無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流

文字の大きさ
90 / 129
4章 ナイトフォール編

魔族神の後継者

しおりを挟む


「話すっつっても大した話じゃねぇが、エレナ以外の家族は今のマルコスの指示によって殺されている。 そして、俺も同様に殺された……はずだったんだ   」

 今のマルコス? 
 というと、あのアークスカイで会ったマルコス以外にもいるということか?

 そのままゼフィールは続けた。

「お前たちからしちゃ関係ないくらい昔の話だが、魔力抗争が集結した200年前、俺たちクロノウィスパー家は魔族へと寝返った。 理由は単純明快、上の判断だ  」

「ウィスパー家の寝返りを許したのはもちろん、魔族神のマルコス・グリモアハート。 それからずいぶん経ち、ウィスパー家もだいぶ魔族に馴染んできていた頃、突然魔族神が亡くなり、後継者が現れた。 それが今の魔族神マルコス・グリモアハートってわけだ。」

「名前が一緒?  ティアは知ってたのか?  」

「えっ!? ボクは直接魔族神と会ったことないからそこまでは知らなかったよ。 ボクらと魔族神は敵対関係に会ったからね  」

 ティアはまさか自分に振られると思わなかったのか、少し焦ったような様子でそう答えた。

「話を続けるぞ。 魔族神はそいつがどんな名前でも継いだものはマルコス・グリモアハートと名乗るらしい。 ただその後継者が厄介で、純血の魔族じゃないと認めないなんて言い始めた。 やつは当時のダークオーダーを指揮して、内密に寝返ったウィスパー家を消していったんだ  」

「なんて……ひどいっ! 」
 普段穏やかなミアでさえ顔が真っ赤になるほど頭に血が上っているようだ。

「あぁ、俺がもっと早く気づいていれば……。  もうその頃にはもう半分近くの仲間が消された後で、俺の家族だって――っ! 」

 ドンッ――

 ゼフィールはテーブルに両手を叩きつけた。

「くっそ! すまん。 あの時のことを思い出すとっ!   」

「ボ、ボクの方こそ、そんなに辛いこと語らせることになってしまってごめんよ  」 

 ティアは申し訳なさそうに肩を落とし、俯いている。 

「いや、こちらこそ取り乱して悪かった。 続き聞くか? 」

 俺たちは仲間内で顔を見合せた。
 ミアとティアは首を横に振っている。
 きっとゼフィールのことを気遣ってだろう。
 そして、それをみたカイルも同じように首を振った。 

 結論は決まったが、一つだけどうしても気になることがある。
 申し訳ないとは思うが、それだけは確認したい。

「いや、ゼフィール今日はよそう。 だけど、あと一つだけいいか? 」

「お~どうした? 」

「エレナのことだ。 あの娘だけ生き残ったことと、今回連れ去られたことは関係あるのか? 」

「……あぁ。 おそらく  」

「ありがとう、ゼフィール! 今日はゆっくり休んでくれよ! 」
 なるほど。
 理由はいくつか思い当たるが、これは憶測に過ぎない。
 それなら確信となるまで、口にしない方が良いだろう。

「お前ら……こっちこそありがとう。 久しぶりに過去の話したからちょっと疲れたみたいだ。  シャドウバレーへの転移門の件、明日でもいいか? もう夜も遅いし、泊まっていけ! 」

 もちろん泊まらせてもらえるのはありがたい
 しかしここが今、夜かどうかも分からないんだけど。

 そう思っていると、
「……そもそも今、夜なのか?  ずっと真っ暗だから全くわからんっ!! 」
 俺の心情をカイルが代わりに聞いてくれた。

 なんか空気的にそんなこと聞くのも……。
 って思っていたからカイル、ナイスだ。

「はははっ! そりゃそうだっ! ここに24時間刻みの時計があるだろ? これで分かる! 」

 さすがに昼も夜も分からないんじゃいつ寝ていいのか分からないもんな。
 ここの人達はこの時計を使って生活しているのか。

 そしてその時計を見ると、

「たしかに、夜の時間か  」

「な? ってことだ。 明日に備えて寝るぞ  」

 ゼフィールのその一言で、俺たちは各自、眠りにつくことにしたのだった。
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】 異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。 『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。 しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。 そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい

桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

処理中です...