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五夜目『友達の友達』
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これも聞いた話ですけどねと久保田は自分に声を潜めて呟く。『茶樹』の中は何時もと同じ心地よい音楽と、芳しい珈琲と紅茶の茶葉の香りに満ちている。
※※※
桂圭子は、怖い話が好きだ。怖い話だったら何でも好きで、最近のお気に入りは現代の都市伝説だ。しかし、彼女の場合他と人と少し違うのは、読んだり見たり知るのが好きなのではなく『話す』のが好きなのだ。話した相手が怖がる・共感する事を観察するのが、圭子は好きでたまらない。それを観察するためだけに、新しい怖い話を仕入れるために本を読んだりするのはそれほど楽しくないのだ。しかし、有名な都市伝説や怖い話は、大概広まってしまっていて話しても相手も知っていたりして反応が薄く彼女の満足にはならない。
何だかなぁ、つまんないんだよねぇ。驚きもしないって話読んでててもさぁ。どれもこれも似た感じ。
圭子は不満げにネットをさ迷い、目新しい怖い話はないかと目を細める。
「それでね、こんな話しってる?」
「もー、ケーコの話ってどっかで聞いたのばっか。それよりさぁ、今度梓がさぁ。」
最近では圭子の友達に至っては、こんな風に圭子が怖い話をしようとしただけでハイハイと話を断ち切るようにすらなってしまっていた。聞いてほしくても目新しい話がないんだから、圭子自身も無理矢理話を続ける訳にもいかない。圭子の友達達は既に、転校した以前の友達と遊びにいく話に盛り上がっている。圭子は頬を膨らませて、何とか自分の満足できる方法はないかと考え込んだ。
そうだ、ネットで知らない人に話せばいいんだ。
同じ話でも聞いたことのない人に話せば、圭子の満足する反応が見られるかもしれない。何故なら圭子だってネットで話を探してくるんだから、圭子と同じように考えて話をネットにのせてる人だっているに違いない。ブログやホームページだって簡単に無料で作ることができる世の中だし、圭子は思い立って直ぐに無料のホームページを立ち上げた。しかし、最初に乗せた何時もの話は、閲覧者も少ないし反応も悪い。友達にも自分が開いたとは言わずにホームページのアドレスを送ったが、見に来て友達が残したコメントに圭子はガッカリした。
《いっつもの話じゃん、つまんないの。》
それはそうだ、きっとこの話は相手に話してるし、圭子自身がネットから拾ってきた話なんだから。と、そこまで考えて圭子はふと考えた。
これって完全な作り話しても、誰も気がつかないよね?
不特定多数で名前すら勝手につけられるネットの世界で、作り話をしても誰もそれが嘘だなんて分からないんじゃないだろうか。そう気がついた途端、自然と圭子は都市伝説を創作しネット上で不特定多数に向かって話し始めた。
《私の友達の友達が聞いた話です。》
書き出しは必ず同じこの文句。
自分が読んできた怖い話の書き出しも、大概こんな文句から始まっているのに気がついたのだ。
《私の友達の友達から聞いた話です。あるところに若い夫婦が二人で暮らしていて……。》
自分の経験ではなくて、友達の経験談でもない。友達の友達から聞いた、友達の友達ってところがポイントなのだ。友達の友達が聞いたという不確かさが、既に何処と無く不安感を感じさせる。しかも誰かにもし嘘だと言われても、友達の友達から聞いた話ですからと笑い飛ばすことのできる不思議な呪文。これを着けた途端、閲覧者の反応が大きく変わった。
《凄い怖い話!それって奥さんの亡霊が目を潰しに来たってこと?》
不思議な事に圭子の完全な創作であっても、怯えたコメントが必ず書きこまれるようになった。怖がった何処かの誰かのコメントが圭子の書いた話に次から次へと書き込まれて、圭子の心は満足に満たされるのだ。
《友達の友達から聞いた話です。ある一人の看護師さんが、突然見ず知らずの若い男の人に……。》
適当に最後は幾つかの話の怖いところをごちゃ混ぜにして繋ぎ会わせていく。それだけで圭子の開いたサイトに訪問し閲覧していく人数は、うなぎのぼりで増えて怯えたコメントが勢いよく書き込まれる。
《怖い!看護師さんにストーカー?!》
《声かけられたら怖い!》
《知らない人につけ回されるの怖いです!》
圭子はその書き込みを眺め満足に微笑んで、また新しい怖い話の創作欲に動かされる。まるで怖い話を書くために生まれてきたような、そんな錯覚すら感じるほどだ。
《友達の友達から聞いた話です。ある男の人が恋人が欲しがったぬいぐるみを……。》
ところがある時閲覧者がドンッと一気に増えたかと思うと、書き込みのコメントの中に変化が現れ始めたのに気がついた。
《私の友達も友達から聞いたって話してました、怖いですね!》
《私も友達の友達から聞きました!》
圭子は唖然とそのコメントを見つめる。完全に圭子が作り話をしているのに、友達の友達から聞いたと書き込むコメントがドッと増えたのだ。
誰かここで読んだのを私みたいに友達に話してるんだ。
そう思うと圭子は、更に得意な気分になった。何故なら圭子が作者なのに、それを誰かが誰かに怖い話だよねと得意になって話しているのだと思うからだ。
