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第一章
第26話 吸血鬼2
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大きな猿の魔物と対峙して、戦闘を優位に進める。
最初はこちらを舐めてきた猿たちだったけど、すぐに後悔することとなった。
「仲間が簡単にやられて焦ってやがる」
「うん。僕らに喧嘩を売ったのが悪いね」
跳躍して近づいてくる猿達。着地と同時に僕らは近づいて切りつける。相当油断しているみたいだ。そうじゃなきゃこんなジャンプして近づかないはず。まあ、僕らの切り込みが早すぎるんだけどね。
「あとはあの一番でかいのだけだねお兄ちゃん」
「そうだね」
木の上で大きい猿の魔物がこっちを見据えてくる。リルムちゃんが指さして確認してる。
仲間だけで攻撃させてきたリーダーっぽい猿。自分は戦うきはないみたいだな。
「逃げる気か?」
「【アクティブモンキー】は人を特に襲う魔物だ。逃がすわけには行かない」
僕らに背を向けてきたアクティブモンキー。その様子を見てグレンさんとクランロード様が追跡する。
僕とリルムちゃんも追いかける。
流石は猿の魔物、速度だけはなかなかのものだ。
「ん、動きが止まった?」
森を抜けて草原にたどり着くと猿の魔物が僕らに背を向けたまま動きを止めた。
「ん? 人間か……」
猿の魔物に隠れて、真っ白な肌の人が顔を覗かせた。真っ赤な目でまるで吸血鬼のような風貌……。
「!? みんな離れて」
猿の魔物が力なく崩れるとクランロード様が声をあげる。声と一緒に剣を抜くと切っ先を真っ白な肌の女性に向けた。
「あらあら、初対面の女性にそんな物騒なものを向けるものじゃないわ」
「お前か、巷で噂の吸血鬼って言うのは?」
「あら? 噂になっているの?」
女性はそういって僕らの顔を順番に見てくる。僕と目を合わせるとウインクしてきた。思わず目をそらせちゃったよ。
「おっしゃる通り私は吸血鬼のビシャスよ。でも、誤解しないでね。普通に冒険者をやってるの。無差別に人を襲ってるわけじゃないわ」
ビシャスは名を名乗って弁解する。
「無差別じゃない? 襲っているのは弁解しないのか?」
「ん~、私達吸血鬼はたまに発作のようなものが起こるのよ。たまらなく血を求めてしまうの。いやになるわほんと」
クランロード様の疑問にビシャスは俯いて答える。
「それは言い訳にしかならないぞ。襲っているのは本当なんだろ?」
「ちょっと~、その被害者っていうのはこの猿と同じよ。先に襲って来たのはこいつらなんだから。ほんと嫌になっちゃう」
グレンさんの追及にビシャスは大きくため息をついてこたえる。猿の死骸を見ると大きくお腹がえぐれてる。ビシャスの手が真っ赤に染まっているのが見えるのを鑑みると素手であのお腹をえぐったのが分かる。
正当防衛って言いたいのかな? 確かに妖艶な彼女は見目麗しいと言えるかもしれないな。
「なるほど、確かに被害者の目撃者はならず者と評判の者たちだな」
「でしょ~。私だってあんなブ男よりもそこの美少年みたいな子の血の方がいいわよ~」
クランロードが納得して頷くとビシャスが僕を見て舌なめずりをした。
僕はそんなに美少年って程でもないけどな。でも、言ってることはかなり危ないのでは?
「じゃあ、私はいかせてもらうわよ~」
ビシャスがそのまま踵を返して帰ろうと街とは反対の方向へと歩き出す。
僕らも背を向けようとした瞬間、寒気がして大きく跳躍した。
空からみんなを見下ろすと跪くように地面に押し付けられてるのが見えた。
「あら? 凄いわね」
「ふふ、ほんと。あなたが気に入るわけだわ」
「てめぇ。騙したな」
ビシャスと同じ風貌の女性が二人現れて微笑んで声をもらす。グレンさんはビシャスを睨みつける。
「あら~人聞きが悪いわね~。さっき言ったでしょ、発作が起こるって。今がその時なのよ」
「安心して、ちょっと気持ちよくなるだけよ」
ビシャスと別の二人がグレンさんとクランロード様に近づく。
「【ライトニング】!」
「きゃ!」
「ま、魔法!?」
空からすかさず魔法を放つ。ビシャスとは別の女性に当てるとビシャス達が驚きの表情を浮かべる。
僕はその間に着地して小太刀と太刀を構えた。
「あなた、剣士じゃないの?」
「可愛いだけじゃないのね……」
魔法を食らった女性は倒れてしびれてる。二人はその様子を見て距離を開けていく。
ステータスがかなり上がってるから魔法も相当な威力になってる。魔法は手加減が難しいからな~、大丈夫かな?
