都市街下奇譚

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七十八夜目続『目には目を歯には歯を』

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五十嵐はるという新しい性奴隷のお陰で、矢根尾俊一は僅かに若さを取り戻した筈だった。そして、これから本格的に躾て雌奴隷に仕込んでやると息巻いていた矢先、五十嵐はるの自宅に誘われたのだ。よしこれでやっと手こきだけは終了で、次のステップだと息巻いていた筈なのに

なんでこんなことに

矢根尾は愕然しながら今自分に何が起こってるんだと、朦朧とした頭で考えていた。何故自分はこんな目に合わされているのか、矢根尾には全く理解できないでいる。矢根尾は招かれた性奴隷・五十嵐はるの自宅で、彼女の手料理を食べていた筈なのだ。
なのに気がつくと若く猛々しいという表現が適切な屈強な男達三人に、いいように弄ばれていた。SM嗜好の自分は何をどうしてもS・つまりサディストで加虐側の人間、拘束されるのもなぶられるのもする方でされるのは好まない。それなのに今や完全に皮ベルトで固定され犬のように這いつくばり、自分は産まれて初めてだというのに恐ろしくデカイ怒張で尻を散々に掘られている。しかも、最悪なことに喉奥までもう一本の怒張を、深々と捩じ込まれてすらいるのだ。

ありえない、こんなのありえない、ありえない

何度も頭の中で繰り返すが、状況は変わらない。普段なら自分がするべき筈の言葉責めで、オカマだとか気持ちいいのかと男に代わる代わる責め立てられ泣きじゃくりながら延々と尻を掘られている。しかも、時には男の尻の穴で自分の肉棒を喰われてすら

「ちっさいなぁ……。気持ちよくない。」
「はは、俺のも入れてあげますよ、それで我慢してください。」

矢根尾の自慢の肉棒を無下に扱き下ろし、入れても気持ちよくないと蔑まれる。それだけでなく、自分のモノを咥え込んだまま更に猛々しい豪棒を一緒に捩じ込んで、やっと気持ちいいという。それがどれだけ屈辱なことか。

「ちっさい上に柔いなぁ、あんたの。掘られる方が好みなの?おっさん。」

無駄な贅肉のない綺麗な若い体で自分の逸物に乗っかって呆れるように口を開いた男が、一番三人の中では歳上で他の二人よりも上の立場なのは分かる。恐らく一回り程年下の人間にそんな風に馬鹿にされているのに、抵抗も許されない。

「しかも、臭いって最悪だよ?おっさん。」
「はは、キッツいですもんね?ワキガでもあんの?おっさん。」

散々にコンプレックスの体臭を野次られて、激しい屈辱に思わず涙ぐむ。それでも、こいつらがヤクザを臭わせ、自分はこれを堪えなきゃぺニスがなくなるというのだ。指を切られるのも嫌だが、それはもっと恐ろしい。

去勢なんて嫌だ。一晩堪えれば……

必死でそう考え相手の命令通り男の長大な怒張を捩じ込まれる。遥か昔に元妻に命令してさせたことを思い出して必死に奉仕する矢根尾を、男達はまさに一晩中蹂躙しつくして笑いながら何度も雌犬扱いした。



※※※



助かった……。

やっとのことでズタボロの状態で開放されて、ガクガクする腰を抑えよろめきながら矢根尾は考えていた。文字通り通路に裸で放り出された時には、思わず怯えて泣きじゃくりながら散らばった服をかき集めて身につけたが、何故か身に付けながら頭の中では元妻の泣き顔が浮かんでもいた。必死で通路に身を屈めながら衣類を身に付けながら誰も来ませんようにと願うと、露出調教と称して淫らな服装で歩かせた時の元妻の苦痛そうな顔が浮かび、待ち合わせに淫らな姿をさせた年若い女子高生の怯えきった青ざめた顔が浮かぶ。あれは喜んでいたと頭では言っても、今の自分が人目に怯えているのと変わらなかったと心が言う。

