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2章 魔術対抗試験編
エレナの晴れ舞台
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ギルド認定試験、続いて2人目モブ2(ヴィクターというらしい)も同じくAランクモンスターを倒し、Sランクへと挑むも瞬殺された模様。
3人目の挑戦者、我らがワガママ魔族の、エレナである。
そういえば魔族とSランクモンスターってどちらが強いんだろう。
そもそも俺はエレナが戦っているところをほとんど見たことがないし、見たところ他の魔族と比べて魔力量も普通の人間よりちょっと多いくらいか?
あのレオン、ディラン、ヴィクターの3人よりも少し魔力量が少なく、ミア、カイルと同等程度だ。
「じゃあ、主様! 行ってくるねっ! 」
まるで遊びにに行く子供のように笑顔を向けてきたエレナに対し、
「エレナ、Sランクモンスターはかなり強いみたいだから、無理せずに危険だと思ったら降参するんだぞ? 」
俺としては試験の結果よりもエレナの身が心配だ。
無事に怪我せず帰ってくるのが1番だと思う。
「ふんっ! お前程度Bランク冒険者程度がお似合いだ 」
相変わらずの憎まれ口のようだ。
そもそも俺たちはアイツに何かしたっけな?
なぜに絡んでくるんだ。
エレナはそんなレオンの言葉を無視して……いや、聞こえてないのか、そのまま闘技場へと向かった。
『いよいよ、3人目! 今回の挑戦者で唯一の女の子ォォ!! あまりの美少女に会場の男が釘付けだァァ! 私としても危険となったらすぐに逃げて欲しい気持ちもありますが、彼女もきっと冒険者になりたいのでしょう! そんな本気の気持ちに応えたい! 心を鬼にして彼女の行く末を見守ることとします!! まずはCランクモンスター《シャドウワーム》だ! 』
そんな熱い解説の中、現れたのは闇の空間から現れた幼虫?だ。
何せサイズが気持ち悪い。
エレナはそれをゲテモノでも見るような蔑んだ目で見下している。
そりゃ彼女も女の子だ、どの世界の女の子も虫は苦手なんだな。
「幻影魔法【 シャドウアロー⠀】」
『エレナ選手!! 幻影魔法という珍しい魔法を使っております!! 魔法名の如く魔力で弓と矢を生成し、解き放ったァァァ!! 』
ブシュッ───
『なんと! 一撃ですゥゥ!! 』
わぁぁぁぁぁ───
「すげーぞ、お嬢ちゃん!」「かっこいいーーー」
客席からの歓声が会場中に響き渡っている。
モニター越しに見ていた俺はフッと胸を撫で下ろした。
少し離れた席ではレオンが気に食わないといった表情をしている。
続いてBランクモンスター、Aランクモンスターも勢いのまま倒したエレナは未だ余裕綽々といった様子を見せている。
彼女は初戦に使った【 シャドウアロー⠀】だけでなく、【⠀シャドウブレード 】で剣を生成して戦っていた。
Aランクモンスターに至っては街で逃げる時に使った【 シャドウミスト⠀】による幻影で相手を惑わせた隙に攻撃を仕掛けるなどといったテクニカルな戦い方を見せてくれた。
今では会場皆、エレナに釘付けだ。
だが、問題は次現れるSランクモンスター《ファントムアビス》だ。
エレナ……これをどう乗り切る。
『今まで幾人もの道を阻んできたSランクモンスター《ファントムアビス》。未知の幻影魔法を使い、ここまで勝ち上がってきたエレナ選手!! どちらが勝ち星をあげるのでしょうかァァァ』
ファントムアビスを目前にエレナは立ち止まり、何かを考えているようだ。
どうしたんだ?
彼女が十分戦えることは分かったが、アレに勝てるとは思えない。
「主様……びっくりするかなぁ? 」
この状況でもエレナはフフっと笑っており、なぜか楽しそうだ。
それより俺が何にびっくりするって?
