都市街下奇譚

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九夜目『願い事カナエマス』

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これは、友人から聞いた話なんですがね、そうマスターの久保田は、グラスを磨きながら何気ない気配で口を開く。客足は奇妙なほど途絶えて、その言葉を耳にしたのは自分ただ一人だった。


※※※


今では小学生ですら当然のように、携帯電話やスマホを持っている。子供の簡単携帯にGPSなんてよくある話だし、下手したら恋人のスマホに位置情報発信アプリをインストールなんて事だってあるらしい。子供のに関してはそれで親が安心できるなら、まぁそれも仕方がないのかもしれないが。恋人のとなると話は違うと、何気なく考えていたりする。まあ、そんなことはさておき誰しも大概一台は携帯しているのが、今の世の中なのだ。

小坂真冬は塾の講師のつまらない国語の授業を聞きながら、無意識にクルクルと指の上でシャーペンを回していた。つまらない授業をする講師は、いつもと同じ抑揚のない声で古文の文法読解のポイントを説明している。

古文なんて、社会生活に何にも役にたたなくない?

つまらない授業な上にこの講師は、時折いやらしい手つきで女子の肩に手をおいたりするのだ。噂話では自分の生徒の女子高生に手を出したとか言われているけど、こうやってスーツ姿で素知らぬ顔して授業をやれる神経が分からない。他の講師にしたってスーツは着ているけど、大概はたかが5つ位しか変わらないアルバイトの大学生なんだから仕方がない。つまらない講義しかできないアルバイトの先生と学校に入ることが、今の自分達には一番のステータスだなんて馬鹿馬鹿しいとも思う。だけど、親たちはそれが一番だと言ってきかない。
時々列の間を歩いてきて、女子高生だけ肩を撫でる国語の講師には正直苛立つ。

「ここが、ポイントー。だから、ちゃんと記憶しておくように。」

うげ、肩を撫でられた。しかも、まるで揉むようにして撫でていくのが超気持ち悪い。自分に酔ってるのか時々前髪を弄るのも、イライラすると奥歯を噛むみたいな仕草をするのも気持ち悪いのに。また、前に戻って行った背中を眺めながら、心の中で吐き気を感じる。たいして面白くもないけど、高校生の国語の担当のバイトがいないから何時までもこの講師がやってるって噂だ。

や、ねお、だっけ?他のバイトさん達よりはかなり年上だよね。

微かに鞄のポケットでスマホが何度か規則的に震え、真冬はこっそりと手を伸ばすと机の下でスマホを眺めた。よくある広告メールに何気なくスクロールして、消去しようとしたのに指が止まった先に書いてある言葉に目が止まる。

≪これは願いの叶うアプリです。≫

そんな題名が目に入りまは少し興味をひかれた。恐らくチェーンメールの類か、同じ教室の中にいる誰かが悪戯しているのだろうと思いつつメールを眺める。それは良くある衣料品の販売店の広告メールの一番下に唐突に※マークに周りを囲まれて打ち込まれているようだ。

願いねぇ、つまんない釣り広告だよねぇ。開くとダイエットサプリです、とか?

ワンクリック詐欺なんてものも一時流行ったけど、いつも利用している衣料品の販売店からそんなメールが来るとも思えない。着たいものを着るためのダイエットなんて、正直本末転倒な気もしなくもないと真冬は退屈しのぎに考える。何気なくクリックしてダウンロード画面は、普段アプリをダウンロードするサイトで安堵と同時に苦笑いが浮かぶ。

何だ、検索アプリとか?

