薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-2節.ヘルデス家の争続に巻き込まれた私は…

3.協力を強要されたのでシラを切ります。

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 ここはヘルデス邸の応接間。結構広い。

 どういう訳かここに連れてこられた。

「さて、これで事情はわかって貰えたかな?」
「すみません。よくわかりません。」
「(ピクッ)………今、何て言ったのかな?」
「いやぁ申し訳ない。いかんせん耳も頭も良くないもので……」
「(プルプルプル)……では、改めて説明しよう。

 こうしてかれこれ十数回はこんなやりとりを繰り返している。

 だが、聞こえないな。応接間に通されて以降、コイツが何をほざいているのか、全く聞こえないな。

 そもそも何故、テルマを痛めつけた奴らの為に遺産探しを手伝わなければならないんだ?

 遺産が見つからなくては、家が存続出来ない?それどころか、明日食う食料すら危うい??

 馬鹿馬鹿しい。そんな事、わたしには関係ない事だ。話が聞きたいと言うから話をしに来て、話を終えた。そこで私の役割は終わりだ。にも関わらず、こうして密室に連れ込んで、強引に協力を取り付けようとしている。

「………さて、これで事情はわかって貰えたかな?」
「すみません。よくわかりません。」
「…………」

 だから、こうして同じ返答を繰り返している。

 助ける義理がないどころか、こちらは終始迷惑ばかり掛けられている。それで何故、協力して貰えると思うのだろう。

「いやぁ申し訳ない。いかんせん耳も頭も良くないもので……」

 くだらない。愚か過ぎて、聞く気も起きないな。

「……単刀直入に言おう。(スッ)この暗号文を解いてくれ。」

 〈Jwzg tcptya rpp capmawxuc ty lfm rrwqb clgk.〉

 流石に痺れを切らしたのか、ここに来て初めて暗号文が差し出された。

「そうすれば、君たちを解放しよう。」

 その言い方では、交渉ではなく脅迫だな。つくづく、度し難い奴だ。

「いやいや、無理でしょ。何故私が解けると思うんですか?」
「さっきの君の論説、なかなかのものだった。さぞ頭の回転が速いのではないか?」

 マジか。わざと拙い感じで言ったんだけど、頭が良いと判断されるとか、コイツの頭のレベル低過ぎだろ。

「お褒めに預かるほどではありません。別に大した事はありませんよ。」
「いいや、君は間違いなく頭が良い。この暗号も解ける筈だ。君は、しのごの言わずに暗号を解けばいい。」

 全然話にならないな。これ以上は不毛だし、強行手段に出ようかな。

「無茶を言わないでください。そもそも、暗号を解くにしても情報が少な過ぎます。例の先輩は、もっと他に何か言ってなかったんですか?」
「さぁ………今際の際までブローチがどうのと宣っていたぐらいだ。後は支離滅裂で聞き取れなかった。」
「では、それらを全てリストアップしてください。少なからず先輩が何かを知っていた可能性もありますので、そこから導き出します。」
「……言っただろう?支離滅裂で聞き取れなかったと。」
「えぇ、その支離滅裂な言葉も全てです。思い出して書き留めてください。」
「………また私をおちょくるつもりじゃないだろうな?」
「嫌なら結構です。暗号が解かれる日は、遥か未来に持ち越される事でしょう。」
「………」

 応接間にしばしの沈黙が訪れた。

「……君は、自分の立場を弁えて話しているのかね?」
「すみません。よくわかりません。」
「………」

 少なくとも、アンタが言える事ではないな。

「……わかった。直ぐに用意させよう。(スクッ)しばし待て。」

「(ガチャッ)だが、シラを切られるのも今のうちだ。(バタン)」

 そう言って、部屋を出て行った。

「………ふぅ。」

 取り敢えず、部屋から追い出す事は出来たかな。後は、戻って来る前に屋敷を抜け出そう。人目の付くところでやると色々厄介だからな。

「……すまん。アレク。」
「ん?」

 今まで沈黙していたテルマが、初めて口を開いた。

「俺のせいで、面倒に巻き込んじまった。本当に…」
「何故、お前が謝るんだ?」
「……へ?」
「徹頭徹尾、謝罪すべきはあの男だ。どう転んだとしても、お前のせいにはならないだろ?」
「………あぁ、そうだった。そういう奴だったっけな。」
「そんなことより、取り敢えずこの部屋を抜け出そうと思う。どうだろうか?」
「どうもこうも、俺もさっきからそればっかり考えてたよ。」

 さて、方針が決まった所で現状の整理から始めるとするかな。
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