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第2章 国
第59話 覇道
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「それでなんでこんなことになったんだ? ハジメ」
家に入って向かい合わせのソファーに座ると早速疑問をぶつける。
「ヒフミ~、僕はこの世界じゃエレインなんだ。エレインって呼んで」
「えっ……、ああ」
「……」
ハジメ、エレインが顔を近づけて言ってきた。綺麗に整えられた顔で絶世の美女に近づかれたことで目を背ける事しかできなかった。
そんな俺を見てマイルが俯いてしまってるよ。代表として俺は弱いからな、色々心配なんだろう。
「そうだな~。まず、あのガチャだね。あれがすべてだったんだ」
ハジメは黒い球と一番のレアである赤い球を俺と交換したんだよな。
「あれは境遇とかスキルとかをもらいうけるための球だったでしょ。だからエレインっていう王女の境遇をそのままもらったんだけど」
「なるほどな。容姿ももらい受けたって事か……」
「そうなんだ~」
絶世の美女の容姿ももらったという事か。羨ましいとは思えないな。
「国も世界一の国で領土内の領民もすべてが僕の物だったわけ。何もしなくても守られている僕はヒフミを探しながらぐうたらしてた」
「うぉい! ぐうたらしてたのか」
「えへへ、何もしなくていいって最高だよね」
ちぃ、最強好きのぐうたらハジメが蘇ったか。こいつはいつもそうだった、最強のデータを改造してただただ楽したがるんだ。まったく……。
「この間、ダンジョンに行ってたでしょ。その報告が来てね。絶対にヒフミだと思って来たんだ。そうしたら戦争してるんだもんな~。流石と言うかなんというか~」
ダンジョンから帰ってくるときに話しかけてきた奴らはやっぱりハジメの部下だったのか。強い奴を探していると言っていたが俺を探していたって事なんだな。
「こんな短時間でよく来れたな? 道も分からなかっただろ?」
「そうだね~。馬だけだったら一か月はかかる距離かな。僕だけなら早く来れるんだ」
「……スキルか?」
「うん。僕のスキルは身体強化の強化版だからね~」
エレインはそう言って微笑んだ。人懐っこい笑いはハジメのそれでなんとも懐かしい。
身体強化の強化版ってどんなもんなんだろうか?
「差し支えなかったら見せてくれ」
「うん。ヒフミなら大丈夫かな……」
「ん!? 消えた!?」
「凄いでしょ~」
エレインが立ち上がって目を瞑ると一瞬で目の前から消えた。俺達が驚いていると家の入り口で笑顔を見せる彼女が立っていた。かなりのチートだな。
「身体と装備の強化。馬も装備として加算されるからかなり強くなるよ。ヒフミのリビングアーマーとかを装備すればさらに強くなるかもね」
「確かにな」
「僕とヒフミが組めば一位は維持できるよ。良かったねヒフミ」
「ん? あ~そうか。別に敵対しなくていいのか」
「え~、敵対するつもりだったの?」
「それもふまえて見せてもらったんだろ」
「何だ~、ヒフミは変わらないな~。勝つことばっか考えている所とか」
俺はどこにいても俺だからな。
「お姉さんもそんなに身構えないでよ~。僕はヒフミの女じゃないからね」
「わたしは……ヒフミ様をお慕いしています」
「え?」
「ヒフミを好きな人がいっぱいだね。よかったよかった。一人で寂しくしているんだと思ってたから心配だったんだよ」
「お前、ぐうたらしているって言ってたじゃねえか」
「ははは~」
マイルに言葉をかけるエレインは誤魔化す様に笑った。まったく、こいつは変わらないな。
マイルは警戒した顔でエレインを見ているよ。仲良くしてほしいんだけどな。
「それで? この後どうするんだ?」
「う~ん、あの王様っていう人を説得して覇道を進む。もちろん、ヒフミと一緒にね」
「一位になってテセリウスに一矢報いる」
「うん! そういうこと!」
俺達は手を組んでこの世界を制覇することにする。クラスメイトと出会ったら出来るだけ仲良くしたいと思う。みんな被害者だから、できるだけ守ってやりたい。攻撃されたら仕返すけど。
こうして俺はエレインこと、ハジメと手を組んで一位を維持することとなった。なんと結婚すると俺が王になって一位が俺になったんだ。下剋上をなした俺はテセリウスに一矢報いるのだった。
