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十八夜目『透明』
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これは、友人から聞いた話なんですがね、そうマスターの久保田は、グラスを磨きながら何気ない気配で口を開く。客足は奇妙なほど途絶えて、その言葉を耳にしたのは自分ただ一人だった。
※※※
様々な知識を詰め込んだ脳髄が、ある日突然その現実に気が付いた。僕は別段頭がいいと言うわけでもない。様々な知識を嫌と言うほど詰め込みはしているが、それを全て有効に活用出来ているかと問われると。答えは甚だ疑問だ、である。そんな僕では有るのだが、何か奇跡的で天才的な閃きが不意に到来した。ある日突然、僕は雷に射たれたみたいに、その事に気が付いたのだ。
可視光線なんて言葉を聴いたことがあるだろうか?
可視光線てものは、人間の目で見える波長のもの、電磁波の事を言うんだ。簡単に言うと、いわゆる光のことなんだけど。難しく言ってしまえば、定義なんて物も色々あるけどそこはここでは面倒なので置いておこう。とにかく可視光線って言うのは波長で分類されていて、人間が見れる波長の範囲って言うのは既に決まってる。その範囲は人間が突然変異して、波長の見える範囲外も見えるようにでもならなきゃ変わらない。つまりは可視光線より波長が短くなっても長くなっても、人間の目には見ることができなくなるんだ。
因みに可視光線より波長の短いものを紫外線、長いものを赤外線と呼ぶんだけど、これは誰しも何処かで聞いた事があると思う。赤外線と紫外線を指して不可視光線と呼ぶ場合もあるんだけど、これも蛇足的に付け足しておきたい。
僕が突然こんな話をしだしたのには、勿論大事な理由がある。実は可視光線は、僕らの生きているこの世界にはそん所そこらにあるものなんだ。実際には太陽やそのほか様々な照明からも発せられている。光自体の事を言っているんだから、それは当然誰でも分かってもらえると思う。通常は様々な波長の可視光線が混ざった状態なんだ。可視光線が混じってしまうから、僕らの言う光は白に近い色に見える。プリズムなどを用いて、可視光線をその波長によって分離してみることも出来る。ああ、分離ってなんだって?待って、やって見せるから。いいかな?見えるかい。よし、じゃ、話を続けようか。
それぞれの波長の可視光線は、実は人間の目には異なった色を持った光として認識される。同じ色なのに違って見えるってことなんだけど、分かりやすく言えば虹の色がいいだろう、分離したのも虹の色と言うと理解しやすいだろう。同じ虹を見ていて人によって、七色見えてる人と六色しか見えない人が現れるなんてのがいい例だ。
兎も角、人間は可視光線は視覚として認識できる。これを頭に叩き込んで置いてくれればいい。
さて、こんな小難しい話を前置きにしたのは、僕が気が付いた現実はこれに関係してるからだ。よくSFでは光より速い速度での移動が可能なら、タイムスリップが出来るなんて話があげられているだろう?よくある映画なんかでも、これを盾のように振りかざして説明する場合がある。
ただ、僕が気が付いたのはその逆の話なんだ。
僕が今認識している光。今現在僕の網膜に光として認知された物であって、それをもし現時点をA点として、そのA点の少し前の光・もしくは未来の光を認知できる方法を編み出したらどうなると思う?
そこにあるのは単純にその場所にその瞬間の前の存在していた空間を感知する可視光線がある。簡単に言えば歩いている僕の半歩前の空間は、人のいない空間があったわけだ。それを人為的に発生させてエンドレスに自分の周囲の可視光線の認識を、ワンテンポずらしてしまうと僕と言う存在を視認することが出来ないというわけだ。
つまりもし僕がその場に立っていても、君が僕のいる瞬間でないワンテンポずれた世界を認知していたら僕は君の世界には認知されないという事になる。おや?混乱したかい?
つまりは僕はここにいるのに、君は僕のいない空間という映像を見ることになるんだ。そう、つまりは透明人間の出来上がりって言うことなんだよ!
