拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶

文字の大きさ
12 / 34

10「クラス分け」

しおりを挟む
おはよう、諸君!

この度めでたく(?)前世の記憶を思い出したは良いけれど、この世界がBLゲームの世界で、しかもそのゲームの主人公だと気が付いてしまった石留いしどめ椿つばきです。

今置かれている状況を簡単に説明しよう。
まあ、説明も何も、このままでは俺の第二の学園生活がBなL展開になってしまうという初っ端からハードモード全開な状況だという事以外言いようがない訳なのだが。

しかし!何か打開策はないかと考えに考えた末、俺は前世の姉が言っていた事を参考にある作戦を考え付いた。

題して『攻略対象同士をくっつけてしまおう作戦』である。

読んで字のごとくな作戦だが、我ながらナイスな事を思い付いたと思う。……思うのだが、問題がある。
それは、

「誰と誰をどのタイミングでくっつけるか、だよなぁ…」

思い付いたは良いが、如何せん俺には恋愛経験というものが全くない。勿論、前世を含めてもだ。

そんな俺が他人の恋のキューピッドなど出来るだろうか。いや、出来ない。

とは言え、出来なければBなL展開まっしぐらな訳で……

「……詰んだ」
「何がつんだんだ?」
「そりゃ俺の…」

…ん?

横からした声の方を見れば、隣の寮部屋から顔を出している友広と目が合った。

「おはよう。なに朝から辛気臭い顔してるんだ?」
「…何だ、友広か」

聞かれたのが友広だった事に安堵しながら寮部屋の扉の鍵を閉める。

「何だって何だよ」
「友広で良かったなと思って」
「? 何かよく分からんが、褒め言葉と受け取っておけば良いのか?」
「ああ」

何てったって友広はお助けキャラ兼友人だからな。


*****


友広と肩を並べて寮の目と鼻の先にある学校の校門をくぐり、大きな掲示板に張り出されていたクラス分けの一覧を確認すれば、俺はAクラスで、友広はBクラスだった。

何だ、友広とは同じクラスじゃないのか…

少しばかりその事を残念に思っていると、クラス分け表を見ていた友広が何かに気が付いて「あ」と声を上げた。

その声にどうかしたのかと思い、友広の方を見れば、憐れむような空色の眼差しと目が合った。

「頑張れよ、椿」
「? 何がだよ?」

慰めるように俺の両肩に手を置く友広の行動の意味が分からず、首を傾げる。

「だってお前、よりにもよってあの紫麻しまと同じクラスとか。強運っていうかもはや凶運だな」
「え」

『しま』って…

「まさか…不良っぽい格好してる、あの?」
「そうだよ、その紫麻だよ。ていうか、『ぽい』じゃなくてアイツは正真正銘の不良だからな?」
「へ、へぇ」
「へぇ、とか暢気のんきなこと言ってる場合じゃないぞ、お前」
「え?」
「ちょっと耳貸せ」

言われて、身を屈めると、友広は周囲を警戒するようにひそひそと話し始めた。

「オレ、紫麻とは同じ中学なんだけどさ、アイツん家はその筋じゃ超有名なヤクザなんだよ」
「!」

そうだ、思い出した。ゲームにはヤクザの息子という肩書きを持つキャラクターがいたはず。そうか…紫麻くんの事だったのか。

「まあ、お前なら大丈夫だとは思うけど、目を付けられないように気を付けろよ?」
「あ、ああ。分かった」

忠告にこくこくと頷くと、友広は「じゃ、オレのクラスはこっちだから」と言って、去っていった。

「……まじか」

去っていく友広の背を見送りながら、思わずといったように零れ落ちる。

目を付けられないように気を付けろって言われたけど、それってもう完全にフラグじゃない?            ていうか、俺歓迎パーティーの時に「覚えてろよ!」って言われたよな? これはもう既に目を付けられているという状況なのでは?

「あー…入りたくない…」

とか何とか色々悶々もんもんと考えている間にも、教室に到着してしまい、扉の前で二の足を踏んでしまう。

だが、いつまでもこうしている訳にもいかない。

「…よし、行くか」

深く深呼吸して覚悟を決めて、扉に手をかける。


いざ、出陣!

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

BLゲームの世界でモブになったが、主人公とキャラのイベントがおきないバグに見舞われている

青緑三月
BL
主人公は、BLが好きな腐男子 ただ自分は、関わらずに見ているのが好きなだけ そんな主人公が、BLゲームの世界で モブになり主人公とキャラのイベントが起こるのを 楽しみにしていた。 だが攻略キャラはいるのに、かんじんの主人公があらわれない…… そんな中、主人公があらわれるのを、まちながら日々を送っているはなし BL要素は、軽めです。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

優しい庭師の見る夢は

エウラ
BL
植物好きの青年が不治の病を得て若くして亡くなり、気付けば異世界に転生していた。 かつて管理者が住んでいた森の奥の小さなロッジで15歳くらいの体で目覚めた樹希(いつき)は、前世の知識と森の精霊達の協力で森の木々や花の世話をしながら一人暮らしを満喫していくのだが・・・。 ※主人公総受けではありません。 精霊達は単なる家族・友人・保護者的な位置づけです。お互いがそういう認識です。 基本的にほのぼのした話になると思います。 息抜きです。不定期更新。 ※タグには入れてませんが、女性もいます。 魔法や魔法薬で同性同士でも子供が出来るというふんわり設定。 ※10万字いっても終わらないので、一応、長編に切り替えます。 お付き合い下さいませ。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

処理中です...