無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流

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2章 魔術対抗試験編

いよいよ出番がまわってきた

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 そしていよいよ俺の出番。
 魔力対抗試験の準備運動程度に思っていたが、レオンとの約束のせいで負けられない戦いになってしまった。

 入口を抜けると、陸上競技場のような広い土地が円状に広がっており、魔法を受けても大丈夫そうな強固な壁が競技場を囲っている。
 その壁の上には観客席、まぁほとんど陸上競技場みたいな作りになっているようだ。

『いよいよ試験も終盤に差し掛かっておりますゥゥ!! 次なる挑戦者はどのようなドラマを見せてくれるのでしょうかァァァ!! 6番目の挑戦者、春陽選手だァァァァ!!』

 ウォォォォォ───
 パチパチパチッ───

 モニター越しだけでは感じきれなかった拍手と声援が聞こえてくる。
 こんなすごいところであいつらは試験を受けていたのか。
 少し……いや、めちゃくちゃ圧倒された。
 しかし負けるわけにはいかない。

『さぁ春陽選手!!! もうすでにお馴染みのCランクモンスター《シャドウワーム》だァァァ!! ……っとレオン選手に引き続き春陽選手も手を挙げて何か言おうとしています!!!』

「あの……Aランクモンスターまでまとめて出してください!」
 まぁそんなに急ぐ必要はないのだが、これからもレオンが俺たちにちょっかいをかけてこないとも限らない。
 この辺りで実力差を見せておくのも悪くないだろう。

『えーっと……全て出すというのは今まで聞いたこともありません!!! ルール上不可能ではないですが、春陽選手! あなたが不利になるだけだと思いますが、本当によろしいのですか? 』

「はい、大丈夫で~す! 」
 おれは解説者リリアンに見えやすいように頭の上に、腕で大きな丸を作って返事をした。

『またまた前代未聞!! 今日は一体どうなっているゥゥ!!!  彼の言う通り、Aランクモンスターまでの全てのモンスターを闘技場へ解放させましたァァァ!! さて春陽選手どーする!!』

 目の前には先程までモニター越しで見ていたシャドウワーム、ブレイズハウンド、ストームワイバーンが揃っている。
 そして俺をまるで獲物を見るかのような目で睨みつけてくる。
 俺はこのモンスター達をどう倒すか、先程レオンと会話した時から決めていた。
 いつものように身体中に魔力を取り込んで、心の中で使いたい魔法をイメージして魔力と対話を行う。
 これは実際対話出来ているのか分からないが、そのイメージの魔法と魔法名がすっと頭に入ってくるのだ。
 そして今もその感覚が身体を走り、魔法名を詠唱した。

「炎神級魔法【  ディヴァイン・イグナイトノヴァ⠀】」

 すると俺の足元から螺旋を描くように、徐々に闘技場の地面を青い炎が広がっていった。
 その炎は生きているかのように自由に地を這ったり、飛び跳ねたりとしている。
 そして闘技場内に存在するモンスターを見つけると共に食らいつき、青い炎が張り巡らされている地へと引きずり込む。
 宙を舞っているストームワイバーンも例外なく。

『……あれが神級魔法なの……!? ……っとすみません少し言葉を失ってしまいましたが、勝者春陽選手ゥゥゥゥ!!! 神級魔法など見たこともないので判断つきませんが、これ以上強い魔法に出会ったことがありませんッッッッ!!!  』

 ウォォォォォ───
「すごいなぁお前!!」「かっこいい!!!」
 観客席から色とりどりの声援が聞こえてくる。

 とりあえず魔法が成功してよかった。
 レオンが俺の前に魔法を使ってくれたおかげで、中級、上級、聖級の威力が分かっていた。
 それ故にイメージができた。
 そしてただモンスターを倒すのではなく同じ属性の魔法で尚且つ上位の魔法を使うことでアイツの心をへし折る。
 そう決めていたのだ。

 鳴り止まない声援の中、解説者リリアンは、
『盛り上がってる中、大変申し上げにくいのですが、Sランクモンスターがただいま準備出来ておりません……』

 えぇぇぇぇぇぇ───
 ブゥゥゥゥゥゥ───

 観客からもブーイングの嵐。
 俺だって困る。
 これではレオンとの賭けに勝ったとは言えない。
 さてどうしようか。

 『えーっ……現在本部に相談させて頂いておりますが……春陽選手の実力を見込んで、Sランク冒険者とするか、もしくは実験段階ではありますが、Sランクモンスターの中でも上位の……いや、もしかすると存在しない階級ではありますが、SSランク級の実力を兼ね備えているモンスター《セラフィックドラゴン》と決戦して頂くかになりますが……春陽選手!どうなさいますか?   』

 これはラッキーな話だ。
 レオンに実力差を見せるこれ以上ないチャンス。
 ただSSランク級というのは気になるが。
 しかし答えは決まっている。

「もちろん受ける!! 」
 俺は当たり前のように返事をした。

 『春陽選手ならそう答えて頂けると思っておりましたァァァ!! しかし相手はSSランク級、春陽選手と言えども危険と判断した時には降参してください!! では用意できたようなので始めましょう!!! 春陽選手の挑戦です!!』

 実況が終わると同時に扉が開き、そのモンスターが現れた。
 セラフィックドラゴン……紛うことなき白竜で、聖なるエネルギーを纏っている。
 今まで見てきたSランクモンスターも相当な魔力を宿しており、明らかな強さというものを秘めていた。
 しかしこのSSランク級は少し次元が違う。
 あのモンスターの纏っている魔力と空気中の魔力が同化し、体内へ取り込んでいる。
 空気中の魔力を自分の力とする、どうやらこいつは俺と同種のようだ。
 そんなやつを俺は倒せるのだろうか。
 まぁ、やるだけやるか。

 『試合開始ィィィ!!!  』
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