【完結】男の美醜が逆転した世界で私は貴方に恋をした

出会い編

第21話(閑話)

あるところに、とても醜い男の子がいました。

 彼はその醜さから、兄弟や周りのものから虐められていました。

 唯一殴ったりしなかった彼の母親は謝り続けるだけで、彼を助けようとはしません。

 醜い彼は何度も何度も殺されそうになりました。
 毒や刺客、様々なものが彼を襲いました。

 成長と共にぐんぐんと彼の身長は伸び、とうとう兄弟や両親を抜かしてしまいました。

 醜い要素がまた、彼にまとわりついたのです。


 彼はその地獄のような生活や家族と暮らす環境に耐えきれなくなり、家を出ます。

 幸い、魔法を沢山使えた彼はお金には困りませんでした。

 彼はあっという間にその職の一番上の階級まで上り詰め、大きな街で彼の名は広く知られるようになりました。

 醜くて強い。
 悪魔のようだと皆に広まりました。

 皆が彼を嫌悪しました。

 皆が彼を罵倒しました。

 けれど彼は大きな力を持っていましたが、復讐などしませんでした。

 彼は諦めていたからです。

 絶望していたからです。

 このまま一生涯孤独に生きていくのだろうと彼自身も自覚していました。

 しかしそんな時、彼の元に小さな光が舞い降りました。

 笑顔が素敵な可愛らしい光です。

 彼女は彼を見ても怯えませんでした。

 怯みもしませんでした。
 怖がりもしませんでした。

 彼女はたくさん彼に構いました。

 彼は戸惑いました。
 彼女のすること一つ一つが彼にとっては初めてだったからです。

 いつの間にか臆病になってしまっていた彼を、彼女は引っ張り出しました。

 そして彼女はいつの日か、彼に恋をしてしまいました。

 しかし諦め切って自分に自信の無い彼はそれを断りました。

 それにすごく怖かったからです。

 けれど彼女は諦めませんでした。

 彼の笑顔を見たい、彼とずっと一緒にいたい、そう思ったからです。

 時が経ち、いつまでも諦めない彼女をいつしか彼は愛おしく感じるようになりました。

 その想いが芽生えるのと同時に彼はまた怖くなりました。

 彼女が消えてしまった時、彼は何をするか分からなかったからです。

 しかし彼女は言いました。

 どこにも行かないと

 貴方とずっと一緒にいると

 彼はその言葉に歓喜しました。

 泣きました。

 そして初めて彼には笑顔が生まれました。

 そうして二人は幸せに暮らしました。

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まだ終わってませんからね？！セレーナとフェルの恋人編も始まるので続きもよろしくお願いします～！