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三十一夜続『さむとのばぁ』
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「リオ。」
翌日のメニューを確認して食材の確認をしながら、厨房の点検をしている最中かけられた声に振り返ると、視線の先には同じ東洋人の劉浩宇が面の問いたげな顔で歩み寄ってきた。
年齢は良二より五つほど下だが劉は語学が堪能で五ヵ国語を操り、最近は日本語も習得しつつある。店ではその語学力をかわれて、メートルと呼ばれる立場にいる男だ。メートルとはフランス料理を提供する店で、ホールの責任者でギャルソンやソムリエの上司に当たる。方や良二はスー・シェフと言う厨房の副料理長だ。現在では東洋人の進出は珍しい事ではないが、有名店での店舗の責任者に近い人間が二人も東洋人は珍しい方だろう。劉は良二に比べるとやや細い切れ長の目をしているが、他のスタッフには黒髪で東洋人と一括りで言われる事が多く大きな差はないように見えているらしい。
「小劉、何かした?明日のこと?」
彼の母国では年下の人間には小をつけて名字を呼ぶが、これは日本語で言ったら佐藤君とか佐藤さんと呼んでいるようなものだ。明日の事と問いかけたのは明日の予約客には一人特別ワインに煩い客が居るから、在庫にあるワインの話しかもしれないと考えていたのだ。料理にあわせて仕入れが必要なワインが出てきたのではと考えた良二の問いかけに劉が答える。
「不是。」
否定の返答に劉が問いかけたいのが他のことだと気がついて、手にしたファイルから視線を上げる。劉は少し戸惑いながら良二に問い返す。
「リオの母国で、オーガナイとはどういう意味ですか?」
「オーガニック?」
「不是、オーガナイ。オガナーイ?」
語学の堪能な劉が分からないと言うことは、英語のオーガナイズとかでもなさそうだ。しかも、良二に聞くと言うことは、その言葉は東洋人のしかも日本人が話したと言うことだろう。
「オーガナイ……。」
「Japanese、老嫗、 elderly woman、我有点害怕、A stranger tapped me on the shoulder from behind. He took me for some other person, I'm sure.」
年老いた見知らぬ日本人女性が背後から劉の肩を叩いて、話しかけてきた。少し恐ろしかったようだが、誰か他の人と間違えたに違いないと劉は考えたらしい。年老いた女性と聞いた瞬間、良二の頭には何故かあのホームレスの姿が浮かび上がる。当てはまる言葉が上手く無いのが、余計あの着物のホームレスを思い浮かばせるのだ。
「What was she wearing?」
「She is dressed in white.It was the dirty clothes.」
白い服と汚れていたと言われてやはりと良二は、あのホームレスを思い浮かべた。着物と言って劉が理解できるかは微妙な所だが、年老いた見知らぬ女性が劉と良二を見間違う可能性は高い。ただ、そうなると彼女が何者なのか疑問ではあるし、オーガナイとは何の事だろう。
「What a it was said to her.」
その言葉に劉は少し悩み込んだようだ。恐らく彼には発音しにくい言葉だったのだろう。
「オーガナイ、ゴサータオッガナイ、トツーグゾ?」
何とはなしに聞いていて、自分の記憶で同じように聞こえる言葉があるのに気がつく。それは日本語ではあるが、一般的ではない言葉。そう、方言だ。
「おっがねぇ、ごしゃったおっがねぇの。とっつぐぞ?」
口から飛び出した祖母の繰り返した言葉に、劉が目を丸くしてそれだと言う。どんな意味だと聞くが、この言葉を的確に訳して説明するものが見当たらない。しかも、何故ここでこの言葉を耳にする羽目に成ったのかも、良二には分からないのだ。
「It's better not to get involved with strange people.」
「就这样吧。」
関わるなと言うのが精一杯で、不思議そうな劉の言葉に適切な言葉を与えることが良二にはできなかった。そして、ほんの数日後、劉は仕事を無断で休んだかと思うと、そのままぷっつりと姿を消してしまったのだ。大都市の中では人が一人消えるのなんて珍しくないから、劉がの行方不明もあっと会う間に忘れ去られていく。しかし、良二は次は自分かもしれないと思うと気が気でなかった。