作り話だって思いもしないで話してるなんて、ばっかみたい。
圭子はモニターの前で、思わず肩を震わせて笑いだした。圭子は満足げに新しい話を考え始め、またお決まりの文句を打ち込んだ。
《友達の友達から聞いた話です。》
※※※
《友達の友達から聞いたんですけど、ここの話を友達にすると呪われるって本当ですか?》
そのコメントが書き込まれたのは、圭子のホームページの閲覧数が日に万単位近くなるようになった時だった。圭子は一瞬その言葉の意味がわからなくて、眉を潜めもう一度コメントを読み直す。
何いってんの?この子
意味が分からないが、圭子はここの話を友達にすると呪われるなんて話は書いたことがない。でも、それは圭子の創作欲を、凄く刺激した。
《友達の友達から聞いた話です。とあるブログには沢山怖い話が集まって読むことができます。でも、その中に一つ読んで他の人には話してはいけない話が混じっているというのです。その話を友達にすると、友達の友達という訪問者がいつの間にか現れるのです。それはホームページでもブログでもLINEでも、必ず名前ではなく友達の友達と表情されます。》
圭子はその最後をどう結んだら、怖くなるのだろうと考え込む。単純な終わりかたじゃつまらないし、どうしたら一番怖いかを圭子は真剣に考え込んだ。そして、その結論は圭子が、改心のできのだと満足して思わず微笑むくらいだった。
《怖すぎます!それってここにある話のどれかっていうことですか?!》
《私のところに来たらどうしよう!》
あっという間に並んだ怯える人々の言葉に、眺める圭子は満足そうに微笑みながら訪問者を数えるカウンターの数字を数える。ホームページを開く度に増えていく数を見るのは、圭子の作った怖い話を読みたくて来る訪問者なのだ。
《友達の友達がきたらどうしよう!》
《避ける方法はないんですか?!》
余りにも簡単に怯える閲覧者の言葉に、圭子はいつの間にか嘲る視線で眺める事が次第に増えていった。何時かこれが全部嘘だと言ったら、このコメントした人達はどうなるのかな、そう残忍な笑みが圭子の表情に浮かぶ。作り話に怖がり続けるなんて、まるで圭子が相手の感情を操作しているみたいな気分になったのだ。
※※※
《ケーコ、前にケーコが言ってたホームページ覚えてる?》
唐突に送られてきた及川祐子からのLINEに、圭子は呆れたようにそれを見下ろす。最初に圭子が開いたとは言ってなかったが、まだホームページを祐子が閲覧していたとは知らなかった。
《なんかした?そのホームページ》
《なんかさぁ、凄い危ない話があるんだって。知ってた?》
その祐子の反応にLINEを見ながら圭子は、溜め息混じりに今更と苦笑いする。
《友達の友達ってやつ?》
《やだ、打たない方がいいよ?それ。》
予想外の祐子の返答に圭子は首を傾げた。文字で打とうが打たないが、友達の友達がやって来るなんて圭子の作り話なのだ。それを今更読んで祐子は何をいっているんだろう。
《打ったからって何?》
《やだ、知らないの?それ文字で打つだけで、それが来てつれてかれるんだってよ?》
は?と圭子は祐子の返答をマジマジと見つめた。文字で打つだけだなんて話にはしてないと、圭子は首を傾げながらどういうことと聞き返す。
《ケーコなら詳しいからとっくに知ってると思ってた。知らないの?もう何人もつれてかれてるんだってよ?》
《つれてかれるって何処に?》
《知らない。ケーコ、もうそれ、打たないように気を付けた方がいいよ。》
意味がわからない。友達の友達なんて打ったって何ともないし、その言葉が打てなかったらあのホームページで怖い話が打てなくなる。圭子は首を傾げながら、祐子に分かったと一応返信した。
それでも、ホームページを開くと閲覧者の数はどんどん増えて、しかも新しい話を打ち込んでも倍以上のコメントが友達の友達の話にだけ書き込まれていく。
《友達の友達ってどうしたら避けられるの?!》
そうコメントしてくる閲覧者は、たぶん圭子と同じことをしてるんじゃないかと気がついた。友達の友達に聞いたと作り話をして、圭子の話を読んで怖くなったのだ。
ばっかみたい、作り話なのに真剣に怖がって。
歪んだ満足感が心を満たすのを感じながら、ふと一つのコメントが目に付いた。コメント欄自体には空白で何も書いていない。ただHNだけが、履歴とコメント欄に残されていた。
≪友達の友達≫
それを見つけた他の閲覧者が、そのコメントを間に大騒ぎし始める。遂に友達の友達がここに来たとコメントが溢れだし、圭子は唖然としながらそれを見つめた。
ハンドルネームをただ、友達の友達ってしただけじゃない。
誰かの質の悪い悪戯なのに、コメント欄がおかしな事になり始めている。しかも、その友達の友達はご丁寧に、ホームページに乗せた圭子の作り話全部に空白しかないコメントを残す。
それから、毎日友達の友達はホームページにやってきて、空白のコメントを全部の話に残し始めた。途端に閲覧者は増えているのに、誰も圭子の話にコメントを残さなくなったのだ。閲覧者の数はどんどん増えているのに、新しい話にも今までの話にも誰もコメントしない。しかも、毎日友達の友達が空白のコメントを残していく。
何なの?!こいつ。せめて感想言えよ!
