結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

恋愛系

文字の大きさ
12 / 170
第一部一章 生まれ変わる

ルナ氏

しおりを挟む
 ここの村には何か掟がある。プランスは知っているらしいけど、私には教えてくれなくてずっと隠している。
 だから、今日はリーナとプランスの影を追う。
 そして、プランスの秘密を暴くことにした。

「いいリーナ? 絶対にプランスに話しかけたりしちゃ駄目だからね?」

 リーナは純粋でいい子だから、私の言葉を理解してくれるはず。

 そう思ってリーナに目線を落とす。

 するとそこには、可愛いドレスを身につけたリーナが居た。村育つというのに、豪華な服だと私は疑問に思う。

 大体の村育ちの人は、男女問わずワイルドな服装をしているイメージなので、こんな服装をしているリーナを見ると関心した。

「はい。何かスパイごっこみたいね」

 綺麗な振る舞いをする、リーナは本当に王女様のように見えて、屋敷に居た頃を思い出す。

 早朝七時には起き、朝食を美味しく味わう。朝食だけは毎日同じでパン一枚とサラダ。
 確かにパンもサラダも美味しい。
 だからといって私が屋敷を出ないわけにはいかなかった。

 そして、昼食はいつも変わり、シェフの特性料理なんかも出してもらい、正直に認める、プランスの料理と張り合えるほど美味しかった。

 午後二時にようやくと思える、自由時間がやってきた。だいたい私はこの時間を読書で過ごした。けれど、たまには王国を抜け出して、人々と遊んだりした。
 
 午後五時には、旦那様のお仕事を手伝う。まあもちろん、私の解読魔力を使いたいから旦那様がそうやって、私を横に置いて仕事をするのだろうけど・・・・・・・。

「ねえねえ、ミアミアどうしたの?」

 ここでようやく意識が戻ったようで、リーナの声が耳に入ってきた。

「なんでもないわ。どうした?」

「あのね、プランスはね、いつもこの道を通るのね、そしたらね、ルナっていう神父と言葉を交わすの」

 リーナが、有力な情報を与えてくれて、私の目的に辿り着けそうになる。

 必ず神父と話すということは、掟に関連している可能性が極めて高いから、どうにか盗み聞きたい。どんな些細なことでもいいから盗み聞かなければ。

「そなの? じゃあその話を盗み聞こう?」

 神父と話すということはつまり、宗教に関することか。
 
 まあひちまずどうやって聞くかを考えた方がいいな。何かに変装するのも上手くいかない気がするんだよなあ~。それともダイレクトに話を聞く? それじゃあ駄目だもんな。

 路地もないこの一本道でどうやって話を盗み聞くんだ? やっぱり魔力を使わないと駄目かな?

 でも、私の魔力にスパイ魔力はないからなあ~。

 そこで私は思い出した。
 ある巻き物を解読魔力で読み上げると、精霊が現れて少しの間、言う通りにしてくれるという、巻き物を。
 その巻き物は確か部屋に飾ってあった気がする。

「うん! でもどうやって盗み聞きの?」

「ちょっと待てねすぐに戻るから」

 そう言って目の前の家目掛けて走った。まだこの時間はプランスもシルバーのお世話だ。だから家にはいない。

 そう思って、ドアノブを握る。

 そしたら後ろから、プランスの暖かい手で肩を握られてしまった。
 ドキドキと鼓動が早くなるのを感じつつ、プランスの手を振り返り握った。やっぱり職人ということもあるのか、がっしりとした手で手マメも出来ていた。  
 まるで鉄棒をしてきた後のようだった。

「何をしているんだい? そんなに急いで・・・・・」

 彼は眉を顰める。私は眉をハの字にして彼を見つめる。

「ただトイレに行くだよ、部屋の巻き物を取って、読み上げて精霊を呼び出して貴方と神父の話を盗み聞こうなんてしてないから」

 焦りで自分の計画を手取り足取り説明してしまい、自分に呆れながらリーナを遠目で見た。
 あの子には非はない。だから責め立てる必要がなくて、私が責め立てられるべき・・・・・・・。

「・・・・・・・。そうか、どうして知りたいだ? 特に面白い話じゃないぞ?」

 そうプランスが言うほど知りたくなってしまうのが、私たち人間の本能。

「・・・・・・・・・、べ、別に私知りたいなんて言ってないじゃん・・」

 ここまで言っておいて隠すことはできないのは知っているけど、私自身もスパイの真似をするのは楽しいので、今も口の固いスパイを演じる。
 まあ、演技は人並み以下だったことがこの時初めて、分かった。

「言ってるも同然。そんなに聞きたいなら一緒に散歩でもする?」

「でも、それじゃあプランスも嫌でしょ?」

「別に嫌じゃないけど」

 私を除け者にする人は数多く存在した。特に旦那様は。『プリンセス、お前は女だ戦場に来るべきではない』そう旦那様は優しい言い方で言ってくれたけど、それなら尚の事戦場に行き、国のために尽くすまで。
 なのに止めてきた。理由は風の噂では不倫をするためだったらしい。少し考えただけでもゾワゾワして決して心地い気分には到底なれなかった。

「ミア、自分の事を悪く見過ぎなんじゃないか?」

 この一言で私の未来が左右されることが、意識しなくてもよーく分かった。
 プランスのこんな少しの言葉で私は少し希望を持てた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...