薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

文字の大きさ
15 / 191
1章-1節.薬師の名門ブレルスクに入学した私は…

6.夕方7時までバイトします。

しおりを挟む
「………(スタスタスタ)」

 今日も、時間を無駄にしてしまった。いい加減『公演』じゃなくて『授業』をして欲しいもんだ。

 そろそろ、教員の自慢話ばかり聞くのも限界だ。

 そんな私の学園生活にとあるが訪れて1週間が経った。

 そののおかげで多少は王都での生活が充実している。それは事実だ。

 ただ……新たな学びを得たいという気持ちを満たしてはくれない。

 そこで私は、を求めて『薬慈院』でアルバイトを始めた。

 薬慈院は、前世で言うところのだ。王都では、生活に困窮する学生に向けて社会経験も兼ねた様々なアルバイトが展開されている。これも、その一つという訳だ。

 授業はダメ。図書館で自習もダメとなっては、実際に患者との関わりを通して技能を身に付けていくしかないだろう。

 というか、座学なら故郷でも出来る。こういう経験こそ、故郷で出来ない勉強だよな。

 しかも、この『薬慈院』のアルバイトはでなければ出来ないらしい。まさに、を活かしていると言えるだろう。

 当然、最初から薬の調合やらに関わらせては貰えない。そんなことは百も承知だ。

 最初のうちは、先輩方の手伝いをしながら段々と仕事を覚えていく。そうして経験を積みながら一人前となっていく。そのあたりはどこの世界でも同じだろう。

 よって、今日も今日とて先輩の手伝いだ。

 とは言っても、最近その先輩は見かけてないけれども。

 最初の頃は、後ろからあれこれ指図を出していた。だが、3日目辺りから雑務どころか仕事を丸投げして全く来なくなった。

 さらに、最近では他の先輩達の仕事も私がやっている。

 今では、掃除・洗濯・荷物運び・創薬・患者の介抱etc……十数人で分担していたこれらの仕事を全て、私1人でこなしている。

 流石に、これだけの量をワンオペはキツい。

 だが、寧ろありがたい所だ。後ろからあれこれ指図されない分、余程やりやすい。しかも、色々な仕事を一頻り経験出来るのも魅力的だ。まぁ、掃除と洗濯は裏技を使ってるからそこまででもないけどね。

「(コンコンッ)」
「入れ。」

 そんなこんなで私は今、とある病室前に居る。

「(ガチャッ)こんにちは。」
「(スゥゥ……フゥー)…おお、懲りずに今日も来おったか。」

 このタバコを吸っている老人はマサールさん。療養のためにここへ入院したらしい。

「またタバコですか。体に触りますよ?」
「うるさいのぉ。老い先短い年寄りの楽しみを取るでないわい。」
「その割にはお元気そうで。」
「たわけ。貴様が来るうちは、くたばるつもりはないわい。」

 私が来なくなっても、くたばる気がしないな。さっさと作業を始めてしまおう。


「おい、何か話をしてみい。」
「唐突ですね。」
「さもなくば、果物を剥け。」
「はい。わかりました。」

 こんな風に、今日はこの爺さんの世話をするのが仕事だ。

「(コトッ)出来ました。」
「よし、貴様も食え。」
「いえ……ですから私は…」
「なるほど。身内の盛った毒でわしに死ねという事か。中々悪じゃのぉ。」
「いただきます。(シャクッ)」

 こんな感じに、果物を剥くと必ず私にも食べる様に促す。

 毒味って体裁はあるけど、規則的にはグレーなんだよな、これ。

「(モシャモシャモシャモシャ)」
「どうじゃ?」

 最初のうちは、共犯と疑われないようにやってたんだよなぁ。今やすっかり後に引けなくなってしまった。

 てかぶっちゃけ、毒とかはあまり効かない方なんだけど……

「(ゴクンッ)……毒は無いですね。」

 色々めんどいのであまり考えないようにした。

「そうか。(シャクッ)」
「あ、食べない方が良いですよ?」
「ん゛ぇ゛っ!?……ゲホッゲホッゲホッ………」
「まだ熟してませんよ、これ。」
「先に言わんかぁっ!!」
「でしたら先に食べないでください。」
「毒は無いっつったろうがぁぁぁっ!!」
「食べられるとは言ってませんね。」
「そもそも!!こんなもんを涼しい顔で食うなぁっ!!」

 この爺さん、ほんと元気だな。

 因みに、私は故郷の森で木の実やらを試し食いしていたのでこういうのには慣れている。

「……すみません。次からちゃんと顰めっ面します。」

「………」
「……あの?」

 キョトンとした様子でこちらを見ている。何かおかしな事言ったかな?

「カァーッ!カッカッカッカッカッカァッ!!そうかそうか!!次から気をつけるか!!」

 この爺さん、ほんと毎日楽しそうだな。

「いやぁ、退屈しないのぉ!お陰でもう少し長生き出来そうじゃ。」
「では、次の仕事がありますのでこれで失礼します。」

 結論から言って、ここで実学が身につくとは思えない。いい様に利用されているふりをするのも楽じゃないし、勉学が目的であるならば、直ぐにでも辞めるべきだろう。

「ちょっと待て。」
「はい?」
「明日も待っとるぞ。」
「………はい。」

 けどまぁ、何というか……この仕事自体はそう悪くないなと思うので、もう暫く続けようかと思います。

 そんな事を考える今日この頃です。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

スラム街の幼女、魔導書を拾う。

海夏世もみじ
ファンタジー
 スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。  それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。  これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

婚約破棄して廃嫡された馬鹿王子、冒険者になって自由に生きようとするも、何故か元婚約者に追いかけて来られて修羅場です。

平井敦史
ファンタジー
公爵令嬢ヘンリエッタとの婚約破棄を宣言した王太子マルグリスは、父王から廃嫡されてしまう。 マルグリスは王族の身分も捨て去り、相棒のレニーと共に冒険者として生きていこうと決意するが、そんな彼をヘンリエッタが追いかけて来て……!? 素直になれない三人の、ドタバタ冒険ファンタジー。 ※「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

50歳元艦長、スキル【酒保】と指揮能力で異世界を生き抜く。残り物の狂犬と天然エルフを拾ったら、現代物資と戦術で最強部隊ができあがりました

月神世一
ファンタジー
​「命を捨てて勝つな。生きて勝て」 50歳の元イージス艦長が、ブラックコーヒーと海軍カレー、そして『指揮能力』で異世界を席巻する! ​海上自衛隊の艦長だった坂上真一(50歳)は、ある日突然、剣と魔法の異世界へ転移してしまう。 再就職先を求めて人材ギルドへ向かうも、受付嬢に言われた言葉は―― 「50歳ですか? シルバー求人はやってないんですよね」 ​途方に暮れる坂上の前にいたのは、誰からも見放された二人の問題児。 子供の泣き声を聞くと殺戮マシーンと化す「狂犬」龍魔呂。 規格外の魔力を持つが、方向音痴で市場を破壊する「天然」エルフのルナ。 ​「やれやれ。手のかかる部下を持ったもんだ」 ​坂上は彼らを拾い、ユニークスキル【酒保(PX)】を発動する。 呼び出すのは、自衛隊の補給物資。 高品質な食料、衛生用品、そして戦場の士気を高めるコーヒーと甘味。 ​魔法は使えない。だが、現代の戦術と無限の補給があれば負けはない。 これは、熟練の指揮官が「残り物」たちを最強の部隊へと育て上げ、美味しいご飯を食べるだけの、大人の冒険譚。

処理中です...