レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)

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第二章

第51話 ウェインという男

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「ウェインって隠し子じゃねえか」

「ああ、僕も初めて見るよ」

 ウェインがゆっくりと僕らの前に歩いてくる。それをみながらグレンさんとクランロード様が警戒しながら話してる。兵士達が警戒してウェインに盾を構え始める。
 すると、

「盾など無駄だ!」

 鉄で出来た盾を大剣で一蹴。上下に盾が分かれていく。

「皆さん下がっていてください。僕が」

「私がやる~!」

「り、リルムちゃんここは僕がね」

「え~、強そうだよ~。私がやりたい~」

「ダ~メ。ここは僕が」

 兵士の皆さんを下げるとリルムちゃんが僕の話を遮って名乗りをあげた。危険だから下がってもらうと頬を膨らませて怒っちゃった。危険だからこそ後ろにいてほしいんだよな~。

「ふっ、俺も焼きが回ったな。エペックのやつこんな奴らに恐れをなしたってのか……。女子供が先頭にいるようなやつらによ」

「おいおい、言ってくれるな~。俺がやってもいいがあんまりお前に触りたくないんだよな。はた迷惑なヒュドラを飼ってるようなやつによ」

 ウェインが薄ら笑いの言葉にグレンさんが反応して意趣返し。二人から圧が放たれるけど、僕はため息をついてウェインへと距離を詰めた。そして、太刀を振り下ろす。

「どう? これでも子供だと思う?」

「!? な、なるほどな……」

 動きについてこれなかったウェイン。額が少し切れて血を流す。太刀の間合いは広いからね。

「悪いな。甘く見すぎた。俺はウェイン。お前の名を聞いてもいいか?」

「僕の名はティル」

「ティル。その名を刻む」

 額から流れる血を舐めて大剣を力強く構えるウェイン。思ったほど悪い奴じゃないのかな?
 そう思った時、不意に矢が射かけられた。すかさず小太刀で矢を切り落とすとウェインを睨みつける。

「一騎打ちに矢か……これだから盗賊は」

「お前ら! やっちまえ!」

「死ね」

「ひぃ!?」

 少し離れた位置からウェインの仲間が矢を一斉に射って来た。それを嫌ったウェインが男達を切り伏せていく。

「おいおい。お前はどっちの味方なんだよ」

「俺は強い奴の味方だ。エペックは人間では勝てない強さを持っていた。ただそれだけだ。そして、俺はその強さを凌駕したい」

 男達を一掃すると静かになった。グレンさんが呆れて声をかけるとウェインが剣を構えてきて告げてくる。なんか戦闘狂みたいな人だな。

「邪魔が入ったすまない。ティル、やろうぜ」

 みたいじゃないな……完全に戦闘狂だ。目がぎらついて背中から黒いもやみたいなものが見える。殺気と言うか悪意と言うべきか、それが目に見えるほど大きくなっていってるみたいだ。

「呑まれるなよティル。強い奴と対峙すると錯覚が起きるもんだ。お前もやってみろ」

「グレンさん? あれってやって出来るものなんですか?」

「ああ、相棒なら簡単だ。力んでみな」

 グレンさんが僕の肩に手を置いて助言してくれる。あれって思って出せるものなんだね。

「敵を前に余裕だな!」

「おっと、さっきのお返しか? 律儀だなお前」

 話し込んでいるとウェインが切り込んできた。見てからしっかりと避けるとグレンさんが嫌みを言い放つ。
 さて、その黒いの僕も出してみようかな。

「力む、か。こうかな?」

『!?』

 言われた通り、太刀と小太刀を握る手の力を強める。両手から白い光が出るのが見えてきた。黒くないな、僕じゃダメなのかな?
 兵士達も含めてすっごい驚いた顔をしてるな。やっぱりダメっぽい?

「ゆ、勇者の光だと!?」

「勇者様~」

 ウェインが驚き戸惑って声をあげると兵士達が拝み始めた。いやいや、確かに勇者だけども、そんなに拝まれたらいたたまれないよ。ただただ転生しただけの勇者だから、本物じゃないからね。

「これは面白い。勇者とは……勇者と戦えるなんて思わなかった。やはり、エペックについて正解だったってことか」

 ウェインがそう話して僕を睨みつけてきた。黒いもやが強くなってくるけど、すぐに僕の白いもやが上書きしていく。

「ヒュドラよりもやりがいがある! 行くぞ!」

 やっぱりヒュドラか。そう思った瞬間、ウェインが走りこんでくる。大剣を引きずって火花を発しながら横なぎに払ってきた。太刀で受けると流れるように大剣を引いて上段で振り下ろしてきた。それを小太刀で受けると顔を歪めるウェイン。

「俺の振り下ろしを受けれるナイフだと!?」

「いいでしょ。【カゲツナ】って言うんだよ。ちなみに小太刀って言われる刀だよ」

「ぐっ! このまま切り落とす!」

 悔しそうに告げるウェイン。全体重をかけてくるけど、現状は一向に変わらない。僕とのステータスの差が目に見える形だな。

「もう片方の手があるのを忘れてるよ!」

「ちぃ!」

 声と共に太刀を振るとウェインが大きく跳躍して離れた。勘はいいね。でも、そろそろ先を急がないといけないから。

「次で終わりだよウェイン」

「これほどまでのひらきがあるとは。この世界は広いな。出来れば、そっちの男ともやりたかったがおしまいのようだ」

 逆手に取った大剣を後方で構えるウェイン。限られたラインしか攻撃できない構えだ。何を考えてるのかわからないから警戒しておいた方がいいか。

「どうした? 来ないのか?」

「うん。ちょっと警戒してる」

「だろうな」

 大剣を片手で逆手に持って後ろに構える。そんな不利な状況を自分で作ってるんだからね。そりゃ警戒するよ。
 でも、こっちも急いでるからね。

「【ファイア】」

「なっ! 魔法だと!」

 不意に炎の魔法を放つ。するとウェインは構えていた大剣で炎を払ってきた。剣から剣圧が飛んで天井を切りつける。あれはマナを剣に纏わせていたのかな。

「ちぃ!」

「遅い!」

 また構えをとろうとしたウェインに近づいて切りつける。小太刀で切り付けて太刀で大剣を持っていた手を切りつけた。

「ぐあ! ……て、手心をくわえるのか?」

「ん、あんまり悪い人でもなさそうだからね」

 太刀も小太刀も逆刃、この人は情報をもってるはず。さっき捕まえておいた人達は下っ端だからあんまり見込めないしね。
 単純に僕が殺したくなかったって言うのもあるけどね。

「勝負ありだ。どうだ? うちの勇者様はよ~。つええだろ? 俺の相棒なんだぜ。凄いだろ?」

 グレンさんがウェインを縛りながら告げる。縄は兵士達が常時持ってるみたい。警察の手錠みたいなものかな。
 自慢をするグレンさんは結構珍しいな。なんだか嬉しい。
 悔しそうな目で睨みつけてくるウェイン。観念したみたいで大人しくしてる。

「そんなに残念そうにするなよ。怪我が治ったら俺ともやろうぜ」

「ふんっ。そんなときは来ない」

『!?』

 グレンさんの声に答えるウェイン。奴の声と共に地鳴りが聞こえてきた。
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