※※※
劉が行方不明になったと聞いて良二は、また祖母が話したふったちと霧の話を思い浮かべる。劉は恐らく間違われて振り返った。間違いでも話しかけられた人間が振り返ったのなら、ふったちは連れにくるのだろうか。とは言うがそもそもあのホームレスが劉の失踪に何処まで関わっているのかも、正直全く分からないのだ。
そして、あのホームレスが佐々野の祖母の可能性は、実際のところどれくらいあるのだろうか。本当にそんなことが可能かは分からないが、自分を追ってまでくる程の高い可能性があるのは、佐々野の祖母位しか思い当たらないだろう。だとしても、海外まで追ってくる程の理由が存在しているかと言われると、正直分からないのだ。
「もしもし、おふくろ?聞きたいことがあるんだけど。」
『あら、何?』
電話の先が微かに訝しげな気配を滲ませるのが分かりつつ、良二は覚悟を決めたように問いかける。
「親父の実家の傍に佐々野さんっているだろ?あそこの婆さんってどうしてる?」
『……何でそんなこと聞くの?』
不機嫌に聞こえる声に良二は、最近の出来事をかい摘まんで説明した。勿論仮定の話ばかりで、劉がただ嫌になって姿を消した可能性だってある。でも、良二の知っている劉は仕事と彼女で、仕事を真っ先にとる男だった。話を聞き終えた母が戸惑いに満ちた声をあげる。
『あんたにいってなかったと思うけど。早苗がいなくなった翌日。』
言いにくそうに口を開いた母の口調に、何故か最悪の答えが連想された。
『佐々野のお祖母さんが鈴徳の敷地で首を吊ったのよ。明け方にすっかり霧で冷たくなってるのを叔母さんが見つけたわ。』
そうなんだと呟くと母親はだからお前には帰ってくるなといったのよと溜め息混じりに返す。それが何の関わりにあるのかと問うと、母親は渋々という形で話してくれる。佐々野の祖母が早苗の失踪直後に鈴徳の家で首を吊ったことで、佐々野冬子の失踪の原因が早苗にあったこととなったのだそうだ。事実はそうだがあの時は確か冬子が自分から手を離したんだと、幼い早苗は言い訳をしていたような気がする。そして、その後から早苗を探そうとすると、佐々野の婆が出てきて怨めしげに睨んでいたりするというのだ。そういうわけで集落の者は早苗を探し出すのを嫌がっているという。それで、何故自分が帰るのが関係するのかというと、父達が佐々野の祖母の死体を見つけた時にその姿が白装束の山姥のようだったのを見て父が神様のお告げを思い出したかららしい。
それにしても死んでしまったとなると、話しは俄然妖怪じみてくる。ふったちは年老いた動物がなるというが、人間もふったちになりうるのだろうか。同時に海外に姿を見せ始めたホームレス紛いの存在は、一体何者だろう。
気にしなければいいのだろうが、もし話しかけられたとしたらどう反応すればいいのか。そんなことを考えているうちに、何故か良二の目の前にあのホームレスは姿を見せなくなった。パタリと出会わなくなって安堵する変わりに、店のスタッフがポツリポツリと消えていくようになったのだ。ソムリエやパティシエ、ギャルソンと長くいた有能なスタッフが誰にも何も言わず、ある日突然姿を消して全く連絡もつかない。新しい者を雇ってもまた消える。次第に店に勤めると、行方不明になるなんて話が真しやかに囁かれ始めたらもう終わりだった。
スタッフの消失に経営者でもある料理長も首を傾げるばかりだが、次第に店を営業するのも難しくなる程になってきていた。最低限のサービスが提供できるスタッフが保てないのは、どんなに有名店でもどうしようもない。店を畳むと言われた時に良二は、すっかり悪評に窶れ果てた料理長に何と声をかけたらいいのか分からなかった。
新しい店を探すか、それとも。
そう考えながら歩いている良二には、実際にすでに他の店からの誘いも幾つか来ている。それを受けてもいいのだが、もし次の店で同じことが起こったらと考えるのが恐い。そう思案していた良二の視線の先に灰色の頭が揺れているのが目に入った。咄嗟に良二は駆け出して、その灰色の頭を追いかける。そちらからくるのを待つのではなく、こちらから話しかけたらどうなるのか。同時に灰色の頭が何者なのか、ここでハッキリさせてしまいたかった。人混みを縫うようにして走りながら近寄ると、やはり白い薄手の着物を着た灰色の頭は小柄で日本人のようだ。
「おい、あんた。」
手をかけた良二を白濁しているのにギラギラと光る瞳が、振り返って見上げてきた。
※※※
それで?