彼女は続いて、
【⠀幻影解除 】
そう唱えた。
ズンッ───
彼女が何かを唱えてすぐ、会場の空気が重く冷たいものとなった。
会場や待機室にいる人含めて、ある程度の魔力を使えるものは彼女の変化に気づいている。
そして大半は彼女に対して見る目を変えたようだ。
それは可愛い、かっこいい、愛くるしいという愛着の念から恐れという畏怖の念へと。
そう、エレナの魔力は大幅に上昇し、今まで会った魔族のそれに近い魔力量となったのだ。
いや、幻影解除と言っていたから魔力量が増えたというよりか隠していたものが表れたという感覚に近いのだろう。
「───ッ───ッ」
甲高く聞き取れないような叫び声が聞こえてきた。
ファントムアビスは声を上げながら後ずさっている。
現時点で捉えられる魔力量としてはファントムアビスを遥かに凌いでいるため、やつが怯えるのに無理はない。
『……すごい、エレナ選手!! 幻影解除と唱えた後、魔力量が増大しております!! このような高い魔力、私感じたことがございません!! そして《ファントムアビス》ですら怯えてしまっているようです!!私自身もこの状況に少し戸惑ってしまいましたが、私はプロの解説者! 最後まで自分の仕事をやり遂げてみせまァァァす!! 』
「あんまり時間もかけたくないし、これで終わりにしよっと! 幻影魔法【⠀シャドウインウォール 】」
エレナがそう唱えると、ファントムアビスの真下に影が大きく円状に拡がり、瞬く間にやつの全身を飲み込んでいく。
あの甲高い叫び声を発声しながら抵抗虚しく飲み込まれていった。
なんだその最強の技は、俺より全然強いじゃないか?
『え……えっと、《ファントムアビス》はエレナ選手の影に飲まれたため、ここで試合終了ォォォォ。 Sランクモンスターを倒されるのは果たして何年ぶりか、これは今後歴史に刻まれることになるでしょう!! 観客席の皆様、今日ここに英雄が誕生しました! 祝福ということで、大きな拍手を致しましょう!!』
パチパチパチッ───
「主様~♡ エレナやったよー!! 」
モニター越しに嬉しそうな彼女の顔が映っている。
エレナの強さは分かった。
会場もこれ以上ない盛り上がりを見せている。
すごいことだけども、何か忘れてないだろうか。
あと4人もの挑戦者がいることを。
あぁ、この後余計に戦いにくいじゃない……
3人目の挑戦者、我らがワガママ魔族の、エレナである。
そういえば魔族とSランクモンスターってどちらが強いんだろう。
そもそも俺はエレナが戦っているところをほとんど見たことがないし、見たところ他の魔族と比べて魔力量も普通の人間よりちょっと多いくらいか?
あのレオン、ディラン、ヴィクターの3人よりも少し魔力量が少なく、ミア、カイルと同等程度だ。
「じゃあ、主様! 行ってくるねっ! 」
まるで遊びにに行く子供のように笑顔を向けてきたエレナに対し、
「エレナ、Sランクモンスターはかなり強いみたいだから、無理せずに危険だと思ったら降参するんだぞ? 」
俺としては試験の結果よりもエレナの身が心配だ。
無事に怪我せず帰ってくるのが1番だと思う。
「ふんっ! お前程度Bランク冒険者程度がお似合いだ 」
相変わらずの憎まれ口のようだ。
そもそも俺たちはアイツに何かしたっけな?