そしてね、そうできる原理を、僕は唐突に閃き思いついたって訳だよ。それを応用して周囲の人に人工的に僕のいない空間映像を、常に認知する装置を遂に発明したって訳。そう!つまり僕は科学的に透明人間になる方法を編み出したって言う事なんだよ。分かってくれたかい?
さて、では世紀の実験を始めようか?
僕が言ったらスイッチを押してくれるかな?うん。
※※※
パチンと言う衝撃は軽い電撃のように全身に広がった。
僕の体内に埋め込まれた幾つかの電極が放つ電波は、微細な衝撃波のような物を体から常に放っている。電極自体は本当に小さくて、また特殊な素材で包んであるから人体に害はない。これまた特殊な方法で筋肉の繊維が生み出す微細な電気信号を変換して、電源にすると言う優れもの。つまりは僕が生きている限り、埋め込まれた電極の電池も半永久的にもつということだ。
画期的な素晴らしいのこ発明の作用は勿論それだけじゃない。この電極が四方に放つ電波は、周囲の人間の知覚の一つの伝達信号を撹乱する作用を起こす。
それは
視覚認識の阻害
そう、つまりこの電極は稼動していると周囲の人間に、僕の姿を視野に入れても脳内で僕の姿を形として認識する事が出来なくさせるのだ。つまり本当は僕の姿は見えているのに、僕は人間には目に見えない存在になる。僕は科学的な透明人間であるといえる。よくあるSF映画みたいに、裸になる必要もないし雨や水を被ると姿が浮かび上がるなんてこともない。何しろ最初から視覚認識を阻害して、僕がいなかった空間だと見せているのだから。
僕の実験は成功した。
これから僕はおよそ24時間、この状態で生活する経過観察をかねた継続実験に入る。
※※※
本当は見えるのに人間に見えない存在。
勿論、視野認識という脳内整理に関係ない録画映像では僕の姿はばっちり映って残る。だけど、僕を人間の目では直に見ることはかなわない。
なんてそれは素晴らしいしいことだろう。
僕は勿論研究所内の監視カメラの位置は十分把握しているから、それを避けて研究所から逃げ出す事も難なくやってみせた。そうそして僕は好き勝手に透明人間を楽しんで翌日までに研究所に戻るはずだったのだ。
僕は普通に横断歩道を歩いていた。
だけど、その横断歩道には、運悪く信号機が付いていなかった。そして常識という認識が、僕に僕自身の現状を忘れさせていたんだ。
運悪く大型トラックが突っ込んできて、掠める程度にバンパーに跳ね飛ばされる。これが普通車だったら、バンパーが凹むとか、衝撃が有るだろうから話は違っただろう。大型トラックは跳ねたことを気がつきもしないで、そのまま走り去っていく。撥ね飛ばされ路肩の植木の中に倒れこんだ僕は、自分が喘ぐ様な掠れた呼気の影で悲鳴を上げようとしても出来ない事に気が付いた。微かに助けを呼ぶ声を聞きつけても、僕の姿は人間には見えないから訝しげに辺りを見回すばかりだ。その後気味悪そうに僕の倒れる場所を避けて、人間はそそくさと歩み去っていく。
あぁ、誰も僕を見つけてはくれない…
どんなに悲鳴を上げようにも、息が漏れて声は掠れて弱々しい。動こうにも手足は奇妙に折れ曲がり、痛みに身動きすることも出来ない。植木の中に落ちたせいで、気がついてもらえそうな血の後も土に染み込んでしまう。何度通りかかった人間に呼びかけても、誰もそれが僕の声だとは思いもしないのだ。シトシトと雨が降り始め僕の体を濡らしても、その雨が僕の体を浮かび上がらせる事すらない。
何て事だ、僕の研究が完璧過ぎて、僕は見つけてもらえない。
何しろ僕は姿が見えないのだから、僕がここで倒れていると分かってもらえすらしない。研究室を脱け出したことだって、誰にも気がつかれていないのだから。恐らく24時間経って、彼らは初めて僕が居ないことに気がつき慌てて探し出すに違いない。でも、どうやって探すだろう。目には見えない僕の事を、探すにはどうするだろうか。痛みをまぎらわせようと、僕は必死にそんなことを考え続ける。呼吸は早く浅く意識が朦朧とするし、手足だけでなく肋にも熱を持った痛みがあった。もしかしたら肋が折れて、肺に刺さっているのだろうかと、ボンヤリ考える。電極は無事らしいところが僕の発明の素晴らしさなのだけど、この場合は残念としか言えない。一個でも壊れてくれれば、視覚認識の阻害は出来なくなるのだ。
※※※
一体あれから何時間たったんだろう。
