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出会い編
第1話
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「セレーナ?もう出発するの?」
ママが、寂しそうな顔で私に言う。
「うん。もう馬車も来てるし。」
お昼ご飯を食べ終え、荷物は全部馬車の中に詰め込んだ。あとは出発するだけだ。
ぎゅっとママに抱きしめられる。
安心する匂いに少し泣きそうになった。
あれから3年、私は18歳になった。前世の記憶は私にとって影響が大きかったらしく、性格や行動は大人しめな感じからハキハキものを言う性格に変わった。
今ではすっかり前世の自分が今の自分の大半を占めている。
突然の変わりように周りは当然驚いてはいたが、そんな私を皆は受け入れてくれた。ありがたい。
そして今日、私は18年間暮らしていた家を出る。
両親はここにいていいと言うけれど、いつまでも甘えてはいられない。
それに早く自立して仕事に就いて、両親に恩返しがしたかった。
「パパは?」
私がそう聞けば、ママは困ったように眉を下げた。
いつも私にデレデレのパパがいない。
娘が遠くに越すのだから顔くらい出せばいいのに、そう思ってしまう。
「それが···あの人、セレーナが遠くへ言っちゃうものだから朝から悲しみに暮れているのよ。困ったものね。」
顎に手を当ててそう言うママ。
「泣いてないでお見送りして欲しかったわ。」
「ふふ。多分窓から覗いてるだろうけど。」
ママが可笑しそうに言うので、視線を家の窓の方に向ければ案の定、窓に張り付くようにこちらを見ているパパがいた。
かっこいい顔が台無しじゃない。鼻水と涙でぐしょぐしょ。
パパのそんな姿にだんだん笑いがこみあげてくる。
大の大人が何をしてるんだか、、。
お別れの挨拶はしていないがパパにも出発前に会えたので、私はくるりと体の向きを変えた。
「じゃあ、行ってくるね。」
笑顔で手を振って馬車まで走る。
呆気なく感じるけど、これでいい。これからも沢山会えるからね。少し距離が遠くなっただけ。
馬車に乗り込み、扉を閉める。
閉める瞬間、ママが手を振っていたのが少し見えた。
その隣に、パパもいたような気がしたけど?
*****
ガタゴトと大きく馬車が揺れる。
乗り心地がいいとは言えない硬い馬車の椅子のおかげで私のお尻は悲鳴をあげていた。
まだかなあ。
私は時々座る体勢を変えたりしてその苦難を乗り越えながら、目的地に到着するのを今か今かと待ち続けた。
時間がどれくらい経ったのかは分からないが、外の景色が田舎な雰囲気から、だいぶ活気のある雰囲気に変わってきたように感じる。
木をくり抜いたような小さな窓から見える景色はとても新鮮だった。
お尻の痛さも忘れて身を乗り出すよう見入ってしまう。
沢山の家が並んだ風景が流れるようにして過ぎ去っていく。畑や木があんまり無いことが私の村とは大違い。
まだ目的地の街に入る前の、少し活気のあるほんの一部分なんだろうけど。
窓に身を乗り出していた身体を椅子に戻す。そして私は、「はあ」とため息を零した。
私のいた村は、ザ・田舎という感じで当たり前の如く村自体がとても小さかった。
たくさん行われていた村長主催の催しものだって、ここの人達から見たらこぢんまりとした味気のないものなのだろう。
それに、少人数という事もあり村の皆が家族というような感じだった。
今思えば、差別も喧嘩もなかった良い村だったなとは思う。
けれどイケメンはいなかった。
前世の記憶を思い出す前も周りの皆とは美醜感覚が違った。皆が格好良いという人は私にとったらその逆で、皆の恋話には苦笑いでついていっていたのを今でも覚えている。と言ってもついさっき村を出たばかりなのだが。
これも全部、恐らく前世の影響だったのだろう。
正直、村を出たのには両親に恩返しがしたいという理由以外にもう一つある。
────そう、恋人だ。
前世では、恋人がいない歴=年齢というすごく可哀想な女だったのだ。何歳に死んだとか何歳だったかとかはさすがに覚えていない。
顔はそこそこだったので作ろうと思えば作れたのかもしれないが、作れないのにも理由があった。
それは自分でも引くぐらいに極度の面食いだったということ。
まず周りに自分のタイプが一人もいなかった。
拝める程のイケメンでないと恋人になるのは嫌だったのもある。
そんなこんなで彼氏が出来るはずもなく、ずっと悲しい独り身だったのである。
しかし、この世界の人々は、前世で言う外国人風の顔立ちをしている。
日本人みたいにのっぺり顔の人は少ない。
ということは、私のタイプが見つかる可能性がとても高いということである。
いや、必ず見つけてみせる。
待っててね、イケメン!
