制作スキル持ちのリビングマスター ~異世界覇者への道~

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
22 / 59
第2章 国

第22話 争い

しおりを挟む
『では、早速。上位の人から発表しま~す』

【一位】

 金田一 一

【二位】

 綾崎 姫子

【三位】

 金山 金治


 ホッと胸をなで下ろす。ハジメは死んでいなかった、それだけ確認できれば十分だ。どうせ、俺は最下位なのだから。
 そう思いながらも目が離せなかった。なんせ、元クラスメイトが三人死んでいると思われるからだ。あまり、コミュニケーションを取っていた訳ではないが知っている人が死んだと言われたらそれなりに寂しい気持ちになる。一体だれが死んでしまったんだ?

 最下位 海城 一二三


【終】
 
 相沢 加奈子

 臼井 元気

 鬼舞 瑠衣華


 名前を聞いても顔を思い出せない。名前から察するに女が二人に男が一人か? やはり、異世界は厳しいって事だな。俺も製作スキルの有用性に気付けなかったらスライムで死んでいただろうからな。

『三人のクラスメイトが死んでしまいました。これからも報告するので期待しろよ~。では、引き続き領民確保に勤しんでくれよな~』

 テセリウスの陽気な声を聞いて苛立たしさが込みあがる。クラスメイトが死んだのはテセリウスのせいだ。顔もおぼえていないようなクラスメイトだけど、悔しさのような怒りが込みあがる。

「現状何もできないんだけどな」

 仲間の仇を取りたくても何もできない。ハジメの無事を確認できただけでも良しとしておくかな。

「ヒフミ様。また人が訪ねてきていますけど」

「盗賊?」

「いえ、ドワーフのようです」

 ドワーフ? ドワーフの知り合いはいないんだけどな。

「あんたがあの人形のマスターか?」

 外壁の上から顔をのぞかせてドワーフを見るとドワーフが見上げてそういってきた。そういえば、木のマネキンに人里を探させた時にドワーフの集落をみつけたんだったな。

「少し相談したいことがあるんだが、話せないか?」

「困りごとか?」

「ああ、そうなんだ」

 どうやら、ドワーフは困っている様子。一応、隣人だし、ドワーフと言ったら鍛冶の達人だからな。助けておいて損はないだろう。

「じゃあ、入ってくれ」

「いいのか?」

「話は聞くよ」

 どんな内容かは分からない。相談に乗るか断るかはそのあとだ。

 城門から街に入ってもらって大きな家、俺の家に入ってもらう。リビングのソファーに座ってもらって、向かい合わせで俺も座った。

「簡単に人を中に入れるんだな」

「ああ、襲われたら返り討ちにできるからね」

 隙を見せて襲ってきたら装備している短剣達や、そのら辺に置いてある剣達が襲い掛かる。最強の護衛たちだよ。ドワーフにはまだ言わないでおこう、まだ信頼していないからな。

「俺は見ての通り、ドワーフ、名はガーツだ」

 ガーツが自己紹介をしたので、俺も自己紹介をした。ガーツはそれを聞いて、相談内容を話し始めた。

「俺の村を人間どもが襲ってきたんだ。何とか追い払ったがこちらもかなりやられた。盗賊達は去り際に「覚えてやがれ、ドワーフ共。次は根絶やしだ」って言っていきやがった」

 ドワーフ達も襲撃を受けたみたいだな。ここら辺は盗賊が多いのかもしれないな。

「それで人形のことを思い出して、助けを得られないかやってきたんだ。タダとはいわねえ。どうか、助けてくれ」

 盗賊達の言葉から察するに次があるってことだよな。それも、今度は本気で来るってことだ。ドワーフの次は俺たちの街にも来そうだし、早めに始末しておくか。

「分かった。助けるよ」

「本当か?」

「ああ、それで? ガーツ達は何を出せる?」

「俺達は鍛冶が得意だ。見たところ採掘もしているようだし、それも手伝える。あとはエルフとの懸け橋にもなれるぞ。あいつらは魔石の加工が得意だから重宝するはずだ」

 ほ~、ファンタジーの住人なだけあってエルフとも仲がいいのか。
 ん? まてよ。

「エルフに助けを求めなかったのか?」

「!? ……」

 ……なるほどなるほど。

「あいつら、俺たちを見捨てたんだ。勘違いしないでくれよ。俺たちは何もしてない。ただ、エルフ達は争いが嫌いだからな。それで手を貸してくれないんだ。争いが収まるまでは出てこないだろうしな」

「究極の平和主義者か……」

 この世界のエルフは仲間意識みたいなものはないみたいだな。隣人だからって助けませんってことだろう。自分に降りかかる火の粉すら払わずに逃げていきそうだな。

「エルフ抜きで助けるよ。そんなのとは付き合いたくないしな」

「ありがとう恩に着る」

 ドワーフと仲良くなるだけでこちらとしては万々歳だ。エルフも見てみたい気はするが、話を聞く限りではあまりいい奴らじゃないだろう。付き合う価値がないと判断する。

 すぐにでもガーツの村に向かう。盗賊の言う、次っていうのが今日かもしれないからな。

「マイル。少し出かけてくる」

「どちらに?」

「こちらのガーツさんの村だ。俺達と同じように盗賊に襲われたんだそうだ」

 マイルに出かけることを伝える。ガーツの村が襲われたことを言うと悲しそうな顔でうつむいた。

「死者は出たのですか?」

「いや、怪我人だけだ。俺たちは屈強だからな」

「そうですか! よかった」

 マイルはガーツの返答で笑顔になった。輝かんばかりの笑顔で俺も何だかうれしいな。

「ははは、ありがとう、心配してくれて。ヒフミの嫁はいい子だな~」

「痛っ。嫁?」

 ガーツが勘違いをして、背中をたたいてきた。マイルは嫁じゃないんだけどな。
 当の本人は顔を真っ赤にしている。わざわざ否定しなくてもすぐにわかることなので頬を掻いて誤魔化しておく。

「じゃあ、行ってきます」

「私も行きます」

「いやいや、アイリと離れちゃ駄目だよ」

「アイリも一緒です。魔法を覚えたのでお役に立ちます!」

 マイルが顔を近づけて言ってきた。二人は魔法を勉強していたんだったな。精霊達もいるから大丈夫だろうけど、万一っていうのがあるからな~。

「ヒフミさん、連れて行ってあげな。俺も守るしよ」

「ですが……」

「守ってもらう立場で言うのもなんだけどよ。嫁とは離れない方がいい」

 だから、嫁じゃないんだけどな。まあ、いいか……。

「分かったよ。すぐに向かうから準備をして」

「ありがとうございます! すぐに準備します!」

「いい子じゃないか」

 ガーツが肩に手を乗せて言ってきた。マイルは必死に尽くそうとしてくれる。恩なんて気にせずにアイリと暮らしてほしいもんだけどな。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

処理中です...