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ベルンハルト・スリーズ(1)
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ベルンハルト・スリーズは侯爵家の次男である。スリーズ侯爵家は代々王立騎士団の団長を務めていた。長男が体が弱く、体力もなかったため、ベルンハルトは騎士団長を継ぐつもりでいた。
騎士団長になることを夢見てひたすらに鍛錬に励む息子。勉学も社交も行わない姿に両親は頭を痛めていた。
それが変わったのはベルンハルトが10歳になったころ。ベルンハルトが一人の少女に一目ぼれをした。
少女の名前はエメライン・ブラウン。ブラウン伯爵家の一人娘である。王立図書館の館長を代々努めている家で、無理やり連れていかれた社交の場でベルンハルトはエメラインに見とれた。
茶色の瞳も髪もこの国ではありふれた色である。ベルンハルトを引き付けたのは生き生きとした瞳だった。
本が大好きなのだと、学ぶことをやめられないのだと楽しそうに語る彼女にうわの空で相槌を打ちながらベルンハルトは彼女と婚約することを決めていた。
両親は了承しなかった。エメラインには婚約者候補がいたのだ。辺境伯の子息でエメラインとは仲睦まじい様子らしい。
鍛錬に没頭していた息子が他のことに興味を示したことは喜ばしく婚約させてあげたいが、他に相手のいる令嬢と婚約させることは難しいだろう。
ベルンハルトは猛り狂った。絶対に手に入れたいのだと、あの少女が欲しいのだと。
辺境の地に殴り込みに行きかねない息子の姿に両親は婚約に横槍を入れることを決めてしまった。
ブラウン伯爵家はもちろん断った。エメラインと辺境伯子息は将来のことまで考えているのだと。ベルンハルトには何の感情も持っていないのだと。
家の圧力を使われてしまえばどうしようもない所をブラウン伯爵は頑張った。
折れたのはエメラインだった。
「婚約を了承いたしましょう。だからうちには手を出さないでください」
眠らずに考えたのだろう。うっすらと目の下に隈のある顔のエメラインは痛々しかった。
エメラインは条件を出した。婚約者との付き合いを強制しないこと。毎年婚約の契約書にエメラインとベルンハルトがサインをすること。
婚約契約書はエメラインが書いた。始まりの一枚にベルンハルトは浮かれながらサインをした。
そしてベルンハルトはエメラインに飽きてしまった。
話のレベルが全く合わなかったのである。鍛錬ばかりで勉強をしないベルンハルトと学ぶことに楽しみを見出しているエメラインでは話の内容が全くかみ合わなかった。
話をしても面白くない。そもそもエメラインから関わろうとしてこない。そんな相手にベルンハルトはいつしか飽きてしまった。
しかし婚約解消は許されない。むりやり婚約しておいてさらにこちらから解消というのは家の名前に傷がつく。そして理由がなければ立場の低いブラウン伯爵家からは婚約解消は難しい。
せっかく手に入れたエメラインをベルンハルトは放置した。
学園に入学して、エメラインはベルンハルトにとって嫌いな相手に変化した。学力の問題で、優秀な生徒のみが所属する生徒会にベルンハルトは入れなかった。婚約者であるエメラインは
当たり前のような顔をして所属しているというのに。食堂でアラン達とベルンハルトは婚約者たちの愚痴を言い合った。同じテーブルにはローザがいた。
ローザはかわいらしい少女だった。ピンク色の髪にピンク色の瞳をした天真爛漫な少女。入学式の日アランにわざとぶつかったように見えたローザをベルンハルトは良く思っていなかったが、
アランが気に入り、一緒に話すにつれ、気を許すようになっていた。
「ベルンハルト様は強くてとってもかっこいいです!」
エメラインが言わなかった称賛がうれしかった。
騎士団長になることを夢見てひたすらに鍛錬に励む息子。勉学も社交も行わない姿に両親は頭を痛めていた。
それが変わったのはベルンハルトが10歳になったころ。ベルンハルトが一人の少女に一目ぼれをした。
少女の名前はエメライン・ブラウン。ブラウン伯爵家の一人娘である。王立図書館の館長を代々努めている家で、無理やり連れていかれた社交の場でベルンハルトはエメラインに見とれた。
茶色の瞳も髪もこの国ではありふれた色である。ベルンハルトを引き付けたのは生き生きとした瞳だった。
本が大好きなのだと、学ぶことをやめられないのだと楽しそうに語る彼女にうわの空で相槌を打ちながらベルンハルトは彼女と婚約することを決めていた。
両親は了承しなかった。エメラインには婚約者候補がいたのだ。辺境伯の子息でエメラインとは仲睦まじい様子らしい。
鍛錬に没頭していた息子が他のことに興味を示したことは喜ばしく婚約させてあげたいが、他に相手のいる令嬢と婚約させることは難しいだろう。
ベルンハルトは猛り狂った。絶対に手に入れたいのだと、あの少女が欲しいのだと。
辺境の地に殴り込みに行きかねない息子の姿に両親は婚約に横槍を入れることを決めてしまった。
ブラウン伯爵家はもちろん断った。エメラインと辺境伯子息は将来のことまで考えているのだと。ベルンハルトには何の感情も持っていないのだと。
家の圧力を使われてしまえばどうしようもない所をブラウン伯爵は頑張った。
折れたのはエメラインだった。
「婚約を了承いたしましょう。だからうちには手を出さないでください」
眠らずに考えたのだろう。うっすらと目の下に隈のある顔のエメラインは痛々しかった。
エメラインは条件を出した。婚約者との付き合いを強制しないこと。毎年婚約の契約書にエメラインとベルンハルトがサインをすること。
婚約契約書はエメラインが書いた。始まりの一枚にベルンハルトは浮かれながらサインをした。
そしてベルンハルトはエメラインに飽きてしまった。
話のレベルが全く合わなかったのである。鍛錬ばかりで勉強をしないベルンハルトと学ぶことに楽しみを見出しているエメラインでは話の内容が全くかみ合わなかった。
話をしても面白くない。そもそもエメラインから関わろうとしてこない。そんな相手にベルンハルトはいつしか飽きてしまった。
しかし婚約解消は許されない。むりやり婚約しておいてさらにこちらから解消というのは家の名前に傷がつく。そして理由がなければ立場の低いブラウン伯爵家からは婚約解消は難しい。
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アランが気に入り、一緒に話すにつれ、気を許すようになっていた。
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