制作スキル持ちのリビングマスター ~異世界覇者への道~

カムイイムカ(神威異夢華)

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第1章 異世界

第14話 初めての領民

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「強いと思っていたんだけどね」

 盗賊を一掃して、人質を救出。うちの剣君達が強すぎるから致し方ない。
 どんなに強くても、自分の持っていた剣が勝手に動いて自分を切り付けてくるんだから勝てるわけないよな。盗賊のリーダーっぽい男はなんとか剣君を手放したけど、その瞬間、別の剣君が前後左右から突き、とどめに鉄マネキンコンビの騎士アタックで胴体が悲惨な事になっていたよ。あんなもん避けろって言う方が無理ってもんだ。

「おかあさ~ん」

「アイリ!」

 幼女が駆けていく。幼女と少年よりも薄い布を着ているがとてもじゃないが衣服とは言えないものだ。大事な所が隠れている程度、何とも童貞には困る状況だ。

「お兄ちゃんが助けてくれたんだよ」

 幼女が泣きながら俺を指さした。人質として捕まっていた人達がみんな、俺を見つめる。

「ありがとうございます」

「いえいえ」

 首を振って謙遜するが俺はよくやったと思っているよ。盗賊達に何されるかわかったもんじゃないもんな。俺も襲われたから碌でもない奴らだって言うのはわかっているしね。

「じゃあ、俺はこれで」

「えっ、お兄ちゃん行っちゃうの?」

 この場を去ろうと思ったらアイリが涙目で袖を掴んできた。

「私達はどうしたら?」

「帰る家もないのに..」

 捕まっていた人達はみんな、帰るところがないみたいだ。とにかく、話を聞いてみよう。

 盗賊達の死体は石君達にスライム井戸に運ばせて処分。スライムは自分達の死骸が好きだと思っていたが、別の魔物や人の死体も好きなようで集まってくるんだよな。おかげでスライムの核は腐るほど集まっております。スタミナポーションの核は1000を超えているよ。ヒールポーションとマナポーションはレアなのか100しかない。色違いのスライムは貴重みたいだな。
 
 皆さんを俺の拠点に案内する。流石に外で長々と話すのも悪いので家に入ってもらう予定だ。歩けない程疲れている人にはスタミナポーションを飲ませて回復してもらった。ヒールポーションは貴重なのでなるべく使いたくないがやばそうだったら使ってあげよう。罪のない人が死ぬのは、流石に許容できない。

「ヒフミ様、改めて私達を救ってくれてありがとうございます」

 新しく普通の家を建てて、中に入ってもらった。作っている時はみんな唖然と見つめていたよ。元の世界でもあんなもの見せられたら開いた口も閉じないだろうな。トンテンカンと建物が建って行くんだからな。地面から盛り上がってくるのはいつみても爽快だ。リビングが十二畳なので全員入れる。助けた人は総勢15人、多いな。
 みんな、深くお辞儀をしてきてくれるんだが、見えそうで見えないいやらしい感じになっている。服はどうにかしないといかんな。最初のアイリと一緒に来た少年のリック以外はみんな女性だ。いたたまれん。

「それでヒフミ様。私達をこの村においてくれないでしょうか」

 アイリのお母さん、マイルさんが懇願するように言ってきた。話を聞くと盗賊達は家を燃やしてこの人達を捕まえたらしい。なので集落があった所に戻ったとしても家がないわけだ。それに男はみんな殺されてしまっている。なんともやるせない。
 
 順位を上げるには領民が必要なんだよな。これは俺にとっても良い事だな。受け入れるか、資源にも余裕があるし、無限に資源を取れる仕組みも出来上がりつつあるしな。よし、受け入れよう。

「ありがとうございます」

 了承すると再度深くお辞儀をして来た。これから仲間なので、そんなに畏まらないでいいんだけどな。

「そんなに畏まらないでください」

「いえ、あなた様はこの土地の所有者様です。私達はここに住まわせてもらう、いわば領民。ヒフミ様と呼ばせてください」

 マイルさんは笑顔で両手を掴んできた。胸元が見えて、タジタジだ。

「と、とりあえず。皆さんの服を用意しましょう」
 
 20レベルになって服を作れるようになったんだよな。皮の靴とかは作れたんだけど、服はなかったからな。20レベルになっておいてよかったよ。このまま、服が作れなかったらずっと前屈みで生活する事になっていたぞ。
 この世界の人達は元の世界の基準でいうと美人っぽいからな。マイルさんなんて子供を産んだとは思えないボディーラインだ。アイリは将来有望だな。

「服を脱いでください」

「えっ……」

 素材が皮しかないのでみんなの布切れを脱いでもらおうと思って言ったんだけど、変な空気に。

「あ~、誤解させちゃいましたね。服を作ろうと思って...」

「……」

 誤解をとこうと思ったんだけど、みんな顔を見合ってしまったよ。流石に脱げって可笑しいか。

「えっと、外に出ているので玄関に山にしてくれれば...」

「はい! アイリの服~」

「おわっ」

 玄関から外に出ようと思ったらアイリが気持ちよく服を脱いで顔に被せてきた。幼女だから大丈夫だけど、もっとつつましさを持ってほしいな。だが早速、服を作成。それを見せるとみんな驚きながらも脱ぎだした。って出るまで待ってほしいんだけどな。

「アイリの服~」

 目を手で隠しながらもアイリに作った服を渡す。アイリの嬉しそうな声が聞こえてくる。何とかみんなを見ないようにするがちょこっと見えてしまう、見ないようにはしているんだけどな~……俺は紳士だからな。
 全員の服を製作するとやっと解放された。まともにみんなを見れるようになりました。よかったよかった。服のデザインはユニ何とかの服みたいな感じで作れたのでこの世界の水準からするとかなりいいものなようだ。みんな驚いている。
 女性はスカートと長袖のシャツ。リックはチノパンの違いだけだな。

「私達に仕事をください。少しでもヒフミ様に恩返しを」

 マイルさんは輝く瞳でそう言ってきた。

「村ではどんなことをしていたんですか?」

「私達は畑です。男の人達が狩りをして、それの料理もしていました。針と糸があれば縫い物も...でもそれはヒフミ様には必要ないですよね..」

 ふむふむ、畑と料理と縫い物か。精霊を針につければ自動で作ってくれそうだから確かに必要ないかもしれないけど、人は人で物を作ってくれればそれはそれでいいんだよな。そう言った道具も調達してみるか。街の方に行けばそう言ったものも集まるだろう。

 初めての領民が仲間になりました。幸先いいんじゃないかな?
 
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