悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ

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カーティア、本を読む。

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「…他に用事は?特に無いなら俺は本屋を見る」
アルドにそう言われ、カーティアは、物思いから覚めた。
ワインドの店から出た後、カーティアは、ワインドに思いがけないことを言われたので少しばかりぼうっとしていた。
「…えぇ、そうね。私も本屋に行きたいわ。ちょうど欲しい本があるの」
「近いのは西の本屋だな。行こう」
カーティアは再びアルドと手を繋ぎ歩き出した。

「…ィア、…ティア。…カーティア!」
ぽんぽんと軽く肩を叩かれてやっとカーティアは目の前に立っているアルドの顔に焦点を結んだ。机の上に膝の上、袋の中まで本がぎっしり詰まっている。頭の中が物語のことでいっぱいで、カーティアは一瞬夢見心地だった。
「…あぁ、アルド…、ごめんなさい、今何時かしら」
「もうそろそろ帰らないと俺がメラーニ邸に泊まらなくてはいけないぐらいの時間だ。本は持つから立ってくれ」
本屋に一歩立ち入った瞬間、カーティアは自分の未来のことも隣にアルドがいることも全部忘れて読書に没頭していた。欲しい本は全て会計に回し、表紙を眺めるのも忘れて物語に耽る。カーティアは自分がこの世界に生まれて最も良かったことはこんなに良質な物語たちが山となっていることだと本気で思っている。確かに窓の外を見れば夕方も終わりの時間のようで、家に帰らなければ両親が心配するだろう。アルドとデートに夢中になっていると思って喜んでいるかもしれないが。アルドが両手に本の詰まった袋を持ってくれたのでカーティアはその隣を手の空いたまま歩く。普段は本屋の店員に馬車まで運んでもらうのだが、アルドは店員の申し出を断った。
「…重くないかしら。たくさん選んでしまったから」
「重い。重いが本というのはそういうものだろう。それに君と本屋に入った時点で覚悟はしていた」
図書館でも君は本を積み上げては閉館まで居座るからな、とアルドに言われてカーティアは一瞬ぽかんとする。
そういえば、図書館からアルドと帰る時に本を片付けた記憶が無いような。もしかしてカーティアが物語に夢中になっている間に読んでいない本を元の場所に戻してくれていたのだろうか。
「…迷惑をかけて、ごめんなさい」
いろいろな思いを込めて謝る。アルドはふ、と小さく鼻を鳴らした。
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