薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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1章-1節.薬師の名門ブレルスクに入学した私は…

24.退学するまで暴れます。

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 私はアレク。この学園に通う生徒だ。

 だが、恐らく今日が最後の登校日になる事だろう。

 何故かって?退学するからだ。

 先に行っておくが、これは自主退学ではない。

 あくまでも、学園側の判断で退学処分が下されるのだから、決して自主退学ではない。

 今日は、その退学通知が掲示板に張り出されると聞いたから、それを確認しに来た。

 まぁ、悔いはないよ。それなりに充実した学園生活を送れたと思うから。

 長い様で短い学園生活だったな。

 こうしていると、あの日を思い出す。この王都の学園への入学を決意した1ヶ月前のあの日を。

 当たり前だけど、あの時はこうなるとは全然思わなかった。

 あれは…確か1ヶ月くらい前だったか。最初は、あんまり乗り気じゃなかったっけな。

「……長い様で、短い1ヶ月だった。」

 けど……

「……短い様で、長い1週間だった。」

 特に、ここ1週間は尚のこと長く感じた。それまでは、ただただうつろに日々を過ごすばかりだったってことだよな。

「……よし、着いた。」

 大荷物を背負ってやっとの事で掲示板の前にたどり着いた。

 教室のみんなにを渡す前に、確認しておく事にしたからだ。

 多分、ここで覚悟を決めないと別れを切り出せない。

「………」

 我ながら女々しいもんだ。ここにきて、名残り惜しさを感じてしまうとは……

 きっと、に行動しなければこんな名残り惜しさを感じる事はなかっただろう。

 だからこそ思う。に行動して良かった……と。

「……ふぅ………よし!」

 さて、判決は………




















【件アレクを、1ヶ月間の停学処分に処す。】

 他の掲示物を押し退け、当てつけの如くやや大きめに張り出された張り紙には、デカデカとそう書かれていた。

「…………」

 ……どんだけ、退学の決定に時間をかけんだよ。色々と煽ったからその審議についても時間が掛かっているのか?昨日の一件で余計ややこしくなったか??流石にそれは馬鹿すぎる。

「一体、いつになったら退学になるんだよ。」
「(ヒョコッ)それは無いと思うぞ?」
「どういう意味だ?」
「あれ?………驚かないのか?」
「茶化すな。いいから答えろ。『それはない』ってどういう事だ?」
「………」

 脅かしが失敗して、少し不服そうにしながらも、テルマは訳を話し始めた。

「退学させるつもりなら、最初からそう書いてる。つまり、今回の件はこれでチャラって事だな。」
「え゛……?」

 あんなに色々やったのに、停学を1ヶ月食らうだけ?

「……何が目的なんだ?」
「決まってんだろ。自主退学に追い込む為だ。」
「なっ……」
「気に食わない奴が居ても、退学処分には出来ない。あいつら教員連中はプライドが高いから、自分達の手に負えないと認めたく無いんだよ。だから、特に気に食わない奴にはプレッシャーをかけて自主退学に追い込む。それが、ここのやり方だ。」
「……つまり、停学にする事で授業の遅れによるプレッシャーをかけて落第か自主退学させるのが目的って訳か。」
「そういう事だ。」

 だとすれば……とんでもない悪手だろう。

 停学にされた所で、私には何の圧力も掛からない。学生寮ではないから謹慎状態にならないし、学園の図書館の文書は全て頭に入ってるから授業の遅れも起こらない。

 そもそも、代理で授業を行っている事実を確認した時点で、既に授業内容を習熟しているとは考えなかったのだろうか。寧ろ逆効果だ。無意味どころか、さらに自習の時間を与える様なものだからな。

 そっちが本命に見せかけて、別の思惑があると考えるのが妥当だろう。

 例えば、私を自主退学させるアイデアを見つけるまでの間、これ以上他のクラスメイトが教員以上の教養を身に付けない様に抑え込む為の時間稼ぎとか。じゃなきゃ停学期間中の私にメリットが大きすぎる。

