天威矛鳳

こーちゃん

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第25章

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洞窟を越え、本拠地を包囲する皇鳳軍。
だが、本拠地に攻め入る入口は西門と東門の2つのみ。門に通じる橋は狭く、一気に攻め落とすのは難関な場所であったため、王子は、すぐに武将は本陣へ呼び寄せ軍議を開く事にしたのである。
武将達は、静まり返っていた。何も良い策が見つからない。

「熊山将軍、剣十郎殿。何か良い策はござらんか?このままでは、我々の兵糧が尽きてしまう」

「申し訳ございません。何も良い策が見つからないのでございます!」

「俺も熊山将軍と同意見です」

「王子様、俺に策がございます」

「そなたは?」

「俺は剣十郎様の部活であり、軍師を務めている賢太郎と申します」

「分かった、申してみよ!」

「はっ!まず敵は掘りに囲われており、攻め入る橋も狭いため、攻め落とすのは兵を失うだけでございます」

「では、如何がすれば良い?」

「はっ!近くには川や湖などがございます。それらを使い、水攻めを仕掛け、敵が降参するのを待つのです」

「なるほど、それは良い策だ!熊山将軍、剣十郎殿。すぐに実行せよ!」

「はっ、承知致しました」

皇鳳軍は即座に動き出し、水を塞き止めるのが騎馬民族にバレないように矢を放っており、一方の工作部隊は上流で止めていた。
夜になると、剣吾は韓栄の策を取り入れ、味方に交代で太鼓を鳴らすように指示を出す。
敵は太鼓の音で寝れず、襲撃に備える。これを毎晩していた為、次第に騎馬民族達に疲れが見え始める。
本拠地を包囲してから、約2週間が経過した時、本陣に工作部隊が帰って来た。すぐに王子の元へと向かい報告。

「待っておったぞ!誰かおらぬか?」

「はっ、お呼びでしょうか?」

「すぐに、剣十郎隊長と熊山将軍を呼んで参れ!」

「はっ、承知致しました」

すぐに剣十郎と熊山将軍の陣地へと、伝達兵が向かう。
報告を聞いた2人は、王子の陣に入り、椅子に座る。最終会議を開こうとしていた。

「先程、工作部隊が帰って来た。塞き止めるが完成したそうだ!」

「ついに出来ましたな!」

「決壊するのは、いつにする?」

「はっ、本日雲行きが怪しく雨が降る可能性が高いと思われます。よって、状況を見ながら決壊するのが良いかと」

「俺も熊山将軍の意見に賛成です」

「よし、では決壊の合図は剣十郎の軍師を務めている賢太郎に任せる」

「はっ、有り難きお言葉に存じます」

「そして、もう1つある。剣十郎、毎晩太鼓を鳴らしているのは何故だ?」

「はっ、敵軍を寝らせない為でございます。睡眠不足となれば、必ず士気が下がります!」

「なるほど、よく分かった。引き続き太鼓を鳴らすのだ!」

「はっ、承知致しました」


それから数時間が経過し、雨は全てを押し流すほど凄まじく降り始める。周りの音が聞こえずらい。
すぐさま、剣十郎と熊山将軍は王子に決壊の許可を貰いに本陣へと赴く。すると、彼は2人が来るのを待っていたかのように彼らの手を握る。

「そなた達が来るのを待っていた。決壊の許可を出せば良いか?」

「はっ、左様にございます!」

「では、決壊の許可を下す」

王子から許可を貰った剣十郎と熊山将軍は、工作部隊長を呼び、決壊するように指示を出す。
その日の晩、工作部隊は堤防を決壊。水流は一気に騎馬民族の本拠地目掛けて、流れ出す。城内や兵糧庫にも水が流れ、約1年分の兵糧は水浸しとなってしまった。水攻めを受けた敵軍は、一気に戦意喪失し、次々と夜逃げする者が続出。
3日の間に3千余りが逃亡していた。皇鳳軍との兵力差は、約2千余りとなる。
その翌日、騎馬民族は皇鳳軍に降伏。頭曼と副頭4人を捕虜として捉え、都城へと帰って行く。
だが、その道中に皇鳳軍は山賊の襲撃に遭ってしまうが、力の差を見せつけ大勝する。
無事に都城へと到着し、王子はすぐさま王宮へ剣十郎と熊山将軍と共に向かう。

「後ろに連れてるのは、騎馬民族か?」

「あぁ、絶対にそうだ!」

「だが、約束の3日以内には落とせなかったな!」

「それでも半月以内に降伏させ、兵糧や武器など国力を使う物は、全て奪回した城で賄ったそうだ!」

「次期の国王様は、あの方だな!」

大臣達は、そういう噂を立てる。
王宮前へと到着した王子一行は、宦官に取り次ぎをして貰い、すぐに王から謁見の許可が下りる。
宦官は扉を開け、王子達を中へと通す。玉座のある部屋に入る前に一礼してから入り、王の前で座る。

「王子よ、よくぞ参った!長旅ご苦労であったぞ。屋敷に戻り、3日程休憩せよ!」

「はっ、有り難きお言葉。1つ報告があります。騎馬民族を半月以内に降伏させ、国力を使う物は全て奪回した城で賄いました!」

これを聞いた国王は驚く。
初陣で、いきなり敵国を滅亡させた王子を褒め称える。それを支えた剣吾や熊山にも、褒美を取らせた。
王子達は、王宮から出る。

「剣十郎、熊山将軍。今宵は宴を開こうではないか!父上様からの許可も下りておる。それについては心配するな!」

「はっ、有り難き幸せにございます」

「そなた達の側近も連れて参れ!」

剣吾、熊山は、それぞれ屋敷へと戻り、王子の屋敷に向かう為の準備で忙しかったのである。
しかし、陰で妬む者が出てきていた。だが、その者達の存在を王子、剣吾、熊山は、まだ知らない。
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