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2章 魔術対抗試験編
別れの宴
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アーカシス様の領域にお呼ばれした日の夜、本当に突然だが、俺の優勝と旅立ちをかねたパーティが開かれた。
まさか今日の今日とは思いもしなかったが、あの神様ならそうするような気もしていたよ。
会場は魔術学院の大講堂を使って良いとのことだった。
まるでホテルの立食パーティ会場のような場所で、煌びやかな飾りなんかもところどころについてある。
肝心のアーカシス様は、もちろん人前に出れないため、「領域からしっかり見ているよ~ 」だと。
ついでにセレスティアもアーカシス様に捕まってるらしい。
あの2人仲が良いのか悪いのか分からないな。
「転校生! お前もう転校するらしいなっ!! 」
「おお、魔王……じゃなくてライラ、そうなんだよ。 身体はもう大丈夫か? 」
1番最初に声をかけてきた人物としては意外だった。
しかし話を合わせておいたが、ライラの中では俺が魔術学院に転入してきて、早々に転校することになってるらしいな。
「ワシの身体は心配ない! またアルカナに訪れた時には手合わせ頼んだぞ! 」
ライラのまっすぐとした瞳、本気なんだろうな。
「ああ、こっちこそ頼むよ 」
そう言うと、ライラは満足そうに俺から去り、バイキング形式の料理を食べに行った。
こう見ると、めちゃくちゃ美味しそうな料理があるな。
肉料理に魚料理にデザートにと、あまり日本と変わりないようにも見える。
よし、俺も料理食べるか、と思った時、
「……あの、春陽さんですか? 」
突然聞き覚えのない声に呼ばれる。
振り向いてみると、
「うおおっ! めちゃ行列できてるんですが…… 」
「春陽さん……いや春陽様、試合拝見しましたっ! 」
「私はギルド認定試験からファンに! 」
「私もです! 」
知らぬうちに女体盛りができるほどの人数が並んでいる。
いや、そんな如何わしいこと思ってはいけないっ……。
サインでも欲しいのかと思ったがそんなものは持ち合わせていない。
いや違う、皆握手やハグなどを求めてくる。
なんだか会えるアイドルになった気分だ。
しかしここにできた春陽ファンクラブ?の会員は、皆教育が行き届いているのか1列に並び、順番抜かしもなし、1人につき数秒と決まっているかのような回転スピードで交代している。
だがさすがにこの量を相手していくのは疲れてきた。
これ一体何人目なんだ。
次はフードを被った金髪の女性だ。
「えっと……じゃあ握手……かな? 」
俺は彼女に手を差し出すと、
「……こっち 」
「うわぁぁっ ! 」
彼女は俺の手を引き、会場を走り去っていった。
ファンクラブ会員達は初めものすごい形相で追いかけてきたが、この子の走る速度が速すぎて、もう1人もついてこれていない。
「あの……どこまで走るんでしょうか? 」
「そうね、この辺かしら」
パーティ会場を出て、学院の外まで来てしまった。
人通りがないことを確認して彼女はフードを下ろした。
「セリア!? なんでこんな真似を? 」
なんとなく髪の色や体格、声色でそんな気もしていた。
「いや、こうでもしないとあなたと話ができないなと思ってね…… 」
セリアがこんな大胆なことをするとは思わなかった。
俺のイメージではもっとクールビューティで余裕のある女性という感じだ。
「……あなたにはお礼を言いたくて 」
「お礼? 」
第3試験のことだろうか。
「第3試験では助けてくれてありがとう! それと見苦しいところを見せたわね 」
お礼を言い慣れてないのか、少し恥ずかしそうだ。
そしてツンデレのデレたような表情をしている。
初めて会った時は孤高のプライドを持っていたイメージだったが、だいぶ性格も素直に変わったような気がする。
「本当に助かった。 あなたは私の……いや、ウィスパー家の恩人です 」
「そんな大層なことしてないよ 」
「昔、親にね、怖い話を聞かされていたの。 ウィスパー家を恨んでる魔族が200年アルカナに潜んでるって。きっとそれがあのヴォルガンって男。 だから私あいつが第3試験に現れた時恐ろしくて手も足も出なかった。震えも止まらなかった。 だからあの場で助けてくれたあなたにはとても感謝してます。 謙遜なんてしないで 」
そう言われると素直に感謝の気持ちを受け取るしかないな。
「ああ、どういたしまして。 また困ったらなんでも言ってくれ。 俺らもう友達だし 」
「……友達? 」
「え、ああ 」
「ううっ……うっ……」
セリアは嗚咽を堪えるようにし、涙を流している。
やばい、友達なんていらんことを言ってしまったか。
「……え、えっとセリア……? 」
「……ごめん、今まで誰にも頼らず生きてきたし、親にもそう育てられたからハルの言葉が嬉しくて。 それに友達……っていい響きね 」