「………」
「どうした?」
「いや……中々手こずりそうだと思ってな。」

 そうなると、学校側の裁量による退学は期待出来ないな。

 これは、なんとか退学にされる他の方法を考える必要がありそうだ。

 まぁ、それはおいおい考える事にしよう。

 取り敢えず……

「じゃあテルマ(ドサッ)これよろしく。」
「おう……(ズシッ)っ……!?」

 退学するまでに間に合うかいささか不安でもあったが、何とか完成が間に合ったを手渡す。

「私の代わりに、こいつをクラスのみんなに配ってくれ。」
「な…中身は?」
「私特製のテキストだ。」

 そもそも、本来の授業計画では到底間に合うとは思えなかった。私が退学した後、残された彼らに再び苦行が課せられるのも気がかりだった。

 そこで、秘策を用意しておいた。

 まず、仮眠の時間を設けた。まともな頭で授業を受けてもらうためだ。

 その後、授業概要をざっくりと教えた。あくまでも、効率重視で沿革だけを掻い摘んだ内容だ。

 そして、小テストを実施する。順位を決めるためのテストではない。わからない所を洗い出すためのテストだ。

 そうして洗い出した各々のをまとめたのが、このテキストだ。

 ただわかりやすい解説を文字に起こしただけではない。各々に合ったわかりやすい解説と表現を用いてとして出来るだけ楽しんで読める様に工夫した。

 まぁ……その結果、若干重みと厚みのあるテキストになってしまったけれども。

 この重厚なテキストで、彼らのを少しでも埋められれば良いんだが……

「自分で持って行かないのか?」
「馬鹿言え。私は停学を食らったんだ。ノコノコ教室になんて行けるかよ。」

 本当は、気恥ずかしいだけだ。どんな顔して会えば良いかわからない。

「しかし、まぁ……まさか、まだ残る事になるとはな。」
「良かったじゃんかアレク。停学が明けたら、また学園に通えるだろ?」
「良いもんか。上の連中からの注目を無駄に集めただけだよ。」
「何だ?嬉しそうじゃないどころか、随分と不服そうじゃないか?」
「当たり前だ。これから権力闘争に巻き込まれて、てんやわんやになる学園生活が目に見える様だ。そもそも、退学にされる為にわざわざあんな小芝居まで打ったのにとんだ骨折り損だった。」
「……は??何言ってんだ?」
「そもそも、ここに通って学べる事はもう無い。図書館で本を読んだ方がよっぽど勉強になる。」
「あ~、確かにその通りだな。けど、それなら何で入学なんてしたんだ?」
「入学なんてするつもり無かったよ。けど、故郷の……友人に説得されちゃってさ。」
「お~ん?それなら定期テストを白紙で出して落第するか、いっそのことさっさと自主退学したら良かったんじゃねぇか?」
「出来ないんだよ。例の友人から故郷を出る直前に『やるからには全力を尽くせよ?』って釘を刺されてさ。」
「ちゃっかりしてんな。だからって、退学にされたら同じ事じゃないか?」
って言われただけだ。つまり、全力を尽くした行動の結果が退学になったなら言い訳が出来る。『やるだけやったけど、ダメだった』って。」
「……なるほど?」
「それなのにあの腰抜け共が……体裁なんて気にせずさっさと退学にしろってんだ全く。」

 退学になると思って色々準備してた私がバカみたいじゃないか。

「けど、俺的にはアレクとまた通えるってのは嬉しいがな。」
「………」
「お?照れてんのか??」
「………別に。」
「の割には、声がうわずっていないか?」
「………(テクテクテク)」
「あっおい!待てって!悪かった!!流石に言い過ぎたよ!だから無言でどっか行こうとするな!!」

 それにしても、入学して1ヶ月もしない内に停学処分を食らうとはな。

 けど、これでやる事は決まった。

 これからどんどん停学を喰らいまくろう。授業の遅れは気にしなくて良いからどんどん教員達馬鹿共のミスを指摘して、今回と同じ様に停学を受けまくろう。そうすれば、流石に厄介払いの為に退学にされるだろ。

「1ヶ月後、再び戻るまで私の授業は休講だ。」
「っ!」
「だが、約束する。私が戻った時、まだ教員達馬鹿共が無知を奮っていたならば、私は再び教壇に立つ。」

 こうなったら、とことん暴れてやろうじゃないか。

「それまで、渡したテキストを熟読してをする様に……そう、に伝えてくれ。」

 に進む意欲があるのならば、例え私が学園を去ろうとも、今度はの手によって教員バカ共の思惑は打ち砕かれる事になるだろう。その瞬間を目の当たりに出来ないのは……非常に残念だが。

「……わかった。必ず伝える。」
「じゃ、また1ヶ月後にな。」
「あぁ、またな!」

 ……てな訳で

 薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。

 だからカイル…もう少しだけ待っててくれ。土産話みやげばなしをたくさん持って帰るからな。

 そう胸に誓った私は、学園を去り薬慈院へ…

「おいアレク!」
「……なんだ?(クルッ)」
「…手伝ってくんね?俺には…その……(ググッ)…荷が、重いわ。物理的に。」
「………」

 一応節目なんだから、カッコ良く立ち去らせてくれないかな?

「………教室の前までで良いか?」
「…すまん。」

 今度から、もっと薄く作るか。



 そんなこんなで、私の学園生活はもう少し続きそうです。

1章.入学編………end.
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