この野菜は悪役令嬢がつくりました!

真鳥カノ

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第2章 芋聖女と呼ばないで

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 いくつもいくつもこぼれ落ちた雫が小瓶を満たすと、アベルはさっと空の瓶と入れ替えた。新たな器もまた、すぐに満たされていく。

「なんだ、見たことはなかったか? 何度も使ったことがあるんだろう?」
「使ってましたけど……私のお祈りの心に反応して魔石が光るところまでしか知らないです」
「なんだ、そんな玩具だと思っていたのか? これは魔力を吸い上げて、こうして形にする装置だぞ」
「は、初耳です……!」

 驚くレティシアに、アベルは魔力が詰まっているらしい小瓶を渡した。こんなにも鮮やかな色の液体は見たことがなかった。何かの魔法薬だと言われれば、信じるかもしれない。

「教会にあったものは、こんな風に管が繋がってはいませんでした。それにもっと大きかったかと……」
「これは俺があの装置を真似して作ったものだからな。多少は見劣りはするだろう」
「ご自分で、これを? 何のために?」
「俺もある意味でお前と同じだからな」
「魔力総量が人より多い……ということですか?」

 アベルは頷くと、戸棚にしまっていた箱を取り出した。蓋を開けると、目の前の液体と同じような神秘的な色合いの石が姿を見せた。

「俺も幼い頃から魔力を持て余していた。学院でこうやって魔石にする方法を知ってな。道具として使い勝手もいいし、俺自身も暴走を起こすこともなくなる。一石二鳥だったな」
「だったら私の魔力もそうすればいいのに……どうして液体に?」
「お前の魔力なら神聖術と似た使い方がいいだろう。例えば薬とか、あとは……俺なら畑に撒くな」
「畑に?」
「ああ、聖女の魔力だぞ。これ以上の肥料があるか」

 アベルはそう言うと、また小瓶を据え変えた。いつの間にか、レティシアの魔力らしき小瓶がテーブルにずらりと並んでいた。ちなみにまだ、勢いは止む気配がない。

「はぁ……確かにこれだけあればこの領地の畑に行き届きますね……え? これを撒くんですか?」
「嫌ならやめるが」
「いえ、お役に立てるなら……」
「不服ならやめる。ただ、昨日ほど体を酷使せず、お前の力を利用させてもらう効率的な方法かと思っただけだ。無理強いはしない」
「違うんです。不服じゃありません。ただ……本当に、そんなことをしてしまっていいものかと……」
「昨日、魔力の大洪水を引き起こした者の台詞とは思えないな。まぁ少量ずつならばいいだろう。昨日、お前自身が証明したんだ」
「じ、じゃあ……撒いたからって、いきなり畑が枯れたり、逆に大きくなりすぎたりすることは……?」
「あんな事態がそうそう何度も起こってたまるか」

 アベルの強く鋭い声音に、今は、ほっとした。

「あ、あの……じゃあ昨日は大変なことに……?」
「……」

 アベルの視線が、針のようにレティシアに突き刺さった。やはり、またしでかしてしまったのか。
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