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第6章
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会場に向かう道中で、対戦相手が聞こえないくらいの音量でボツボツ言っている。聞き取ろうとしても聞こえない。
ーこいつは、何を言っているんだ。
剣吾は心中で思ったが、口に出さなかった。
会場に着くと、大男と首領の応援の声がしっかりと聞こえてくる。力を入れて応援してくれている事がないため、身に沁みて感じる。
対戦相手の武器は木槍である。対する剣吾は、木刀を持っていた。槍は間合いに入れば勝ちと思っていた。しかし、今回の対戦相手は違った。右手に木槍、左手に小刀くらいの木刀を持っているのが分かった。間合いに入れても、左手の木刀で攻撃を受けてしまう。どうすれば勝てるか必死で考える。
対戦相手は、その考える時間を与えない。合図が出れば、すぐに攻撃を仕掛ける。
「クッ、クソッ........。勝つ方法を考えるのが精一杯すぎて、攻撃を仕掛ける事が出来ない」
剣吾は、ひたすら防御する。
今は、それしかなかったのである。相手の隙が出た瞬間に攻撃を仕掛けようと考えたが、一向に隙が出ない。スピードが早すぎて防ぐのが、やっとであった。
何事にも冷静に考えたら、勝つ方法はある。と自分に言い聞かせるが、その余裕すらない。2人の木刀が交わった。
「君には攻撃を仕掛ける事は出来ない」
「今はな。だが、必ず勝ってみせる」
「では、その自信満々を潰して見せましょう」
「ふん、やれるものならやって見やがれ」
剣吾は相手の槍ごと振り払う。
敵は一旦後方へと下がり、そこに態勢を整えた剣吾が撃ちに入る。このスピードに驚いた相手は、今回の大会初の攻撃を受けてしまう。
「クッ........なかなか、やるじゃねぇか」
「お前もな」
2人は強い相手に巡り会えた事が嬉しく感じていた。第3者から見れば、楽しそうに対戦している。そういう風に感じる者が多かった。
勝つためにお互い必死である。
「良い名案が浮かんだぜ」
「それは何だ。負けた方は勝った方の家来になる。これでどうだ?」
「ハハハ、良いね。その話乗った!」
剣吾は笑顔で言うと、今まで以上にスピードを速めたのである。これに合わせるかのように、相手もスピードを速める。一進一退の勝負であった。
「この勝負は若様が勝つ」
「首領、何故そう思った」
「若様には隙がありすぎる。しかし、裏を返せばどうなる?」
「隙がありすぎる若様に一撃を食らわせようとする」
「なるほどな。それが本当なら、10歳なのに凄いぜ」
「将軍様の息子だから、強くて当然だ」
「だな。今回は俺達は応援するしかないな」
首領の言葉通りに事が運ぶ事になる。
隙がありすぎる剣吾目掛けて、相手は渾身の突きをする。若は、その槍を手で掴み木刀で攻撃を仕掛けるが、相手の木刀で防がれる。すかさず、剣吾は相手を足で転ばせる。
転んだ相手に剣先を向けたのであった。
「クッ...........。俺の負けだ」
剣吾は笑いながら相手に手を差しのべる。その手を掴み、起き上がった敵は笑顔になる。
「約束通り、俺は君の家来になろう」
「家来なんて要らないよ。俺の同盟者?見たいな感じで良いよ!」
「ハハハ、了解!」
「それよりも名を聞いてなかった」
「俺の名は左衛門という」
「俺は剣吾だ、よろしくな!」
剣吾と左衛門は、まるで友達かのように仲良く待機場所へと向かうのであった。それを見ていた首領と大男は驚く。
人を寄せ付ける力がある。と見抜いたのである。
「家来は何人居てるのだ?」
「賢太郎と韓栄と黄山の3人と、大男と首領だから5人くらいだな!」
「って事は、俺を入れて6人という事かぁ。それよりも、大男と首領って何だ?」
「大男と首領は亡くなった父上の元部下で、大男は元副将軍、首領は忍者の頭領なんだ」
「めっちゃ心強い味方だな」
「そうだろ。めっちゃ心強いんだ」
待機場所へと着いた2人の元に、賢太郎達が寄って来る。仲良さそうに歩いて来た2人を見て驚いていた。
「その隣さんは誰?」
「今日から俺の部下になった左衛門だ」
「皆さん、よろしく!」
韓栄達は頭を下げる。
新しい仲間が増えた事に喜んでいる5人の元に、首領と大男がやって来る。近づいて来る2人に警戒心を抱く左衛門。
「貴様ら2人何者だ」
「怪しい者ではございません。剣吾様の部下で、ございますので.......」
「えぇ~~~~!」
首領が答えると、左衛門は驚く。
彼が驚くのも無理はない。大男は現代で言う力士のような体型をしており、首領は力士ほどではないが、しっかりとした体型をしている。
「剣吾、さっき言っていたのは本当だったんだな」
「あぁ、だから言っただろ?」
左衛門は未だに驚いてる。
決勝戦が始まるまでは時間がある。それまでは、ゆっくりしようとする剣吾。しかし、稽古をさせようと注意をする首領と大男の2人。
「少し休ませてくれよ」
「若様、武将を目指す者、武士たる者は如何なる時も稽古を忘れてはいけません」
「少しは休まないと、決勝戦負けるぜ?」
「それは、そうですが.........」
