制作スキル持ちのリビングマスター ~異世界覇者への道~

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
42 / 59
第2章 国

第42話 帰還した

しおりを挟む
 ボスも拝めたし、一度帰還しようと思う。時間も気になるところだからな。
 ボスを倒してから現れた魔法陣ではなくて、俺達が入ってきた方の魔法陣に乗り込む。帰るにはこっちに乗ればいいんだってさ。この魔法陣は本当に便利だな~。うちの街にも欲しい。
 とか思っていると見る見る視界がダンジョンの入り口に変わっていった。

 どよっ!

 俺達が転移されるとダンジョンの入り口にいる人たちがどよめきだった。目が点になっていたり冷や汗をかいていたり多種多様だ。そりゃそうだよな。こんなにリビングアーマーを引き連れているんだからな。

「えっと~。帰還したんですけど……」

「……はっ! すいません。えっと、何階から?」

「五階です」

「えっ……、も、もう一度」

「ですから、五階です」

「五階!」

 ダンジョンに入るときに声をかけた受付の人に帰還を伝えて、何階から帰ったのかを伝えると驚いて立ち上がった。何か可笑しなことを言ってしまったか? 周りの目も凄いので落ち着いてほしいんだけどな。

「五階はボスフィールドですよね。嘘はいけませんよ。通常、五階に行くには何日も使って攻略するんですから。そんな半日で五階なんて聞いたことがありません」

 そういって首を傾げている受付。
 うむ、困った、そんな常識があったとはな~。確かにあの量の魔物と一気に戦うのは俺達くらいなものかもな。常識はずれな戦い方をしてしまった。やってしまったものはしょうがないのでサンドワームの牙と皮をバッグから取り出して見せよう。マジックバッグは小さなバッグなので牙のサイズなら怪しまれない。リビングアーマー達にもいくつか持たせているから分かる人は分かっていただろうけどな。

「た、確かにサンドワームの戦利品ですね……。じゃあ、やっぱり本当に倒してきたんですか」

「だから言ってるじゃないですか」

「……」

 まだ納得しないのかこの人は? なんだかめんどくさいな~。冒険者になるつもりはないから冒険者はこれで終わりにしようかなと思ってしまうがダンジョン楽しかったんだよな~。

「この戦利品は買い取ってもらえます?」

「あっ! すいません。大丈夫ですよ。むしろ、買い取らせてください」

 受付の人は頭を再起動させて、対応に当たってくれた。最初から人当たりのよさそうな人だったけど、更に輪をかけて優しい口調で了承してくれた。

「私はレリエラ。これからもエレベスダンジョンをよろしくお願いいたします」

「は、はあ……」

 買取が終わると深くお辞儀をして、見送ってもらってしまった。レリエラは戦利品を全部出すと驚いていたが、すぐに気を取り直して、鑑定していってくれた。この金額で分かったんだが、かなり凄いことをしてしまった。半日程度でエレベスとの最初の貿易の買い取り額を軽く超えてしまった。あれだけでもなんでも買えると思う位の金額だったのに、それを超えてしまうとはね。因みに金額は金貨百枚。鎧とかはリビングアーマーに変えてしまいたいので売らなかったので主にサンドワームの素材だ。
 一攫千金を夢見て、冒険者になってもあんなバケモノに会ったらひとたまりもないが、それだけの価値があるのかもしれないな。

「今日はどうするのお兄ちゃん?」

「そうだな~。宿屋もあるし、泊るかな」

「お泊り? やった~」

 アイリはお泊りが嬉しいようでぴょんぴょん跳ねている。リックはそんなアイリを止めようと困っている。何だか和む光景だな。リビングアーマー達は五体だけ残して街に向かわせる。その時に馬車も一緒に帰させて無事を知らせておく。あっちの様子も心配だからな。
 俺達が帰るときには本物の馬車を作って馬のマネキンも作って帰ればいいからな。改めて、便利な能力だな。

 宿屋は二階建ての結構立派な家だ。ダンジョンの為の村なだけあって、繁盛しているのが伺えるな。

「いらっしゃい!」

「お客さんは四名様かい?」

「は~い」

 宿屋に入ると夫婦が迎えてくれた。アイリが元気よく答えると二階に案内してくれる。みんなが案内される中、マイルは宿帳を書いてくれた、そういえばそんなものもあるのか。俺はまだ字が書けない、なんだから情けないな~。

「ヒフミ様、今度文字をお教えいたしますね」

「あ、ああ、お願いするよ」

「はい!」

 マイルが文字を教えてくれると言うものだから返事を返すと嬉しそうに答えてくれた。そんな満面の笑みを返されるとこっちも嬉しくなってしまう。
 なんだか、みんなを幸せにするために転移されたのかなと誤解してしまう程に嬉しくなってしまった。
 そして、そんな妄想を打ち消すかのように奴の声が聞こえてきた。

『順位報告の時間だよ~』
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

超能力があれば転生特典なしでも強キャラだった件~帰還し命を救うため、モンスターを倒しまくるぞ~

うみ
ファンタジー
生まれながらにして「転移」「念動力」「自己修復」の異能を持っていた池添は、能力を隠し平凡な人生を歩んでいた。 卒業式の帰り道で命の危機に遭遇した彼は友人を見捨てて異世界に転移してしまう。 自分だけ逃げてしまったことに後悔する池添であったが、迫るモンスターを転移、心臓の血管を断ち切る必殺の一撃で打ち払う。そこで、不思議な声が彼の頭に響く。 なんと、自分の能力で逃げ出したわけじゃなく、この声の主が自分を転移させた原因だと言うのだ。 「あの時、あの場所にいけぞえさーんを帰すことができまーす」 「……ギブアンドテイクといったな。すみよん。お前の求めるものは何だ?」 「すみよんの元まで来てくださーい。そして、破壊してください。暴走を。オネガイ……です」 そんなわけで、友人を救うチャンスを得た池添は今度こそ彼らを救うことを誓う。 そのために能力を鍛えることが必要だと痛感した池添は、能力を自重せず使い、全力全開で進むことを決めた。 異世界で出会った仲間と共にモンスター討伐に明け暮れる日々が始まる。 ※ラストまで書けておりますので完結保証です!全47話予定。

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

処理中です...