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1章-1節.薬師の名門ブレルスクに入学した私は…
6.夕方7時までバイトします。
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「………(スタスタスタ)」
今日も、時間を無駄にしてしまった。いい加減『公演』じゃなくて『授業』をして欲しいもんだ。
そろそろ、教員の自慢話ばかり聞くのも限界だ。
そんな私の学園生活にとある変化が訪れて1週間が経った。
その変化のおかげで多少は王都での生活が充実している。それは事実だ。
ただ……新たな学びを得たいという気持ちを満たしてはくれない。
そこで私は、新たな学びを求めて『薬慈院』でアルバイトを始めた。
薬慈院は、前世で言うところの病院のようなものだ。王都では、生活に困窮する学生に向けて社会経験も兼ねた様々なアルバイトが展開されている。これも、その一つという訳だ。
授業はダメ。図書館で自習もダメとなっては、実際に患者との関わりを通して技能を身に付けていくしかないだろう。
というか、座学なら故郷でも出来る。こういう経験こそ、故郷で出来ない勉強だよな。
しかも、この『薬慈院』のアルバイトはブレルスク学園の生徒でなければ出来ないらしい。まさに、特権を活かしていると言えるだろう。
当然、最初から薬の調合やらに関わらせては貰えない。そんなことは百も承知だ。
最初のうちは、先輩方の手伝いをしながら段々と仕事を覚えていく。そうして経験を積みながら一人前となっていく。そのあたりはどこの世界でも同じだろう。
よって、今日も今日とて先輩の手伝いだ。
とは言っても、最近その先輩は見かけてないけれども。
最初の頃は、後ろからあれこれ指図を出していた。だが、3日目辺りから雑務どころか仕事を丸投げして全く来なくなった。
さらに、最近では他の先輩達の仕事も私がやっている。
今では、掃除・洗濯・荷物運び・創薬・患者の介抱etc……十数人で分担していたこれらの仕事を全て、私1人でこなしている。
流石に、これだけの量をワンオペはキツい。
だが、寧ろありがたい所だ。後ろからあれこれ指図されない分、余程やりやすい。しかも、色々な仕事を一頻り経験出来るのも魅力的だ。まぁ、掃除と洗濯は裏技を使ってるからそこまででもないけどね。
「(コンコンッ)」
「入れ。」
そんなこんなで私は今、とある病室前に居る。
「(ガチャッ)こんにちは。」
「(スゥゥ……フゥー)…おお、懲りずに今日も来おったか。」
このタバコを吸っている老人はマサールさん。療養のためにここへ入院したらしい。
「またタバコですか。体に触りますよ?」
「うるさいのぉ。老い先短い年寄りの楽しみを取るでないわい。」
「その割にはお元気そうで。」
「たわけ。貴様が来るうちは、くたばるつもりはないわい。」
私が来なくなっても、くたばる気がしないな。さっさと作業を始めてしまおう。
「おい、何か話をしてみい。」
「唐突ですね。」
「さもなくば、果物を剥け。」
「はい。わかりました。」
こんな風に、今日はこの爺さんの世話をするのが仕事だ。
「(コトッ)出来ました。」
「よし、貴様も食え。」
「いえ……ですから私は…」
「なるほど。身内の盛った毒でわしに死ねという事か。中々悪じゃのぉ。」
「いただきます。(シャクッ)」
こんな感じに、果物を剥くと必ず私にも食べる様に促す。
毒味って体裁はあるけど、規則的にはグレーなんだよな、これ。
「(モシャモシャモシャモシャ)」
「どうじゃ?」
最初のうちは、共犯と疑われないようにやってたんだよなぁ。今やすっかり後に引けなくなってしまった。
てかぶっちゃけ、毒とかはあまり効かない方なんだけど……
「(ゴクンッ)……毒は無いですね。」
色々めんどいのであまり考えないようにした。
「そうか。(シャクッ)」
「あ、食べない方が良いですよ?」
「ん゛ぇ゛っ!?……ゲホッゲホッゲホッ………」
「まだ熟してませんよ、これ。」
「先に言わんかぁっ!!」
「でしたら先に食べないでください。」
「毒は無いっつったろうがぁぁぁっ!!」
「食べられるとは言ってませんね。」
「そもそも!!こんなもんを涼しい顔で食うなぁっ!!」
この爺さん、ほんと元気だな。
因みに、私は故郷の森で木の実やらを試し食いしていたのでこういうのには慣れている。
「……すみません。次からちゃんと顰めっ面します。」
「………」
「……あの?」
キョトンとした様子でこちらを見ている。何かおかしな事言ったかな?
