薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-1節.授業を荒らして停学処分を受けた私は……

12.冒険者ギルドで絡まれました。

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 一触即発の空気が流れている。

「何の用だ?」
「おい、勘違いするな。俺が用があるのはツレの方だ。」
「は?コイツに何の用があるってんだ?関係ないだろ?」
「いやいや、大有りだ。ちょいと金を借りたくてな。」
「借りる?よく言うぜ。返すつもりもないくせに。」
「返すつもりならあるさ。ただ死ぬまで借りるだけだ。」
「……アホらし。アレク、ギルドの裏口から……」
「させねぇよ?(ザッ)」
「「(ザザッ)」」

 酒を飲んでいた数人の男達に背後へ回られ、囲まれていた。

「よぉ~アレク君!悪りぃんだけど酒代恵んでくれね?」
「別に良いよな?金ならまた稼げば良いんだからよぉ。」
「子供が大金なんざ持った暁にゃあ、こうなるのは必然よ。仕方ねぇよなぁ?」
「………」

 呆れてものが言えないな。

「おっと、強行突破は考えるなよ?俺たちはDランク冒険者だ。痛い目を見るぜ。」
「だから、つれねぇこと言わねぇで景気良く奢ってくれよな?」

 Dランク?確かヴラドもDだったよな?

「なぁ、ヴラド?この歳でDランクって凄い事なのか?」
「えっ?……いや、普通だな。」
「(ゴッ)」
「っ!?」
「……」

 ヴラドが殴られた。何の前触れもなく、唐突に。

「っ……てぇなぁ。何で殴られた?俺、なんか悪い事言ったか?」
「惚けんな。前からその態度が気に食わねぇんだよ。」
「自分はガキなのにDランクになった凄い奴ですって自慢か?」
「馬鹿にすんのも大概にしろよクソガキ。」

 被害妄想が凄いな。

「勘違いすんじゃねぇ。お前みたいなクソガキがDランクの実力がある訳ないんだよ。」
「自らの実力に見合ってないランクになってそんなに嬉しいか?」
「ちょっと、あなたたち!!」

 受付のリーシャが話に割って入った。

「それについては何度も言ってるでしょう!!ヴラド君はちゃんと実力で……」
「そう言うしかないよなぁ。コイツはギルマスのお気に入りだもんなぁ?」
「どうせギルマスに上手く取り入ってランクを上げて貰ったんだろ?ガキはそういうのが有利だよなぁ?」
「ギルマスの太鼓持ちは黙ってろ。」
「な…何ですって!!」
「おい、聞いてただろ?わかるかアレク。このヴラドとかいうクソガキはそういう奴なんだ。こんな奴とつるんだらそれこそ俺たちみたいな連中を敵に回すことになる。悪い事は言わねぇから、コイツと関わるのはやめときな。」
「ついでに、金を置いてさっさと帰りな。」
「アレク!そんな奴らに金を渡す必要なんてない!!この場は俺がなんとかするから、早く……」
「(ゴッ)」
「んぐっ!?」
「ナマ言ってんじゃねぇよ。(ガシッ)お前一人で何が出来る?」
「ゲホッ…ゲホゲホッ……」
「………」

 男の膝蹴りが、ヴラドの腹を直撃する。

「俺らは何も難しい話をしてる訳じゃない。ただ金を貸して欲しいだけだ。別に良いだろ?」
「ア…アレ…ク……に…逃げ……」
「黙ってろ。さぁ、どうする?」

 訪ねているが、選択を与えるつもりはないのだろう。

 そもそも、解答なら最初から決まっている。

「わかりました。(スッ)どうぞ。」
「なっ!?アレク!?」
「いや、このおじさんが欲しがってんなら別にあげちゃっても良いかなって思うからさ。」

 今後同じ事がないように、ここで決着をつけるしかないな。

「それに、これぐらいならまた取って来ればいいからさ。」
「おぉ?(チャリッ)わかってんじゃねぇか。」
「賢くて助かったな。」
「おら(ドスッ)さっさと行け。」
「んなっ……(グラッ)」
「(ガシッ)……大丈夫か?」
「お前……なんで、こんな……俺は……」 

 わかっている。ヴラドがわざとやられたフリをしていた事は。

 ヴラドは、拳が直撃する前に受け身を取っていた。殴った本人にすらわからないほど的確かつ自然に。テルマといいヴラドといい、王都の子供は先読み受け身が得意なのだろうか。

 今、はっきりしていることは、アイツらの言う通りヴラドはアイツらと同格ではないし、その実力はDランクではない。

 だって、ヴラドの方が圧倒的な格上なのだから。

「いや、その……可哀想だなって思ったから。」
「なっ…………!?」
「おい、聞いたかよ。可哀想だってよ。」
「お優しいこったな。甘ったるい正義感に反吐が出るぜ。」
「よかったな。友人想いのお優しい友人に感謝するこったな。」
「だって、こうやって若い人にイチャモンを付けてせびる事ぐらいしか能がないおじさん達だよ?もしお金を渡さなかったら、酒代を稼ぐために間違いなくあの森に入るよね?そしたら、どうなると思う?」
「「「(ピクッ)………は?」」」
「……へ?」

 予想外の返しだったらしく、ヴラド 達が硬直する。

「まず間違いなく獣に襲われて喰われるよね。それは流石に可哀想そうでしょ。」
「なっ?!おま……」
「「「(ザッ)ぁ゛あ゛??」」」

 いつの間にか、こっちに戻って来ていた。

「悪りぃんだけど、もういっぺん言ってくんねぇか?」
「大分酒が回ってんのか耳が遠くてよぉ。」
「陰口が聞こえた気がするんだわ。聞き間違えかもしんねぇからもっぺん頼むわ。」

 口調とは裏腹の隠すことのない殺意を向けられる。けど、やっぱり生温いな。獣と比べるのも失礼か。

「お、おいアレク……」
「大丈夫だよヴラド。怪我してるんだから今は下がってて。」
「……わかった。」

 さて、もう少し丁寧に説明してやるかな。
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