そう問いかけると、鈴徳良二は意味ありげに笑いながら、それだけですよと答える。ええ?そんなのないよ、そのホームレスは何だったのと声をあげるが、彼はにこやかに笑ってホームレスはホームレスですよと言う。納得しかねている自分の様子に鈴徳は苦笑いしながら口を開く。
本当にここまでなんですよ、俺その後の記憶がないんで。
記憶がない?と問い返すと、そこから二ヶ月位記憶がないんですよねと鈴徳が笑う。何でか気がついたら丸二ヶ月後で、日本に戻ってましたとあっけらかんと笑う彼に自分は目を丸くした。元の店の料理長は連絡しても行方不明になったらしく、今では元の店の人間とは誰一人連絡はとれないなだと言う。
でも、日本に戻ってよかったですよ。
何故と問いかけると、ホームレスなんて少ないじゃないですかと彼は朗らかに行ってあれからホームレス見ないんで安心してますと告げた。それにしても二ヶ月後も行方不明ではご両親が心配しただろうと問いかけると、彼はケロッとした顔で大丈夫ですよと笑う。
親父もお袋も俺と同じ位から行方不明なんで、誰も心配しようがないんですよ。
その言葉に自分は返す言葉を失って、彼の顔を見つめていた。
翌日のメニューを確認して食材の確認をしながら、厨房の点検をしている最中かけられた声に振り返ると、視線の先には同じ東洋人の劉浩宇が面の問いたげな顔で歩み寄ってきた。
年齢は良二より五つほど下だが劉は語学が堪能で五ヵ国語を操り、最近は日本語も習得しつつある。店ではその語学力をかわれて、メートルと呼ばれる立場にいる男だ。メートルとはフランス料理を提供する店で、ホールの責任者でギャルソンやソムリエの上司に当たる。方や良二はスー・シェフと言う厨房の副料理長だ。現在では東洋人の進出は珍しい事ではないが、有名店での店舗の責任者に近い人間が二人も東洋人は珍しい方だろう。劉は良二に比べるとやや細い切れ長の目をしているが、他のスタッフには黒髪で東洋人と一括りで言われる事が多く大きな差はないように見えているらしい。
「小劉、何かした?明日のこと?」
彼の母国では年下の人間には小をつけて名字を呼ぶが、これは日本語で言ったら佐藤君とか佐藤さんと呼んでいるようなものだ。明日の事と問いかけたのは明日の予約客には一人特別ワインに煩い客が居るから、在庫にあるワインの話しかもしれないと考えていたのだ。料理にあわせて仕入れが必要なワインが出てきたのではと考えた良二の問いかけに劉が答える。
「不是。」
否定の返答に劉が問いかけたいのが他のことだと気がついて、手にしたファイルから視線を上げる。劉は少し戸惑いながら良二に問い返す。
「リオの母国で、オーガナイとはどういう意味ですか?」
「オーガニック?」
「不是、オーガナイ。オガナーイ?」
語学の堪能な劉が分からないと言うことは、英語のオーガナイズとかでもなさそうだ。しかも、良二に聞くと言うことは、その言葉は東洋人のしかも日本人が話したと言うことだろう。
「オーガナイ……。」
「Japanese、老嫗、 elderly woman、我有点害怕、A stranger tapped me on the shoulder from behind. He took me for some other person, I'm sure.」
年老いた見知らぬ日本人女性が背後から劉の肩を叩いて、話しかけてきた。少し恐ろしかったようだが、誰か他の人と間違えたに違いないと劉は考えたらしい。年老いた女性と聞いた瞬間、良二の頭には何故かあのホームレスの姿が浮かび上がる。当てはまる言葉が上手く無いのが、余計あの着物のホームレスを思い浮かばせるのだ。
「What was she wearing?」