「カァーッ!カッカッカッカッカッカァッ!!そうかそうか!!次から気をつけるか!!」
この爺さん、ほんと毎日楽しそうだな。
「いやぁ、退屈しないのぉ!お陰でもう少し長生き出来そうじゃ。」
「では、次の仕事がありますのでこれで失礼します。」
結論から言って、ここで実学が身につくとは思えない。いい様に利用されているふりをするのも楽じゃないし、勉学が目的であるならば、直ぐにでも辞めるべきだろう。
「ちょっと待て。」
「はい?」
「明日も待っとるぞ。」
「………はい。」
けどまぁ、何というか……この仕事自体はそう悪くないなと思うので、もう暫く続けようかと思います。
そんな事を考える今日この頃です。
今日も、時間を無駄にしてしまった。いい加減『公演』じゃなくて『授業』をして欲しいもんだ。
そろそろ、教員の自慢話ばかり聞くのも限界だ。
そんな私の学園生活にとある変化が訪れて1週間が経った。
その変化のおかげで多少は王都での生活が充実している。それは事実だ。
ただ……新たな学びを得たいという気持ちを満たしてはくれない。
そこで私は、新たな学びを求めて『薬慈院』でアルバイトを始めた。
薬慈院は、前世で言うところの病院のようなものだ。王都では、生活に困窮する学生に向けて社会経験も兼ねた様々なアルバイトが展開されている。これも、その一つという訳だ。
授業はダメ。図書館で自習もダメとなっては、実際に患者との関わりを通して技能を身に付けていくしかないだろう。
というか、座学なら故郷でも出来る。こういう経験こそ、故郷で出来ない勉強だよな。
しかも、この『薬慈院』のアルバイトはブレルスク学園の生徒でなければ出来ないらしい。まさに、特権を活かしていると言えるだろう。
当然、最初から薬の調合やらに関わらせては貰えない。そんなことは百も承知だ。
最初のうちは、先輩方の手伝いをしながら段々と仕事を覚えていく。そうして経験を積みながら一人前となっていく。そのあたりはどこの世界でも同じだろう。
よって、今日も今日とて先輩の手伝いだ。
とは言っても、最近その先輩は見かけてないけれども。
最初の頃は、後ろからあれこれ指図を出していた。だが、3日目辺りから雑務どころか仕事を丸投げして全く来なくなった。
さらに、最近では他の先輩達の仕事も私がやっている。
今では、掃除・洗濯・荷物運び・創薬・患者の介抱etc……十数人で分担していたこれらの仕事を全て、私1人でこなしている。
流石に、これだけの量をワンオペはキツい。
だが、寧ろありがたい所だ。後ろからあれこれ指図されない分、余程やりやすい。しかも、色々な仕事を一頻り経験出来るのも魅力的だ。まぁ、掃除と洗濯は裏技を使ってるからそこまででもないけどね。
「(コンコンッ)」
「入れ。」
そんなこんなで私は今、とある病室前に居る。
「(ガチャッ)こんにちは。」
「(スゥゥ……フゥー)…おお、懲りずに今日も来おったか。」
このタバコを吸っている老人はマサールさん。療養のためにここへ入院したらしい。
「またタバコですか。体に触りますよ?」
「うるさいのぉ。老い先短い年寄りの楽しみを取るでないわい。」
「その割にはお元気そうで。」
「たわけ。貴様が来るうちは、くたばるつもりはないわい。」
私が来なくなっても、くたばる気がしないな。さっさと作業を始めてしまおう。
「おい、何か話をしてみい。」
「唐突ですね。」
「さもなくば、果物を剥け。」
「はい。わかりました。」
こんな風に、今日はこの爺さんの世話をするのが仕事だ。
「(コトッ)出来ました。」
「よし、貴様も食え。」
「いえ……ですから私は…」
「なるほど。身内の盛った毒でわしに死ねという事か。中々悪じゃのぉ。」
「いただきます。(シャクッ)」
こんな感じに、果物を剥くと必ず私にも食べる様に促す。
毒味って体裁はあるけど、規則的にはグレーなんだよな、これ。
「(モシャモシャモシャモシャ)」
「どうじゃ?」
最初のうちは、共犯と疑われないようにやってたんだよなぁ。今やすっかり後に引けなくなってしまった。
てかぶっちゃけ、毒とかはあまり効かない方なんだけど……
「(ゴクンッ)……毒は無いですね。」
色々めんどいのであまり考えないようにした。
「そうか。(シャクッ)」
「あ、食べない方が良いですよ?」
「ん゛ぇ゛っ!?……ゲホッゲホッゲホッ………」
「まだ熟してませんよ、これ。」
「先に言わんかぁっ!!」
「でしたら先に食べないでください。」
「毒は無いっつったろうがぁぁぁっ!!」
「食べられるとは言ってませんね。」
「そもそも!!こんなもんを涼しい顔で食うなぁっ!!」
この爺さん、ほんと元気だな。
因みに、私は故郷の森で木の実やらを試し食いしていたのでこういうのには慣れている。
「……すみません。次からちゃんと顰めっ面します。」
「………」
「……あの?」
キョトンとした様子でこちらを見ている。何かおかしな事言ったかな?
「カァーッ!カッカッカッカッカッカァッ!!そうかそうか!!次から気をつけるか!!」
この爺さん、ほんと毎日楽しそうだな。
「いやぁ、退屈しないのぉ!お陰でもう少し長生き出来そうじゃ。」
「では、次の仕事がありますのでこれで失礼します。」
結論から言って、ここで実学が身につくとは思えない。いい様に利用されているふりをするのも楽じゃないし、勉学が目的であるならば、直ぐにでも辞めるべきだろう。
「ちょっと待て。」
「はい?」
「明日も待っとるぞ。」
「………はい。」
けどまぁ、何というか……この仕事自体はそう悪くないなと思うので、もう暫く続けようかと思います。
そんな事を考える今日この頃です。
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