鵺の哭く刻

文字の大きさ
68 / 181
発病

68.★

しおりを挟む
中庭からの陽気は初夏を思わせる日差しで、アキコは歩行器のシュンイチを横に抜けるような青空を見つめる。

「アキ」
「何?」

思わず見上げた視界が陽光で眩み、アキコは思わず目を細める。

「結婚しようか。」

一瞬その言葉の意味が分からずにアキコは立ち止まった。晴れてきた視界の中で真剣な顔をしたその姿を見つめ、アキコは自分の心の中にある戸惑いを直に感じとる。最初からそのつもりでここにいる筈だったのに、いつの間にかそれに躊躇いを感じてしまう。
中絶のことも、女性関係のことも、暴力のことも。
そして、自分自身に巣くっている影のことも。



※※※



一人きりの自宅は暴力を振るわれる不安のない安心した空間だった。赤い犬用の首輪もつけられないし、体の青アザも消えたし、乗馬鞭もベルトも使われることもない。安心して眠れる場所になったのに、シュンイチがいないことを幸いのように影が毎夜のようにベットの上に這い寄ってくる。そうして眠りから目覚めると大概快楽に腰を振り立てて、影に貫かれていて獣ようにヒョウと声を掠れさせて喘いでいた。

「んっひっ!あっあ!」

淫らな格好で脚を大きく広げて、乳房を強く握られ手綱のようにそれを引かれながら上からドツドツと膣を貫かれている。他人がこれを見たらどう見えるのだろうと戸惑うのは、この影が自分の妄想の産物なら、ただ自慰で身悶えている色ボケにすぎないと思うからだ。それなのに体の厚みの感覚もあって、深く捩じ込んで来る快感に影の腰に己の脚を絡めてキツく引き寄せる。

気持ちいいんだな?犯されるのが、気持ちよくて仕方ないんだろう?

痛いほどに捩じ込まれて突き上げられ、乳首を弾かれ犯されている。シュンイチが教え込んだせいで後穴も性器に変えられてしまっていて、影はそれをよく知っているし簡単に二つともを責めることもできてしまう。人間ではなく影は闇の住人だから精を放っても子を孕む事もなく、何時までもアキコが快感にいき果てて気絶するまで睦みあう。腹が膨れる迄注ぎ込まれても影はまるで萎えることもないから、何時までもドロドロと大量に精液を腹に注ぎ込んでくるのだ。

「ほん、ものなの?これぇああっ!でて、るうぅ!だされて、るぅう!」

全てが自分の妄想の世界なのだとしたら、ただアキコが完全に狂っているということだ。だがドブドブと音をたてて精液を腹の中に注ぎ込まれ苦しいほどなのに、これが全て妄想なのだとしたらと思うと逆に恐ろしくなる。

偽物でも本物でも、注がれるのが好きだろう?お前は。

口に捩じ込まれればシュンイチのモノと同じ味がして、喉を通る刺すような精液の味も同じなのにとアキコは朦朧としながら音をたてて怒張をしゃぶりたて味わう。影は髪を掴むとグイグイと喉の奥に固くて太い逸物を捩じ込みながら、しかも膣も肛門も同時に大きく太い怒張でアキコを何時までも犯しつづけるのだ。

スキモノめ、すっかり淫乱に躾られたな?あの男に

影が嗤いながらアキコを更に煽る。見てみろと言われれば鏡に影に群がられ犯されている自分が見えて、アキコの目にはどう見ても影は実在の存在に見えてしまうのだ。一つの影の腰に跨がり座るようにして下から後穴に捩じ込まれ、そのまま脚を大きく左右に広げて前にも受け止める。体を仰け反らせている自分の乳房は、下から伸ばされた手でひしゃげて揉みしだかれていた。そして影はこうして実在の感覚をもっているのに奇妙に薄く鏡には透けていて、膣も肛門も怒張の形にポッカリと丸く開ききっている。

チンポの形になってるぞ?ほら見てみろ?奥まで入ってるぞ。

言葉通り、アキコの体内はまるで太い杭を嵌め込まれたよう。それが卑猥に蠢くのを見せつけられながら、膣の奥で子宮を犯されるのを見せつけられていた。あり得ないと分かっていても、そこから蛇が這い出してアキコの膣を更に押し広げてしまう。ミチミチと大きく広げられ、まるで子供の腕ほども半透明のモノで満たされた女性器に何故か白濁だけが塗り広げられていく。

精液が旨いか?淫乱。

ズボリズボリと凄まじい音が響き渡る寝室で、快感に潮を吹きながらアキコは絶頂に痙攣する。鏡には開脚させられ正常位でねじ込んでいる影の指の形に足首が括れて、背後から肛門を擦りあげる影が前に回された手に摘ままれた陰核と乳房がムニムニと乱暴に歪みひしゃげる。その様は卑猥で淫らで、興奮して、濡れて

