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2章-4節. 停学期間を折り返した私は…
4.想定外の事態に陥ります。
しおりを挟む「ダメだ。こっちにも居るわ。そっちは?」
「こっちもダメだ。何処から湧いたか、うじゃうじゃと…」
買い出しに出た私とテルマは、狂った奴に追われていたオルブを助けた。そして、危ないのでそのまま商会まで送っていく事にした。
ただ……思ったより時間が掛かっている。
どうやら、さっきの不審者が他の狂った連中まで引き寄せてしまったらしい。他にも、オルブが逃げている道中を見て興味を持った冒険者連中も含めて大勢がこの路地裏に来ている様だ。
「そんなに大勢が僕を……?」
「いいや、全員って訳じゃないだろう。」
「大半は事情も知らない野次馬みたいな連中だと思うよ。」
「え?それなら何知らぬ顔で通り過ぎれば良いのでは?」
「そうもいかねぇんだよ。」
「私たちはちょうど3人組だからな。それでまた噂が再燃したら面倒だ。」
「あー……確かに。」
けど、そうなると避けて通れる道がない。大回りしても、行った先で同じ事を繰り返せば目的地からどんどん遠ざかって行く。
何より、オルブを危険から遠ざけるつもりが逆に危険を招いている様に思えてならない。由々しき事態だ。
「なぁ、いっそどっかの空き家に入ってやり過ごさねぇか?」
「……そうだな。その方が手っ取り早そうだ。」
「この小屋とかどうだ?良い感じに寂れてて……」
「いいや、そこだといざって時に逃げ出せないし、隠れられる所があまり無さそうだ。出来れば二階建ての方が良い。」
「じゃあ……あれとか?」
「……よし、あの小屋にしよう。」
「っ…!誰かが近付いて来る!」
「気付かれた!?」
「わからない。早く入るぞ!」
私たちは、急いで小屋に駆け込んだ。
〈ガチャッ……バタン〉
「「(……ザッザッザッザッ)」」
駆け足の音が近付いて来る。そして…
「「(ザッザッザッザッ…………)」」
……駆け足の音は、立ち止まる事なく次第に遠ざかって行き、やがて聞こえなくなった。
「………よし、通り過ぎてった。」
「やり過ごせたな。」
「念の為、しばらくしてから出るぞ。」
「おう。」
「じゃあ、私は念の為に小屋の中を物色する。外の警戒は任せた。」
「おう、任せろ。」
さ~て、誰も居ないと良いんだけど……
「あの……テルマさん?」
「テルマで良いぞ。どうした?」
「はい。先ほどから気になってたんですが……何故見えもしない所の状況がわかるんですか?」
「あぁ、それは俺の従魔のお陰だな。」
「従魔?」
「ハクレン。ご挨拶だ。」
“「(モワモワモワ……)」“
「あっ…さっきの煙って、テル…マ!の従魔だったんですね。」
噛んだな。まぁ、そのうち慣れるだろう。
「つーか、アレクには聞かなくて良いのか?」
「はい。何というか……そういうものだと考える事にしました。」
「そうか。(ポンッ)賢明な判断だ。」
物凄く不服だけど、口を挟むのは今度にしよう。
よし、取り敢えず人は居なさそう……ん?
「(ヒョイッ)……何だ?これ。」
革紐で括られた紙……いや、ほのかに獣臭があるから羊皮紙あたりか。
「どうした?」
「何か問題ですか?」
「いや、大した事じゃない。そろそろ出発しようか。」
「はい、わかり……っ!?」
オルブが凄い形相になった。
「アレクさん!直ぐにそれを捨ててください!!」
「へ?」
「そのスクロールです!(タッタッタッ)捨ててください!今すぐ!!」
「わ…わかった。(ポイッ)」
「あっ…違っ…!もっと遠くに……」
〈シュルルル…〉
放り投げたことでスクロール…とかいう奴を縛っていた革紐が解けた。
〈ヴォンッ〉
小屋の床いっぱいに円形の模様が広がる。いわゆる魔法陣って奴だ。
そして、直感的に理解した。これ、ヤバい奴だ。
「テルマ!オルブ!早く脱出…」
「ダメです!動かないで!!」
「オルブ?!」
「今動いたら、転移座標がズレます!」
「転移?」
「恐らく、迷宮に転移すると思います!詳しくは後で説明します!!」
「えっ?えっ??どういうこと!?死ぬの?!俺こんな直ぐに死ぬの?!?」
〈ヴォーーーーーーーンッ〉
魔法陣の色が変わった。どうやらその時が来た様だ。
「アレクさん!転移先で僕らを助けてください!!」
本当に、色々とトラブルに巻き込んで申し訳ないな。だが、今必要なのは謝罪ではない。
「わかった!任せろ!!」
謝罪なら、無事に脱出した後ですれば良い。
〈シュンッ…………〉
そうして、私達は2度目の迷宮攻略へと赴く事となった。
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