。ほとんどブラックゴーレムじゃねえか。アダマンタイトゴーレムもいやがる」
レッグスが冷や汗をかきながら声を上げる。すでにグダスが倒してくれているけど、流石の数で追いついてない。僕らの周囲に100体は生まれてる。
「ふふふ、四天王をなめないでよ! ゴルザ、ビーズ!」
「は~い「任せろ」」
メイデスの声で全身鎧のおじさんと色っぽいお姉さんがブラックゴーレムを蹴散らしていく。メイデスさんも魔法で倒してるな。
「よそ見はダメよ」
「うっ。な、なにを、したの……」
みんなの心配をしているとテセラが瞬間移動のように一瞬消えて僕の前に現れた。そして、手をかざしてきて、僕は意識を手放してしまう。
「真っ白な世界……」
嫌な記憶がよみがえる。黒い世界の前に放り込まれる前の世界だ。僕は死んでしまった?
『『アキラ!』』
「レッグス! エミ!」
二人の声がエコーのように聞こえてくる。僕は大きな声を上げる。真っ白な世界に僕の声がひびくだけ。僕はもうだめかもしれない。悲しくて涙が勝手に流れてくる。
『やあ、アキラ。会いたかったよ』
しばらく泣いていると声が聞こえてくる。目の前に黒髪の青年が立っていた。
僕はこの人を知ってる。
「アキラとフミコには苦労かけたな。レッグスも立派になって嬉しい限りだよ」
「お、お父さん?」
青年は悲しそうに声をかけてくる。前世のお母さんの名前を口にする青年を僕はお父さんだと確信した。前世で確かに見た顔にそっくりだ。
「まったく、テセラも無茶をする。人の魂を別の魂の入っている体にいれるなんて。それだけ俺が愛されているっていうことだけどな」
呆れるように首を振るシュン。
でも、おかしいよ。そうなるとレッグスが知ってる人であるはずがないんだ。レッグスは21歳って言ってた。シュンやサターンが50年前に天界の扉を開いたんだから年齢が合わない。
「まさか、レッグスが俺の息子の名前を使ってくれるなんて感動だな。そこまで慕ってくれてたなんて」
「……おかしいよ。若すぎる」
僕は警戒して離れる。この人は本当にお父さんでレッグスの慕う人なのか?
「アキラ、俺はお前が生まれてすぐにこの異世界に転移してきた。女神が天使を倒すために送ってきたんだ。元の世界に帰るには天使を倒さないといけないとか言ってな。天使と女神の戦いの場に転移させられたってわけだ」
僕が警戒していると説明してくれた。女神はそれが叶わなくて僕も転生させたのか? それなら同じ世界に転生したのはわかる気がする。
「時間転移のアイテムも渡してきた。天使に監視されているとわかった時にそれを使って未来に逃げていた時期があった。その時にレッグスにあったってわけだ。あの子の村が魔物に襲われていたのを助けて仲良くなった。その時に息子の名前を教えたってわけだ」
何の因果か。その助けた人の子供に前世の子供の魂が入った。これも女神のいたずらか。
「まあ、そういうわけで……。俺はお前をないがしろにしてまで生き返りたくない。テセラには諦めるように言ってくれ。フミコにはすまないと……」
お父さんはそう言って霧散して消えていく。僕はずっと泣いていた。考えている間も涙が川のように流れていた。ちゃんとお父さんを見て居たかったのに視界が揺れているからしっかりと見えなかった。
「お父さん!」
思わず声を上げる。だけど誰も答えてくれない。僕の声が木霊する中、少しすると意識が戻ってテセラに抱かれているのがわかった。
テセラとの闘いを展開への扉の前で繰り広げる。彼女は僕をシュンっていう人の入れ物にしようとしているんだ。
そんなことさせるわけがない。ウルドとプラナと顔を見あって攻撃を交わしながら畳みかける。
「すごい。凄いわ! シュンがその体に入ればもっとすごいことになる。彼なら女神にも勝てるようになる。そうすればみんなをたすけられる」
妄信している人のように目がうつろになるテセラ。シュンさんの強さを信じているんだろうな。
でも、僕は体を譲る気はない。
女神、神と敵対しようとしてるのか。この人にとってそれがすべてなのか。みんなを助けることがすべて。
「テセラ! それならば我らに協力しろ! 女神を一緒に」