ほら、もっと精液漬けにしてやるぞ、雌が。

逸物を捩じ込まれる快楽に痙攣が止まらないアキコの口は、だらしなく快楽を叫ぶばかり。こんな風に見えるのは自分だけなのか、他人にもこの指の動きは自分の肌を見れば見えるものなのか。
鏡には淫靡に大きく開ききった熟れた赤さ。
鏡に透けるように映る膣と腸の奥の奥まで体内を覗き込みながら自分が絶頂しているのが、全て妄想の産物だとしたら余りにも恐ろしいことだ。

出すぞ?タップリとな

気がついた時には影にグズグスと中を掻き回されていて、凄まじい快感にアキコも蕩けさせられているのだ。ふと考えるのはこれはシュンイチが他の女とするのと、何も変わりがないのではないかと思うと罪悪感を覚えすらする。確かにこの影は自分を犯して快楽に落とすし、シュンイチが一緒にしていてもまるでお構いなしでシュンイチには影は見えていないのだ。

あの時だって見えていなかった

乱暴に初めて尻まで犯されたあの時シュンイチだけでなくこの影もアキコの事を散々に犯し尽くしていたのにシュンイチはなにも気がつかなかったのだし、それは初めてでもなかった。以前も、そうアキコが住んでいた看護師寮でも影とシュンイチに犯されたけれど

なんだ?余裕だな?もっとチンポ増やしてほしいか?

蛇と逸物だけで裂けそうな膣に、メリメリと音をたててもう一つ逸物がめり込んでくる感覚。そして尻の穴にまで更に追加の太さが加えられて、アキコは悲鳴をあげる。

「ひぎぃ!!や、やめ!さげるうぅ!!」

嘲笑いながら押し込まれる熱さにアキコは白目を向いて、痙攣しながら大量の潮を吹き出し絶頂に仰け反っていた。ヌゴヌゴ・ゴチュゴチュと不設楽で有り得ない注挿音が激しく立ち上り、中に注ぎ込まれた大量の白濁の精液が行き場をなくして肉襞に塗り込まれていく。ヌヂュヌヂュと塗りつけられ更に奥に押し込まれ、肉棒が掻き回す合間からはプシュプシュと押し出され飛沫のように漏れ滴る。

それを見せつけられながら犯され続ける快楽。

しかもわざと淫らな前後の雌穴を見せつけるために、何時までもこの体勢で犯されているのも分かってしまう。同時にシュンイチとの性行為ですら実は、影や蛇がいなければ快感にならないのはアキコにだって分かってしまっていた。

「ああっ!いっちゃう!また、いぐぅ!!」

これは本質的にシュンイチを裏切っているのではと思うのと同時に、これがいないとシュンイチとも関係が成り立たない。そう理解してしまったらこれは全て必要悪なのかとすら思う。チュゴチュゴとはしたない音をたてて影に犯し尽くされる穴を、酩酊したように快楽に溺れた瞳で見つめながら遂には穴という穴を影の怒張で塞がれる。

「うぐぅ!うう!んんぅ!うぐぅうう!」

喉の奥底まで逸物の形に広げられていく浅ましい雌。それに歓喜して何時までも精液を注ぎ込まれて狂わされて、そんな自分にアキコは冷やかに思う。影に犯されながら歓喜に喘ぎ咽び泣く自分は、本当に狂ってはいないと言えるのだろうか。



※※※



欲しかった言葉・ずっと願っていたはずの言葉にこうして戸惑う自分を、シュンイチはどう見ているのだろうかとアキコはボンヤリと思う。夏の日差しの中で真剣な顔で言うシュンイチをこうして見つめるアキコの心の内を、シュンイチはどこまで知っていて・理解して、これを告げたのだろうか。

「……俺は…………お前以外と結婚する気はないよ。」

不意に外界の感覚が戻ったような気がして、アキコはゆっくりと瞬きをする。アキコから答えが無い事をどう思うのか分からないが、シュンイチはその場に佇んだままもう一度口を開いた。

「もう、傷つけたりしないから、………………結婚しよう。」

眩しい日差しの中でアキコはもう一度その姿をじっと見つめる。戸惑う心はまだ心の隅に確かにあって、でももう一度信じてみようか、そう思う心も確かにまだ心に中にある。同時にそれを受け入れてしまっていいのか、あの影の事は?と問いかける自分の声もあった。



あれと居ることはシュンイチを裏切っていることにはならないのだろうか。妊娠しないからと影の精液で狂いよがりつづけた自分……そう考えた瞬間不意に頭の中で何かがこう呟くのが聞こえた。

影はいなくなった……あの時。

そう渇望も影すら、蛇の存在も一度消え去った事がアキコにはある。そう頭の中が告げた瞬間、それがなんだったかを思い出して、そしてシュンイチの言葉を受け入れたらと考えた自分がいた。

結婚したら…………今度は……妊娠しても…………いい?