あいつらが変なことを言うからだ。

最初にあの男は、これは矢根尾がしたことの罰だと言ったのだ。罰を受けると考えなかったあんたが悪いと。それに部屋を追い出される時にあの一番上の男が、無表情で誰かに言ったら分かってるよなと囁いたのに背筋が冷たくなった。まるでそれは契約書にサインをしてしまった後のように感じて、そう考えると奴隷契約書にサインをさせようとして断固拒否した元妻の顔が浮かんだ。望まない契約を拒否するのは当然の反応だったんじゃないかと、心がけひっそりと囁く。しかも矢根尾が男達と結んでしまった契約を破ったら、今度は逸物とおさらばしないとならなくなる。

去勢はいやだ。

昨夜ここであったことなんか全部夢だと思えばいいだけだと考えてるのに、あの罰という言葉が酷く気にかかる。追い出されて見上げたマンションのドアには当然のように住民の名前の表示はなく、辺りをよく見れば人気の感じないマンスリーマンションだった。よくある家具つきの短期契約用のマンスリー、そうなると五十嵐はるの自宅というのは恐らく嘘だろう。そう気がついたら、自分は最初からまんまとあの女に騙されたのだと気がついて道端でよろめいてしまう。

そうだよな、五十嵐なんて、何処にでもある名字だ。

つい最近ドラマに出始めた俳優に、同じ名字がいた記憶があるくらいポピュラーな名字だ。五十嵐はる、芸名にでもなりそうな名前。安斎千奈美となんらかわりがないじゃないか。そう思った瞬間、ゾッと再び背筋が凍りつく。

もしかして安斎千奈美が、ヤクザ関係か?

その可能性は高かった。得体の知れない身元の分からないあの女が、ヤクザの女だとか娘だったら。あの女なら喜んでこんな嫌がらせをするのは、想像に容易い。大体にして他に想定できる相手がいるか?元妻は東北の何でもない普通の家庭の長女だったし、最近の女の香苗も普通の家庭の娘だ。後はあいつらも口にした自分が悪戯をした幼女は大概黒髪の美少女だったが、もう十年や二十年も経っている。

まてよ、十年や二十年たって、極道の妻になって仕返し?

でも、連れ込んで完全に悪戯をできたのは、ほんの数えるばかりだ。それ以外にも年単位で女を釣ってセックスして写真は撮っていたことはあるが、どれもOLとか大人しそうな女ばかりでこっちに写真があると思っているから表沙汰にはしないはず。

その女達の誰かが、極妻に?!

そう考えれば考えるほど可能性が高くなってしまう気がして、矢根尾は絶望的な気持ちで再びヨロヨロと歩き出す。自分のハンドルネームは実際には二十年も変わらないしオープンチャットに通うホームページも同じなのだから、自分を知っていれば話しかけるのは可能だった。今にすれば浅はかだったが、それは現実のことだ。

騙された……。

歩くと衣類に擦れて尻の穴が腫れて、ジンジンと疼くようにむず痒くピリピリと鈍い痛みが走る。歩く度に直に感じるそれに、矢根尾はまた泣き出してしまいそうだ。
自分が長年培って来た高いプライドは、あの若い三人の男達に粉微塵にされてしまった。ずっと自分の逸物に大きく太いと自身を持っていたのに、遥かに長大なモノを反り立たせる男に小さい短い柔らかいと散々に蔑まれる。スタイルがいいと自信があったのに、中年太りで腹がたるんでるだの肌が汚いと、滑らかな肌で六つに割れた腹筋をした男に笑われ馬鹿にされた。口が臭いやらドブみたいな臭いがすると、ウンザリした顔で言われて終いに臭くて萎えるなぁと迄言われてしまう自分。
それなのにおぞましい事に、何か薬でも使われたのか、実は後半には尻を掘られるのに矢根尾は快感を覚えてしまっていた。ズブリズブリと固く熱いものを奥まで押し込まれると、腸粘膜がズリズリと怒張に擦られてジーンと痺れるような快感に変わる。遂に男達に激しく掘られながら漏らすように射精してしまった自分に、男達は残酷に笑いながら尻の穴すらだらしなく緩くて気持ちよくないと酷評されたのだ。
マンションを出て何度電話をしても性奴隷になった筈の五十嵐はるの電話は、現在使われておりませんと告げるばかりで全く連絡がとれない。それは分かりきっていたことだ。何しろ最初から騙されたのだから。