◇
最後までお読みくださいましてありがとうございます
今作はここで終わりとなります
自分が面白いと思った作品を書いてみたのですがあまり伸びなかったですね。残念です
ではまた次の作品で
家に入って向かい合わせのソファーに座ると早速疑問をぶつける。
「ヒフミ~、僕はこの世界じゃエレインなんだ。エレインって呼んで」
「えっ……、ああ」
「……」
ハジメ、エレインが顔を近づけて言ってきた。綺麗に整えられた顔で絶世の美女に近づかれたことで目を背ける事しかできなかった。
そんな俺を見てマイルが俯いてしまってるよ。代表として俺は弱いからな、色々心配なんだろう。
「そうだな~。まず、あのガチャだね。あれがすべてだったんだ」
ハジメは黒い球と一番のレアである赤い球を俺と交換したんだよな。
「あれは境遇とかスキルとかをもらいうけるための球だったでしょ。だからエレインっていう王女の境遇をそのままもらったんだけど」
「なるほどな。容姿ももらい受けたって事か……」
「そうなんだ~」
絶世の美女の容姿ももらったという事か。羨ましいとは思えないな。
「国も世界一の国で領土内の領民もすべてが僕の物だったわけ。何もしなくても守られている僕はヒフミを探しながらぐうたらしてた」
「うぉい! ぐうたらしてたのか」
「えへへ、何もしなくていいって最高だよね」
ちぃ、最強好きのぐうたらハジメが蘇ったか。こいつはいつもそうだった、最強のデータを改造してただただ楽したがるんだ。まったく……。
「この間、ダンジョンに行ってたでしょ。その報告が来てね。絶対にヒフミだと思って来たんだ。そうしたら戦争してるんだもんな~。流石と言うかなんというか~」
ダンジョンから帰ってくるときに話しかけてきた奴らはやっぱりハジメの部下だったのか。強い奴を探していると言っていたが俺を探していたって事なんだな。
「こんな短時間でよく来れたな? 道も分からなかっただろ?」
「そうだね~。馬だけだったら一か月はかかる距離かな。僕だけなら早く来れるんだ」
「……スキルか?」
「うん。僕のスキルは身体強化の強化版だからね~」
エレインはそう言って微笑んだ。人懐っこい笑いはハジメのそれでなんとも懐かしい。
身体強化の強化版ってどんなもんなんだろうか?
「差し支えなかったら見せてくれ」
「うん。ヒフミなら大丈夫かな……」
「ん!? 消えた!?」
「凄いでしょ~」
エレインが立ち上がって目を瞑ると一瞬で目の前から消えた。俺達が驚いていると家の入り口で笑顔を見せる彼女が立っていた。かなりのチートだな。
「身体と装備の強化。馬も装備として加算されるからかなり強くなるよ。ヒフミのリビングアーマーとかを装備すればさらに強くなるかもね」
「確かにな」
「僕とヒフミが組めば一位は維持できるよ。良かったねヒフミ」
「ん? あ~そうか。別に敵対しなくていいのか」
「え~、敵対するつもりだったの?」
「それもふまえて見せてもらったんだろ」
「何だ~、ヒフミは変わらないな~。勝つことばっか考えている所とか」
俺はどこにいても俺だからな。
「お姉さんもそんなに身構えないでよ~。僕はヒフミの女じゃないからね」
「わたしは……ヒフミ様をお慕いしています」
「え?」
「ヒフミを好きな人がいっぱいだね。よかったよかった。一人で寂しくしているんだと思ってたから心配だったんだよ」
「お前、ぐうたらしているって言ってたじゃねえか」
「ははは~」
マイルに言葉をかけるエレインは誤魔化す様に笑った。まったく、こいつは変わらないな。
マイルは警戒した顔でエレインを見ているよ。仲良くしてほしいんだけどな。
「それで? この後どうするんだ?」
「う~ん、あの王様っていう人を説得して覇道を進む。もちろん、ヒフミと一緒にね」
「一位になってテセリウスに一矢報いる」
「うん! そういうこと!」
俺達は手を組んでこの世界を制覇することにする。クラスメイトと出会ったら出来るだけ仲良くしたいと思う。みんな被害者だから、できるだけ守ってやりたい。攻撃されたら仕返すけど。
こうして俺はエレインこと、ハジメと手を組んで一位を維持することとなった。なんと結婚すると俺が王になって一位が俺になったんだ。下剋上をなした俺はテセリウスに一矢報いるのだった。
◇
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