痛みと出血のせいかボンヤリする意識の中で、僕は次第に暗くなる視界で浅い息を溢した。どれか電極が壊れればよかったのにと、呻くように考えるが埋め込んだ筋肉に守られているのかつつがなく電極は作動中だ。そろそろ彼らも気がついて探し始めてはくれないだろうか。
次第に視界が狭くなっている、早くしてくれないと出血で死んでしまう。
そう考えて同時に僕は皮肉にひきつった顔で笑う。この僕が産み出した電極は、僕の鼓動が止まって永遠に僕が動けなくなって筋繊維が全て死滅するまで止まりはしないのだ。あとは時間の問題なんだと僕は暗い視界を見上げながら、ボンヤリと考えた。
※※※
つ、作り話ですよね?
自分の問いかけに久保田は穏やかに微笑みながら、グラスを磨きあげる。透明人間なんてSF映画じゃあるまいしと言うと、久保田は目に見えるものだけが全てと言うわけでもないですよと告げた。でも、透明になれたらどうします?と、久保田に問われた自分は思わず考え込んでしまった。
透明になれたら、ですか?
考えれば考えるほど、自分は怖くて動けなくなりそうな気がする。そう答えると久保田も同感ですねと笑う。不意に何時ものカランというドアの音がして、何気なく振り返った自分は開いた扉が誰も潜らずにユックリと閉じていくのを凍りついたように見つめていた。
※※※
様々な知識を詰め込んだ脳髄が、ある日突然その現実に気が付いた。僕は別段頭がいいと言うわけでもない。様々な知識を嫌と言うほど詰め込みはしているが、それを全て有効に活用出来ているかと問われると。答えは甚だ疑問だ、である。そんな僕では有るのだが、何か奇跡的で天才的な閃きが不意に到来した。ある日突然、僕は雷に射たれたみたいに、その事に気が付いたのだ。
可視光線なんて言葉を聴いたことがあるだろうか?
可視光線てものは、人間の目で見える波長のもの、電磁波の事を言うんだ。簡単に言うと、いわゆる光のことなんだけど。難しく言ってしまえば、定義なんて物も色々あるけどそこはここでは面倒なので置いておこう。とにかく可視光線って言うのは波長で分類されていて、人間が見れる波長の範囲って言うのは既に決まってる。その範囲は人間が突然変異して、波長の見える範囲外も見えるようにでもならなきゃ変わらない。つまりは可視光線より波長が短くなっても長くなっても、人間の目には見ることができなくなるんだ。
因みに可視光線より波長の短いものを紫外線、長いものを赤外線と呼ぶんだけど、これは誰しも何処かで聞いた事があると思う。赤外線と紫外線を指して不可視光線と呼ぶ場合もあるんだけど、これも蛇足的に付け足しておきたい。
僕が突然こんな話をしだしたのには、勿論大事な理由がある。実は可視光線は、僕らの生きているこの世界にはそん所そこらにあるものなんだ。実際には太陽やそのほか様々な照明からも発せられている。光自体の事を言っているんだから、それは当然誰でも分かってもらえると思う。通常は様々な波長の可視光線が混ざった状態なんだ。可視光線が混じってしまうから、僕らの言う光は白に近い色に見える。プリズムなどを用いて、可視光線をその波長によって分離してみることも出来る。ああ、分離ってなんだって?待って、やって見せるから。いいかな?見えるかい。よし、じゃ、話を続けようか。
それぞれの波長の可視光線は、実は人間の目には異なった色を持った光として認識される。同じ色なのに違って見えるってことなんだけど、分かりやすく言えば虹の色がいいだろう、分離したのも虹の色と言うと理解しやすいだろう。同じ虹を見ていて人によって、七色見えてる人と六色しか見えない人が現れるなんてのがいい例だ。
兎も角、人間は可視光線は視覚として認識できる。これを頭に叩き込んで置いてくれればいい。
さて、こんな小難しい話を前置きにしたのは、僕が気が付いた現実はこれに関係してるからだ。よくSFでは光より速い速度での移動が可能なら、タイムスリップが出来るなんて話があげられているだろう?よくある映画なんかでも、これを盾のように振りかざして説明する場合がある。
ただ、僕が気が付いたのはその逆の話なんだ。
僕が今認識している光。今現在僕の網膜に光として認知された物であって、それをもし現時点をA点として、そのA点の少し前の光・もしくは未来の光を認知できる方法を編み出したらどうなると思う?
