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第二章 夏 ~それぞれの想い、廻り始めた歯車~
その101 交差点を超えたその先
しおりを挟むケンとぶつかった後、私はそのまま職員室へと向かい、先生たちと話をしてきた。
……話といっても悪い話ではない。部活動についての話だ。
最近、部活動内で部員の数が少なくなって部の存続ができなくなることを危険視し、部活動にも参加しないのに部に入部する雇われ部員が増えていると噂を聞いたからだ。
ウチの学校は部活動に力を入れている分、部活動の人数が規定未満となった場合、その部は部活動停止となってしまうのだ。
そうなってしまえば、今現在様々な部活は大会などに参加しているため、その大会への出場権を失ってしまうのだ。だからこそ、部員が消えていくのを危険視しているし、部が停止してしまうことなんてもってのほかだ。
そのため、仲の良い友達を幽霊部員として扱い、大会に出場するという不正を働かせているというわけだ。そんなことは生徒会長の私も、目をつむることはできない。
不正を働かせてまで大会に出場してもらいたくはないし、もし不正が見つかってしまえば、この学校に泥を塗ってしまうわけだ。
だからこそ私は、顧問の先生などに尋ね、最近の部活動の状況を直接聞きにいったという訳だ。しかし、顧問の先生たちも口を揃えて「そんなことは行っていない。それに部員は減っていない」というだけだった。
……この話はきっとただの噂であり、この学校ではそんな不正は行われていないのだろう。
「……ま、先生たちが言うんだからホントにないんだろうね」
独り言のようにそう呟く。先生たちは例え、自分の受け持っている部活だからといってひいきしたりはしない。生徒会の前ではちゃんと、生徒たちが部活中になにをしていたのかを赤裸々に話してくれる。
先生たちからすれば部活動も大事ではあるが、それよりも部活動を通して生徒たちが曲がった方向へと向かわないようにしたいのだろうから、そこのところはしっかり話してくれるのだ。
でも先生たちは「やっていない」というのだ。ならば、この学校ではそんなことはないのだろう。
「……さーてと、次の仕事はなんだったかしらねー」
うーん、と伸びをしながら一階の廊下を歩いていく。このまま生徒会室に帰るだけだが、職員室での話が意外にもあっけなく終わってしまったので、予定よりもかなり時間ができてしまっていた。
このまま生徒会室に戻って残りの仕事を済ませ、今日は少し早めに帰るべきなのか。それともこのままヒマを潰し、予定通りに帰るべきか。……どうせ早く帰ってもやることはないのだ、結局はいつも通りに帰っても何ら変わりはないのだ。
「……そうね。今日は早めに帰ろうかな」
なんとなく早めに帰って余裕を持ちたいと思ったため、私はそのまま生徒会室へと戻っていく。あとの仕事はこの前と同じ意見箱への解答くらいだったと思う。
きっともう一夜が手を付け始めている頃合いだろう。生徒会室に戻って早く一夜を手伝わないとなと、私は階段を一段飛ばしてあがっていく。
生徒会室は学校の最上階、四階に位置する。生徒会室の向かい側には図書館があり、その隣には視聴覚室があるだけだ。
意外にも殺風景ではあるが、そのくらいのほうが仕事にも精が出るというものだ。なにより静かで落ち着くし。
「ただいまー」
ガラガラ、と木製の生徒会室の扉を開けると、何やら甘い香りが漂ってきていた。
「し、紗琉ちゃん!?」
扉が開いた途端、一夜が驚いた表情でこちらを振り返る。と、一夜の口には白い生クリームがちょんとついているではないか。
……まさかとは思うが、こいつは……私がいないことを言いことに……!!
「アンタ……私がいないことを言いことに、ケーキ食べてたわね!」
「ち、違うのよ! これはその……き、休憩を……」
「うるさいうるさいうるさーい! 仕事サボってなんで一人だけケーキ食べてるのよー!! もう残りの仕事全部一夜に任せるわよ!」
「ええー!! そんなぁ……」
「サボってたバツよ!」
今日も生徒会は平和そのものであった。
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