結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

恋愛系

文字の大きさ
41 / 170
第二部第一章 ベリズリー

お腹を満たす

しおりを挟む
 それで、酒場に着くと酔っ払った五十歳くらいの人がお酒とおつまみに、フライドポテトを食べていた。
 
 店内は酒臭いというべきなのか、アルコールの生臭さが漂っていた。
 プランスはそれに対して何も想ってないようだ。
 まあ冒険者にとっては普通のことなのだから、普通だよね。

「マスター、久しぶり」

 プランスがマスターに手を振る。
 マスターも同様にプランスと私達に手を振って、調理場から出てきた。 
 
 白で可愛いヒラヒラがついている、エプロンを身につけていて、大の男性なのに可愛いとくすくす笑う私に、マスターは顔を赤くした。
 そのエプロンを着ている意味が他にもあるようだ。

「お嬢ちゃん、このエプロン可愛いだろ? 娘が作ってくれたのさ」

 私が笑っていることにさりげなく、気づいていたのは知っていたけど、まさか娘さんが作ってくれていたなんて、とまた可愛く見えてしまった。
 理由は娘さん想いというところがかっこいいからだ。
 最近の人は娘はもういらない、息子だけでいいと考える。

 息子がいいという理由なんて言わずともわからる。

 それは、男だから未来兵士になるかもしれないからだ。

「マスター、とりあえずオムライス三つお願い」

 私とマスターの話を遮るようにしてプランスはオムライスを頼んだ。
 恐らくよほど、腹ペコなのだろうな。

 まあ、仕方がないのだろう。

「オムライス三つね。トロトロ? それとも普通のやつ?」

 マスターの問いに何も知らない私は、プランスに全てお任せした。

 同様にアンも何も知らないのか、プランスに全てお任せした。

「トロトロでお願いします」

 プランスは真剣な顔をして、言った。そして、ダイニングテーブルに三席の椅子に私達は座った。

「どんなのかな?」

「えっミアはオムライス食べたことないの?」

 プランスは私が食べたことないと思っているのか、そう訊いてきた。

「食べたことあるよ? なんで?」

「どんなのかなって言ったから」

 そう言った理由はトロトロという部分に気になって、しまったのと、ここのオムライスはどれぐらい美味しいのだろう、と気になって思わず口に出てしまっただけだ。

「いやただどんな味なんだろうなって?」

 そう言うと彼は、「待ってろ」と私の背中をさすった。
 
 この手には無数の恐怖、数億の罪悪感があって、過去に何があったのか、全て消しゴムですか消したいという想いが伝わってくる。
 だから辛い。
 何が過去にあったのかはわからないけれど、プランスにとっても世間にとっても残虐なことだ。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...