薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-3節. ヘルデス家の争族を切り抜けた私は…

21.森で通訳を頼まれます。

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《ドッゴォォォォォォォン》

 新調したばかりの昇降機は、轟音を立ててガラクタへと変わった。

「(タッ…タッ…タッ………シュタッ)……ふぅ、死ぬかと思った。」

 間一髪だったな。あと少しで肉ミンチになる所だった。

「大丈夫か、ヴラド ?」
「………」
「ヴラド ?」
「………生きてるって、素晴らしいな。」
「今回は謝らないからね?」

 緊急事態だったし、結果的に助かったんだから勘弁して欲しい。

「にしてもお前…凄いな。流石アレク。」
「褒めても何も出ないよ。(キョロキョロ)てか、私の事を何だと思ってんの?」
「1000m級の断崖絶壁を生身で登り降り出来る究極のクライマー。」
「それはクライマーなのか?」
「他人事みたいな言い回しはヤメロ。お前の事だからな?」

 冗談を言える位には……何とも無さそうだな。大した度胸だ。

「…よし、この辺りは特に危険は無さそうだし、そろそろ下ろすか?」
「いや、もうちょい……もうちょいだけ待ってくれ。」 
「え?」
「今は…立てねぇ……腰…抜けちまってよ…」
「………そうか。」

 無事では済まなかったみたいだな。

 まぁ、気絶しなかっただけ上等だ。

「じゃあこのまま目的地に向かっても良いか?」
「………頼む。」
「で?何処に迎えば良い?」
「(スッ)……とにかく、森の奥へ……」
「わかった。(スタスタ)」

 森の奥へと歩みを進める。

「そういえば、話の途中だったな。結局お前は何が目的なんだ?」
「あぁ、何とか主の機嫌を直せないかと思ってよ。」
「……そうか。」

 ここでヴラド が討伐するつもりだったなら、直ぐにでも引き返していた所だ。

 主とは即ちそのエリアの頂点に君臨する存在。そもそもが倒せる倒せないの問題ではない。

 少なくとも、私を戦力として考えてないならそれで……ん?

「えっ…と……それなら何故、私は呼ばれたの?」
「そりゃあ、お前は通訳として適任だからな。」
「は?」
「だってお前、動物と話せるだろ?」
「………」

 いつだ?一体、いつ話してるところを見られた??

 初めて会った時?ギルドマスターに会った時?今朝の火事……それとも屋敷に連れ帰った時か???

「やっぱり話せるんだな。」
「あっ…いや……そんな事は……」
「そんだけ動揺してて誤魔化すのは無理がないか?いっそのこと白状しろよ。」
「………いつから気付いてた?」

 この際、直接確認した方が早いな。

「勘だ。」
「………は?」
「何となくそんな気がしたからカマをかけてみたんだよ。まさか本当に話せるとはな。」
「………」

 してやられた。流石Dランク、交渉はお手のものってわけか。故郷の森に引き篭もって人との接渉を避けて来た森番とは重ねた交渉の場数が段違いだ。

 そう考えると、冒険者は商人の次に恐ろしい人種に思えてくるな。

「もし話せなかったらどうするつもりだったんだ?」
「そん時は、交渉決裂して負傷した俺を連れ帰ってくれれば良いと思ってよ。」

 代替案まで万全ってか。

「けど、通訳してもらえるなら話が早い。何とか森の主に話を付けて……」

《その必要はございません。》

「「っ!?」」

 声だ。いきなり脳内に声が響いて来た。

《驚かせてしまい申し訳ありません。人語を発することが出来ませんので、この様な形での対話をお許しください。》

 念話……それもかなり流暢りゅうちょうに話しているな。喉が発声に向いた構造をしていたなら人語くらい容易く操っていただろう。

 だが、驚くべきはそこではない。

“「(ペコッ)」"


 その念話を発しているのが、目の前に居る小さなリスだった事だ。見た目で判断は出来ないな。
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