剣吾は稽古もせず、決勝戦に上がる事になったのである。次の対戦相手は、韓栄に勝った者と対戦するため、仇討ちをしないと。と力が入る剣吾。
ーこいつは、何を言っているんだ。
剣吾は心中で思ったが、口に出さなかった。
会場に着くと、大男と首領の応援の声がしっかりと聞こえてくる。力を入れて応援してくれている事がないため、身に沁みて感じる。
対戦相手の武器は木槍である。対する剣吾は、木刀を持っていた。槍は間合いに入れば勝ちと思っていた。しかし、今回の対戦相手は違った。右手に木槍、左手に小刀くらいの木刀を持っているのが分かった。間合いに入れても、左手の木刀で攻撃を受けてしまう。どうすれば勝てるか必死で考える。
対戦相手は、その考える時間を与えない。合図が出れば、すぐに攻撃を仕掛ける。
「クッ、クソッ........。勝つ方法を考えるのが精一杯すぎて、攻撃を仕掛ける事が出来ない」
剣吾は、ひたすら防御する。
今は、それしかなかったのである。相手の隙が出た瞬間に攻撃を仕掛けようと考えたが、一向に隙が出ない。スピードが早すぎて防ぐのが、やっとであった。
何事にも冷静に考えたら、勝つ方法はある。と自分に言い聞かせるが、その余裕すらない。2人の木刀が交わった。
「君には攻撃を仕掛ける事は出来ない」
「今はな。だが、必ず勝ってみせる」
「では、その自信満々を潰して見せましょう」
「ふん、やれるものならやって見やがれ」
剣吾は相手の槍ごと振り払う。
敵は一旦後方へと下がり、そこに態勢を整えた剣吾が撃ちに入る。このスピードに驚いた相手は、今回の大会初の攻撃を受けてしまう。
「クッ........なかなか、やるじゃねぇか」
「お前もな」
2人は強い相手に巡り会えた事が嬉しく感じていた。第3者から見れば、楽しそうに対戦している。そういう風に感じる者が多かった。
勝つためにお互い必死である。
「良い名案が浮かんだぜ」
「それは何だ。負けた方は勝った方の家来になる。これでどうだ?」
「ハハハ、良いね。その話乗った!」
剣吾は笑顔で言うと、今まで以上にスピードを速めたのである。これに合わせるかのように、相手もスピードを速める。一進一退の勝負であった。
「この勝負は若様が勝つ」
「首領、何故そう思った」
「若様には隙がありすぎる。しかし、裏を返せばどうなる?」
「隙がありすぎる若様に一撃を食らわせようとする」
「なるほどな。それが本当なら、10歳なのに凄いぜ」
「将軍様の息子だから、強くて当然だ」
「だな。今回は俺達は応援するしかないな」
首領の言葉通りに事が運ぶ事になる。
隙がありすぎる剣吾目掛けて、相手は渾身の突きをする。若は、その槍を手で掴み木刀で攻撃を仕掛けるが、相手の木刀で防がれる。すかさず、剣吾は相手を足で転ばせる。
転んだ相手に剣先を向けたのであった。
「クッ...........。俺の負けだ」
剣吾は笑いながら相手に手を差しのべる。その手を掴み、起き上がった敵は笑顔になる。
「約束通り、俺は君の家来になろう」
「家来なんて要らないよ。俺の同盟者?見たいな感じで良いよ!」
「ハハハ、了解!」
「それよりも名を聞いてなかった」
「俺の名は左衛門という」
「俺は剣吾だ、よろしくな!」
剣吾と左衛門は、まるで友達かのように仲良く待機場所へと向かうのであった。それを見ていた首領と大男は驚く。
人を寄せ付ける力がある。と見抜いたのである。
「家来は何人居てるのだ?」
「賢太郎と韓栄と黄山の3人と、大男と首領だから5人くらいだな!」
「って事は、俺を入れて6人という事かぁ。それよりも、大男と首領って何だ?」
「大男と首領は亡くなった父上の元部下で、大男は元副将軍、首領は忍者の頭領なんだ」
「めっちゃ心強い味方だな」
「そうだろ。めっちゃ心強いんだ」
待機場所へと着いた2人の元に、賢太郎達が寄って来る。仲良さそうに歩いて来た2人を見て驚いていた。
「その隣さんは誰?」
「今日から俺の部下になった左衛門だ」
「皆さん、よろしく!」
韓栄達は頭を下げる。
新しい仲間が増えた事に喜んでいる5人の元に、首領と大男がやって来る。近づいて来る2人に警戒心を抱く左衛門。
「貴様ら2人何者だ」
「怪しい者ではございません。剣吾様の部下で、ございますので.......」
「えぇ~~~~!」
首領が答えると、左衛門は驚く。
彼が驚くのも無理はない。大男は現代で言う力士のような体型をしており、首領は力士ほどではないが、しっかりとした体型をしている。
「剣吾、さっき言っていたのは本当だったんだな」
「あぁ、だから言っただろ?」
左衛門は未だに驚いてる。
決勝戦が始まるまでは時間がある。それまでは、ゆっくりしようとする剣吾。しかし、稽古をさせようと注意をする首領と大男の2人。
「少し休ませてくれよ」
「若様、武将を目指す者、武士たる者は如何なる時も稽古を忘れてはいけません」
「少しは休まないと、決勝戦負けるぜ?」
「それは、そうですが.........」
剣吾は稽古もせず、決勝戦に上がる事になったのである。次の対戦相手は、韓栄に勝った者と対戦するため、仇討ちをしないと。と力が入る剣吾。
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