そこにあるのは単純にその場所にその瞬間の前の存在していた空間を感知する可視光線がある。簡単に言えば歩いている僕の半歩前の空間は、人のいない空間があったわけだ。それを人為的に発生させてエンドレスに自分の周囲の可視光線の認識を、ワンテンポずらしてしまうと僕と言う存在を視認することが出来ないというわけだ。
つまりもし僕がその場に立っていても、君が僕のいる瞬間でないワンテンポずれた世界を認知していたら僕は君の世界には認知されないという事になる。おや?混乱したかい?
つまりは僕はここにいるのに、君は僕のいない空間という映像を見ることになるんだ。そう、つまりは透明人間の出来上がりって言うことなんだよ!
そしてね、そうできる原理を、僕は唐突に閃き思いついたって訳だよ。それを応用して周囲の人に人工的に僕のいない空間映像を、常に認知する装置を遂に発明したって訳。そう!つまり僕は科学的に透明人間になる方法を編み出したって言う事なんだよ。分かってくれたかい?
さて、では世紀の実験を始めようか?
僕が言ったらスイッチを押してくれるかな?うん。
※※※
パチンと言う衝撃は軽い電撃のように全身に広がった。
僕の体内に埋め込まれた幾つかの電極が放つ電波は、微細な衝撃波のような物を体から常に放っている。電極自体は本当に小さくて、また特殊な素材で包んであるから人体に害はない。これまた特殊な方法で筋肉の繊維が生み出す微細な電気信号を変換して、電源にすると言う優れもの。つまりは僕が生きている限り、埋め込まれた電極の電池も半永久的にもつということだ。
画期的な素晴らしいのこ発明の作用は勿論それだけじゃない。この電極が四方に放つ電波は、周囲の人間の知覚の一つの伝達信号を撹乱する作用を起こす。
それは
視覚認識の阻害
そう、つまりこの電極は稼動していると周囲の人間に、僕の姿を視野に入れても脳内で僕の姿を形として認識する事が出来なくさせるのだ。つまり本当は僕の姿は見えているのに、僕は人間には目に見えない存在になる。僕は科学的な透明人間であるといえる。よくあるSF映画みたいに、裸になる必要もないし雨や水を被ると姿が浮かび上がるなんてこともない。何しろ最初から視覚認識を阻害して、僕がいなかった空間だと見せているのだから。
僕の実験は成功した。
これから僕はおよそ24時間、この状態で生活する経過観察をかねた継続実験に入る。
※※※
本当は見えるのに人間に見えない存在。
勿論、視野認識という脳内整理に関係ない録画映像では僕の姿はばっちり映って残る。だけど、僕を人間の目では直に見ることはかなわない。
なんてそれは素晴らしいしいことだろう。
僕は勿論研究所内の監視カメラの位置は十分把握しているから、それを避けて研究所から逃げ出す事も難なくやってみせた。そうそして僕は好き勝手に透明人間を楽しんで翌日までに研究所に戻るはずだったのだ。
僕は普通に横断歩道を歩いていた。
だけど、その横断歩道には、運悪く信号機が付いていなかった。そして常識という認識が、僕に僕自身の現状を忘れさせていたんだ。