「She is dressed in white.It was the dirty clothes.」
白い服と汚れていたと言われてやはりと良二は、あのホームレスを思い浮かべた。着物と言って劉が理解できるかは微妙な所だが、年老いた見知らぬ女性が劉と良二を見間違う可能性は高い。ただ、そうなると彼女が何者なのか疑問ではあるし、オーガナイとは何の事だろう。
「What a it was said to her.」
その言葉に劉は少し悩み込んだようだ。恐らく彼には発音しにくい言葉だったのだろう。
「オーガナイ、ゴサータオッガナイ、トツーグゾ?」
何とはなしに聞いていて、自分の記憶で同じように聞こえる言葉があるのに気がつく。それは日本語ではあるが、一般的ではない言葉。そう、方言だ。
「おっがねぇ、ごしゃったおっがねぇの。とっつぐぞ?」
口から飛び出した祖母の繰り返した言葉に、劉が目を丸くしてそれだと言う。どんな意味だと聞くが、この言葉を的確に訳して説明するものが見当たらない。しかも、何故ここでこの言葉を耳にする羽目に成ったのかも、良二には分からないのだ。
「It's better not to get involved with strange people.」
「就这样吧。」
関わるなと言うのが精一杯で、不思議そうな劉の言葉に適切な言葉を与えることが良二にはできなかった。そして、ほんの数日後、劉は仕事を無断で休んだかと思うと、そのままぷっつりと姿を消してしまったのだ。大都市の中では人が一人消えるのなんて珍しくないから、劉がの行方不明もあっと会う間に忘れ去られていく。しかし、良二は次は自分かもしれないと思うと気が気でなかった。
※※※
劉が行方不明になったと聞いて良二は、また祖母が話したふったちと霧の話を思い浮かべる。劉は恐らく間違われて振り返った。間違いでも話しかけられた人間が振り返ったのなら、ふったちは連れにくるのだろうか。とは言うがそもそもあのホームレスが劉の失踪に何処まで関わっているのかも、正直全く分からないのだ。
そして、あのホームレスが佐々野の祖母の可能性は、実際のところどれくらいあるのだろうか。本当にそんなことが可能かは分からないが、自分を追ってまでくる程の高い可能性があるのは、佐々野の祖母位しか思い当たらないだろう。だとしても、海外まで追ってくる程の理由が存在しているかと言われると、正直分からないのだ。
「もしもし、おふくろ?聞きたいことがあるんだけど。」
『あら、何?』
電話の先が微かに訝しげな気配を滲ませるのが分かりつつ、良二は覚悟を決めたように問いかける。
「親父の実家の傍に佐々野さんっているだろ?あそこの婆さんってどうしてる?」
『……何でそんなこと聞くの?』
不機嫌に聞こえる声に良二は、最近の出来事をかい摘まんで説明した。勿論仮定の話ばかりで、劉がただ嫌になって姿を消した可能性だってある。でも、良二の知っている劉は仕事と彼女で、仕事を真っ先にとる男だった。話を聞き終えた母が戸惑いに満ちた声をあげる。
『あんたにいってなかったと思うけど。早苗がいなくなった翌日。』
言いにくそうに口を開いた母の口調に、何故か最悪の答えが連想された。
『佐々野のお祖母さんが鈴徳の敷地で首を吊ったのよ。明け方にすっかり霧で冷たくなってるのを叔母さんが見つけたわ。』