説明文は殆どないし、アプリの感想も殆ど書き込まれず皆が星5つの評価をしている。スクロールしていくと書き込まれた感想が一つを目に入った。

《最高のアプリ!》

へえと何気なくクリックしてダウンロードを始める。真冬は何が最高なのか興味が湧いてきたのだ。それほど容量も多くないインストールは、あっという間に終わって真冬はアプリを起動させる。
無機質な飾り気もないホーム画面に、たった一言。

《願いをカナエマス、あなたの願いは何ですか?》

酷く安直なホーム画面に真冬は少し苦笑いして、それを眺める。文章の下には、検索サイトで良く見る検索バーと同じで、文字を打ち込めるようになっていた。苦笑いしながら眺めている内に、くだらない冗談だったらこんなのもありと文字を入力する。

《つまらない授業を止めさせて。》

入力を確定にした瞬間、それは起こった。吹き出物が頬に微かに浮かぶあの気持ち悪い講師が、不意に教卓の上から消え失せたのだ。それが何なのか一瞬訳がわからなかったが、前の席の生徒が悲鳴をあげて飛び上がった。黒板の前で仰向けに倒れ込んだままの講師が、情けない女みたいな苦痛に悲鳴をあげている。
その後は教室は、蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。彼は痛みに泡を吹いたまま土気色に変わり、教室内で悲鳴が上がる。教卓の上でただ転んだだけの講師は、どう打ったのかどう捻ったのか。遠くから見ても手首の向きが異常だった。真冬達は追い出される様に塾を出され、救急車の駆け付ける音を背中に聞いていた。
帰途につきながら真冬は自分の携帯を握りしめ、先ほどのアプリを見つめると立ちすくんだ。その手の中で携帯は、まるで爬虫類の様な滑った感覚がする気がした。

あのアプリのせい?まさか…ね。

真冬は躊躇いがちに画面に表示されたアプリを見下ろすと、願いをカナエマスの文字を見つめる。本当に願いをカナエテクれるアプリなんてありうるのかと考え込む。だったら叶うはずのない事を願えば、本当かどうか分かるんじゃないかなと心の声が囁く。

《真見塚君と一緒に帰りたい。》

入力確定のボタンを押して、暫く真冬はその場に立ち尽くす。当然何も起こるはずがない。だって、真見塚君の事はずっと見つめているけど、会話を交わしたのはほんの数回で何時も遠くから見ているだけ。そう考えた途端誰かが背後からぶつかって来て、スマホが手から滑り落ちた。

「あっ!」
「すみません!大丈夫?!」

その声に真冬は目を丸くする。声の主は願いをカナエマスに打ち込んだばかりの、相手の真見塚孝君だったのだ。

「ごめん、急に目の前を猫かなにかが横切ったから、前良く見てなくて、スマホ大丈夫かな?」

真見塚君が真冬のスマホを取り上げて、困惑顔を浮かべてスマホを見下ろしている。背の高い彼が申し訳なさそうに割れてると囁いて、私の手にスマホを差し出していた。

「本当にごめん、修理代は僕が出す。」
「いい、いいえ!だ、大丈夫!」
「大丈夫じゃないよ、画面割れてるし。」

偶然にしては出来すぎている出会いだ。真見塚君の家は学校の向こう側だから、駅の近くのここでぶつかるなんて普通あり得ない。しかも、彼は私服だから学校から家に帰って、その後ここに来たことになる。そんな偶然あるんだろうか、彼は頭もいいから塾にも通ってないって噂を聞いたはずだ。

「携帯何処の?今から一緒にいこうか?」
「あ、あの、今は本当に大丈夫、スマホ動くし、時間遅いし。」
「そうだね、暗くなってきたしね。今度休みの日にでも付き合うよ、それでいいかな?」

こんなことってありうるの?今までした会話よりとっくに倍以上も話をして、しかも休みに一緒に携帯会社に行こうだなんて、デート?

