レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)

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第一章 

第7話 いつもの風景

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 グレンさんと別れてギルドを後にする。
 報酬は二人で分けて銀貨20枚。
 これは僕の解体業の半年分くらいに当たる。
 宿屋は一日大銅貨一枚で泊まれるから軽く2000日泊まれる。
 通貨は日本と違ってコインが使われてる。
 銅貨から始まって大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨と上がる。100枚で次のコインに変えてもらえる。
 通貨の両替とかは商人ギルドで出来るらしい。今まではお世話にならなかったけど、これからは行くことになるかもね。

「あ~ティルお兄ちゃんだ~」

「ん?」

 宿屋に向かっていると女の子が声をかけてきた。
 この子は僕を育ててくれた孤児院の女の子。シスターと一緒に買い物をしてたみたい、シスターが笑顔で手を振ってる。

「シスター。お買い物ですか?」

「ん、みんなでお買い物。ティルは?」

「僕はギルドに報告した帰りです」

「報告?」

 シスターは首を傾げてる。みんなで買い物していたみたいで子供達も一緒に首を傾げてるな。
 
「仕事は解体だよね。報告はいらないんじゃ?」

 あ~そういえば、今日から冒険者としてデビューしたからシスターは知らないんだった。それで不思議そうに聞いてたのか。

「実はギルドの手違いで死んでない魔物が解体室にきまして」

 話ながら広場のベンチに座る。子供達は広場で遊びだした。
 シスターに今日の事を告げると顔がどんどん怖くなっていった。

「ティル。そんな危険な仕事やめなさい」

「ちょ、ちょっとシスター」 

「やめて、お願い」

 シスターに抱きしめられて耳元で囁かれる。
 彼女は転生した僕が初めて恋した存在、エルフで緑色の髪が腰まで伸びていてすっごい美人なんだよな~。
 そんな人に耳元で囁かれたら聞かざる負えない状況なんだけど、ここは僕も男だ。グレンさんも裏切れないしね。

「シスター。僕ももう大人なんですよ。それにほら、お金が必要でしょ」

「それはそうだけど、そんな危険な仕事をしなくても解体業をしていればいいじゃない」

「僕も最初はそう思ったんだ。だけど、それじゃお金を稼いでシスターに楽させてあげられないんだ」

「ティル……そんなことを思っていてくれたの」
 
 育ての親であり、初恋の相手でもあるシスター、エレステナさん。僕はこの人のために強くなる。強くなれるってわかったらそんな決意が芽生えた。手始めに銀貨を、

「やっと寄付ができます。シスター受け取ってください」

「ぎ、銀貨!? でもこれは初めての討伐報酬でしょ?」

「シスターのために、じゃなかった。孤児院の為に頑張りたいんです。なんて言っても僕の育った孤児院ですから」

「ティル……大きくなったわね」

 シスターは顔を赤く染めて僕を抱きしめてくれた。男としてではなくてまだまだ息子って感じだけど、いつしか男として見てほしいな。
 エルフの彼女にとって、僕はまだまだ子供なんだろうな。

「ティルの初めての討伐報酬。大事に飾っておくわね」

「シスター! 使ってくださいよ」

「ふふ、冗談よ。みんなに美味しいものでも買ってあげるわ。毎日パンとシチューじゃ味気ないものね」

 シスターは遊んでいる子供達を見て微笑む。
 孤児の子供達は毎日食べられているけど、同じものを食べることが多い。
 僕がいたころは毎日芋だったな~。前世の記憶があった僕は率先して畑仕事をして、物々交換なんかを近所の人としてたっけ。近所の人との交流を得て、今の食生活になっていったらしい。
 結構、孤児院の役に立ててたみたい、なんだか嬉しい。
 
「シスター。お腹空いた~」

「あら、もうこんな時間」

 お腹を摩りながら男の子がシスターに声をかける。幸せな時間はすぐに過ぎちゃうんだよな。

「ほんとだ。じゃあ、僕も帰りますね」

「ん。おやすみなさいティル」

「おやすみなさいシスター」

 シスターと子供達に手を振って別れる。みんな元気よく振っていて可愛らしい。僕の可愛い兄弟達だな。

 泊めてもらっている宿屋について中に入る。宿屋はこの街でも一番安い宿屋。
 宿屋の女将さんと娘さんには良くしてもらってる。

「おや、お帰りティル」

「お帰りなさいティル」

 女将さんのルラさんと娘さんのフラさん。二人とも赤毛のショートカットで素朴な感じ。二人とも胸が大きい、フラさんはよく抱き着いてくるので色々と困ってたりする。

「今日は遅かったね。どうしたの?」

「実は初めて討伐に参加して」

「へ~、凄いじゃないか。じゃあ、豪勢に祝わないとね」

 フラさんの疑問に答えるとルラさんがフライパンを叩いて喜んでくれた。
 ルラさんは豪快に肉を炒め始めた。銀貨をフラさんに手渡そうと思ったら断られちゃった。
 
「家族みたいなものだからいいよ。今日は私達のおごり」

「いいんですか?」

「いいよティル。出世した子を祝いたいだけだからね」

 フラさんとルラさんは本当に良くしてくれる。

「みんな! ティルが出世したよ。今日は奢ってやるから盛大に祝っておくれよ」

「お~。ルラさん! 太っ腹だね」

「胸だけだと思ってたが腹も膨れたのか~」

「おっと、そこの二人は奢れないね~」

「わ~ごめんって~」

 宿の別のお客さんに茶化されて女将さんが包丁をかざした。
 この後宿のお客さんも含めたみんなで僕を祝ってくれた。美味しいごはんと温かい人たちに囲まれて幸せだ。
 
 自室に戻って眠りにつく。ベッドに横になるとすぐに意識を手放す。死が間近に迫った状況を逃れたことで疲れがたまったのかもしれない。
 は~生きてるって素晴らしい。
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