ママが、寂しそうな顔で私に言う。
「うん。もう馬車も来てるし。」
お昼ご飯を食べ終え、荷物は全部馬車の中に詰め込んだ。あとは出発するだけだ。
ぎゅっとママに抱きしめられる。
安心する匂いに少し泣きそうになった。
あれから3年、私は18歳になった。前世の記憶は私にとって影響が大きかったらしく、性格や行動は大人しめな感じからハキハキものを言う性格に変わった。
今ではすっかり前世の自分が今の自分の大半を占めている。
突然の変わりように周りは当然驚いてはいたが、そんな私を皆は受け入れてくれた。ありがたい。
そして今日、私は18年間暮らしていた家を出る。
両親はここにいていいと言うけれど、いつまでも甘えてはいられない。
それに早く自立して仕事に就いて、両親に恩返しがしたかった。
「パパは?」
私がそう聞けば、ママは困ったように眉を下げた。
いつも私にデレデレのパパがいない。
娘が遠くに越すのだから顔くらい出せばいいのに、そう思ってしまう。
「それが···あの人、セレーナが遠くへ言っちゃうものだから朝から悲しみに暮れているのよ。困ったものね。」
顎に手を当ててそう言うママ。
「泣いてないでお見送りして欲しかったわ。」
「ふふ。多分窓から覗いてるだろうけど。」
ママが可笑しそうに言うので、視線を家の窓の方に向ければ案の定、窓に張り付くようにこちらを見ているパパがいた。
かっこいい顔が台無しじゃない。鼻水と涙でぐしょぐしょ。
パパのそんな姿にだんだん笑いがこみあげてくる。
大の大人が何をしてるんだか、、。
お別れの挨拶はしていないがパパにも出発前に会えたので、私はくるりと体の向きを変えた。
「じゃあ、行ってくるね。」
笑顔で手を振って馬車まで走る。
呆気なく感じるけど、これでいい。これからも沢山会えるからね。少し距離が遠くなっただけ。
馬車に乗り込み、扉を閉める。
閉める瞬間、ママが手を振っていたのが少し見えた。
その隣に、パパもいたような気がしたけど?
*****
ガタゴトと大きく馬車が揺れる。
乗り心地がいいとは言えない硬い馬車の椅子のおかげで私のお尻は悲鳴をあげていた。
まだかなあ。
私は時々座る体勢を変えたりしてその苦難を乗り越えながら、目的地に到着するのを今か今かと待ち続けた。
時間がどれくらい経ったのかは分からないが、外の景色が田舎な雰囲気から、だいぶ活気のある雰囲気に変わってきたように感じる。
木をくり抜いたような小さな窓から見える景色はとても新鮮だった。
お尻の痛さも忘れて身を乗り出すよう見入ってしまう。
沢山の家が並んだ風景が流れるようにして過ぎ去っていく。畑や木があんまり無いことが私の村とは大違い。
まだ目的地の街に入る前の、少し活気のあるほんの一部分なんだろうけど。
窓に身を乗り出していた身体を椅子に戻す。そして私は、「はあ」とため息を零した。
私のいた村は、ザ・田舎という感じで当たり前の如く村自体がとても小さかった。
たくさん行われていた村長主催の催しものだって、ここの人達から見たらこぢんまりとした味気のないものなのだろう。
それに、少人数という事もあり村の皆が家族というような感じだった。
今思えば、差別も喧嘩もなかった良い村だったなとは思う。
けれどイケメンはいなかった。
前世の記憶を思い出す前も周りの皆とは美醜感覚が違った。皆が格好良いという人は私にとったらその逆で、皆の恋話には苦笑いでついていっていたのを今でも覚えている。と言ってもついさっき村を出たばかりなのだが。
これも全部、恐らく前世の影響だったのだろう。
正直、村を出たのには両親に恩返しがしたいという理由以外にもう一つある。
────そう、恋人だ。
前世では、恋人がいない歴=年齢というすごく可哀想な女だったのだ。何歳に死んだとか何歳だったかとかはさすがに覚えていない。
顔はそこそこだったので作ろうと思えば作れたのかもしれないが、作れないのにも理由があった。
それは自分でも引くぐらいに極度の面食いだったということ。
まず周りに自分のタイプが一人もいなかった。
拝める程のイケメンでないと恋人になるのは嫌だったのもある。
そんなこんなで彼氏が出来るはずもなく、ずっと悲しい独り身だったのである。
しかし、この世界の人々は、前世で言う外国人風の顔立ちをしている。
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いや、必ず見つけてみせる。
待っててね、イケメン!
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