圭子は苛立ちながら、友達の友達という名前を睨み付ける。何とか友達の友達がコメントを打ち込むような、怖い話を作ってやらなきゃと圭子はキーボードを叩きながら思案に耽った。どうにかして友達の友達が、何かを言うような怖い話を書こうと躍起になった。学生の本分の勉強もおろそかにして、毎日毎日その事ばかりを考え眠る時間も減っていく。食事をしている時だって頭の中は新しい話をどうしたら怖く出きるかばかり考え、両親の言葉にすら気も漫ろで返事をする。
《ケーコ、最近おかしいよ?大丈夫?》
《おかしいって何が?今忙しいんだよね、友達の友達がさぁ》
《ケーコ、それ打つのやめなよ、危ないよ?》
《友達の友達って打つのが何で危ないの?友達の友達ってよく言うじゃん。友達の友達って普通に使うじゃん?》
そう圭子が打ち込んだ後、祐子からはパッタリと返事がこなくなった。どうやら祐子は作り話だっていうのに、圭子の打つ友達の友達って言葉が既に怖いようだ。
次第にやつれていく圭子を心配した友人達が、不安そうに声をかけるのも構う隙がなかった。圭子はただひたすらに、何とかして友達の友達にコメントをさせたいだけなのだ。
何で、あいつ何も言わないの?怖くないの?何なの?
苛つき爪を噛みながら圭子は、またパソコンの前に座るとパソコンを立ち上げた。今度こそ友達の友達に何かコメントを残させようとホームページを開くと、何時ものホームページの画面がたちあがり圭子は目を丸くする。カウンターの数が前日見たのより、桁が一桁違うのだ。一夜で桁が変わるくらいの閲覧者が訪れるなんて、どう考えてもあり得ない。
原因もわからずにコメント欄を開けていくが、コメント欄の最後は全て友達の友達が残した空白のコメント欄だけだ。舌打ちしながら次々と明けていくが、全部コメント欄は同じことを繰り返されている。それなのにホームに戻ると閲覧者の数が倍近く増えていて、圭子は息を飲んで更新をクリックした。ワンクリックしただけで、万単位の閲覧者が増えている。
何これ?
思わず圭子は検索サイトで躊躇いながらも、友達の友達と打ち込んだ。そこには同じようなサイトが同じような言葉で、声高に同じようなことを記事としてあげているのが分かる。
最近、≪友達の友達≫っていう都市伝説があるの知ってますか?
それは最初に圭子が、ホームページで作り話として乗せたはずの話だった。でも、沢山の記事が友達の友達という圭子の作った話の先を語っている。
私も友達の友達に聞いたんですが、ハンドルネームが≪友達の友達≫で、最初は閲覧だけで何もコメントしてこないんです。でも、それがやって来たら直ぐ様パソコンとか、そういう媒体から離れないといけないんです。だって≪友達の友達≫って打つだけで自分を呼んだんだと思ってやって来るらしいから。
もしかしたらこの話をしている誰かが、ハンドルネームを友達の友達に変えてやってるのかも。一瞬圭子の頭の中に考えが閃く。私に怖い話で挑戦してるのかもと思うと、歪な笑いが圭子の顔に浮かんだ。
なら、構わない。もっと怖く作り直してやれば。
そうして、画面をスクロールする圭子は、相手の友達の友達が何をしに来るのか確認しようとする。ところがそのページの友達の友達がやって来て何をするかが、文字が歪んで所謂文字化けになっていた。他のどのページも同じで、圭子に読ませたくないみたいに結論が文字化けしてしまっている。
何よ?!これ!
ガリガリと爪を噛みながら、圭子は目を皿のようにして画面を眺めた。苛立ちながら圭子は次々とページを順に開き、友達の友達が何をするのか結論を探し続ける。
何これ?何で全部途中から文字化け?ありえなくない?
どのページも結論になると文字化けしていて、まじまじとスクロールして下へ下へと画面を動かすが一向に何をするのか結論が出てこない。苛立ちながら諦めて圭子は自分のホームページに戻った途端、驚きに目を丸くして唖然とした。さっきまで何ともなかったのに、ホームページが全く違うものに塗り替えられていたのだ。
やだ…なんで?どういうこと?沢山色んなとこ開いたから?