憐れな我が子をもう一度、今度はちゃんと育て産めるのだとしたら。あの時妊娠している最中は渇望も影もどこにも感じなかったのだから、今度はちゃんと産めるのだとしたらとアキコの心の中に淡く光が射していた。今度はシュンイチと普通に夫婦になって子供も産めて、そうしたらアキコは呪われた子供ではなくて普通の母親だと言えるのではないか。

「…………うん。」

その思考に自分がまだ少し戸惑いながら思わずそう口にしたのを、アキコ自身も不思議な気持ちで耳にしていた。それでももう傷つけないという言葉を信じて傍にいながら、自分が心の何処かでまだそれを信じ切れていないこともよく分かっていた。尚且つここ暫く知っていか知らずか、シュンイチの行動は目に見えて変わったのも事実なのだ。
歩行器でベットから出る時にシュンイチがもってきて欲しいといっていた携帯電話を手渡すと、アキコに見えるようにしながら横に立つ。どういう意味か判断できないでいたがシュンイチは意を決したように溜め息のような吐息をつき、アキコの知らなかった女性の名前のついた電話番号を次々と目の前で消去していく。その後で、その携帯のメールも全て消去してアキコの手にそれを手渡す。

「…………ごめんな?いままで酷い奴だったよな?」

アキコはその行為を不思議な気分で見つめる。知らなかった女性の名前は、アキコが働いている間にシュンイチがネットでアキコと同じように出会った相手だという。それを全て消去して、彼女達と交わした卑猥なメールも全て消去した。この行為を信じていいのか分からずにいるアキコを見透かすかのように、シュンイチは携帯を握ったままのアキコの手を大きな掌で包み込んだ。

「でも、もういい、…………アキがいてくれればいい。」
「…………なんで?」

思わず口からこぼれた言葉にシュンイチが、呆れたようにアキコを見つめる。まるで気がついていないのかと問いかけてくるようなその眼差しに、一瞬アキコ自身が戸惑う程だった。

「お前だけだから、ずっと一緒にいて、…………ずっと我慢してくれて。」

そう言いながらシュンイチは、少し困ったような表情を浮かべて口をつぐむ。

「酷いことしたし、してきたのに…………、ずっと大事にしてくれた。今まで………………ごめん。」

やがて、どうしたらいいか分からないという風にも見える手つきで、まるで大事なものだと言いたげにアキコの手を引き寄せる。人目を気にせずにされた慣れない行為に戸惑うような表情のアキコにシュンイチは小さく声を立てて笑う。

「もっと喜ぶか、じゃなきゃ当たり前だって凄く怒ると思ったたんだけど、な?」

そして、引き寄せたアキコをそっと抱き締める。歩行器越しの腕の体温は、まだ遠距離時代の改札口でのぎこちないハグを思い出させた。

「泣くなよ……。」

初めてアキコは自分が泣いていた事に気がつく。シュンイチの今の言葉には、嘘がないような気がしたのだ。一時であれ、その言葉は今の真実だとアキコも信じたかった。そして、信じてもいいのかもしれないという気持ちが心に囁きかけるのを聞きながらアキコは、目の前のすっきりした表情のシュンイチを見つめる。

「退院したら、新しくちゃんとやり直そう?……二人で。」
「うん。」

その声に素直に頷いたアキコにシュンイチが、やっとホッとしたように表情を緩める。青葉が少し早い初夏の風に外れの音を立てる中庭で、アキコは出会ってから初めて自分の中に「信じれる」という気持ちを感じて仄かな幸せを感じていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

それなりに怖い話。

只野誠
ホラー
これは創作です。 実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。 本当に、実際に起きた話ではございません。 なので、安心して読むことができます。 オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。 不定期に章を追加していきます。 2026/1/14:『でんしれんじ』の章を追加。2026/1/21の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/13:『こえ』の章を追加。2026/1/20の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/12:『あけてはいけない』の章を追加。2026/1/19の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/11:『みきさー』の章を追加。2026/1/18の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/10:『つかまれる』の章を追加。2026/1/17の朝8時頃より公開開始予定。 2026/1/9:『ゆうじんのかお』の章を追加。2026/1/16の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/8:『ついてきたもの』の章を追加。2026/1/15の朝4時頃より公開開始予定。 ※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。

処理中です...