その時セリアが目を腫らしながらも、子供のような無邪気な笑顔を俺に向けてくれた。
普段は強がっているたくましく見える彼女だが、もしかしたら素は無邪気で可愛い女の子なのかもしれないな。
まさか今日の今日とは思いもしなかったが、あの神様ならそうするような気もしていたよ。
会場は魔術学院の大講堂を使って良いとのことだった。
まるでホテルの立食パーティ会場のような場所で、煌びやかな飾りなんかもところどころについてある。
肝心のアーカシス様は、もちろん人前に出れないため、「領域からしっかり見ているよ~ 」だと。
ついでにセレスティアもアーカシス様に捕まってるらしい。
あの2人仲が良いのか悪いのか分からないな。
「転校生! お前もう転校するらしいなっ!! 」
「おお、魔王……じゃなくてライラ、そうなんだよ。 身体はもう大丈夫か? 」
1番最初に声をかけてきた人物としては意外だった。
しかし話を合わせておいたが、ライラの中では俺が魔術学院に転入してきて、早々に転校することになってるらしいな。
「ワシの身体は心配ない! またアルカナに訪れた時には手合わせ頼んだぞ! 」
ライラのまっすぐとした瞳、本気なんだろうな。
「ああ、こっちこそ頼むよ 」
そう言うと、ライラは満足そうに俺から去り、バイキング形式の料理を食べに行った。
こう見ると、めちゃくちゃ美味しそうな料理があるな。
肉料理に魚料理にデザートにと、あまり日本と変わりないようにも見える。
よし、俺も料理食べるか、と思った時、
「……あの、春陽さんですか? 」
突然聞き覚えのない声に呼ばれる。
振り向いてみると、
「うおおっ! めちゃ行列できてるんですが…… 」
「春陽さん……いや春陽様、試合拝見しましたっ! 」
「私はギルド認定試験からファンに! 」
「私もです! 」
知らぬうちに女体盛りができるほどの人数が並んでいる。
いや、そんな如何わしいこと思ってはいけないっ……。
サインでも欲しいのかと思ったがそんなものは持ち合わせていない。
いや違う、皆握手やハグなどを求めてくる。
なんだか会えるアイドルになった気分だ。
しかしここにできた春陽ファンクラブ?の会員は、皆教育が行き届いているのか1列に並び、順番抜かしもなし、1人につき数秒と決まっているかのような回転スピードで交代している。
だがさすがにこの量を相手していくのは疲れてきた。
これ一体何人目なんだ。
次はフードを被った金髪の女性だ。
「えっと……じゃあ握手……かな? 」
俺は彼女に手を差し出すと、
「……こっち 」
「うわぁぁっ ! 」
彼女は俺の手を引き、会場を走り去っていった。
ファンクラブ会員達は初めものすごい形相で追いかけてきたが、この子の走る速度が速すぎて、もう1人もついてこれていない。
「あの……どこまで走るんでしょうか? 」
「そうね、この辺かしら」
パーティ会場を出て、学院の外まで来てしまった。
人通りがないことを確認して彼女はフードを下ろした。
「セリア!? なんでこんな真似を? 」
なんとなく髪の色や体格、声色でそんな気もしていた。
「いや、こうでもしないとあなたと話ができないなと思ってね…… 」
セリアがこんな大胆なことをするとは思わなかった。
俺のイメージではもっとクールビューティで余裕のある女性という感じだ。
「……あなたにはお礼を言いたくて 」
「お礼? 」
第3試験のことだろうか。
「第3試験では助けてくれてありがとう! それと見苦しいところを見せたわね 」
お礼を言い慣れてないのか、少し恥ずかしそうだ。
そしてツンデレのデレたような表情をしている。
初めて会った時は孤高のプライドを持っていたイメージだったが、だいぶ性格も素直に変わったような気がする。
「本当に助かった。 あなたは私の……いや、ウィスパー家の恩人です 」
「そんな大層なことしてないよ 」
「昔、親にね、怖い話を聞かされていたの。 ウィスパー家を恨んでる魔族が200年アルカナに潜んでるって。きっとそれがあのヴォルガンって男。 だから私あいつが第3試験に現れた時恐ろしくて手も足も出なかった。震えも止まらなかった。 だからあの場で助けてくれたあなたにはとても感謝してます。 謙遜なんてしないで 」
そう言われると素直に感謝の気持ちを受け取るしかないな。
「ああ、どういたしまして。 また困ったらなんでも言ってくれ。 俺らもう友達だし 」
「……友達? 」
「え、ああ 」
「ううっ……うっ……」
セリアは嗚咽を堪えるようにし、涙を流している。
やばい、友達なんていらんことを言ってしまったか。
「……え、えっとセリア……? 」
「……ごめん、今まで誰にも頼らず生きてきたし、親にもそう育てられたからハルの言葉が嬉しくて。 それに友達……っていい響きね 」
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