「暗いし、家まで送るよ。」

凄くスマートに彼が微笑みながらそう告げたのに、真冬は幸せで目が回りそうだった。隣を歩く真見塚君に何で駅前にいたの?と問いかけると、何となく本屋に行こうと思ってと爽やかに微笑む。でも、手には本屋の袋もないし、真冬はアプリのとんでもない願いをカナエマス効果に内心有頂天だ。

凄い、真見塚君に家まで送って貰えるなんて。

出来ることならもっと色々願いをカナエマスに打ち込みたいけど隣に真見塚君がいるから、今は一緒に並んで歩く事で我慢するしかない。でも、これが本当ならデートの時には、他の願い事だって出来る。真見塚君の彼女にして貰う事だってできるかもしれない。

「じゃ、今度の休みに駅前で待ち合わせよう。それでいいかな?小坂さん。」
「う、うん、駅前に10時ね、真見塚君。」

玄関前で彼がもう一度ごめんねと謝るのを、ウットリ眺めながら真冬は彼と携帯会社に行く約束を交わす。彼の背中を見送って、真冬はヒビの入った画面に写し出された願いをカナエマス画面を歓喜の瞳で見つめた。

《真見塚君のスマホ電話番号が知りたい。》

確定ボタンを押した瞬間、見送った筈の真見塚君が駆け戻ってくるのに真冬は目を丸くする。

「ごめん、約束しておいて、連絡先知らないって思い出した。スマホ使えるんだよね、電話番号教えるよ。」

効果絶大だと感涙ものなのを必死に飲み込んで、真冬は割れた画面のスマホを操作して真見塚君と電話番号の交換をした。今度こそ背中を完全に見送って真冬は、夢見心地で玄関前で佇む。

凄い、最高のアプリだよ、願いをカナエマス!

今まで遠くで志賀とか宮井とか決まった女の子と、凄く親しげに話している彼をただ見つめていただけだった。なのに、願いをカナエマスアプリのお陰で、会話どころか家まで彼に送ってもらって彼から電話番号の交換って言って貰えたのだ。

《真見塚君とLINEで繋がりたい。》

確定ボタンを押した瞬間、スマホのLINE画面に新しい友達の表示が浮かび彼の名前がそこに乗っている。電話番号を交換したのだから、当然なんだろうけど。開いてみた真見塚君のホーム画面が綺麗な花の画像なのには、少し意外だって思わず微笑んでしまう。真っ白な花は涼やかで、凛としていて彼の印象そのものだ。

なんて花なのかな。

《真見塚君とLINEで話がしたい》

そう打ち込んで確定すると、LINEに彼からのメッセージが入る。スマホ大丈夫かな?と心配してくれる彼に、今のうちは大丈夫と返し一緒に花の事を問いかけた。

《夏椿の花だよ。》
《お花の画像なんて意外。》
《そう?家の庭に咲くんだ、綺麗で好きなんだよ。》
《お庭にあるんだ、凄いね。》
《そうかな、小さい時からあるからね。》

凄い、こんなにたくさん会話してるなんてと真冬は胸が一杯になる。願いをカナエマスアプリの効果の凄さに、真冬は有頂天で、彼と長々とメッセージのやり取りをした。

LINEとアプリが一緒に開けないのが残念。

もしもっと願い事ができたら、もっと真見塚君と話して、もっと願い事叶えて貰うのに。流石に翌日の事を考えて真見塚君が何度目かのおやすみを告げたのに、真冬も渋々会話を諦める。真冬は明日は何を叶えて貰おうかとスマホを手に天井を見上げた。



※※※


そのままウトウトしていたらしい真冬は、手の中の異常な熱に跳ね起きる。

「あっつい!」

手にしていたスマホが異常な熱を放ったのに、眠りから引き起こされたのだ。慌てて起き上がってベットの上に投げ出したスマホを、真冬は恐る恐る見つめる。画面は白く発光して、指で持ち上げられないほどに熱を放っている。

やだ!どうしよう!