「!? 動ける」
「てめえら、わかってるだろうな?」
グレンさん達が動けるようになったみたい。三人とも構えてビシャス達へと迫っていく。
「ちょ、ちょっと待って。本当に発作でほしくなっちゃっただけなのよ」
「だからと言ってこんなことをしていいわけがないだろ」
「そうだよ! ちゃんといいですか? って聞かないとダメだよ!」
焦るビシャスにクランロード様が怒るとリルムちゃんが声をあげた。うん、確かに了承は必要だけど、そういう問題でもないんだよリルムちゃん。
「は~……とにかくだ。血だってただじゃねえだろ? 店で売ってるものもあるって聞いたぞ」
「あれは美味しくないのよ。貧しい人がお金に困って売るものだからね」
「そ、そうそう! 本当にまずいんだから! まるで錆びた鉄をしゃぶるみたいにね」
グレンさんの言葉に苦虫をかみ潰したように答えるビシャス達。それでも人を襲ったら犯罪だからな~。
「話は分かりました。とにかく、こっちの人を回復させますね。【ヒール】」
「!?」
しびれてた女性に回復魔法をかける。女性は自分の体の治りを感じて目をパチパチとさせる。かなり驚いてるみたいだけど、回復魔法は初めてかな?
「ほ、発作が治まってる……」
「「え!?」」
回復した女性が声をあげるとビシャス達が驚いて僕を見つめた。潤んだ瞳で見つめてくる二人……どういうこと?
最初はこちらを舐めてきた猿たちだったけど、すぐに後悔することとなった。
「仲間が簡単にやられて焦ってやがる」
「うん。僕らに喧嘩を売ったのが悪いね」
跳躍して近づいてくる猿達。着地と同時に僕らは近づいて切りつける。相当油断しているみたいだ。そうじゃなきゃこんなジャンプして近づかないはず。まあ、僕らの切り込みが早すぎるんだけどね。
「あとはあの一番でかいのだけだねお兄ちゃん」
「そうだね」
木の上で大きい猿の魔物がこっちを見据えてくる。リルムちゃんが指さして確認してる。
仲間だけで攻撃させてきたリーダーっぽい猿。自分は戦うきはないみたいだな。
「逃げる気か?」
「【アクティブモンキー】は人を特に襲う魔物だ。逃がすわけには行かない」
僕らに背を向けてきたアクティブモンキー。その様子を見てグレンさんとクランロード様が追跡する。
僕とリルムちゃんも追いかける。
流石は猿の魔物、速度だけはなかなかのものだ。
「ん、動きが止まった?」
森を抜けて草原にたどり着くと猿の魔物が僕らに背を向けたまま動きを止めた。
「ん? 人間か……」
猿の魔物に隠れて、真っ白な肌の人が顔を覗かせた。真っ赤な目でまるで吸血鬼のような風貌……。
「!? みんな離れて」
猿の魔物が力なく崩れるとクランロード様が声をあげる。声と一緒に剣を抜くと切っ先を真っ白な肌の女性に向けた。
「あらあら、初対面の女性にそんな物騒なものを向けるものじゃないわ」
「お前か、巷で噂の吸血鬼って言うのは?」
「あら? 噂になっているの?」
女性はそういって僕らの顔を順番に見てくる。僕と目を合わせるとウインクしてきた。思わず目をそらせちゃったよ。
「おっしゃる通り私は吸血鬼のビシャスよ。でも、誤解しないでね。普通に冒険者をやってるの。無差別に人を襲ってるわけじゃないわ」
ビシャスは名を名乗って弁解する。
「無差別じゃない? 襲っているのは弁解しないのか?」
「ん~、私達吸血鬼はたまに発作のようなものが起こるのよ。たまらなく血を求めてしまうの。いやになるわほんと」
クランロード様の疑問にビシャスは俯いて答える。
「それは言い訳にしかならないぞ。襲っているのは本当なんだろ?」