運悪く大型トラックが突っ込んできて、掠める程度にバンパーに跳ね飛ばされる。これが普通車だったら、バンパーが凹むとか、衝撃が有るだろうから話は違っただろう。大型トラックは跳ねたことを気がつきもしないで、そのまま走り去っていく。撥ね飛ばされ路肩の植木の中に倒れこんだ僕は、自分が喘ぐ様な掠れた呼気の影で悲鳴を上げようとしても出来ない事に気が付いた。微かに助けを呼ぶ声を聞きつけても、僕の姿は人間には見えないから訝しげに辺りを見回すばかりだ。その後気味悪そうに僕の倒れる場所を避けて、人間はそそくさと歩み去っていく。
あぁ、誰も僕を見つけてはくれない…
どんなに悲鳴を上げようにも、息が漏れて声は掠れて弱々しい。動こうにも手足は奇妙に折れ曲がり、痛みに身動きすることも出来ない。植木の中に落ちたせいで、気がついてもらえそうな血の後も土に染み込んでしまう。何度通りかかった人間に呼びかけても、誰もそれが僕の声だとは思いもしないのだ。シトシトと雨が降り始め僕の体を濡らしても、その雨が僕の体を浮かび上がらせる事すらない。
何て事だ、僕の研究が完璧過ぎて、僕は見つけてもらえない。
何しろ僕は姿が見えないのだから、僕がここで倒れていると分かってもらえすらしない。研究室を脱け出したことだって、誰にも気がつかれていないのだから。恐らく24時間経って、彼らは初めて僕が居ないことに気がつき慌てて探し出すに違いない。でも、どうやって探すだろう。目には見えない僕の事を、探すにはどうするだろうか。痛みをまぎらわせようと、僕は必死にそんなことを考え続ける。呼吸は早く浅く意識が朦朧とするし、手足だけでなく肋にも熱を持った痛みがあった。もしかしたら肋が折れて、肺に刺さっているのだろうかと、ボンヤリ考える。電極は無事らしいところが僕の発明の素晴らしさなのだけど、この場合は残念としか言えない。一個でも壊れてくれれば、視覚認識の阻害は出来なくなるのだ。
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一体あれから何時間たったんだろう。
痛みと出血のせいかボンヤリする意識の中で、僕は次第に暗くなる視界で浅い息を溢した。どれか電極が壊れればよかったのにと、呻くように考えるが埋め込んだ筋肉に守られているのかつつがなく電極は作動中だ。そろそろ彼らも気がついて探し始めてはくれないだろうか。
次第に視界が狭くなっている、早くしてくれないと出血で死んでしまう。
そう考えて同時に僕は皮肉にひきつった顔で笑う。この僕が産み出した電極は、僕の鼓動が止まって永遠に僕が動けなくなって筋繊維が全て死滅するまで止まりはしないのだ。あとは時間の問題なんだと僕は暗い視界を見上げながら、ボンヤリと考えた。
※※※
つ、作り話ですよね?
自分の問いかけに久保田は穏やかに微笑みながら、グラスを磨きあげる。透明人間なんてSF映画じゃあるまいしと言うと、久保田は目に見えるものだけが全てと言うわけでもないですよと告げた。でも、透明になれたらどうします?と、久保田に問われた自分は思わず考え込んでしまった。
透明になれたら、ですか?
考えれば考えるほど、自分は怖くて動けなくなりそうな気がする。そう答えると久保田も同感ですねと笑う。不意に何時ものカランというドアの音がして、何気なく振り返った自分は開いた扉が誰も潜らずにユックリと閉じていくのを凍りついたように見つめていた。
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