真っ黒な画面に白い文字が、一面に打ちこまれている。繰り返し打ちこまれているのは、《友達の友達》の文字。延々と打ちこまれている文字をマウスで何気なくスクロールした途端、画面が勝手に勢いよく下に向かって動き始めた。マウスでスクロールしているわけでもないのに、延々と勝手に画面が下に向かって流れ続け強制停止も受け付けない。
やだ、何で?何で勝手に?
ずるずると何時までもスクロールする画面。途中、圭子はハッとあり得ない事だと気がついたが、画面の勝手な動きを止める事が出来なかった。慌ててコンセントに飛び付くが、引き抜いたのに電源すら落ちない。
やだ!何で?!
咄嗟にケーブル全てを抜き取って見たが、画面は発行したまま消える気配もない。画面のスクロールがどんどん早さを増して、文字が早く流れて目で文字だと判別できなくなっていく。
それなのに圭子の瞳は必死に、その文字を追おうと上下に動き続けている。
と……も…だ
追わなくても打ち込んである文字は、友達の友達だとわかっているのに、目が必死にそれを追い続けて酔ったように吐き気がした。もう、読んではいけないと本能が叫んでいるのを感じるのに、目が文字を追うのを止めようとしない。このままではいせない、読んではいけないと本能が叫んでいるのに目が一向に止まらない。圭子の目はついに読み切ってしまった、凄まじい速度で下から上に流れる言葉を。その時、何故か世界が暗くなって、圭子はポカンと口を開けたままになった。目を閉じたわけでもないのに辺りは真っ暗で、圭子の耳にはカリカリとパソコンが動く音が微かに聞き取れる。
何で、真っ暗?
コンセントを抜いたパソコンがブラックアウトしたとしても、部屋はまだ明るいはずだ。思わず圭子は手を突きだして、目の前のパソコンのモニターがある筈の空間を探る。
指先がモニターに触れる筈の空間で、柔らかいものに触れた。生暖かく柔らかい感触が何か分からずに、指を滑らせるとそれは更に柔らかい感触に埋まっていく。真っ暗な世界の中で、指がどんどん奥に埋まっていくのが分かる。
モニターは何処に行ったの?これは何に触ってるの?
圭子は戸惑いながら更に指を押し込んで、その中を掻き回すように探り回す。指先に細いケーブルの束が触れて、圭子はそれを手でしっかり掴むと咄嗟に全力で引き抜いていた。
※※※
夕闇にマンションのドアが開く音がして、帰宅した母親が声をあげる。しかし、いる筈の娘の返事がないのに母親は溜め息をついた。最近圭子は部屋に籠りがちで、様子がおかしいのだ。話しかけても心ここにあらずで、気のない返事をして何か考え込んでいる。部屋にこもってはパソコンに向かうようだが、ゲームをしているわけでもない。一度覗いたら必死の形相で何かを打ち込んでいて、覗いているこちらを見向きもしないで「覗かないでよ」と叫ばれたのにモニターに顔を向けてままなのには正直者ゾッとした。学校に問い合わせたが苛められている様子でもなく、友達も心配しているのだという。
廊下から耳を済ますとパソコンの音はしない。圭子の室内は電気も消えてひっそりと静まり返ったままになっている。母親は夕食を作ってから、部屋に籠りきりの圭子に声をかけるが返事がない。母親がドアを何度かノックしたが、圭子は寝ているのか返事がない。
「圭子、開けるわよ?」
開けたドアの先では暗がりで、ケーブルのような物が数本床に散らばっていた。暗がりで何やってるよのと口にしながら部屋の電気をつけ、床に転がるケーブルらしい物を見下ろし母親は首を傾げる。
黒いケーブル?
不安げに歩み寄った母親は、歩み寄りそのケーブルを摘まみあげた。ヌルリと濡れた細いケーブルを持ち上げた母親は、暫くそのケーブルの先を眺めて凍りつく。そして、手の中のケーブルのような物の意味を理解した瞬間に、有らん限りの力で恐怖の悲鳴をあげた。
※※※
知ってる?友達の友達が来ると突然画面が真っ暗になってね、白い文字で友達の友達って延々と文字が流れるようになるんだって。そうなったらもうおしまいなの、最後まで文字を読むのは止められないし、コンセントを抜いてもバッテリーを外しても駄目、最後はね、自分で……
※※※
最後はどうなるんです?
