孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
27 / 55
第一章 

第27話 完勝

しおりを挟む
「そ、空?」

「フィル? 私達洞窟にいたんだよね?」

 みんな天を見上げて呟く。ルリの言葉に頷くことしかできない。流石にこんなことになるとは思わなかった。

「じゃあもう大丈夫だよね。僕は帰るよマスター」

「あ、うん。ありがとうシルフ」

 シルフが僕らに手を振って別れを告げる。空に飛んでいくとすぐに消えていった。流石は風の精霊だな。こんな威力の爆発を逸らしちゃうんだからね。

「!? イレレイは! イレレイは無事なのか?」

 ジムさんが血相を変えて叫ぶ。
 奥深くまで潜っていた僕らの上にはイレレイさんがいたはず。僕らの居た位置から上の大地がなくなったってことはもしかしたら……。

「ああ~! 無事だった~。良かったよ~。急に洞窟から炎の光が空まで伸びたから心配したよ~」

「イレレイ!」

 壁の上からイレレイさんが僕らに声をかけてくる。ジムさんは目に涙を浮かべて叫んでる。
 みんな無事でよかった。

「ありがとうございました!」

 ホッと胸を撫でおろしてるとウサギ耳の少女がお礼を言って来た。彼女の後ろには子供が10人以上いる。僕らよりも小さな子供ばかりだ。

「無事でよかったよ」

「はい……ですが……。この後私達はどうなるんでしょうか」

 ジムさんが優しく話しかけるとウサギ耳の少女は俯いて呟いた。奴隷として売られた彼女達は主人がいなくなった。
 この場合、決まりがある。

「ん、フィルのものになるかな……」

「ええ!? なんで?」

 ベルルさんが僕を見つめて話す。
 この世界の奴隷はものとして見られる。物の持ち主がいなくなったらそれを拾った人が次の持ち主になる……前世の記憶がある僕としては拾った人のものになるって言うところに違和感が凄いんだけど、そうなるみたい。
 でも、なんで僕になるの? ジムさんとかベルルさんじゃ?

「フィル。今回は完全に君のおかげだよ」

「ああ、あの状況じゃ死んでたからな。俺も賛成だ」

「おいらも文句はないよ。あ~早く帰ってお腹いっぱい食べ物が食べたいんだな~」

 ジムさん達もベルルさんと同じ意見みたいだ。ワッタさんなんか当たり前かのように帰った後のことを話してるよ。

「で、でも……」

「フィル。いいんじゃないかな?」

「ルリ?」

「だって、孤児院を作るんでしょ?」

 孤児院を作るんだから彼女達を手に入れてもいいってこと? なんだか卵が先か鶏が先か的な話になってきたな。

「僕らもルリに賛成かな」

「うん。とにかく孤児院を手に入れないといけないわけだもんね。働ける人が増えればもっと早く手に入れられるはずだもんね」

 ルファーとリファも賛成みたい。ん~、そうなんだけど……。

「なるほどな。よし分かったフィル! 帰ったら俺達に奢れ」

「ふぁ、ファバルさん?」

「ようはこうだろ? 僕らだけ儲かって俺達が損してるって言いたいんだろ」

 悩んでいるとファバルさんがポンと手を叩いて話しだす。
 そうなんだよね。苦労したのはジムさん達の方だった。それなのに爆発から助けたシルフのマスターって言うだけで得をするのはおかしいと思ったんだ。ファバルさんはそんな僕の考えを読んでくれたみたい。
 
「ありがとうございますファバルさん」

「おいおい。俺は何も」

「ファバルは優しいんだな」

「ワッタ! おちょくってるのか」

「おちょくってないよファバル」

「ふ、ふん」

 お礼を言うと顔を赤くするファバルさん。ワッタさんが褒めると照れ隠しに手を振り上げてる。それでも手をあげないのはファバルさんらしい。

「えっと」

「レイチェルです」

 ウサギ耳の少女に近づいて口ごもると名乗ってくれた。

「僕が君たちの主人になることになったけど大丈夫かな?」

「はい! あなたは私達の命の恩人です。あなたがいなかったらみんな死んでいました」

 レイチェルはそういって僕の手を握る。レイチェルは僕と同い年くらいかな? 

「レイチェルお姉ちゃんお腹空いた」

「ああ、そうだったね。すぐにゲルグガルドに帰ろう」

 レイチェルと話してると彼女に後ろにいた子が声をあげる。三歳くらいの子供もいて、本当に助けられてよかったよ。

「みんな~。ゲルグガルドの方から人が来てるよ~」

「え?」

 イレレイさんが声をあげた。街の方から誰か来てるみたいだ。もしかして敵かな?

「何じゃこれは!」

 首を傾げて考えていると声が聞こえてきた。
 この声は聞いたことがあるような?

「ギルベンさん!」

 ギルベンさんも情報を僕らから聞いていたから来ていたみたい。彼の後ろには多くの兵士達が並んでる。
 
「何があったんじゃおぬしら!」

 血相を変えて聞いてくるギルベンさん。

「ん、ギルベンさん。すみません。とりあえず、私達を出してもらっていいですか?」

「お、そうじゃな」

 ベルルさんが質問を遮って話す。ギルベンさんと兵士達が僕らを引き上げてくれる。
 簡易でテントを作ってくれるギルベンさん。テントが出来上がると僕らは集められてギルベンさんと話すことになった。
しおりを挟む
感想 70

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
 病弱な僕は病院で息を引き取った  お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった  そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した  魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る

異世界でのんびり暮らしたいけど、なかなか難しいです。

kakuyuki
ファンタジー
交通事故で死んでしまった、三日月 桜(みかづき さくら)は、何故か異世界に行くことになる。 桜は、目立たず生きることを決意したが・・・ 初めての投稿なのでよろしくお願いします。

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。 先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。 龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。 魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。 バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

処理中です...