「ちょっと~、その被害者っていうのはこの猿と同じよ。先に襲って来たのはこいつらなんだから。ほんと嫌になっちゃう」
グレンさんの追及にビシャスは大きくため息をついてこたえる。猿の死骸を見ると大きくお腹がえぐれてる。ビシャスの手が真っ赤に染まっているのが見えるのを鑑みると素手であのお腹をえぐったのが分かる。
正当防衛って言いたいのかな? 確かに妖艶な彼女は見目麗しいと言えるかもしれないな。
「なるほど、確かに被害者の目撃者はならず者と評判の者たちだな」
「でしょ~。私だってあんなブ男よりもそこの美少年みたいな子の血の方がいいわよ~」
クランロードが納得して頷くとビシャスが僕を見て舌なめずりをした。
僕はそんなに美少年って程でもないけどな。でも、言ってることはかなり危ないのでは?
「じゃあ、私はいかせてもらうわよ~」
ビシャスがそのまま踵を返して帰ろうと街とは反対の方向へと歩き出す。
僕らも背を向けようとした瞬間、寒気がして大きく跳躍した。
空からみんなを見下ろすと跪くように地面に押し付けられてるのが見えた。
「あら? 凄いわね」
「ふふ、ほんと。あなたが気に入るわけだわ」
「てめぇ。騙したな」
ビシャスと同じ風貌の女性が二人現れて微笑んで声をもらす。グレンさんはビシャスを睨みつける。
「あら~人聞きが悪いわね~。さっき言ったでしょ、発作が起こるって。今がその時なのよ」
「安心して、ちょっと気持ちよくなるだけよ」
ビシャスと別の二人がグレンさんとクランロード様に近づく。
「【ライトニング】!」
「きゃ!」
「ま、魔法!?」
空からすかさず魔法を放つ。ビシャスとは別の女性に当てるとビシャス達が驚きの表情を浮かべる。
僕はその間に着地して小太刀と太刀を構えた。
「あなた、剣士じゃないの?」
「可愛いだけじゃないのね……」
魔法を食らった女性は倒れてしびれてる。二人はその様子を見て距離を開けていく。
ステータスがかなり上がってるから魔法も相当な威力になってる。魔法は手加減が難しいからな~、大丈夫かな?
「!? 動ける」
「てめえら、わかってるだろうな?」
グレンさん達が動けるようになったみたい。三人とも構えてビシャス達へと迫っていく。
「ちょ、ちょっと待って。本当に発作でほしくなっちゃっただけなのよ」
「だからと言ってこんなことをしていいわけがないだろ」
「そうだよ! ちゃんといいですか? って聞かないとダメだよ!」
焦るビシャスにクランロード様が怒るとリルムちゃんが声をあげた。うん、確かに了承は必要だけど、そういう問題でもないんだよリルムちゃん。
「は~……とにかくだ。血だってただじゃねえだろ? 店で売ってるものもあるって聞いたぞ」
「あれは美味しくないのよ。貧しい人がお金に困って売るものだからね」
「そ、そうそう! 本当にまずいんだから! まるで錆びた鉄をしゃぶるみたいにね」
グレンさんの言葉に苦虫をかみ潰したように答えるビシャス達。それでも人を襲ったら犯罪だからな~。
「話は分かりました。とにかく、こっちの人を回復させますね。【ヒール】」
「!?」
しびれてた女性に回復魔法をかける。女性は自分の体の治りを感じて目をパチパチとさせる。かなり驚いてるみたいだけど、回復魔法は初めてかな?
「ほ、発作が治まってる……」
「「え!?」」
回復した女性が声をあげるとビシャス達が驚いて僕を見つめた。潤んだ瞳で見つめてくる二人……どういうこと?
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