自分が恐る恐る問いかけると、久保田は意味深に微笑みながらどうなるんでしょうねと囁く。気になったらスマホで打ち込んでみますか?と久保田が何気なく言うのに、自分はとんでもないと遠慮した。
カランと音をたてて深碧のドアが開き、スマホ片手の女性の一団が楽しげに話ながら店内に姿を見せる。
そうそう、友達の友達がさぁ
何気ないその一言に自分は思わず、その場で震え上がっていた。
※※※
桂圭子は、怖い話が好きだ。怖い話だったら何でも好きで、最近のお気に入りは現代の都市伝説だ。しかし、彼女の場合他と人と少し違うのは、読んだり見たり知るのが好きなのではなく『話す』のが好きなのだ。話した相手が怖がる・共感する事を観察するのが、圭子は好きでたまらない。それを観察するためだけに、新しい怖い話を仕入れるために本を読んだりするのはそれほど楽しくないのだ。しかし、有名な都市伝説や怖い話は、大概広まってしまっていて話しても相手も知っていたりして反応が薄く彼女の満足にはならない。
何だかなぁ、つまんないんだよねぇ。驚きもしないって話読んでててもさぁ。どれもこれも似た感じ。
圭子は不満げにネットをさ迷い、目新しい怖い話はないかと目を細める。
「それでね、こんな話しってる?」
「もー、ケーコの話ってどっかで聞いたのばっか。それよりさぁ、今度梓がさぁ。」
最近では圭子の友達に至っては、こんな風に圭子が怖い話をしようとしただけでハイハイと話を断ち切るようにすらなってしまっていた。聞いてほしくても目新しい話がないんだから、圭子自身も無理矢理話を続ける訳にもいかない。圭子の友達達は既に、転校した以前の友達と遊びにいく話に盛り上がっている。圭子は頬を膨らませて、何とか自分の満足できる方法はないかと考え込んだ。
そうだ、ネットで知らない人に話せばいいんだ。
同じ話でも聞いたことのない人に話せば、圭子の満足する反応が見られるかもしれない。何故なら圭子だってネットで話を探してくるんだから、圭子と同じように考えて話をネットにのせてる人だっているに違いない。ブログやホームページだって簡単に無料で作ることができる世の中だし、圭子は思い立って直ぐに無料のホームページを立ち上げた。しかし、最初に乗せた何時もの話は、閲覧者も少ないし反応も悪い。友達にも自分が開いたとは言わずにホームページのアドレスを送ったが、見に来て友達が残したコメントに圭子はガッカリした。
《いっつもの話じゃん、つまんないの。》
それはそうだ、きっとこの話は相手に話してるし、圭子自身がネットから拾ってきた話なんだから。と、そこまで考えて圭子はふと考えた。
これって完全な作り話しても、誰も気がつかないよね?
不特定多数で名前すら勝手につけられるネットの世界で、作り話をしても誰もそれが嘘だなんて分からないんじゃないだろうか。そう気がついた途端、自然と圭子は都市伝説を創作しネット上で不特定多数に向かって話し始めた。
《私の友達の友達が聞いた話です。》
書き出しは必ず同じこの文句。
自分が読んできた怖い話の書き出しも、大概こんな文句から始まっているのに気がついたのだ。
《私の友達の友達から聞いた話です。あるところに若い夫婦が二人で暮らしていて……。》
自分の経験ではなくて、友達の経験談でもない。友達の友達から聞いた、友達の友達ってところがポイントなのだ。友達の友達が聞いたという不確かさが、既に何処と無く不安感を感じさせる。しかも誰かにもし嘘だと言われても、友達の友達から聞いた話ですからと笑い飛ばすことのできる不思議な呪文。これを着けた途端、閲覧者の反応が大きく変わった。
《凄い怖い話!それって奥さんの亡霊が目を潰しに来たってこと?》
不思議な事に圭子の完全な創作であっても、怯えたコメントが必ず書きこまれるようになった。怖がった何処かの誰かのコメントが圭子の書いた話に次から次へと書き込まれて、圭子の心は満足に満たされるのだ。
《友達の友達から聞いた話です。ある一人の看護師さんが、突然見ず知らずの若い男の人に……。》
適当に最後は幾つかの話の怖いところをごちゃ混ぜにして繋ぎ会わせていく。それだけで圭子の開いたサイトに訪問し閲覧していく人数は、うなぎのぼりで増えて怯えたコメントが勢いよく書き込まれる。
《怖い!看護師さんにストーカー?!》
《声かけられたら怖い!》
《知らない人につけ回されるの怖いです!》
圭子はその書き込みを眺め満足に微笑んで、また新しい怖い話の創作欲に動かされる。まるで怖い話を書くために生まれてきたような、そんな錯覚すら感じるほどだ。
《友達の友達から聞いた話です。ある男の人が恋人が欲しがったぬいぐるみを……。》
ところがある時閲覧者がドンッと一気に増えたかと思うと、書き込みのコメントの中に変化が現れ始めたのに気がついた。
《私の友達も友達から聞いたって話してました、怖いですね!》
《私も友達の友達から聞きました!》
圭子は唖然とそのコメントを見つめる。完全に圭子が作り話をしているのに、友達の友達から聞いたと書き込むコメントがドッと増えたのだ。
誰かここで読んだのを私みたいに友達に話してるんだ。
そう思うと圭子は、更に得意な気分になった。何故なら圭子が作者なのに、それを誰かが誰かに怖い話だよねと得意になって話しているのだと思うからだ。
