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2章-3節. ヘルデス家の争族を切り抜けた私は…
17.友に諭して聞かせます。
しおりを挟む「じゃあ、暫くの宿が決まった所で……もう少し寝て来て良いかな?」
「あぁ、もちろんだ。ゆっくり休んでくれ。」
「それじゃ、おやすみ。(バタン)」
「あぁ、おやすみ。」
火事による心理的疲労は思ったより後を引く。のんびりしてくれれば幸いだ。
「さて、(スクッ)と。」
「ん?」
「アレク、エリックの事は頼むわ。」
「えっ?あ……あぁ、任せろ。」
「なんだ?泊まっていかないのか?」
「あぁ、俺には別に下宿先があるし、流石にそこまで世話にはなれねぇよ。それに、この後予定もあるしな。」
「……そうか、わかった。」
てっきり、この流れでヴラド も泊まって行くのかと思ったけど……まぁ、オルブも一泊したら帰って行った訳だし"仲良くなる=同居“とは限らないよな。
てか、冒険者にはそういうジンクスでもあるのだろうか?
「昼食ご馳走さん。また食いに来ても良いか?」
「もちろん。いつでも歓迎するよ。因みに、これからの予定は?」
「冒険者ギルドに依頼を受けに行こうと思う。」
「今から樹海に降りるのか?」
「いや、今日受注して明日降りようと思ってる。」
「じゃあ、私も一緒に行って良いか?」
「構わねぇけど、お前も依頼を?」
「いや、ちょっと薬草の買い取りをしてもらおうと思ってね。」
「…………なるほど。」
一体、何を納得したのだろうか。
「それじゃあ玄関前で待ってるから準備出来たら声を掛けてくれ。」
「あぁ、わかった……ってヴラド ?まさかその格好で行くつもりじゃ……」
「え?別に今日は樹海に降りるつもりないし、これで良いだろ。」
「いやダメだろ。」
私が貸した服、ほぼ肌着なんだけど。
「つっても、俺の装備は…」
「私の私服を貸すからそれを着ろ。」
「いや、流石に大袈裟じゃ…」
「それじゃあ、カンナさんに見繕って貰うか?」
「ありがたく借りる事にする。けど、せめて着る服は俺に選ばせろ。」
「わかった。好きに選んでくれ。」
効果的面だな。
「(ガチャッ)……はー……面倒だ。(バタン)」
こいつ……隠す気はあるのだろうか?いや、こういう態度の方が案外バレないんだろうな。
「アレク、さっきの放火の犯人について話がある。」
唐突に、テルマが話を切り出した。
……いや、ヴラド とエリックが席を外すのを待っていたんだろうな。
「お前なら薄々勘付いているかもしれないが、ヘルデス家の他にも大図書館を燃やす動機のある貴族がいる。もしかしたら、ヘルデス家の騒ぎに便乗して本を燃やそうとしたのかもしれない。だとすれば……」
「テルマ」
「っ……」
「だとしても……例えそうだったとしても、今回の火災はお前のせいじゃない。その貴族達を下手につついた私の責任だ。」
「けどそれは…」
「少なくとも、お前は私のために火に飛び込んだ。そして、お前のお陰でエリック達を助け出すことが出来た。誰かの為に行動して、誰かを助けた奴を咎める資格なんて私は持ってないし、持ちたいとも思わない。」
「………」
そう。資格なんてない。誰であろうと、私が認めない。
そもそも、連中の馬鹿さ加減を甘く見ていた私の責任だ。私は、私の出来る形で償おうと思う。けど……それとは別に………
「だから、もう自分を責めるな。これは師匠としての命令ではなく、友としてのお願いだが、聞いてくれるか?」
「……あぁ、わかった。もうクヨクヨするのはやめる。」
少しでも、友の罪悪感を肩代わりしたいもんだな。
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