結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

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第四部二章 会議

決断の時

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 アンはエールを飲むと、頬を赤くした。
 少し酔ってきたようだ。私は少しづつ飲んでるからそこまで、酔っ払ってない。

 でも時期に酔うかもしれい。だけどアルコールを弱くしてるから大丈夫だと思う。
 まあそう考えていると後から後悔するほど酔っちゃう。

「私はやっぱり、お姉ちゃんについて行くよ・・・。お姉ちゃん優しいし?」

 何それと言いそうだったけど、信用してくれているということが分かって、感動レベルだった。
 信用してもらえることは決して悪いことじゃない。それから裏切るのが悪いのだ。
 だから私は、裏切ることはしない。もしも裏切る時が来たなら、先に相手が裏切った時と、ルカを裏切ったように何かを阻止するためだろう。

「そうね、私はアンを甘やかしている。だからこれからはみっちり叱るからね!」

 お姉ちゃんが優しいだけじゃあ、アンも良い子にはならないと思う。
 だから、これから旅に行くになら、ちゃんと叱ってあげるのも、姉の役目というものだろうか?。

 まあ、妹に怒られるかもしれないけど。

「それはちょっと・・・・・。お姉ちゃん怒るとすごく怖いし・・・」

 アンは怖がった表情をしたけど、お酒で酔っているためか、すぐに元の表情に変わった。
 人間だと思い込んでいた頃、妹のように守ってくれてるなんて、考えていたけど、まさか本当に妹だなんてすごくロマンチックだ。
 それに私の姿は変わらないけど、アンの姿はすごく変わった。まるで、猫が犬に変わったようなくらいの差がある。

 林檎が葡萄になったくらい違う。

 しかもこの微笑み方は天使としか言いようがない。
 少し前までは怖いような感情的な顔だったけぢ柔らかな顔になって童顔のような可愛みがある。
 
 まるで本当に子供だ。お酒を飲んでいるからかもしれないけど、いつも以上に子供の顔をしている。

「まあ、私はお姉ちゃんについて行くよ?」

「アンがそうしたいのなら良いよ。ただ」

「ただ?」

 貴女に好きな人がいるのじゃないのか? その人と離れ離れになっても良いのかな?
 いやそもそもいるのか? でもアンが記憶を取り戻した時少し変な顔をしていた。
 多分あの顔は恋愛をしている顔であった。だからすぐに決めてしまってもいいのだろうか?。
 まるで私がプランスと離れ離れになってしまうようなことだ。私はそれを阻止したかったから、プランスを生き返らせた。

「ただ、貴女に好きな人がいるんじゃないのかなって?」

「え・・・・・いるよ? ルドラ・・・・・」

 アンの言葉に沈黙の時間が訪れた。

 アンの言葉が私の耳に届いた瞬間、時間が止まったかのように感じた。ルドラ——アンがそんな名前を口にするとは夢にも思わなかった。彼の名前が出てくるだけで、私の胸の奥がざわついた。ルドラは強くて頼りがいのある存在だけれど、どこか冷たく、感情を見せない部分があった。彼とアンがそんな深い関係にあるとは、一度も考えたことがなかった。

「ルドラが……好きなの?」

 思わず問いかける私の声は、自分でも信じられないくらい小さく、かすれていた。アンは一瞬だけ戸惑ったように視線を泳がせたが、やがて頷いた。その頬はお酒のせいか、さらに赤く染まっている。彼女の瞳には、隠しようのない真剣さが宿っていた。

「うん……ルドラが好き。彼と一緒にいると、安心するし……いつも彼のことを考えてしまうの。会いたいとか、もっと話したいとか……気づいたら、いつも頭の中にいるの」

 彼女がそう言うたびに、私の胸の奥に何かがズシリと落ちる感覚がした。アンの感情が真剣で、純粋で、彼女自身もその感情に正直であることが分かる。私はそんな彼女を見つめながら、自分の中に芽生えた小さな違和感に気づいてしまった。アンの幸せを願っての問いかけだったはずなのに、その裏には、私自身の気持ちが絡まっていたのだろうか。

