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第2章 芋聖女と呼ばないで
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「こ、これは……!」
レティシアとアランが厨房に籠もっていた成果を、村人全員が凝視した。
領主館の広間……ふだんは来客の食事に使うテーブルの上には、皿が二つ。野菜に塩スープ……よくある質素な家庭料理だ。
アベルまでが、そのつましい料理に、目を丸くしていた。
「いたって普通……だな」
「当たり前でしょう。豪華絢爛な料理にしたら、村の人たちが日常食べられないじゃありませんか。それに、私がこの料理を教わったのは孤児院なんですから」
「孤児院!? 王都の孤児院か?」
異様なほど驚くアベルに、レティシアの方が驚いていた。
「はい、子供たちは皆、喜んで食べていましたよ」
「そうか……そう言っていたな」
なかば呆然としたように、アベルは呟いた。視線はスープの中の白いじゃがいもに釘付けになっている。
一方で、もう一つの皿の主の方を心配する声もあれこれと挙がっていた。
「そ、その白いのが悪魔の実かい?」
「本当に食べても大丈夫なの?」
「やめるなら今だぞ」
彼らはまだ、口々に引き留めようとしている。アランは、宥めつつも苦笑していた。
アベルの向けた視線も、妙に気遣わしげだ。
「アラン、妙な味がしたらすぐに吐き出せ。いいな?」
「アベル様まで……」
「子供たちがおかわりしてたって言ったでしょう! ほら、いただきましょう」
レティシアが強引にアランを促し、手を組んだ。すると、周囲にいた村人たちも同様に手を組んで祈りを捧げた。
レティシアは咄嗟に身構えつつも、食事前の祈りの言葉を口にした。
「天の神々よ。我らに日々の糧を……」
「天の神々よ」
レティシアの言葉に重なるように、アベルが祈りの言葉を口にした。
「黒き竜よ。そして聖なる乙女よ。その御名において、我らは日々の糧を得ん。偉大にして清廉、慈悲深き許しに、感謝を捧げる」
皆が順々に手を解いて、レティシアたちの様子をじっと見つめていることに気付き、慌ててレティシアも手を解いた。
「い、今のは?」
スプーンを取りながら、アベルに尋ねると、首を傾げて答えた。
「食事前の祈りだ。今日会ったばかりのお前に言わせるのは、さすがにまずいだろう」
「そ、そうですね……失礼いたしました」
聞きたいことは少し違ったのだが、それ以上を聞ける雰囲気ではない。
レティシアはアランに少し遅れてスープをすくい、同時に口に含んだ。
「むぐっ!?」
「んんっ!」
レティシアとアランが厨房に籠もっていた成果を、村人全員が凝視した。
領主館の広間……ふだんは来客の食事に使うテーブルの上には、皿が二つ。野菜に塩スープ……よくある質素な家庭料理だ。
アベルまでが、そのつましい料理に、目を丸くしていた。
「いたって普通……だな」
「当たり前でしょう。豪華絢爛な料理にしたら、村の人たちが日常食べられないじゃありませんか。それに、私がこの料理を教わったのは孤児院なんですから」
「孤児院!? 王都の孤児院か?」
異様なほど驚くアベルに、レティシアの方が驚いていた。
「はい、子供たちは皆、喜んで食べていましたよ」
「そうか……そう言っていたな」
なかば呆然としたように、アベルは呟いた。視線はスープの中の白いじゃがいもに釘付けになっている。
一方で、もう一つの皿の主の方を心配する声もあれこれと挙がっていた。
「そ、その白いのが悪魔の実かい?」
「本当に食べても大丈夫なの?」
「やめるなら今だぞ」
彼らはまだ、口々に引き留めようとしている。アランは、宥めつつも苦笑していた。
アベルの向けた視線も、妙に気遣わしげだ。
「アラン、妙な味がしたらすぐに吐き出せ。いいな?」
「アベル様まで……」
「子供たちがおかわりしてたって言ったでしょう! ほら、いただきましょう」
レティシアが強引にアランを促し、手を組んだ。すると、周囲にいた村人たちも同様に手を組んで祈りを捧げた。
レティシアは咄嗟に身構えつつも、食事前の祈りの言葉を口にした。
「天の神々よ。我らに日々の糧を……」
「天の神々よ」
レティシアの言葉に重なるように、アベルが祈りの言葉を口にした。
「黒き竜よ。そして聖なる乙女よ。その御名において、我らは日々の糧を得ん。偉大にして清廉、慈悲深き許しに、感謝を捧げる」
皆が順々に手を解いて、レティシアたちの様子をじっと見つめていることに気付き、慌ててレティシアも手を解いた。
「い、今のは?」
スプーンを取りながら、アベルに尋ねると、首を傾げて答えた。
「食事前の祈りだ。今日会ったばかりのお前に言わせるのは、さすがにまずいだろう」
「そ、そうですね……失礼いたしました」
聞きたいことは少し違ったのだが、それ以上を聞ける雰囲気ではない。
レティシアはアランに少し遅れてスープをすくい、同時に口に含んだ。
「むぐっ!?」
「んんっ!」
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