なぜに絡んでくるんだ。
エレナはそんなレオンの言葉を無視して……いや、聞こえてないのか、そのまま闘技場へと向かった。
『いよいよ、3人目! 今回の挑戦者で唯一の女の子ォォ!! あまりの美少女に会場の男が釘付けだァァ! 私としても危険となったらすぐに逃げて欲しい気持ちもありますが、彼女もきっと冒険者になりたいのでしょう! そんな本気の気持ちに応えたい! 心を鬼にして彼女の行く末を見守ることとします!! まずはCランクモンスター《シャドウワーム》だ! 』
そんな熱い解説の中、現れたのは闇の空間から現れた幼虫?だ。
何せサイズが気持ち悪い。
エレナはそれをゲテモノでも見るような蔑んだ目で見下している。
そりゃ彼女も女の子だ、どの世界の女の子も虫は苦手なんだな。
「幻影魔法【 シャドウアロー⠀】」
『エレナ選手!! 幻影魔法という珍しい魔法を使っております!! 魔法名の如く魔力で弓と矢を生成し、解き放ったァァァ!! 』
ブシュッ───
『なんと! 一撃ですゥゥ!! 』
わぁぁぁぁぁ───
「すげーぞ、お嬢ちゃん!」「かっこいいーーー」
客席からの歓声が会場中に響き渡っている。
モニター越しに見ていた俺はフッと胸を撫で下ろした。
少し離れた席ではレオンが気に食わないといった表情をしている。
続いてBランクモンスター、Aランクモンスターも勢いのまま倒したエレナは未だ余裕綽々といった様子を見せている。
彼女は初戦に使った【 シャドウアロー⠀】だけでなく、【⠀シャドウブレード 】で剣を生成して戦っていた。
Aランクモンスターに至っては街で逃げる時に使った【 シャドウミスト⠀】による幻影で相手を惑わせた隙に攻撃を仕掛けるなどといったテクニカルな戦い方を見せてくれた。
今では会場皆、エレナに釘付けだ。
だが、問題は次現れるSランクモンスター《ファントムアビス》だ。
エレナ……これをどう乗り切る。
『今まで幾人もの道を阻んできたSランクモンスター《ファントムアビス》。未知の幻影魔法を使い、ここまで勝ち上がってきたエレナ選手!! どちらが勝ち星をあげるのでしょうかァァァ』
ファントムアビスを目前にエレナは立ち止まり、何かを考えているようだ。
どうしたんだ?
彼女が十分戦えることは分かったが、アレに勝てるとは思えない。
「主様……びっくりするかなぁ? 」
この状況でもエレナはフフっと笑っており、なぜか楽しそうだ。
それより俺が何にびっくりするって?
彼女は続いて、
【⠀幻影解除 】
そう唱えた。
ズンッ───
彼女が何かを唱えてすぐ、会場の空気が重く冷たいものとなった。
会場や待機室にいる人含めて、ある程度の魔力を使えるものは彼女の変化に気づいている。
そして大半は彼女に対して見る目を変えたようだ。
それは可愛い、かっこいい、愛くるしいという愛着の念から恐れという畏怖の念へと。
そう、エレナの魔力は大幅に上昇し、今まで会った魔族のそれに近い魔力量となったのだ。
いや、幻影解除と言っていたから魔力量が増えたというよりか隠していたものが表れたという感覚に近いのだろう。
「───ッ───ッ」
甲高く聞き取れないような叫び声が聞こえてきた。
ファントムアビスは声を上げながら後ずさっている。
現時点で捉えられる魔力量としてはファントムアビスを遥かに凌いでいるため、やつが怯えるのに無理はない。
『……すごい、エレナ選手!! 幻影解除と唱えた後、魔力量が増大しております!! このような高い魔力、私感じたことがございません!! そして《ファントムアビス》ですら怯えてしまっているようです!!私自身もこの状況に少し戸惑ってしまいましたが、私はプロの解説者! 最後まで自分の仕事をやり遂げてみせまァァァす!! 』
「あんまり時間もかけたくないし、これで終わりにしよっと! 幻影魔法【⠀シャドウインウォール 】」
エレナがそう唱えると、ファントムアビスの真下に影が大きく円状に拡がり、瞬く間にやつの全身を飲み込んでいく。
あの甲高い叫び声を発声しながら抵抗虚しく飲み込まれていった。
なんだその最強の技は、俺より全然強いじゃないか?
『え……えっと、《ファントムアビス》はエレナ選手の影に飲まれたため、ここで試合終了ォォォォ。 Sランクモンスターを倒されるのは果たして何年ぶりか、これは今後歴史に刻まれることになるでしょう!! 観客席の皆様、今日ここに英雄が誕生しました! 祝福ということで、大きな拍手を致しましょう!!』
パチパチパチッ───
「主様~♡ エレナやったよー!! 」
モニター越しに嬉しそうな彼女の顔が映っている。
エレナの強さは分かった。
会場もこれ以上ない盛り上がりを見せている。
すごいことだけども、何か忘れてないだろうか。
あと4人もの挑戦者がいることを。
あぁ、この後余計に戦いにくいじゃない……
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