そうなんだと呟くと母親はだからお前には帰ってくるなといったのよと溜め息混じりに返す。それが何の関わりにあるのかと問うと、母親は渋々という形で話してくれる。佐々野の祖母が早苗の失踪直後に鈴徳の家で首を吊ったことで、佐々野冬子の失踪の原因が早苗にあったこととなったのだそうだ。事実はそうだがあの時は確か冬子が自分から手を離したんだと、幼い早苗は言い訳をしていたような気がする。そして、その後から早苗を探そうとすると、佐々野の婆が出てきて怨めしげに睨んでいたりするというのだ。そういうわけで集落の者は早苗を探し出すのを嫌がっているという。それで、何故自分が帰るのが関係するのかというと、父達が佐々野の祖母の死体を見つけた時にその姿が白装束の山姥のようだったのを見て父が神様のお告げを思い出したかららしい。
それにしても死んでしまったとなると、話しは俄然妖怪じみてくる。ふったちは年老いた動物がなるというが、人間もふったちになりうるのだろうか。同時に海外に姿を見せ始めたホームレス紛いの存在は、一体何者だろう。
気にしなければいいのだろうが、もし話しかけられたとしたらどう反応すればいいのか。そんなことを考えているうちに、何故か良二の目の前にあのホームレスは姿を見せなくなった。パタリと出会わなくなって安堵する変わりに、店のスタッフがポツリポツリと消えていくようになったのだ。ソムリエやパティシエ、ギャルソンと長くいた有能なスタッフが誰にも何も言わず、ある日突然姿を消して全く連絡もつかない。新しい者を雇ってもまた消える。次第に店に勤めると、行方不明になるなんて話が真しやかに囁かれ始めたらもう終わりだった。
スタッフの消失に経営者でもある料理長も首を傾げるばかりだが、次第に店を営業するのも難しくなる程になってきていた。最低限のサービスが提供できるスタッフが保てないのは、どんなに有名店でもどうしようもない。店を畳むと言われた時に良二は、すっかり悪評に窶れ果てた料理長に何と声をかけたらいいのか分からなかった。
新しい店を探すか、それとも。
そう考えながら歩いている良二には、実際にすでに他の店からの誘いも幾つか来ている。それを受けてもいいのだが、もし次の店で同じことが起こったらと考えるのが恐い。そう思案していた良二の視線の先に灰色の頭が揺れているのが目に入った。咄嗟に良二は駆け出して、その灰色の頭を追いかける。そちらからくるのを待つのではなく、こちらから話しかけたらどうなるのか。同時に灰色の頭が何者なのか、ここでハッキリさせてしまいたかった。人混みを縫うようにして走りながら近寄ると、やはり白い薄手の着物を着た灰色の頭は小柄で日本人のようだ。
「おい、あんた。」
手をかけた良二を白濁しているのにギラギラと光る瞳が、振り返って見上げてきた。
※※※
それで?
そう問いかけると、鈴徳良二は意味ありげに笑いながら、それだけですよと答える。ええ?そんなのないよ、そのホームレスは何だったのと声をあげるが、彼はにこやかに笑ってホームレスはホームレスですよと言う。納得しかねている自分の様子に鈴徳は苦笑いしながら口を開く。
本当にここまでなんですよ、俺その後の記憶がないんで。
記憶がない?と問い返すと、そこから二ヶ月位記憶がないんですよねと鈴徳が笑う。何でか気がついたら丸二ヶ月後で、日本に戻ってましたとあっけらかんと笑う彼に自分は目を丸くした。元の店の料理長は連絡しても行方不明になったらしく、今では元の店の人間とは誰一人連絡はとれないなだと言う。
でも、日本に戻ってよかったですよ。
何故と問いかけると、ホームレスなんて少ないじゃないですかと彼は朗らかに行ってあれからホームレス見ないんで安心してますと告げた。それにしても二ヶ月後も行方不明ではご両親が心配しただろうと問いかけると、彼はケロッとした顔で大丈夫ですよと笑う。
親父もお袋も俺と同じ位から行方不明なんで、誰も心配しようがないんですよ。
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