無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流

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2章 魔術対抗試験編

試験前のトラブル

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「みんな、助けてくれてありがとう  」

「そんなの当たり前だ! 仲間じゃないか! 」

「ミアが無事でエレナ嬉しいぃ…… 」

 2人に続いて俺も、
「無事でよかったよ、ミア  」

 それぞれが彼女に言葉をかけた。

 しかし気になることが山ほどある。
 それはミアが狙われた理由。
 もちろんそれだけではなく、すぐに殺されなかったのはなぜだ。
 そして目的はなんだったのか。
 気になるが、彼女は今心身ともに疲労困憊だろうし、また後日聞くことにするか。

「よし! 気を取り直してギルドだ、ギルド! 春陽もいるし、もう襲ってこないだろうよ!  」

 カイルのその言葉で、少しばかり暗かった空気が元に戻ったような気がした。
 さすがポジティブ人間カイルだ。ありがとう。

「そうですね、ギルドに向かいましょう  」

「いくぞぉー!  主様も早く!!  」

 エレナは少し先に走り出して、俺のことを呼んでいる。
 彼女も疲れたかと思えば、まだまだ元気いっぱいなようで安心した。
 少しギルドから離れた場所となったが、元の予定通りギルドへ向かおうか。

「エレナ、そんな急いでもギルドは逃げないってば    」
 放っておくわけにも行かないため、彼女を追いかけるのであった。

 ◇

 そんなこんなで、目の前には冒険者ギルドがある。
 よくアニメでギルドというものを見てきたが、まるでそのギルドと似たような外観である。
 なんだか緊張するな。
 転校生の通学1日目とはこんな緊張感なのだろうか。

「緊張することはないぞ! 春陽! 行こうぜ! 」

 傍から見ても分かるほど俺は緊張していたのか、見かねたカイルがギルドの扉を開いたのだった。

 ───ガヤガヤッ

 中には多くの冒険者らしい人々がうろついている。
 テーブルに集まって食事をしていたり、グループで話し合いをしたり、受付のようなところでクエストを申し込んでいる人もいるようだ。
 外観だけではなく、内観もしっかりと冒険者ギルドであった。

「おおっ! 」

「春陽さん、目をキラキラさせてますねっ! 可愛いです…… 」
 ミアがそう微笑みながら言ってきたが、おれはそんな顔をしていたのか、気づかないほどに内心感動していた。
 もちろん異世界や魔術学院も感動していたが、いつもは何かと目的もあったので感動している暇はなかったのだ。
 そして俺は初めて異世界に期待実感が湧いた気がした。

「ようし! 感動し終わったか?  春陽、エレナお嬢、試験がもうすぐあるし、受付済まそうぜ!  」

「え? もう試験あんの? 」

「もちろん! 試験の時間に合わせて来たんだ! 余裕もってで良かったぜ! 」

 この男、こんなに計画的な男だったのか。
 まるで侮っていた。
 よし、エレナと受付へ行くか。
 

「エレナ、受付に……っていないぞ?  」


「なんだ嬢ちゃん? 君みたいなガキは試験受けても受かんねーだろうからさっさと帰りなっ 」
 受付の方からそんな話し声が聞こえた。

「春陽さん……  エレナちゃんです!  」

 おい、いきなり迷子になって何を揉めてるんだあの子は。
 なんだか若そうな男3人に絡まれている。
 現実世界でいうとナンパに見えてもおかしくない……かも。

「エレナも主様も試験に合格するし、主様はお前らなんかより強いんだっ!」

 いや、ナンパじゃなくてしっかり喧嘩してるな。

「おい、エレナ! 揉めてないで試験の受付するぞ  」
 そう言ってエレナを受付に連れていこうとすると、若い男共のリーダー的なやつが
「おいおい主様よ! お前の子分が俺たちに喧嘩売ってきたんだわ、もちろん買ってやるから試験の結果で勝敗決めようや  」

 俺まで絡まれたじゃないか。
 エレナよ、めんどくさいことに巻き込んでくれるな。

「勝敗というのはどうやって決めるのですか?  」

「そうだな、試験で振り分けられる冒険ランクで決めるか! もちろん高いランクのやつが勝ち。で、同ランクなら試合をしよう  」

 はぁ……本格的にめんどくさいが、このリーダーは魔力量だけで言うとカイル、ミアより高く感じる。
 魔術対抗試験も控えているし、試合をすることになったらいい腕試しになるかもしれない。

「分かりました。 じゃあそれで決めましょう 」

「待て、もちろん負けたやつはなんでも言うこと聞くんだぞ?  」

 別に命令したいこともないが、早く受付も済ましたいし、適当に返事をして受付へ向かった。
 エレナは未だにムスッとしているが。

 受付をそそくさと済ませた俺とエレナはカイル、ミアの待つテーブルへ戻った。

「お待たせ! 」

「春陽、すまんな、絡まれたとき一緒に行けずで……」

 珍しくカイルが申し訳なさそうにしている。
 出会って初めて見たかもしれない姿だ。

「いや、俺1人で大丈夫だって!  どうしたんだ?  」

 カイルに続き、ミアも謝罪の顔が広がっているような表情をしている。

「すみません……  あの人学院の卒業生で、一応首席卒業をされてるんです   」

 そうだったのか。
 あんなモブのような顔をしていても、たしかに魔力量は多かったもんな。
 ミアは話を続け、
「見た通り少し気が強くて学院でも問題のある生徒でした。もちろん私達も注意すれば良かったんですけど、実力ではなかなか敵わず……  」

 なるほど。
 あまり会いたくない相手だったってことだな。

 ピンポンパンポン───

 そう話をしていると、店内アナウンスのようなものが流れてきた。

 『ただいまより、冒険者ギルド後方に建つ闘技場で、ギルド認定試験を行います。 受付がお済みの方は闘技場までお集まりください 』

 いよいよ、試験が始まるようだ。
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