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第1章 偽聖女じゃありません!
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畑には白や黄色や紫など、色とりどりの花が咲いた。その分だけ、それぞれの実も収穫できた。トマトになすにキャベツ……その中でも特に山盛り積み上がっているのが……じゃがいもだった。
「セシルったら、またじゃがいもを作ってたの? ご禁制だっていうのに」
「大司教様がお持ち下さったんですもの。本当は美味しくて栄養たっぷりだって……それにレティさんも、じゃがいもを使ったスープ、お好きでしょう?」
「ええ、大好き! とっても美味しいわ。どうしてご禁制になんてなってしまったのかしら?」
「何でも昔、これを食べて大勢の人が倒れたとかで……」
「倒れた?……私、何度も食べたけど、いつだって元気よ? 誰かが料理に失敗したのを、材料のせいにしたんじゃないの?」
「まさか、そんな……」
セシルは苦笑しつつ、視線をそらせた。
レティシアもまた、視線の向きを変えた。
「それにしても、急に畑がしおれたわね……一体何があったの?」
「あ、それは……」
セシルは急に何やら慌てた様子で振り返った。だが続きを言う前に、子供たちが先に叫んだのだった。
「偽聖女のせいだよ!」
「……え?」
レティシアがそろりとセシルを見ると、すぅっと青ざめた顔が視界に入った。レティシアとは違ってそんな様子など目に入らない子供たちは、さらに熱く語った。
「昨日、偽聖女が聖大樹を枯らしたんだって。そのせいで色んな畑が枯れたりしてるって言ってた。ひっでーことするよな」
「言ってた……って、誰が?」
「市場のおばちゃん! 皆怒ってるよ」
「怒ってる……そう……」
「うん、でも王子様が偽聖女を追っ払って、本物の聖女様を見つけてくれたからすぐに元通りになるってさ」
「偽聖女って、王子様と結婚までしようとしてたんだって。よかったー王子様がそんな人と結婚しなくて済んで!」
「……そう、ね……」
震える声でそう答えるレティシアの様子を、子供たちは覗き込んだ。
もっと嬉しそうに聞いてくれるものと思っていたのにと、がっかりした様子も見えた。だがそれよりも、心配そうにしてくれていた。
「レティさん、どうしたの? お腹いたい?」
皆、口々にそう尋ねる。
先ほどまで”偽聖女”をなじっていたのと同じ口で、レティシアを心配していた。正反対の声に、レティシアが耐えきれずにふらつくと、セシルがそっとその体を支えた。
「……レティさんはお疲れなのよ。来て早々、畑をこんなにも元気にしてくれたんだもの。ちょっと休んで頂きましょうね」
「うん! レティ、あっちに行こう」
「お水、汲んできてあげる!」
「……ありがとう」
精一杯の笑顔を作って、そう答えた。
木陰で一人座り込みながら、必死にざわつく胸を鎮めようとしていた。だけどそれは難しかった。
一方的に責められ詰られ、挙げ句、偽物を追い払ったという美談にすり替えられた。
「……まるで、物語の悪役ね、私は……」
「セシルったら、またじゃがいもを作ってたの? ご禁制だっていうのに」
「大司教様がお持ち下さったんですもの。本当は美味しくて栄養たっぷりだって……それにレティさんも、じゃがいもを使ったスープ、お好きでしょう?」
「ええ、大好き! とっても美味しいわ。どうしてご禁制になんてなってしまったのかしら?」
「何でも昔、これを食べて大勢の人が倒れたとかで……」
「倒れた?……私、何度も食べたけど、いつだって元気よ? 誰かが料理に失敗したのを、材料のせいにしたんじゃないの?」
「まさか、そんな……」
セシルは苦笑しつつ、視線をそらせた。
レティシアもまた、視線の向きを変えた。
「それにしても、急に畑がしおれたわね……一体何があったの?」
「あ、それは……」
セシルは急に何やら慌てた様子で振り返った。だが続きを言う前に、子供たちが先に叫んだのだった。
「偽聖女のせいだよ!」
「……え?」
レティシアがそろりとセシルを見ると、すぅっと青ざめた顔が視界に入った。レティシアとは違ってそんな様子など目に入らない子供たちは、さらに熱く語った。
「昨日、偽聖女が聖大樹を枯らしたんだって。そのせいで色んな畑が枯れたりしてるって言ってた。ひっでーことするよな」
「言ってた……って、誰が?」
「市場のおばちゃん! 皆怒ってるよ」
「怒ってる……そう……」
「うん、でも王子様が偽聖女を追っ払って、本物の聖女様を見つけてくれたからすぐに元通りになるってさ」
「偽聖女って、王子様と結婚までしようとしてたんだって。よかったー王子様がそんな人と結婚しなくて済んで!」
「……そう、ね……」
震える声でそう答えるレティシアの様子を、子供たちは覗き込んだ。
もっと嬉しそうに聞いてくれるものと思っていたのにと、がっかりした様子も見えた。だがそれよりも、心配そうにしてくれていた。
「レティさん、どうしたの? お腹いたい?」
皆、口々にそう尋ねる。
先ほどまで”偽聖女”をなじっていたのと同じ口で、レティシアを心配していた。正反対の声に、レティシアが耐えきれずにふらつくと、セシルがそっとその体を支えた。
「……レティさんはお疲れなのよ。来て早々、畑をこんなにも元気にしてくれたんだもの。ちょっと休んで頂きましょうね」
「うん! レティ、あっちに行こう」
「お水、汲んできてあげる!」
「……ありがとう」
精一杯の笑顔を作って、そう答えた。
木陰で一人座り込みながら、必死にざわつく胸を鎮めようとしていた。だけどそれは難しかった。
一方的に責められ詰られ、挙げ句、偽物を追い払ったという美談にすり替えられた。
「……まるで、物語の悪役ね、私は……」
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