頭に浮かんだのは発熱していると言うことよりも、アプリが使えないということだった。朝からお迎えに来てもらって手を繋いで学校に行くって寝る前に打ち込んでおけばよかった。そうじゃなくても彼女にって願えばよかったんだ。触ろうとしても余りの熱さに指を触れることもできない。
ブブと不意に奇妙な音がスマホから上がって、驚いた真冬は画面を覗きこんだ。

《願いをカナエマス》

その画面が左右に揺れている。

《願いをカナエマ》

文字が一個ブレた画面の中から消え去った。

《ねがいをカナエマ》

文字が激しく変化していく。

《ねがいヲかなえもらいマ》

呆然と発光している画面を間近に覗きこむと、文字が勝手に動き回り全く違う文章の形を作り出す。

《ねがいをカナエてもらいマス》

その出来上がった文章を見つめた真冬は、呆然として目を丸くする。触って画面を消してしまいたいのに、熱くて触れることもできない。

《あなたのねがいカナエた分、ねがいをカナエてもらいマス》

そんな話聞いてないと文字を見つめながら、真冬は一人部屋の中で呟いた。たいした願い事じゃない、ただ家まで送ってもらって、電話番号交換して、LINEして、長話しただけだよ?たいした願い事じゃないよ。

《ねがいをカナえて》

唐突に部屋の電気が点滅して、真冬は悲鳴をあげてスマホから飛び退いた。真っ暗の室内でベットの上のスマホが真っ白く光を放っている。

願いってなに?何をかなえてっていうの?

一人の部屋でゾッと悪寒が走る真冬の目の前で、真っ白な発光が強く余計に闇が深くなる。
 
どうしよう、とんでもない願いだったら、どうしよう。

恐る恐る覗きこんだ画面には、文字がどんどん文章の形を作り出していく。真冬は震えながら、その文字を目で追い続ける。

《あなたのねがいごとゼんぶ逆さまにしてクダサイ》

その言葉に唖然として、真冬はその願いの意味を考える。願い事全部逆さま?全部逆さまって何?意味が分からない真冬は、願いカナエマスアプリにした願い事を頭で思案した。唐突にスマホが沈黙し画面の発光が途絶えて、真っ暗になった室内で真冬は悲鳴をあげる。



※※※


次のお休みに確かに真見塚君は携帯会社迄一緒に行ってくれて、携帯の修理は完了した。ただし、他のクラスメイトをつれていて、二人っきりではなかった。新しいスマホに移した筈の電話帳には真見塚君の電話番号は残っていないし、電話番号の交換どころか最初のように真見塚君は微笑みかけてくれない。しかも、すれ違うみたいに、真見塚君自体の姿を見なくなった。別に避けられている訳じゃないけど、タイミングが合わなくなって見つめることすらできなくなったのだ。

「真冬って本当タイミング悪いね。」

真見塚君がついさっきまで笑顔で話していた、なんてのは当然みたいになってしまった。願い事の代償が大きすぎて泣き出したくなるのに、最近私は気がついてしまったのだ。

一番最初の願い事の逆さまって何だろう?

真冬が一番最初に願った塾の授業を止めての逆さまはなんだろう。一緒に帰っただけで殆ど姿を見れなくなるなら、塾の授業を止めさせた代償がどんな事になるのか真冬は不安でしかたがない。
真冬は願いをカナエマスアプリを、あれからずっと探し続けているけど一向に見つからない。願いをカナエマスアプリを使いたい訳じゃなくて、あのアプリの感想を星一つで打ち込んでやりたいのに。


※※※


願いをカナエマスかぁ

自分が呟いたのに久保田が何か願いを叶えて欲しいことがありますか?と問いかける。自分は暫く叶えて欲しいことを思いめぐらせるが、対価を払わされるんじゃなぁと思わず苦笑いした。

対価の方が高くつくんじゃ、叶えて貰いたくないですよね。

そう呟くと久保田は確かにとグラスを磨きながら声をあげて笑う。スマホばかり見ている人が多いからこんな話が生まれるんでしょうねと自分が呟くと、グラスを置いた久保田が店内にいつの間にか来ていた客を眺める。つられて振り返った店内の客全員が、皆同じ姿勢でスマホに目を落としているのを見て思わず目を丸くした。

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