「よぉ、晴!」
「おはよーっす。」

不意に目の前で聞こえた声に凍りつきながら、矢根尾は目の前で和やかに話す二人の青年を穴の開くほどの視線で見つめた。どう見ても二十代の若い青年二人。スタイルもよく若々しく、然り気無く無造作に着ただけの服ですら色気もあって人の目に鮮やか。方や自分はヨレヨレの服を着て、ヨロヨロと年寄りのようによろめきながら歩いている草臥れた中年。彼らは自分なんか気にするわけもなく、笑いながら話している。

「昨日、時間外したんだって?」
「社長から聞いた?いやぁ俺、専門職ってすげぇなぁって感心した。」
「そうなんだ?」

会社の同僚らしい会話の中で、そうそうと答える晴と呼ばれた青年が話ながら何気なく振り返る。呆然と突っ立って若々しさに溢れた二人を見ていた自分に、胡散臭そうな視線を投げつけてその青年はもう片方に声を潜めて何かを囁く。それは聞こえていないのに、何故か自分の無様さを嗤われたような気がするのだ。彼らは颯爽と笑いながら立ち去っていく。吐き気を催しそうな気持ちになりながら、ヨロヨロと再び歩き出した矢根尾の耳に声をあげて笑う張りのある声が突き刺さってくる。

若さ……

失ってしまったものをどうにかしようにも、もう方法が分からない。よろめきながら何とか道を進む矢根尾に、更なる悲劇が襲いかかったのはそれから数分の後のこと。不意に襲いかかった腹痛に脂汗を滲ませた矢根尾は、昔似たような出来事で元妻に助けを求めたことを今更のように思い出す。あの時実は失禁してしまって最寄りのファーストフード店のトイレに立て籠った矢根尾は、そこから夜勤明けで休んでいる元妻を電話で叩き起こして下着を持参させた。あまりにも恥ずかしい汚点なので、記憶から抹消してきたが、今同じ事になったら助けてくれる人間は誰もいない。

誰も助けてくれない。

そう考えた途端、矢根尾は無様だと理解しながらも再び鼻水を滴らせながら歩きながら泣き始めていた。既に腹痛は今にも臨界点に達しそうになっていて、矢根尾はそれが男達が中に大量に注ぎ込んだもののせいだとは考えもできない。何とか助けてもらう方法を考えないと、矢根尾はそれだけしか考えられないでいたのだった。



※※※



目には目を歯には歯を……ですか?

なんとも言いがたい表情で口にした言葉に久保田は相変わらずの笑顔で口を開く。とは言うものの本来はやり返すという意味ではありませんがねと呟く久保田に、そうなんですかと問いかける。

倍返しのような過剰な報復を禁じ、同等の懲罰にとどめて報復合戦の拡大を防ぐという意図なんですよ。

つまりは予め犯罪に対応する刑罰の限界を定めることがこの条文の本来の趣旨なのだという。とすると男が受けた仕返しは同等と言えるのだろうかということだ。

………足りない気がしますけど。

自分の言葉におやおやと久保田が苦笑いしている。他人事だと思ってといわれそうだが、今までの無法者ぶりを聞いているとたかだか一度痛い目を見ただけではと思ってしまう。そう告げた自分に久保田はそうですねぇとのんびりと笑いながら告げたのだった。
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