無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流

文字の大きさ
14 / 129
2章 魔術対抗試験編

目指せ!エーテル魔術学院

しおりを挟む
 ビィ───ッビィ───ッ
 アルカナの街全体に響き渡る警報音。
 おそらく誤報は今まであったにしても、本当の意味で音が鳴ったのは200年間で初めてのことなのだろう。
 それは街の人々の反応を見れば明白だ。

「おい、誤報じゃないのか」と、疑うもの、「魔族が攻めてきたんだ……」と、慌てふためくものと反応はそれぞれだが、皆の足取りがバラバラであることから今回のように長時間鳴り続けることには慣れていないと分かる。

「ここの兵隊さんは相当訓練されてるのか?  慌てる様子もなくしっかり追いかけてきやがるぞ」

 俺たちはエーテル魔術学院の方角へ息を切らしながら全力で走っている。
 このような日のために訓練を繰り返してきたであろう兵隊さんは俺たちの後ろを付かず離れずにピッタリと付いてきている。
 こんなに街の人々は大慌てしているのに、その姿には感服せざるを得ない。

「おい、エレナ!  学院までがんばれ!  」

「はいぃ……。 主様……  」

 俺はこの走りすぎて精根尽き果てた魔族女子と2人で逃げている。
 そう、小さな神様にはエーテル魔術学院学長および神アーカシスに、ここへ来た目的の説明と俺たち3人(主にエレナ)の滞在許可をもらうという重要な任務を与えている。
 それが失敗すれば俺たちはここに居場所がなくなることになるだろう。
 
 一方俺たち2人の任務は、無事エーテル魔術学院までたどり着くことである。

「エレナ、こっちだ!  」

 大通りを通っていたが、前方からも数人の兵士が来たため、路地へエレナを引っ張って進路変更した。
 兵隊が多すぎる……。
 魔法でぶっ飛ばしたいところだが、そんなことをすれば本当に居場所がなくなるしな。

 別筋の大通りに出ることが出来たので、再び俺たちは魔術学院の向きへ走り出した。
 後ろを見るとしっかり路地から出てきた兵隊がついてきている。
 しかも人数増えてるし……。

「あぁっもうっ!」

 痺れを切らしたエレナは兵隊の方へ身体を向けた。

「おい、攻撃しちゃダメだぞ!  」

「わかってるって、主様!  幻影魔法【シャドウ・ミスト】」

 そうエレナが放った魔法は攻撃魔法ではないようだ。
 兵隊の通るであろうルートに霧が空から降りかかったと思えば、それ以上ヤツらは進んでこない。

「ん? どうなってんだ?  」

「エレナがね、魔法をかけたんだよ。 兵隊さんにはあそこに大きな壁があるように見えると思うよぉ  」

 エレナはふぅ~ひと仕事したぜと言わんばかりの満足気な顔をしている。

「そんなんできるなら、最初から使ってくれよ……」

「疲れて忘れてたっ!  てへっ」

 自分の頭をポンッと叩き、片目を瞑ってテヘペロっとしているエレナを見ていると、ついついなんでも許してしまいそうになる。
 
 さて、俺たちも魔術学院に向かおう。
 逃げていた間にずいぶん目的地に近づいたようだ。
 走ったとして到着まで数分ってところだろう。

「エレナ、もーすぐだ。 行くよ」

「はーい」

 進み始めた矢先、後方からとてつもない暴風が襲いかかってきた。
 現実世界でいう大型台風が上陸したかと思うほどに。

 ……なんだ?
 暴風の発生地点をみると、剣を構えている剣士?が佇んでいる。
 剣士?の彼は銀髪で紫色の瞳が光って見える。
 顔立ちも整っており、人間であれば20代といったところか。
 他の兵士と服装も違うこと、エレナの幻影魔法を破ったことからも頭一つ抜けている実力であることは間違いなさそうだ。
 さらにいえば彼自身からもそうだが、彼が持っている剣にも凄まじい魔力を感じる。

「こりゃ逃げれそうにないな……。エレナ! 何がなんでも魔法学院までたどり着け!  」
 
「えっ、主様は……?  」

 エレナの震えたその声色からは、抱いている不安がひしひしと伝わってくる。

「あいつ、止めてからいくわ。  お前が捕まっちゃ元も子もない  」

「勇気があることはいい。 だが魔力を感じないお前など、この『シリウス・アークライト』の遊び相手にもなり得ぬだろう。死にたくなければそこを退け 」

 やはりあのシリウスとやらの魔力からは魔族レベルの何かを感じる。
 さすがに手加減をしては止めれそうにない。

「あぁ、忠告ありがとう。 でもこっちも争いたくないんだ。引いちゃくれないか?  」

 そう言って自分の周りの魔力を、大量に取り込み、
「創造魔法【⠀セラフィムの聖光剣  】」
 そう詠唱して俺は戦う準備をした。

 取り込んだ魔力様々だ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】 異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。 『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。 しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。 そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい

桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

処理中です...