作り話だって思いもしないで話してるなんて、ばっかみたい。
圭子はモニターの前で、思わず肩を震わせて笑いだした。圭子は満足げに新しい話を考え始め、またお決まりの文句を打ち込んだ。
《友達の友達から聞いた話です。》
※※※
《友達の友達から聞いたんですけど、ここの話を友達にすると呪われるって本当ですか?》
そのコメントが書き込まれたのは、圭子のホームページの閲覧数が日に万単位近くなるようになった時だった。圭子は一瞬その言葉の意味がわからなくて、眉を潜めもう一度コメントを読み直す。
何いってんの?この子
意味が分からないが、圭子はここの話を友達にすると呪われるなんて話は書いたことがない。でも、それは圭子の創作欲を、凄く刺激した。
《友達の友達から聞いた話です。とあるブログには沢山怖い話が集まって読むことができます。でも、その中に一つ読んで他の人には話してはいけない話が混じっているというのです。その話を友達にすると、友達の友達という訪問者がいつの間にか現れるのです。それはホームページでもブログでもLINEでも、必ず名前ではなく友達の友達と表情されます。》
圭子はその最後をどう結んだら、怖くなるのだろうと考え込む。単純な終わりかたじゃつまらないし、どうしたら一番怖いかを圭子は真剣に考え込んだ。そして、その結論は圭子が、改心のできのだと満足して思わず微笑むくらいだった。
《怖すぎます!それってここにある話のどれかっていうことですか?!》
《私のところに来たらどうしよう!》
あっという間に並んだ怯える人々の言葉に、眺める圭子は満足そうに微笑みながら訪問者を数えるカウンターの数字を数える。ホームページを開く度に増えていく数を見るのは、圭子の作った怖い話を読みたくて来る訪問者なのだ。
《友達の友達がきたらどうしよう!》
《避ける方法はないんですか?!》
余りにも簡単に怯える閲覧者の言葉に、圭子はいつの間にか嘲る視線で眺める事が次第に増えていった。何時かこれが全部嘘だと言ったら、このコメントした人達はどうなるのかな、そう残忍な笑みが圭子の表情に浮かぶ。作り話に怖がり続けるなんて、まるで圭子が相手の感情を操作しているみたいな気分になったのだ。
※※※
《ケーコ、前にケーコが言ってたホームページ覚えてる?》
唐突に送られてきた及川祐子からのLINEに、圭子は呆れたようにそれを見下ろす。最初に圭子が開いたとは言ってなかったが、まだホームページを祐子が閲覧していたとは知らなかった。
《なんかした?そのホームページ》
《なんかさぁ、凄い危ない話があるんだって。知ってた?》
その祐子の反応にLINEを見ながら圭子は、溜め息混じりに今更と苦笑いする。
《友達の友達ってやつ?》
《やだ、打たない方がいいよ?それ。》
予想外の祐子の返答に圭子は首を傾げた。文字で打とうが打たないが、友達の友達がやって来るなんて圭子の作り話なのだ。それを今更読んで祐子は何をいっているんだろう。
《打ったからって何?》
《やだ、知らないの?それ文字で打つだけで、それが来てつれてかれるんだってよ?》
は?と圭子は祐子の返答をマジマジと見つめた。文字で打つだけだなんて話にはしてないと、圭子は首を傾げながらどういうことと聞き返す。
《ケーコなら詳しいからとっくに知ってると思ってた。知らないの?もう何人もつれてかれてるんだってよ?》
《つれてかれるって何処に?》
《知らない。ケーコ、もうそれ、打たないように気を付けた方がいいよ。》
意味がわからない。友達の友達なんて打ったって何ともないし、その言葉が打てなかったらあのホームページで怖い話が打てなくなる。圭子は首を傾げながら、祐子に分かったと一応返信した。
それでも、ホームページを開くと閲覧者の数はどんどん増えて、しかも新しい話を打ち込んでも倍以上のコメントが友達の友達の話にだけ書き込まれていく。
《友達の友達ってどうしたら避けられるの?!》
そうコメントしてくる閲覧者は、たぶん圭子と同じことをしてるんじゃないかと気がついた。友達の友達に聞いたと作り話をして、圭子の話を読んで怖くなったのだ。
ばっかみたい、作り話なのに真剣に怖がって。
歪んだ満足感が心を満たすのを感じながら、ふと一つのコメントが目に付いた。コメント欄自体には空白で何も書いていない。ただHNだけが、履歴とコメント欄に残されていた。
≪友達の友達≫
それを見つけた他の閲覧者が、そのコメントを間に大騒ぎし始める。遂に友達の友達がここに来たとコメントが溢れだし、圭子は唖然としながらそれを見つめた。
ハンドルネームをただ、友達の友達ってしただけじゃない。
誰かの質の悪い悪戯なのに、コメント欄がおかしな事になり始めている。しかも、その友達の友達はご丁寧に、ホームページに乗せた圭子の作り話全部に空白しかないコメントを残す。
それから、毎日友達の友達はホームページにやってきて、空白のコメントを全部の話に残し始めた。途端に閲覧者は増えているのに、誰も圭子の話にコメントを残さなくなったのだ。閲覧者の数はどんどん増えているのに、新しい話にも今までの話にも誰もコメントしない。しかも、毎日友達の友達が空白のコメントを残していく。
何なの?!こいつ。せめて感想言えよ!