「そう……それなら、アンがその気持ちを大事にするべきだわ。ルドラのことをちゃんと思っているなら……私は何も言えない」

 そう言いながらも、心の中で引っかかるものを無理やり押し隠していた。アンにとってルドラは本当に大切な存在なのだろう。それは確かだ。しかし、ルドラがアンのことをどう思っているのか、彼がアンの気持ちにどう応えるのか……その答えはまだ見えない。

「でも、アン……」

 何か言いかけたが、アンが私の手をそっと取った。その手は暖かく、かすかに震えていた。彼女の目は私をまっすぐ見つめ、真剣な表情で言葉を紡いだ。

「大丈夫だよ、お姉ちゃん。私、ルドラのことが好き。でもね、お姉ちゃんと一緒にいることも本当に大事なの。だから、二人とも私にとって特別なの」

 その言葉を聞いて、ほんの少しだけ胸の中の重たさが軽くなった。アンが私を必要としている。それが事実であることは、彼女の手の温かさからも伝わってくる。しかし、それでもどこかで私の心はざわめき続けていた。

「そう……分かったわ、アン。なら、これからも一緒に頑張ろう。私たちはずっと一緒だものね」

 微笑みながらそう答えたけれど、心の奥底にはまだ言葉にできない重苦しい感情がくすぶっていた。ルドラという存在が、私とアンの関係にどのような影響を与えるのか——それが気にならないわけではなかった。

 ルドラは確かに強く、冷静で、頼りがいのある人物だ。彼がいれば、アンが危険に晒されることはないだろう。それは私もよく分かっている。だが、彼の冷徹さは時折不安を感じさせる部分でもあった。彼の本心がどこにあるのか、彼がアンに対してどう思っているのか、それが見えない。それが、私にとって不安の種だった。

 アンのために、私はこれからどうすべきなのだろうか? 彼女がルドラと一緒にいたいというなら、それを止める権利はない。だが、それでも私は、アンを守るために存在している。どんな困難が待ち受けていようとも、彼女を守る。それだけは決して変わらない事実だ。

「ありがとう、お姉ちゃん。私はお姉ちゃんがいてくれるから、きっと大丈夫」

 アンの優しい言葉に、少しだけ胸が温かくなった。彼女が私にこうして感謝の気持ちを表してくれるのは嬉しい。しかし、その一方で、私は自分の中に抱えた感情をうまく整理できないままでいた。

 夜はさらに更けていき、静かな時間が流れていった。アンは酔いがまわり、いつの間にか穏やかな表情で眠りについた。その寝顔を見ながら、私はふと、過去のことを思い出していた。プランスのこと——彼との関係は、決して順風満帆ではなかった。それでも、私は彼を愛していたし、彼を失いたくなかった。だからこそ、彼を生き返らせるという選択をした。

 あの時と同じように、私は今も誰かを守ろうとしている。だけど、今回は事情が違う。アンがルドラを選ぶなら、それを無理に変えることはできない。けれど、もしも彼女が傷つくことになれば、私はどうするだろうか?

 考えれば考えるほど、答えは見えなくなっていく。ルドラは本当にアンを幸せにできるのだろうか。彼の冷たい一面が、アンの純粋な心を壊すことはないだろうか。そんな不安が頭をよぎる。

「お姉ちゃん……ありがとう」

 眠りながらも、アンが小さく呟いた。その声を聞いて、私はそっと彼女の髪を撫でた。今は、彼女の笑顔が見られればそれでいい。未来のことはまだ分からない。けれど、私たちはこれからも一緒に旅を続ける。そして、その旅の中で答えが見つかるかもしれない。

 そう思いながら、私は静かにアンの寝顔を見守った。
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