宇宙戦争時代の科学者、異世界へ転生する【創世の大賢者】

赤い獅子舞のチャァ

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戦争

交戦中1(カイエン視点)

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 敵将が口上を述べ始めた、開戦間近である。
 キース君が緊張して居るように見えたので声を掛けて見たが、心配は要らないようだった。
 盗賊討伐等で対人戦も経験済みなのだそうだ、杞憂だったらしい。
 敵将の口上が終わった所で、何だかエリー君が敵を煽って馬鹿にしたような口上を始めた、相変わらずブレない娘だ。
 今のこの俺の体も、魔道具で出来て居るらしいが、疲れないし凄まじい力が出る、これもエリー君(エリー殿と呼んでいたら堅苦しいから止めろと言われたので最近はこう呼んでいる)のお陰だが、いったい彼女は何者なのだろうか。
 エリー君が煽ったおかげで、丁度俺の目の前付近の敵兵が暴走を始め、敵陣が瓦解を始めた、流石と言うか、エリー君の知恵には本当に頭が下がる思いだ。
 私は、私の後ろに控えている冒険者の諸君に一声かけて敵陣に飛び込んで行く。
「さぁ!行くぞ!君達の健闘と武勲を期待し、無事を祈ろう!」
 ぐっと腰を落とし、大地を後ろに蹴りだすと、俺の体はあっと言う間に加速し、周囲の音を置いて行く感覚に陥る。
 視界は、電脳と言う奴のお陰でクリアーだ、しかも敵兵の行動予測が視界に表示されるお陰で、どう走って剣を揮うと殺さずに倒せるかが手に取るように判る。
 私は勇者と謳われた過去がある為に、極力人を殺したくないと思って居る。
 人に敵対する者とされてしまっては、宿敵たる魔王と何ら変わりが無いのでは無いかと思えるからであり、これは俺自身のポリシーから来るエゴだ、それも理解して居る。
 そして、凡そ千人ほどの敵兵を無力化した頃に、奴は居た、現れたと言うよりも、そこに居た。
 かつての仲間であり、俺が怪我を負って勇者としての使命を果たせなくなったあの事件の関係者。
 今となっては、あの事件は奴の手によって引き起こされたのだと認識している。
 あの時奴は、俺の意見を無視し、あの森の踏み込んではいけないとされていたエリアに足を踏み入れ、強力な魔物を引き連れて戻ったのだ。
 今思えば、あれはワザとだった。
 奴はあの場に、Aクラスの魔物の巣窟が存在して居る事を知って居たのだ。
 俺を勇者の座から追い落とす為? 勇者は任命されるものでは無く、天より与えられた称号とスキルが必要最低条件だと言うのにか? 
 そいつの名は、チック・バッカー、自称下級貴族だったが、実際には俺と旅をしていた時には実は平民だったことも今は知って居る。
「へぇ、元勇者様じゃ無いか、怪我で退いた後、ギルド職員として誰もやらないような低レベル依頼を昇華する日々を送ってると聞いて居たが、良く出て来れたもんだな。」
「チック、貴様、帝国に居たのか、いつか貴様には罪を償わせてやりたかった。 ここで会ったが100年目だな。」
「ふん、まともに戦えないテメェに何が出来ると?」
「知らないなら教えてやる、俺はもう怪我は何とも無いし、それどころか新しい体のお陰で以前よりも強いぞ。」
「何を言ってるのか判らないな、ああそうそう、マカンヌは元気かね? あいつは俺をふったんだ、だから魔物の餌にしてやろうと思ったんだがねぇ?」
「貴様!そんな事の為にあんな仕打ちをしたと言うのか!」
「ふん、どうとでも言うが良いさ、お陰でうさも晴らせたし、気に入らなかったおまえにも再起不能の怪我を負わせられたんだ、これ程愉快な事は無い。」
「言いたい事はもう言い終わったか?」
「ふん、貴様なんぞにこれ以上何を言えと言うのだ?ハッハッハッハ!」
「そうか、殺す価値も無いクズに成り下がったのか、ならば仕方が無い、死なない程度に痛めつけてやろう。」
 左腕を切り落とし、右足の膝を砕き、急所を外して、剣を奴の腹に突き立てた。
「な・・・速い。」
「言ったろ、昔より強いってな。」
「運がよければ、失血死をする前に助けられるだろうよ、それとな、マカンヌは元気だぞ、今は俺の妻だ。
 おいそこの貴族っぽい小太りの男! こいつへの用はもう済んだ、連れて帰れ。」
 大分前線へ、と言うか敵陣深くに踏み込み過ぎてると感じた俺は、急ぎその場を離れ、全力で取って返した、次の瞬間、俺の居た付近の手前辺りまでの広範囲に及んで、猛烈な吹雪が吹き荒れていた。
 何なんだ、ありゃあ。
 周囲を見回すと、タイタンズのエルフの嬢ちゃんが、髪の毛を逆立たせてものすごいオーラみたいなもんを纏った状態、その隣には、氷で出来てそうな姿の見た事の無い女性が、空中に浮いて居る。
 なんだ? 精霊だとでも言うのか?
 しかし、あの女性の姿と吹雪には明らかに関連性が見られる、本当に精霊か?
 エルフの嬢ちゃんが吹雪に凍てつく敵陣を指差して叫んだ。
「ダイヤモンドォ~~~~ダストォォ~~~!!!」
 なんだかとてもでは無いが、悲痛な悲鳴のような、寒気のするような叫びだ。
 氷の女性が何だかポーズをとると、吹雪いて居たエリアの全てが凍り付き、そして凍った者の全てが、砕け散った。
 俺は茫然とその様子を見て居たが、氷の女性が消失し、エルフの嬢ちゃんが膝から崩れるように倒れて行くのを見て、走り込んで抱き上げた。
 さっきまでのオーラと言うか、そう言った物を纏って居た娘とは思えない程、その体は軽く、儚かった。
 嬢ちゃんが怪我をしないように、草の上に降ろすと、俺はもう一撃加える為に走り出したが、既に戦意を持つ兵士は存在しなかった。
 災害級の事態に、全員戦意を喪失し、ある者は既に白旗を掲げて居たのだ。
 終わった・・・のか?
 自軍側の陣地を眺めると、そこには強化装甲に乗り込んで佇む領主殿と執事殿が開いた口が塞がらないと言わんばかりに固まって居た。
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