圭子は苛立ちながら、友達の友達という名前を睨み付ける。何とか友達の友達がコメントを打ち込むような、怖い話を作ってやらなきゃと圭子はキーボードを叩きながら思案に耽った。どうにかして友達の友達が、何かを言うような怖い話を書こうと躍起になった。学生の本分の勉強もおろそかにして、毎日毎日その事ばかりを考え眠る時間も減っていく。食事をしている時だって頭の中は新しい話をどうしたら怖く出きるかばかり考え、両親の言葉にすら気も漫ろで返事をする。
《ケーコ、最近おかしいよ?大丈夫?》
《おかしいって何が?今忙しいんだよね、友達の友達がさぁ》
《ケーコ、それ打つのやめなよ、危ないよ?》
《友達の友達って打つのが何で危ないの?友達の友達ってよく言うじゃん。友達の友達って普通に使うじゃん?》
そう圭子が打ち込んだ後、祐子からはパッタリと返事がこなくなった。どうやら祐子は作り話だっていうのに、圭子の打つ友達の友達って言葉が既に怖いようだ。
次第にやつれていく圭子を心配した友人達が、不安そうに声をかけるのも構う隙がなかった。圭子はただひたすらに、何とかして友達の友達にコメントをさせたいだけなのだ。
何で、あいつ何も言わないの?怖くないの?何なの?
苛つき爪を噛みながら圭子は、またパソコンの前に座るとパソコンを立ち上げた。今度こそ友達の友達に何かコメントを残させようとホームページを開くと、何時ものホームページの画面がたちあがり圭子は目を丸くする。カウンターの数が前日見たのより、桁が一桁違うのだ。一夜で桁が変わるくらいの閲覧者が訪れるなんて、どう考えてもあり得ない。
原因もわからずにコメント欄を開けていくが、コメント欄の最後は全て友達の友達が残した空白のコメント欄だけだ。舌打ちしながら次々と明けていくが、全部コメント欄は同じことを繰り返されている。それなのにホームに戻ると閲覧者の数が倍近く増えていて、圭子は息を飲んで更新をクリックした。ワンクリックしただけで、万単位の閲覧者が増えている。
何これ?
思わず圭子は検索サイトで躊躇いながらも、友達の友達と打ち込んだ。そこには同じようなサイトが同じような言葉で、声高に同じようなことを記事としてあげているのが分かる。
最近、≪友達の友達≫っていう都市伝説があるの知ってますか?
それは最初に圭子が、ホームページで作り話として乗せたはずの話だった。でも、沢山の記事が友達の友達という圭子の作った話の先を語っている。
私も友達の友達に聞いたんですが、ハンドルネームが≪友達の友達≫で、最初は閲覧だけで何もコメントしてこないんです。でも、それがやって来たら直ぐ様パソコンとか、そういう媒体から離れないといけないんです。だって≪友達の友達≫って打つだけで自分を呼んだんだと思ってやって来るらしいから。
もしかしたらこの話をしている誰かが、ハンドルネームを友達の友達に変えてやってるのかも。一瞬圭子の頭の中に考えが閃く。私に怖い話で挑戦してるのかもと思うと、歪な笑いが圭子の顔に浮かんだ。
なら、構わない。もっと怖く作り直してやれば。
そうして、画面をスクロールする圭子は、相手の友達の友達が何をしに来るのか確認しようとする。ところがそのページの友達の友達がやって来て何をするかが、文字が歪んで所謂文字化けになっていた。他のどのページも同じで、圭子に読ませたくないみたいに結論が文字化けしてしまっている。
何よ?!これ!
ガリガリと爪を噛みながら、圭子は目を皿のようにして画面を眺めた。苛立ちながら圭子は次々とページを順に開き、友達の友達が何をするのか結論を探し続ける。
何これ?何で全部途中から文字化け?ありえなくない?
どのページも結論になると文字化けしていて、まじまじとスクロールして下へ下へと画面を動かすが一向に何をするのか結論が出てこない。苛立ちながら諦めて圭子は自分のホームページに戻った途端、驚きに目を丸くして唖然とした。さっきまで何ともなかったのに、ホームページが全く違うものに塗り替えられていたのだ。
やだ…なんで?どういうこと?沢山色んなとこ開いたから?