「ふふ、そんなことなら既にやっているわ。でも、無理よ。あなた達程度じゃ女神を倒せない。ほら、今にも魔石を降らせてくる」
サターンの声に呆れながら天を見つめる。いつの間にか黒い雲が現れていて虹色に輝いてる。少し見つめていると魔石が降ってくる。
魔石はランダムに降っているわけじゃないのか。
「女神は昔から気に食わない人の元に魔石を多く降らせる。光星教会が関わっていると疑われていたのはそういうことね。光星教会があがめているのは女神なのだから」
テセラはそういって微笑む。なるほどそういうことかと、納得していると魔石が赤く輝く。話を聞いている間に魔石を傷つけて不活性化していたんだけど、数が多く手追いつかなかった。
「お、おいおいおいおい。ほとんどブラックゴーレムじゃねえか。アダマンタイトゴーレムもいやがる」
レッグスが冷や汗をかきながら声を上げる。すでにグダスが倒してくれているけど、流石の数で追いついてない。僕らの周囲に100体は生まれてる。
「ふふふ、四天王をなめないでよ! ゴルザ、ビーズ!」
「は~い「任せろ」」
メイデスの声で全身鎧のおじさんと色っぽいお姉さんがブラックゴーレムを蹴散らしていく。メイデスさんも魔法で倒してるな。
「よそ見はダメよ」
「うっ。な、なにを、したの……」
みんなの心配をしているとテセラが瞬間移動のように一瞬消えて僕の前に現れた。そして、手をかざしてきて、僕は意識を手放してしまう。
「真っ白な世界……」
嫌な記憶がよみがえる。黒い世界の前に放り込まれる前の世界だ。僕は死んでしまった?
『『アキラ!』』
「レッグス! エミ!」
二人の声がエコーのように聞こえてくる。僕は大きな声を上げる。真っ白な世界に僕の声がひびくだけ。僕はもうだめかもしれない。悲しくて涙が勝手に流れてくる。
『やあ、アキラ。会いたかったよ』
しばらく泣いていると声が聞こえてくる。目の前に黒髪の青年が立っていた。
僕はこの人を知ってる。
「アキラとフミコには苦労かけたな。レッグスも立派になって嬉しい限りだよ」
「お、お父さん?」
青年は悲しそうに声をかけてくる。前世のお母さんの名前を口にする青年を僕はお父さんだと確信した。前世で確かに見た顔にそっくりだ。
「まったく、テセラも無茶をする。人の魂を別の魂の入っている体にいれるなんて。それだけ俺が愛されているっていうことだけどな」
呆れるように首を振るシュン。
でも、おかしいよ。そうなるとレッグスが知ってる人であるはずがないんだ。レッグスは21歳って言ってた。シュンやサターンが50年前に天界の扉を開いたんだから年齢が合わない。
「まさか、レッグスが俺の息子の名前を使ってくれるなんて感動だな。そこまで慕ってくれてたなんて」
「……おかしいよ。若すぎる」
僕は警戒して離れる。この人は本当にお父さんでレッグスの慕う人なのか?
「アキラ、俺はお前が生まれてすぐにこの異世界に転移してきた。女神が天使を倒すために送ってきたんだ。元の世界に帰るには天使を倒さないといけないとか言ってな。天使と女神の戦いの場に転移させられたってわけだ」
僕が警戒していると説明してくれた。女神はそれが叶わなくて僕も転生させたのか? それなら同じ世界に転生したのはわかる気がする。
「時間転移のアイテムも渡してきた。天使に監視されているとわかった時にそれを使って未来に逃げていた時期があった。その時にレッグスにあったってわけだ。あの子の村が魔物に襲われていたのを助けて仲良くなった。その時に息子の名前を教えたってわけだ」
何の因果か。その助けた人の子供に前世の子供の魂が入った。これも女神のいたずらか。
「まあ、そういうわけで……。俺はお前をないがしろにしてまで生き返りたくない。テセラには諦めるように言ってくれ。フミコにはすまないと……」
お父さんはそう言って霧散して消えていく。僕はずっと泣いていた。考えている間も涙が川のように流れていた。ちゃんとお父さんを見て居たかったのに視界が揺れているからしっかりと見えなかった。
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