真っ黒な画面に白い文字が、一面に打ちこまれている。繰り返し打ちこまれているのは、《友達の友達》の文字。延々と打ちこまれている文字をマウスで何気なくスクロールした途端、画面が勝手に勢いよく下に向かって動き始めた。マウスでスクロールしているわけでもないのに、延々と勝手に画面が下に向かって流れ続け強制停止も受け付けない。
やだ、何で?何で勝手に?
ずるずると何時までもスクロールする画面。途中、圭子はハッとあり得ない事だと気がついたが、画面の勝手な動きを止める事が出来なかった。慌ててコンセントに飛び付くが、引き抜いたのに電源すら落ちない。
やだ!何で?!
咄嗟にケーブル全てを抜き取って見たが、画面は発行したまま消える気配もない。画面のスクロールがどんどん早さを増して、文字が早く流れて目で文字だと判別できなくなっていく。
それなのに圭子の瞳は必死に、その文字を追おうと上下に動き続けている。
と……も…だ
追わなくても打ち込んである文字は、友達の友達だとわかっているのに、目が必死にそれを追い続けて酔ったように吐き気がした。もう、読んではいけないと本能が叫んでいるのを感じるのに、目が文字を追うのを止めようとしない。このままではいせない、読んではいけないと本能が叫んでいるのに目が一向に止まらない。圭子の目はついに読み切ってしまった、凄まじい速度で下から上に流れる言葉を。その時、何故か世界が暗くなって、圭子はポカンと口を開けたままになった。目を閉じたわけでもないのに辺りは真っ暗で、圭子の耳にはカリカリとパソコンが動く音が微かに聞き取れる。
何で、真っ暗?
コンセントを抜いたパソコンがブラックアウトしたとしても、部屋はまだ明るいはずだ。思わず圭子は手を突きだして、目の前のパソコンのモニターがある筈の空間を探る。
指先がモニターに触れる筈の空間で、柔らかいものに触れた。生暖かく柔らかい感触が何か分からずに、指を滑らせるとそれは更に柔らかい感触に埋まっていく。真っ暗な世界の中で、指がどんどん奥に埋まっていくのが分かる。
モニターは何処に行ったの?これは何に触ってるの?
圭子は戸惑いながら更に指を押し込んで、その中を掻き回すように探り回す。指先に細いケーブルの束が触れて、圭子はそれを手でしっかり掴むと咄嗟に全力で引き抜いていた。
※※※
夕闇にマンションのドアが開く音がして、帰宅した母親が声をあげる。しかし、いる筈の娘の返事がないのに母親は溜め息をついた。最近圭子は部屋に籠りがちで、様子がおかしいのだ。話しかけても心ここにあらずで、気のない返事をして何か考え込んでいる。部屋にこもってはパソコンに向かうようだが、ゲームをしているわけでもない。一度覗いたら必死の形相で何かを打ち込んでいて、覗いているこちらを見向きもしないで「覗かないでよ」と叫ばれたのにモニターに顔を向けてままなのには正直者ゾッとした。学校に問い合わせたが苛められている様子でもなく、友達も心配しているのだという。
廊下から耳を済ますとパソコンの音はしない。圭子の室内は電気も消えてひっそりと静まり返ったままになっている。母親は夕食を作ってから、部屋に籠りきりの圭子に声をかけるが返事がない。母親がドアを何度かノックしたが、圭子は寝ているのか返事がない。
「圭子、開けるわよ?」
開けたドアの先では暗がりで、ケーブルのような物が数本床に散らばっていた。暗がりで何やってるよのと口にしながら部屋の電気をつけ、床に転がるケーブルらしい物を見下ろし母親は首を傾げる。
黒いケーブル?
不安げに歩み寄った母親は、歩み寄りそのケーブルを摘まみあげた。ヌルリと濡れた細いケーブルを持ち上げた母親は、暫くそのケーブルの先を眺めて凍りつく。そして、手の中のケーブルのような物の意味を理解した瞬間に、有らん限りの力で恐怖の悲鳴をあげた。
※※※
知ってる?友達の友達が来ると突然画面が真っ暗になってね、白い文字で友達の友達って延々と文字が流れるようになるんだって。そうなったらもうおしまいなの、最後まで文字を読むのは止められないし、コンセントを抜いてもバッテリーを外しても駄目、最後はね、自分で……
※※※
最後はどうなるんです?
自分が恐る恐る問いかけると、久保田は意味深に微笑みながらどうなるんでしょうねと囁く。気になったらスマホで打ち込んでみますか?と久保田が何気なく言うのに、自分はとんでもないと遠慮した。
カランと音をたてて深碧のドアが開き、スマホ片手の女性の一団が楽しげに話ながら店内に姿を見せる。
そうそう、友達の友達がさぁ
何気ないその一言に自分は思わず、その場で震え上がっていた。
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